空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

3,40年前から論調の変わらない神学論争で稼げる層のお話

2017-11-27 14:38:54 | Newsメモ
毎日新聞 憲法9条の存在意義 ルーツは「徳川の平和」 思想家・柄谷行人 2017年11月27日 東京朝刊

しかし、それによって、事実上の憲法改定ができるか。「国の交戦権はこれを認めない」という9条の条文が残る以上、「加憲」は今までの解釈改憲と同じようなものです。憲法上、自衛隊は海外で戦争をすることは許されません。軍事同盟の言い換えである集団的自衛権も現行憲法では認められません。このような状態を本当に変えたいのであれば、安倍首相は堂々と憲法の改定を主張すべきなのです。しかし、それはできません。もしそうしたら、国民投票で負けますから

 堂々改憲なんぞ発起したらそもそも負ける―この認識は妥当・穏当なものとして認めてよいものと思う。
 …が、一応、集団的自衛権まで現行憲法で認めてある、という解釈を付与されたはずであり、にも拘らずこの点を改めて突破するための改憲は、安倍政権としてはそもそもなしがたい、ということも論理的だと思うが。

 だって、あれが違憲だっていうのは、安倍政権に対する反対者の側なんだから。
 安倍政権としては、「合憲ですよ」と主張しているはずなんだから。

 この条件で安倍政権が、「僕たちは合憲と確信しており、憲法の条文には全く問題なく、これを変えるべき必然性は認めがたいのだが、私たちに反対する人たちはそうは評価していない。そこで、我々としては既に所謂”解釈改憲”で解決され終わった問題を、我々に対する反対者が納得するような「反平和的な安倍政権案」を案出し、負けることが確定的な国民投票を是非ともしたいと思います。なおこれによって、既に解決したはずの問題がそもそも解決されていないことになって、数年間の努力は一切、水の泡なうえ、我々皆政治的生命が終わります」と考えるとしたら、それこそ無能の極みではないか。

 …ああ。こう考えているはずだから、安倍首相は無能だと延々語り続けるのかな、もしかして…。

現実には、自衛隊を持っている日本は9条を「実行」していません。だから、北朝鮮にも大きな脅威を与えています

 我が国の経済成長が停滞し、中国や韓国の経済成長が著しく、結果我が国の軍事的プレゼンスが着々と低下するなか、そもそも碌々経済成長できてないだろ君らも少し民生にカネ使えといわれるべき北朝鮮がむっちゃすごい勢いで軍のハイテク化(※ミサイル開発&核兵器開発)しているので、北朝鮮に大きな脅威を与えているのは寧ろ(直接接している意味で)韓国だったりしないか。

9条にある「戦争放棄」は単なる放棄ではなく、国際社会に向けられた「贈与」と呼ぶべきものだと思います。贈与された方はどうするか。例えば、どこかの国が無防備の日本に攻め込んだり脅迫したりするなら、国際社会で糾弾されるでしょう。贈与によって、日本は無力になるわけではありません。それによって、国際世論を勝ち取ります。贈与の力は軍事力や経済力を超えるものです

 上掲の説明は、『平和国家日本という国体』を守るために、汝人民、もし攻められたらそこで虐殺されておけ、ということになり、大日本帝国の悪い(であろう)ところの直接の後継者たる資質を露呈している。

 銀英伝脳でいけば、ヤンウェンリーは民主制を守る軍人になりたいというユリアンにペンの力、歴史の力を教えるのだ。が、その間、むっちゃすっげえ人数が圧政虐政によって死にまくったことに対する説明にはなっていない。こうした政府の客体、歴史の客体として消費されるそこらの民衆―それこそ我々の位置であり、我々としては己の生存のためにも、諾々と従ってはおれないだろう。あれは創作だし、実際上、「銀河三国志」だからあれでいいけど。

長い戦国時代の後、戦争を否定する徳川幕府体制が生まれ、国内だけでなく、東アジア一帯の平和が実現されました

 晩年の豊臣秀吉的な拡大政策の継続不可能を認め、「国内」に引きこもり、圧倒的な経済力で諸大名を服従させたわけでもあり、初期の代替わりのときに伊達政宗と大御所との「儀式」をする一方、細川に備えをさせているあたり、単に戦争を否定したわけでもあるまい。圧倒的な暴力の存在(保持)を前提に国内に平和を強制したという表現だってできる。

 東アジア一帯の平和は、むしろ中国大陸での戦乱・政権交代とそのあとの内政充実・”域内”での成長に専念したらしい政権のおかげのような。だって徳川日本は、東アジアにアクションしてないだろう(精々琉球王国に手を出したくらいだろう)。東アジアの封建体制を維持したのは、主として清の功績のように思うのだが、どうだろう。




 実際のところ、ここ最近話題の北朝鮮漁船漂着に示唆されるように、先方さんの食い扶持の問題がやや先鋭化しているっぽい。また、政府・与党・官庁の側は、どーもここ最近、実体的な方向に話をシフトしている感がある―難民が来たらどうする、武装していたらどうする、検疫はどうする、というか韓国国内残留の日本人の避難はどうする―と。

 そんななか、3,40年前から論調の変わらない神学論争を延々仕掛け続けていても、一部顧客の満足に答えるくらいの価値以上の効力を、はたして持つものかどうか。



 しかしまあ、これで小銭を稼ぐことが出来るんだ、その点はうらやましい特権だなあと思われる。

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