空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

Jowhar一時占拠:ソマリア

2008-03-29 10:38:32 | ソマリア関連
Garowe Online Somalia: Islamist guerrillas briefly seize Jowhar after battle Mar 26, 2008 - 8:35:41 AM

 Jowhar,3月26日発。政府軍との半時間ほどの戦闘の後,ゲリラはJowhar市を一時支配した。水曜朝早くに戦闘開始。数方向からIslamistゲリラは町に進入,数名のパトロール中の政府軍兵士を攻撃。JowharはMiddle Shabelle県の県都である。首都Mogadishuから90kmほど北にある。

 少なくとも5名―3名の政府軍兵士,女性一人とその2歳の娘―の死亡が確認される。

 ゲリラ側スポークスマンAbdirahim Isse Addowは言う,彼らはJowharで4台の武装トラックを含む武器を奪ったと。「我々はJowhar監獄の全ての囚人を解放した」―一時間ほどでJowharを退去したことを言った後,Addowは付け足す。

 Jowhar地元住民曰く,略奪者等は警察本署,牢獄,施政官Mohamed Omar Delle―留守であった―の自宅を略奪した。伝えられるところではDelle氏は政府公用にてMiddle Shabelle県El Barafにあり。ソマリア政府関係者は公式声明を待ってJowhar情勢へのコメントを避ける。

 ともあれJowhar一時占拠は暫定政府の弱体さをあらためて際立たせるものである,という指摘で記事は閉じられています。


 この数ヶ月,ゲリラ側はこの種のヒットエンドラン戦術を多用し,これによる政府側の損害はばかになりません。

 そのたび囚人を解放するのは,拘束中の味方を取り戻す意味がありましょうし(場合によっては新規リクルート),武器弾薬を奪うのは,あのど貧乏戦線では重大な影響を及ぼしかねない戦術でしょう,きっと。
 夜間や早朝を狙うのも効率的です。どうしても手薄になりますし。
「一時県都を占拠!」この広告効果も無視できません。

 にしても,ただでさえ失敗国家No.1のこの国をさらなる不安定に落とし込む戦術には些か疑問を感じざるを得ません。それによって得られるものは何だろうか? 多少の武器弾薬,装備奪取は如何なる戦略的意味を与えられているものか?

 …ん,直接的にいっちゃえば,『アルシャバブの補給はどうなってるだろう?』。エリトリアからの補給はちゃんと届いてる? このところ夜間早朝を狙っての奇襲ばっかり,やることというと物資略奪。短時間で撤収。こういう記述だと強盗団のことを言ってるようにしか思えない。

 最南部Dobleyでは人心掌握しっかり出来てた感があるのだが(「Dobley始末記:ソマリア,米軍巡航ミサイル攻撃問題」)。Bayやソマリア中部で活動中の彼らには,戦闘略奪ばかりが目立って,行政の面がみえてこない。『君らほんとに国を作って動かすという事を考えてるか?』。

『イスラム教徒がイスラム教徒をイスラム法で統治するんだからオールオッケー☆』とか考えるひとがあるかもしれませんがそれで済むはずがないでしょう。サッカーを観ていいかどうかについても見解の相違があるのです(「teiresiasさんがみてる~嗚呼WC観戦に銃撃あり~」)。

『ソマリ人がソマリ人をソマリ人の手で統治する,なんと民族自決というに相応しい事であるか』とか思う人がいるかもしれませんけど(つまりエチオピアの援護下にある暫定政府を傀儡として拒絶する),ところで現行の反政府派の本拠地はアスマラにあるんですけど? 反政府のハウィエ氏族会議でさえ,アスマラ会議参加を拒否したのですけどね(「ハウィエは改めてアスマラ会議不参加を表明する:ソマリア」)。
 そこから多少独立傾向を示しつつあるアルシャバブは,これはただ今ゲリラ勢力以上ではないようで…。

 なんともはや。

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