空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

グリーンゾーンの設定とゲディ首相の嘆き:国際社会はソマリアへの注意を欠いている

2007-08-17 00:34:29 | ソマリア関連
 暫定政府首相Ghedi氏は,ソマリア首都モガディシュにイラクと同様のグリーンゾーンを設定する意向である。小衝突の頻発するモガディシュでは,国際組織の要員及びか弱い人々を保護する必要がある。
 そのための用意は進みつつある。なお当地の人権団体によれば,今週だけで31名以上の死者が出たという。

 また,ゲディ首相は国連安全保障理事会を非難する。「私が思うに,理事国ら,或いは国連がどうしてダルフールにそんなに力点を置き,そしてソマリアにはそうではないのかと問うのは,適切なことだ」と語ったとReutersは報じる。1600のウガンダ兵のみからなる在ソマリアAU軍は強化される必要がある。

 UNが述べるところでは,平時ならソマリアの穀倉地帯である中・下Shabelle地方は旱魃,洪水,紛争に打撃を受け,穀物生産は近年最低レベルである由。

BBC news, Africa Somalia plans for a 'Green Zone' 15 August 2007

 ソマリアに対する注意の少なさにやや苛立ち気味かとも思えるゲディ首相です。

 端的に言いまして。報道が多い-->視聴者の関心が高まる--->政府はそれを無視できなくなる。でダルフールに目が向き,その分,他の諸々の件の報道が減る--->視聴者の関心は起きない--->その問題は存在しないも同然になる。

 ソマリアは悲惨の代名詞として時折使用されますけど,それ以上の利用価値はないんでしょう。石油はまだ出ていないし。ブラックホークも落ちないモガディシュなんて,なんで聞いて興味がわくでしょう。
 爆弾事件の死者の数も,イラクのほうが一桁(以上)多いです。死者数の大きさは事件の大きさです。同じ1人の死亡なら,自国の自動車事故の報道を優先するでしょう。映像だって入手し難いソマリアは,絵的に非常に使いづらい。

 あと,ばっちり「TOYOTA」なんてロゴの付いた戦闘車両とか―どうしても放映し難いんじゃないかと。

 先日のアメリカの橋崩落の件では,近くのソマリ人コミュニティから死者が出て―エピソード的に泣けるものがあったようで,いつもと違った角度で「ソマリア」の文字を見ることが出来ました。

 …静かに死者を悼み,橋梁の安全確保を怠った(形の)アメリカ当局を非難する―というところが真っ当な精神活動だと思うんです。そこであるソマリ人の悲劇が紹介され,さらにソマリアの悲劇に目を向けてくれる人が一人でも増えれば,なにか改善すれば,彼女らの死にもなにか,救いか慰めかが得られる気になるんだと思うんです。

 そうではなく,わけのわからないウルトラ兵器の存在を仮定し,『この橋の破壊は,近くに住む,エチオピアのソマリア進攻をバックアップするアメリカ政府に不満を抱くソマリア出身のアメリカ在住イスラム教徒の人たちに対するアメリカ政府の秘密の攻撃なんだとおもいます!』と言うらしい人の存在を,とあるblog経由で知ったんですが…(Massive ULF ‘Blast’ Detected In US Bridge Collapse Catastrophe August 2, 2007)。
 …えーっと…どうあってもアメリカ政府がワルイことにしないと気が済まない人なのか…それとも,『ムー』みたいなもの…なのかな…かなっ?  

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