雑感

　記事メモ＋推敲もせんで書き散らし。

朝日　動物行動学の日高敏隆さん死去　2009年11月23日11時25分

　14日，肺がんで死去。79歳。

日経　スパコン凍結せず　菅戦略相「仕分け見直し」　（23日07:00）

　ソースは日経だけ挙げておこう。私が問題とするところは，スパコン関係が本当に復活するかどうか，にはない。一言で言って『なにこの指導者原理』なのだ。

朝日　スパコン開発の「見送り」に大クレーム、事業仕分け判断に科学者ら　2009年11月20日
「行政刷新会議の事業仕分けで、「来年度予算は見送りを含む削減」を断じられた「次世代スーパーコンピュータ開発」について、大学教授らで組織された「計算基礎科学コンソーシアム」（代表＝宇川彰・筑波大学副学長）はこのほど、同開発を「迅速かつ着実に推進することが極めて重要でここに強く訴える」などと、開発継続を求める緊急声明を発表した」

　たとえば一人の投手に譬えてみれば，彼がブルペンで投げる球は一球たりとも勝利に（直接には）貢献していない。しかしウォーミングアップの必要を認めない球団指導部がいるだろうか？　たとえば，こんな風に言う野球関係者がいるだろうか―『こいつの耐久力は120球だって話。あれ？　ブルペンで投げるの禁止すれば，その分，試合で投げる数，上積みできね？　うわw　俺頭良すぎw』？

　日々の練習，楽屋裏での仕上げの調整，そーしたものあってこその表舞台なわけで。そこの用意・必要を丸ごと否定されたら困るんだ。

毎日　社説：視点　科学の仕分け　理系首相に期待したい＝論説委員・青野由利　毎日新聞　2009年11月23日　東京朝刊
「しかし、なにより科学界をとまどわせているのは、科学技術の国家戦略が示されないまま、個々の事業の足切りを仕分け人が裁定していることだろう。
　国際競争の観点から、日本はどの分野に重点を置き、どのように人材や産業、その基盤となる基礎科学を育成していくのか。そのために、一時的に削っても影響の少ない事業は何か。立ち止まって考えた方がいいのは、どういう事業か」

　そこのところのビジョンを示されれば，理解はするのだ。錦の御旗のように示される「国民の目線」なるものの説明もしてほしい気はするが。具体的な成果と言われても，『100万匹ほどクラゲを捕獲して研究すれば蛍光たんぱくが発見されるはずで，40年後にはノーベル賞になります』なんて説明する人がいたとすれば，それはもう，それこそ全知全能の神か占い師がそれ以外のアレな人かと。

「鳩山由紀夫首相は、政治判断による科学技術関連予算の復活の可能性も示している。理系首相ならではの、国民も科学界も納得するような、国家戦略に基づく予算編成に期待したい」

　だからそれなんて指導者原理。
　なんつーか，小泉元首相があまりにも豪運で引きが良すぎて（だからまあ『無駄ヅモなき改革』なんてもんが成立しもする），『強い指導者による長期安定政権』な夢を見たからだろうか，いや経済状況にも助けられたんじゃね？とかいろんな突っ込みはありえようけど…首相のリーダーシップにあまりに期待するのは，民主主義的にどーかと思う。

　問題点を摘出，国民に問うたことは評価する―という言い方もあり得るが，スパコン問題については大山鳴動してネズミ一匹，竜頭蛇尾な結果に終るかもで，してみるとせっかくの報道資源を浪費したという結果が残るかもだが（いや”密室で決まる”のもアレだが，その場合は関係各所から一般国民までの時間浪費はせずにすんだわけで），ああなるほどそれは改革の痛みであり必要なコストでありますかそうですね（※1）。でもこの問題がなければ，私と某先生が夜中2時間も意見交換することはなかったわけで，つまり我々二人の研究資源，貴重な4時間が業務外に費やされることもなかったわけで（※もちろんサービス残業時間帯）。まあ個人的親交・信頼関係構築の一助にはなったから良しとしようではないか，としか（いや実際それは好ましい結果なんだが，別にスパコンの話題でなきゃいけないわけでもないんでな）。

　あと『理系』首相だのと強調するのやめたら，的な。『スパコンいらねですぅ』ゆった先生様はバリバリの理系様じゃありませんか？　



※1
　従来はつまり，官僚の皆様にお任せしてアレコレ決めてもらう格好だったわけだ。でまあ，社会から選抜された官僚たちの仕事に『信用ならんです！』と直接民主制的に「国民の目線」を導入してみたのが今度の「仕分け人」劇場ってことになるか。こちらもナニやら本質をとらえないだのというのであろうか，理系首相の指導を俟つことになったというのが「今ココ！」状態？
　…とりあえず，以前のプランから比較して，ものっそ大量の報道資源・（一般国民の）時間を食い潰し，あげく首相の裁可を待ち望むってことになるか，なにこの無駄の体系。