昨日のブログでは、昨日の名大病院での診察の流れの要旨、結果の要点を書いた。
今日は、再整理するとともに、昨日引用データの元デーにリンクし、肝心な部分を抜粋しておく。
何しろ、古典的な薬をあえて使うということには、合理的な理由が必要だから。
「標準療法の何をやってもうまくいかない」という人で、私と同じようなことを考える人の参考になれば・・・
● 一番の安心材料は、腫瘍マーカーであるPSAが、1月4日に144、それが1月30日に322と倍増していたことに対して、強い心配、懸念があったところ、2月24日は194と約4割減。
医師は、PSAの値が「倍になる期間」を倍化時間といって、判断材料にする。悪くても、これが「1年」とかそれに近いオーダーであるところ、私の場合は、昨年の8月以降「1ヶ月」単位で倍になってきた。
それが、この一か月で、正反対に一気に下降して「1/2」になった状況。
今年の1月1日以降まるでジェットコースターのように上下したわけだ。
ともかく、パートナーが安心したことが一番うれしいしホッとした。
● 一番の収穫は、こちらのお願いに沿って、前立腺がんの古典的な対処薬の一つである「エストラサイト」が処方してもらえたこと。併せて、副作用対策としてバイアスピリンも処方してもらえた。
一方で、ゲノム医療、遺伝子変異から治療を試みようとしている、いわば最先端のスタンスをとりつつ、他方で真逆の古典的な薬をあえて使うというには、合理的な理由が必要だから。
理由付けの参考として次を記録しておく。
●エストラサイトカプセル 156.7mg/病院検索ならここカラダ
●去勢抵抗性前立腺癌に対するエストラサイト○Rの治療効果と予後因子/「エストラサイト○R特定使用成績調査」データの解析より/ 京都大学泌尿器科 泌尿紀要 62 : 295-306,2016年
●エストラサイト エストラムスチン/くすり110番:薬事典版
●前立腺癌に対するホルモン療法について/東北大学医学部泌尿器科学教室 2012.12=H24.12~ 2012.12
●エストラサイト 前立腺癌薬物療法の副作用である血栓症の予防に使う薬について/ Yahoo!知恵袋 2009/3/12
●エストラサイト エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物カプセル/日本新薬 データベース
●製品の治療学的・製剤学的特性/日本新薬
なお、昨日2月24日の私のブログへのアクセスは「閲覧数1,378 訪問者数731」。
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●エストラサイトカプセル 156.7mg
病院検索ならここカラダ
多くの疾患に用いられます。詳細は医師にお尋ね下さい。
●主な作用 腫瘍を増殖させるホルモンの働きを抑えて、前立腺腫瘍の発育を抑えます。
副作用 本剤と牛乳、乳製品、カルシウムを多量に含有する食品やカルシウム製剤を併用すると、カルシウムイオンとの間に溶けにくい複合体ができて、本剤の吸収が抑えられ、作用が弱くなる.
服用上の注意 牛乳などカルシウムを多く含む食品と同時に服用すると効き目が低下しますので、同時に服用しないで下さい。消化性潰瘍のある方は通常服用できません。食欲不振、吐き気などをおこすことがあります。
●去勢抵抗性前立腺癌に対するエストラサイト○Rの治療効果と予後因子
―「エストラサイト○R特定使用成績調査」データの解析より―
京都大学泌尿器科 泌尿紀要 62 : 295-306,2016年
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC に対しては,エストラムスチン,女性ホルモン剤,デキサメタゾンやプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドによる 2 次ホルモン療法や,タキサン系抗悪性腫瘍剤などが主に使用されている.さらに2014年にはエンザルタミド,アビラテロンおよびカバジタキセルがわが国でも承認され,治療選択肢が広がってきている.
エストラサイト○R は,1963年スウェーデンの A.B.LEO 社によって創製された,エストラジオールの 3位にアルキル化剤であるナイトロジェンマスタードをカルバメート結合させたエストラムスチンを有効成分とする薬剤で,前立腺癌細胞のマイクロチューブルの構築を阻害し殺細胞作用を示すとともに3),一部が体内で代謝されエストラジオールとなり,女性ホルモン作用を示すことで4),前立腺癌に対する作用を発揮する.
・・・(略)・・・
抗アンドロゲン剤交替療法の有効例および AWS を認めた症例が,本剤の無増悪期間に影響を与える予後因子となった理由は明らかではないが,エストラムスチンにはアンドロゲン受容体拮抗作用19)も報告されていることから,前治療で使用した抗アンドロゲン剤により変異が生じた受容体に対しても効果を示した可能性が考えられる.
一方,本剤のエストロゲン作用については,これまでに性ホルモン結合グロブリン(SHBG)増加作用が報告されているが,最近 Koongら20)はエストラジオールがアンドロゲン依存性および非依存性前立腺癌細胞株に対し,細胞膜上のエストロゲン受容体結合を介して活性酸素種を産生するなど多彩なメカニズムにより殺細胞作用を示すことを報告している.
・・・(略)・・・そのうち,CAB 療法期間,投与前 PSA 値および骨転移の有無は多変量解析でも無増悪期間に影響を与える予後因子として抽出された(Table 5).2 次ホルモン療法における PSA 低下率は,多くの報告で生存期間に影響すると言われており,Kellyら17)は,PSA 50%以上低下は有意に予後を延長すると報告している.・・・(略)・・・
これらの報告から,エストラサイト○R はScher ら21)が提唱したアンドロゲン非依存・ホルモン感受性状態の前立腺癌患者に効果を示す可能性を持ち,化学療法前の第 2 次ホルモン療法として使用する価値のある薬剤と考えられる.
・・・(略)・・・一方,安全性に関しては,特に海外で深部静脈血栓症や肺塞栓症などへ注意喚起する報告が見られ,血栓症に対してアスピリンやワルファリンを予防投与した報告がある22)
●エストラサイト エストラムスチン
おくすり110番:薬事典版
前立腺がんは、男性ホルモンに依存して増殖します。切除を基本としますが、外に浸潤している進行がんに対しては、ホルモン療法(内分泌療法)をおこないます。男性ホルモンの影響を低減させることで、前立腺がんの増殖を抑制しようとする治療法です。
このお薬は、女性ホルモン薬を含有する前立腺がん治療薬です。男性ホルモンの分泌を抑制する作用から、前立腺がんに対するホルモン療法として用いられます。
がんの勢いがなくなり、腫瘍縮小、PSA値改善、骨の痛みの軽減、さらには生存期間の延長が期待できます。
【薬理】女性ホルモン薬(卵胞ホルモン)のエストラジオールとアルキル化薬のナイトロジェンマスタードを化学的に結合させた化合物です。
エストラジオールは男性ホルモンの分泌をおさえることにより、前立腺がん細胞の増殖を抑制します。
また、ナイトロジェンマスタードは細胞の遺伝子の複製を阻害し、殺細胞作用を示します。
これらの相乗作用により、抗がん作用が増強されるわけです。
特徴/女性ホルモン薬と抗がん薬を結合させた薬剤です。前立腺がんに有効な飲み薬として、古くから使われています。
いろいろな<font style="background:#ffccff">副作用がでやすいのが難点です。女性化乳房、浮腫(むくみ)、肝機能障害、さらには血栓塞栓症や心筋梗塞、血液障害などのリスクをともないます。心血管系に病気のある人には使いにくいなど安全性の問題や、<font style="background:#ffffcc">他の優れた新薬が開発されたこともあり、昔ほどは処方されなくなりました。
●前立腺癌に対するホルモン療法について
東北大学医学部泌尿器科学教室 2012.12=H24.12~ 2012.12
【正常の男性ホルモンについて】
男性のテストステロンは95%以上が精巣由来であり、残りの数パーセントは副腎由来です。
精巣は脳の下垂体から血中に放出される黄体化ホルモン(LH)による制御を受けています。
下垂体は脳の視床下部から黄体化ホルモン放出ホルモン(LH-RH)により更に制御を受けています。前立腺にはテストステロンを活性型のジヒドロテストステロン(DHT)に変える酵素(5αR)あり。
男性ホルモンは前立腺以外にも脂肪組織や肝臓など多くの組織で代謝されます。
【ホルモン療法の方法】
① LH-RHアゴニスト製剤(リュープリン, ゾラデックス):LH-RHアゴニストは黄体化ホルモン(LH)を抑制する薬剤です。初回の投与後2~3週間はLH-RHアゴニストが下垂体を介して精巣に作用し、テストステロンが上昇します。その後は下垂体がLH-RHアゴニストに反応しなくなり、テストステロンは低下します。1ヶ月または3ヶ月毎に皮下に注射をします。
② GnRH受容体アンタゴニスト(ゴナックス):GnRH受容体へのGnRHの結合を競合的に阻害することによってテストステロンの産生を低下させ、その結果、前立腺がんの増殖を抑制します。初回240mgを1カ所あたり120mgずつ腹部2カ所に皮下投与します。2回目以降は、初回投与4週間後より80mgを維持量として、腹部1カ所に皮下投与し、4週間間隔で投与します。
*皮下注射のため注射部位の痛み、硬結、紅斑をきたすことがあります。
③ 精巣摘出術:テストステロンの主要な供給源である精巣を両側摘除することにより、テストステロンの産生を大きく抑制します。数日間の入院が必要です。
④ 抗男性ホルモン剤(カソデックス, オダイン, プロスタール):男性ホルモンがその受容体(AR)に結合するのを抑制し、男性ホルモンが血中にあってもその作用が起こらないようにする内服薬です。精巣摘出術やLH-RHアゴニスト、GnRH受容体アンタゴニストと併用することもある。
⑤ リン酸エストラムスチン(エストラサイト):LHの分泌を抑え、テストステロンを低下させます。またエストロゲン剤はがん細胞に直接作用する働きもあると考えられています。
未治療の新鮮例では約90%に有効であり、著明な前立腺腫瘍縮小効果が認められたほか、従来の内分泌療法に無効又は抵抗性を示し制御不能となった既治療例においても約40%に反応が得られた6)。
超音波断層法による前立腺重量の実数計量においても同様の成績が得られた7)。
未治療の新鮮例では約90%に有効であり、著明な前立腺腫瘍縮小効果が認められたほか、従来の内分泌療法に無効又は抵抗性を示し制御不能となった既治療例においても約40%に反応が得られた6)。
超音波断層法による前立腺重量の実数計量においても同様の成績が得られた7)。
病理組織学的にも前立腺細胞の明らかな退行性所見が得られるなど、抗アンドロゲン作用にとどまらず細胞毒作用も認められる19)。
通常成人1回2カプセル(エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物として313.4mg)を1日2回経口投与する。294.6円/カプセル
●エストラサイト 前立腺癌薬物療法の副作用である血栓症の予防に使う薬について
Yahoo!知恵袋 2009/3/12
前立腺癌薬物療法の副作用である血栓症の予防に使う薬について
一般的な予防薬を教えてください。
また、予防薬にバイアスピリンを処方されることがあるでしょうか。
2009/3/19 18:41 ホルモン耐性前立腺癌にエストロゲンを含むクスリ(エストラサイト、プロセキソール、ホンバン)を処方します。
悪性腫瘍の患者さんは運動量が少なくかつ脱水となっていることが多いため下肢静脈血栓、動脈血栓を予防する必要があります。
動脈血栓の予防には、バイアスピリンかバファリン81を、静脈血栓の予防にはワーファリンを投与しています。
ワーファリンは調節がやや難しいため、私は個人的にはバイアスピリン100mgをエストラサイトとセットで処方しています。
●エストラサイト エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物カプセル
日本新薬 データベース
副作用発現状況の概要
総症例2,403例のうち副作用の報告されたものは895例(37.25%)であった。その主なものは、女性化乳房(14.23%)、食欲不振(11.15%)、浮腫(7.78%)、貧血(5.29%)、肝機能異常(3.29%)、悪心・嘔吐(2.25%)、消化不良(1.83%)、腹痛(1.79%)、及び下痢(1.12%)であった。(再審査終了時)なお、自発報告のみで報告された副作用は頻度不明とした。
重大な副作用 血栓塞栓症 血栓塞栓症〔血栓性静脈炎、脳血栓、肺血栓(以上頻度不明)、脳梗塞(0.08%)等〕があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心筋梗塞、心不全、狭心症 心筋梗塞(0.25%)、心不全(0.17%)、狭心症(0.12%)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血管浮腫 呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫(頻度不明)があらわれることがある。直ちに投与を中止しアドレナリン注射、気道の確保等の適切な処置を行う。
胸水 胸水(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸 肝機能障害、黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど患者の状態を十分に観察、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置。
その他の副作用 血漿中濃度1)
前立腺癌患者4例にエストラムスチンリン酸エステル420mgを単回経口投与して主要代謝物の血漿中濃度を測定した。主代謝物であるエストロムスチン濃度は投与後2.2時間で最高値に達し、その後、13.6時間の半減期で消失した。なお、未変化体は検出されなかった。
●製品の治療学的・製剤学的特性
日本新薬
① マイクロチューブルの構築阻害により殺細胞作用を示す(in vitro )。
② 抗アンドロゲン作用を示す(ラット及びヒト)。
③ 前立腺癌組織に高濃度に集積する(ラット及びヒト)。
(1)排泄部位及び経路
<参考>海外のデータ 前立腺癌患者 3 例にエストラジオール 6、7 位に 3H、カルバメート結合部に 14C で二重標識した
エストラムスチンリン酸エステル 145mg を経口投与し、尿中及び糞中の 3H 及び 14C の放射能を測定した。投与 96 時間後までに投与量の約 60%が尿及び糞中に排泄され、その主排泄経路は胆汁を介する糞中排泄であった。
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