どうもいろいろ人気の話題らしいのでちょっとみてみようと思った次第。
この際,「にんき」の第一変換候補が「任期」だったあたり,なんというか私の危機意識を示すというかなんと言うか(なお身分的には公務員扱い)。
で,以下の記事を最初にピックアップしようと思う辺り,やはり私だなあと:
読売新聞 大阪で特別区、運営できるの?…都庁内に疑問も 2011年11月28日09時10分
まずは「維新の会は、「大阪都構想」実現のための今後のスケジュールとして、住民投票で過半数の賛成を得た上で国に法整備を求め、2015年春に大阪都を実現するとしている」この一文で『あ,維新の会さん,本気じゃないな』とか思えてしまった件…(維新の会の都構想pdf情報のうち,タイムテーブルだけ見た)。
…もう2011年が終わる時期です。23年度,つまり今年度中に,そりゃあ都移行本部を設置するくらいはできるでしょう。構想推進協議会を設置し,協議を開始することはできるでしょう。しかし本年度はあと4か月しかない。法改正を国に要求し,協議を開始する―開始するだけならできようが,実質的な会話に,果たしてなるか。
次年度,おい,なんで平成24年度が抜けてるんだ。…23年度と明記されてるのは,24年度のことだな,文脈的に。
…文書作成・校正機能がこの程度で,一体何のどこをどう変えることができるのであろうかと,思ってもいいよね。
え? 『文脈見ればわかるだろ』? その凡ミスを府民全体に曝け出したことをさわやかに看過するとして,正確な読み取りの責任を相手に負わすというのは甘えの構造ではあるまいか。
このミスに気付いた瞬間,もうこの文書を真面目に読む気を失ってしまった私です…。…ネタとしてならいいですが…。
ともあれ,平成24年度に都移行本部を設置,協議を開始する計画と理解しよう。今後1年間で国と協議するための下準備をする(無理だと思うがなあ)として,25年度に新規の特別区の詳細制度設計と大阪都移行計画を完成させる―そのためのマンパワーはどこから調達するのか。
いやその,所謂「府民の総意」的な要請として,「不適格な(無能な)公務員を辞めさせる」「公務員給与を抑える」というのがありそうだが―国(直接的な中身としては,省庁のなかのひと)と丁々発止でやりとりするような人材を,しかも山ほどを,人が減り,給料は上がらず,任務と責務は重くなる職にどうやって呼び込むのか。
で,つくった案が26年度に予定される住民投票で否決されれば(その可能性はゼロではない),2-3年の間の作業は全部無駄だったということになる。その点はさておくとして(そういう非効率性を織り込むのが民主主義のコストというものだろうし)―
―以上の構想は,続く「関西州」実現への布石であるという。
さらに周辺各自治体は,現在の中核市のそれ程度の能力を持つべきとされる。
総体的には,全体の流れとしては,或いは底流にある考え方としては,理解できる点は(わりと/大いに)ある。諸種の効率化,行政の効率化,公務員の資質向上―いろんなキーワードが隠れている。急ぐべきだ,急がなければならないという思いは,私も共有することだろう。
…でもこれ,死人が出かねないよ。しかも,有能な人から死んで行くよ。過労で。
都なんておおものじゃなく,精々大学1個作る程度で,「必ず死人が出る」って言われるほどだ。「あ,**先生,死なずに済んだか。よかった,よかった」ってなくらい。「関西州」の礎石となるような大改革を,そこまでの大規模なプランを立てて・行動に移すのに…何人の命を要求することやら。いや生物的に死ななくとも,社会人として燃え尽きる可能性が。
上掲読売が伝える,「都庁内では「方向性は理解できるが、総務省の理解や法整備も必要で、実現のハードルは高い」との声が漏れる」。マスコミ不信のひとには,『これ本当に取材したのか』とか,官僚不信のひとには『いかにも官僚的な意見だな』とかあるかもしれない。
しかし,どっちにしても,総務省と互角(以上)に渡り合える人材・経験を用意する必要があり,恐らくそれを支える財政基盤も必要だ。しかし―
「都の一般会計は年間約6兆円規模で大阪府の約2倍。「企業や人口が多い東京は、財政力があるので特別区制度が機能しているが、大阪で特別区制度を有益に運営できるかは疑問だ」との見方も出ている」
―そういった「常識的見解」を超越するプランナー,実務者が必要なのだろうが,それはどう調達されるのだろう。
いま在籍しているひとたちに「嫌なら辞めろよ」というのは容易い。「能力がない者は去れ」というのも容易い。ではその,未来に関西州の存在を見据えて大阪都を構築する計画者,実務者は一体どこから調達するのか。
維新の会さんは,少なくとも現時点において緻密な細部の詰めをする人材を確保していないのではないかと―上掲の,計画年度の抜け(いや,抜けてないのかもしれない,24年度は完全に準備期間として想定されているのかもしれない)からは思われたことである。まあ私的な感想ですが。
一応参考頁として,「大阪維新の会」。
…私たち学者は,学問の歴史を担って文章を書く。一文,一単語に細密な注意を投入する。3頁なり20頁なりの論文に数か月掛ける。それはその一語が学術の流れに影響を及ぼすであろうからだ,その責任を知っているからだ。責任ある文章を書くときには,そうする。
政治家の文章は,行政官僚の文章は,数万数十万数百万の住民の運命に責任がある。それなりの集中と努力と見識と…思いつく限りのあらゆる能力を投入すべきものだ。なぜなら,そうした言葉は,ひとを生かしもし,死なせもするからだ。そうした言葉は,あっさりできるというものではない。そうした言葉は軽々しく発してはならない。
WSJ-JP 金井啓子のニュース・ウオッチ 「何かやってくれる」橋下新市長の誕生―大阪W選 2011/11/28 11:47
「景気低迷に悩む日本の中でも、生活保護申請率や失業率の高さなど、都市のマイナスイメージと閉塞感がきわだつ大阪。選挙期間中に筆者は、政治評論家のトークライブや、橋下氏と平松邦夫現市長の両候補による討論会などに足を運んだ。そこで聞いた橋下支持者の声には共通した響きがあった。それは「橋下さんなら何かやってくれるかも知れない」というものだ。具体的にこれをやって欲しいという要望があるわけではない」
要望を具体的にはできないが,ともあれ何かしてほしい―何か,変革を! そうした声に支持されて勝利した人を,我々は知っているのではないか。オバマ米大統領がそうでなかったか。そして就任直後に失望した人々が一定数いたのではなかったか。つまり,『かれは黒人だから今までの白人大統領とは違ってパレスチナ寄りになるはずに違いない』とか思った人とか。あるいは,自民党をぶっ壊すと宣言して首相になった小泉元首相が靖国参拝して失望したという人があったのではなかったか。
なお,選挙の過程については
「ネガティブキャンペーンは米国などでよく見かけるが、日本の選挙ではまだ珍しい手法ではないだろうか。橋下氏が歴史的な勝利を収めたことを受けて、こういったやり方が日本でも広まっていくのか、ここも今後見守っていくべきところだろう」
とあるが,米国の,特に大統領選と比較すれば,政治家の背後にあってバックアップする参謀部の存在の有無ないし能力の差に注意を向けるべきかもしれない。外形だけ真似しても・似ていても,同じものといえるかどうか。維新の会さん的には,一人のリーダーが大阪を指導する体制あってこそ経済成長戦略が実施可能というわけだが―
「それはまず、やはり大阪の景気をどう回復させるかということになる。市民の経済的な潤いを改善せずして、この閉塞感はなかなか打破できないはずだからだ」
―大阪の景気回復は,すると(維新の会さんの)理屈上,大阪都実現後となる。しかし,(私には性急に見える)都移行計画は,少なくとも4年に亙る。府民は4年間を「閉塞感」状態で耐えることができるかどうか(だってその間は,計画上,いわば小手先の改革しかできないのだから)。しかし府民は恐らく性急なほどの改革を求めているのだろう。この間のバランス取りに,はたして新体制は成功するだろうか。
この際,「にんき」の第一変換候補が「任期」だったあたり,なんというか私の危機意識を示すというかなんと言うか(なお身分的には公務員扱い)。
で,以下の記事を最初にピックアップしようと思う辺り,やはり私だなあと:
読売新聞 大阪で特別区、運営できるの?…都庁内に疑問も 2011年11月28日09時10分
まずは「維新の会は、「大阪都構想」実現のための今後のスケジュールとして、住民投票で過半数の賛成を得た上で国に法整備を求め、2015年春に大阪都を実現するとしている」この一文で『あ,維新の会さん,本気じゃないな』とか思えてしまった件…(維新の会の都構想pdf情報のうち,タイムテーブルだけ見た)。
…もう2011年が終わる時期です。23年度,つまり今年度中に,そりゃあ都移行本部を設置するくらいはできるでしょう。構想推進協議会を設置し,協議を開始することはできるでしょう。しかし本年度はあと4か月しかない。法改正を国に要求し,協議を開始する―開始するだけならできようが,実質的な会話に,果たしてなるか。
次年度,おい,なんで平成24年度が抜けてるんだ。…23年度と明記されてるのは,24年度のことだな,文脈的に。
…文書作成・校正機能がこの程度で,一体何のどこをどう変えることができるのであろうかと,思ってもいいよね。
え? 『文脈見ればわかるだろ』? その凡ミスを府民全体に曝け出したことをさわやかに看過するとして,正確な読み取りの責任を相手に負わすというのは甘えの構造ではあるまいか。
このミスに気付いた瞬間,もうこの文書を真面目に読む気を失ってしまった私です…。…ネタとしてならいいですが…。
ともあれ,平成24年度に都移行本部を設置,協議を開始する計画と理解しよう。今後1年間で国と協議するための下準備をする(無理だと思うがなあ)として,25年度に新規の特別区の詳細制度設計と大阪都移行計画を完成させる―そのためのマンパワーはどこから調達するのか。
いやその,所謂「府民の総意」的な要請として,「不適格な(無能な)公務員を辞めさせる」「公務員給与を抑える」というのがありそうだが―国(直接的な中身としては,省庁のなかのひと)と丁々発止でやりとりするような人材を,しかも山ほどを,人が減り,給料は上がらず,任務と責務は重くなる職にどうやって呼び込むのか。
で,つくった案が26年度に予定される住民投票で否決されれば(その可能性はゼロではない),2-3年の間の作業は全部無駄だったということになる。その点はさておくとして(そういう非効率性を織り込むのが民主主義のコストというものだろうし)―
―以上の構想は,続く「関西州」実現への布石であるという。
さらに周辺各自治体は,現在の中核市のそれ程度の能力を持つべきとされる。
総体的には,全体の流れとしては,或いは底流にある考え方としては,理解できる点は(わりと/大いに)ある。諸種の効率化,行政の効率化,公務員の資質向上―いろんなキーワードが隠れている。急ぐべきだ,急がなければならないという思いは,私も共有することだろう。
…でもこれ,死人が出かねないよ。しかも,有能な人から死んで行くよ。過労で。
都なんておおものじゃなく,精々大学1個作る程度で,「必ず死人が出る」って言われるほどだ。「あ,**先生,死なずに済んだか。よかった,よかった」ってなくらい。「関西州」の礎石となるような大改革を,そこまでの大規模なプランを立てて・行動に移すのに…何人の命を要求することやら。いや生物的に死ななくとも,社会人として燃え尽きる可能性が。
上掲読売が伝える,「都庁内では「方向性は理解できるが、総務省の理解や法整備も必要で、実現のハードルは高い」との声が漏れる」。マスコミ不信のひとには,『これ本当に取材したのか』とか,官僚不信のひとには『いかにも官僚的な意見だな』とかあるかもしれない。
しかし,どっちにしても,総務省と互角(以上)に渡り合える人材・経験を用意する必要があり,恐らくそれを支える財政基盤も必要だ。しかし―
「都の一般会計は年間約6兆円規模で大阪府の約2倍。「企業や人口が多い東京は、財政力があるので特別区制度が機能しているが、大阪で特別区制度を有益に運営できるかは疑問だ」との見方も出ている」
―そういった「常識的見解」を超越するプランナー,実務者が必要なのだろうが,それはどう調達されるのだろう。
いま在籍しているひとたちに「嫌なら辞めろよ」というのは容易い。「能力がない者は去れ」というのも容易い。ではその,未来に関西州の存在を見据えて大阪都を構築する計画者,実務者は一体どこから調達するのか。
維新の会さんは,少なくとも現時点において緻密な細部の詰めをする人材を確保していないのではないかと―上掲の,計画年度の抜け(いや,抜けてないのかもしれない,24年度は完全に準備期間として想定されているのかもしれない)からは思われたことである。まあ私的な感想ですが。
一応参考頁として,「大阪維新の会」。
…私たち学者は,学問の歴史を担って文章を書く。一文,一単語に細密な注意を投入する。3頁なり20頁なりの論文に数か月掛ける。それはその一語が学術の流れに影響を及ぼすであろうからだ,その責任を知っているからだ。責任ある文章を書くときには,そうする。
政治家の文章は,行政官僚の文章は,数万数十万数百万の住民の運命に責任がある。それなりの集中と努力と見識と…思いつく限りのあらゆる能力を投入すべきものだ。なぜなら,そうした言葉は,ひとを生かしもし,死なせもするからだ。そうした言葉は,あっさりできるというものではない。そうした言葉は軽々しく発してはならない。
WSJ-JP 金井啓子のニュース・ウオッチ 「何かやってくれる」橋下新市長の誕生―大阪W選 2011/11/28 11:47
「景気低迷に悩む日本の中でも、生活保護申請率や失業率の高さなど、都市のマイナスイメージと閉塞感がきわだつ大阪。選挙期間中に筆者は、政治評論家のトークライブや、橋下氏と平松邦夫現市長の両候補による討論会などに足を運んだ。そこで聞いた橋下支持者の声には共通した響きがあった。それは「橋下さんなら何かやってくれるかも知れない」というものだ。具体的にこれをやって欲しいという要望があるわけではない」
要望を具体的にはできないが,ともあれ何かしてほしい―何か,変革を! そうした声に支持されて勝利した人を,我々は知っているのではないか。オバマ米大統領がそうでなかったか。そして就任直後に失望した人々が一定数いたのではなかったか。つまり,『かれは黒人だから今までの白人大統領とは違ってパレスチナ寄りになるはずに違いない』とか思った人とか。あるいは,自民党をぶっ壊すと宣言して首相になった小泉元首相が靖国参拝して失望したという人があったのではなかったか。
なお,選挙の過程については
「ネガティブキャンペーンは米国などでよく見かけるが、日本の選挙ではまだ珍しい手法ではないだろうか。橋下氏が歴史的な勝利を収めたことを受けて、こういったやり方が日本でも広まっていくのか、ここも今後見守っていくべきところだろう」
とあるが,米国の,特に大統領選と比較すれば,政治家の背後にあってバックアップする参謀部の存在の有無ないし能力の差に注意を向けるべきかもしれない。外形だけ真似しても・似ていても,同じものといえるかどうか。維新の会さん的には,一人のリーダーが大阪を指導する体制あってこそ経済成長戦略が実施可能というわけだが―
「それはまず、やはり大阪の景気をどう回復させるかということになる。市民の経済的な潤いを改善せずして、この閉塞感はなかなか打破できないはずだからだ」
―大阪の景気回復は,すると(維新の会さんの)理屈上,大阪都実現後となる。しかし,(私には性急に見える)都移行計画は,少なくとも4年に亙る。府民は4年間を「閉塞感」状態で耐えることができるかどうか(だってその間は,計画上,いわば小手先の改革しかできないのだから)。しかし府民は恐らく性急なほどの改革を求めているのだろう。この間のバランス取りに,はたして新体制は成功するだろうか。
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