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てらまち・ねっと



 この8月26日に、日本泌尿器科学会が
 【前立腺癌における PARP 阻害剤のコンパニオン診断を実施する際の考え方(見解書)改訂第2版 】という方針を表した。
 その意義を私なりに意訳すれば次。

 1. BRCA変異のある人にとっては、「変異があることが検査で判明することで、適切な治療がより早く受けられる具体的なメリットがあること」
  2.  BRCA変異のない人にとっては、「変異がないことが検査で判明することで、治療の方向がより絞り込めること」

 このように書けば、前立腺がんが進行した人は、みんな一度は「BRCA変異の有無」を調べてみたいと思うだろう。
 だから、今日はそこを見ておく。

 現代医療で研究された各種治療が順調に効果をあげていく人は、「それでいい」。
 が私の実感は違う。
 前立腺がんで、いろんな治療をやって・・抗がん剤も、認められている2種類のうちあと1種類=「カバジタキセル」しかない。「標準療法」の腫瘍マーカー PSAで見る限りは、医師は効果が十分にあがっているとは認めるみとができないみたい・・・つまり、どれもダメで悪化していくという見方が成立してもおかしくない。

 私の場合、昨年12月に最初の抗がん剤「ドセタキセル」を使うところまで「進行」。
 それが、1回目で「効果なし」と医師が判定、同日、予定されていた2回目は投与したとはいえ、治療は行き詰まり。
   (去勢抵抗性前立腺がんの患者の10%程度はこんな風らしい。日本の人口に照らしたらすごい人数なんだけど・・・)

 それと、私の場合、昨年の6月と11月の2回の「前立腺の生検」、11月の「画像検査で骨転移が最も激しいと推定された腰の蝶骨からの骨生検」でも、「がん細胞」が採れなかった。
 癌だと認定しているのに癌細胞は採れない。だから、「癌細胞が採れないから遺伝子関係の検査や治験、治療などはできない」旨を12月に宣告された。
 
 年があけて1月に、自費で「血液中にある遺伝子の変異」の検査をしたら、「BRCA2遺伝子変異」陽性が判明、遺伝的な原因によることが分かった。しかし、すでに、去勢抵抗性前立腺がんも進んでいる。

 ところで、上記の自費検査とは別に、今年1月から、去勢抵抗性前立腺がんの「BRCA2遺伝子変異」患者の治療として日本の保険の「検査・適用」が承認された。
 
 私の場合、自費で「BRCA2遺伝子変異」陽性を判明させていたから、保険の「検査」をすることが主治医に認められた。
 そして、実際に保険の検査を受けて、改めて、「BRCA2遺伝子変異」とでで、やっと当該治療に進むことができた。
 抗がん剤もダメで・・・というようなステージを経た去勢抵抗性前立腺がん患者しか、今年から承認された日本の保険の「検査・適用」がされないというのは不合理なことだと思っていた。

 もっと早い段階で、「BRCA 遺伝子変異」を血液で調べて「変異に該当する」との認定がされれば、きわめて効果的な治療が最初から進められるから。

 そしたら、この8月26日に、日本泌尿器科学会が
 【前立腺癌における PARP 阻害剤のコンパニオン診断を実施する際の考え方(見解書)改訂第2版 】という方針を表した。

 ≪少なくとも mCRPC となった時点では、積極的にBRCA 遺伝子検査を実施すべき(少なくとも1剤の新規ホルモン剤を使用)組織採取が困難な場合、組織検体の品質が十分でない場合、早急な検査結果の確認が必要な場合等)、あるいは最初に提出した組織検体の F1CDx による検査が不成立だった場合等は、全血検体を用いた検査の実施を検討すべきである≫
 
 癌の組織の採取ができない人でも、「新規ホルモン剤を使い始めたら、『遺伝子変異の検査』をすることができる」と読み取れる。
 多分、現場の医師らには不明確だったことだろうけど、それが明確になった。
 困った、治療がない・・そんな思いの人を少しでも減らすために、早期の癌の段階で、積極的に遺伝検査を進めてほしい。

 その利益は、
   1. BRCA変異のある人にとっては、「変異があることが検査で判明することで、適切な治療がより早く受けられる具体的なメリットがあること」

    2.  BRCA変異のない人にとっては、「変異がないことが検査で判明することで、治療の方向がより絞り込めること」

 ちなみに、費用が気になるところ。
 今年から日本でも保険適用になった当該検査の日本での費用は、諸原価で約20万円。
 つまり国保加入者で「3割負担者」なら約6万円の支払い(高額医療の申請をすればもっと安くなる)。
 私も1月に払った。

 そんなことで、リンクし、抜粋して記録しておく。

●日本泌尿器科学会が前立腺癌におけるPARP阻害薬のコンパニオン診断の考え方 改訂版を公開、mCRPC時点での積極的検査求める  /日経 2021/09/02  横山勇生=編集委員
●前立腺癌における PARP 阻害剤のコンパニオン診断を実施する際の考え方(見解書)改訂第2版 2021年8月 /日本泌尿器科学会 2021/08/26

 なお、昨日9月5日の私のブログへのアクセスは「閲覧数1,994 訪問者数1,138」。

(追記) 上記の内容に対していただいた湖面に対する意見は 翌日9月7日のブログに書いた
   ⇒ ◆遠隔転移のある去勢抵抗性前立腺ガンになったら即、検査をすべきか 遠隔転移のある(去勢抵抗性でない)前立腺ガン時点で検査をすべき?/後者なら、是非遺伝子検査を(自費でも)受けたい

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●日本泌尿器科学会が前立腺癌におけるPARP阻害薬のコンパニオン診断の考え方 改訂版を公開、mCRPC時点での積極的検査求める  横山勇生=編集委員
  日経 2021/09/02
 日本泌尿器科学会は8月31日、「前立腺癌におけるPARP阻害剤のコンパニオン診断を実施する際の考え方(見解書)改訂第2版」をWEB上で公開した。PARP阻害薬の対象となるかを判定するために去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の段階からコンパニオン診断を検討し、少なくともmCRPCとなった時点では、積極的にBRCA遺伝子検査を実施すべきといった内容が盛り込まれている。

 見解書はまず、前立腺癌ではホルモン療法抵抗性となって病勢が進行するCRPCになる過程で、AR遺伝子などドライバー遺伝子の変異が出現することを指摘。相同組換え修復(HRR)関連遺伝子の変異も認められ特に転移組織細胞で出現する特徴があるとし、前立腺癌のBRCA1/2などのHRR関連遺伝子変異は卵巣癌や乳癌と異なり、CRPCの状態において生殖細胞系列の変異だけではなく体細胞変異も高頻度に発現していることが分かっていると説明。
そのため、HRR関連遺伝子変異を持つCRPC患者を早期に検査で同定し、病因に適した治療戦略をとることがmCRPCにおいて大変重要であるとしている。

 見解書は、I. 検査の実施における主治医の役割、II. コンパニオン診断としての検査を実施する施設基準について、III. 検査の対象となる患者及び実施のタイミング、IV. コンパニオン診断の使い分け、V. コンパニオン診断の保険算定に関する留意点、VI. 検査に関する遺伝についての相談・説明、遺伝カウンセリングの考え方、VII. 個人情報及び個人遺伝情報の取扱いから構成されている。

 IIIにおいては、検査タイミング・フローチャートを掲載、IVにおいては、利用できる遺伝子検査である「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」「FoundationOne Liquid CDx」「BRACAnalysis 診断システム」の検出対象とする遺伝子変異、検体種、施設要件が異なることを指摘し、施設基準を組み込んだ検査選択フローチャートが掲載されている。

●前立腺癌におけるPARP阻害薬のコンパニオン診断の考え方  改訂第2版 2021年8月
  日本泌尿器科学会 2021/08/26
前立腺癌における PARP 阻害剤のコンパニオン診断を実施する際の考え方(見解書)改訂第2版 2021年8月


はじめに・・・(略)・・・
前立腺癌では、ホルモン療法抵抗性となって病勢が進行する CRPC になる行程で、AR 遺伝子などドライバー遺伝子の変異が出現する。HRR 関連遺伝子の変異も見られ、とくに転移組織細胞で出現する特徴がある。
つまり、前立腺癌の BRCA1/2など HRR 関連遺伝子変異は、卵巣癌や乳癌と異なり、CRPC 状態では germline 変異だけではなく somatic 変異も高頻度に発現していることが分かっている。

   (ブログで注・・・ germline mutation=個人が生まれながらに有し,生涯変化しな. い生殖細胞系列変異
     / somatic mutation=体細胞変異)

したがって、これらの CRPC 患者群を早期に検査で特定し、病因にあった治療戦略をとることは、mCRPC において大変重要であると考えられる。

PROfound 試験に基づき、オラパリブの適応を判断するコンパニオン診断として2021年8月現在、
腫瘍組織内に生じた遺伝子変異を検出対象とした「FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル」及び全血検体を用いて腫瘍に生じた遺伝子変異を検出対象とした「FoundationOne® Liquid CDxがんゲノムプロファイル」(以下、F1CDx 及び F1LiquidCDx:体細胞由来(somatic)
及び生殖細胞系列由来(germline)の両方の変異を捉えるが、germline 由来の変異であるかの特定はしない)、
並びに生殖細胞系列由来(germline)の遺伝 子変異を検出対象とした遺伝学的検査の「BRACAnalysis 診断システム」
が承認されている。したがって、体細胞変異と生殖細胞系列変異との違いを理解し、かつ、CRPC においては、体細胞由来(somatic)由来の変異が約50%存在することを加味して、検査を選ぶことが重要である。
・・・(略)・・・

II. コンパニオン診断としての検査を実施する施設基準について
・・・(略)・・・
「BRACAnalysis 診断システム」(遺伝学的検査)
・・・(略)・・・
1. 泌尿器科専門医、がん薬物療法専門医、あるいは十分な前立腺癌の薬物療法の経験を有する医師が所属する施設で行う。※
2. BRCA 遺伝子変異陽性患者ならびにその血縁者への遺伝カウンセリングは、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー等が所属する施設で行う。※

・・・(略)・・・
以上から、BRCA 遺伝子変異陽性症例へのオラパリブの適応の可否を早い段階で判断するため、CRPC の段階からコンパニオン診断を検討し、少なくとも mCRPC となった時点では、積極的にBRCA 遺伝子検査を実施すべきである。
また、F1CDx 又は F1LiquidCDx による検査を実施した場合、通常、1剤目の新規ホルモン剤が終了した後の治療としては、ドセタキセル等の化学療法の適応となることも多いと考えられるため、可及的速やかに主治医と遺伝子診療科やエキスパートパネルで結果を議論し、治療計画を検討することが望ましい。F1CDx を使用後、がんゲノムプロファイリング検査の「結果説明時」を算定する場合、現状では標準治療後の条件(詳細は「V. コンパニオン診断の保険算定に関する留意点」の項を参照)であり、少なくとも1剤の新規ホルモン剤を使用することを mCRPC の標準治療とする。
・・・(略)・・・
更に、NTRK1/2/3融合遺伝子、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)など、BRCA1/2遺伝子以外も含め、コンパニオン診断の対象として含まれる変異等も考慮する必要がある。

mCRPC の転移巣は、50%近くの患者で骨転移のみであり11、強酸性の試薬を用いた酸脱灰を行った場合、組織検査に適切な検体の質が確保できない等、mCRPC では適切な組織検体の入手に課題がある場合がある12。

また、PROfound 試験では、組織検体を提出した患者の約31%で組織検査による結果が得られなかった1。このため、適切な組織検体がない場合は、組織検体の再生検の実施を考慮すべきであるが、医学的な理由により、腫瘍組織を検体とした検査が実施困難である場合(組織採取が困難な場合、組織検体の品質が十分でない場合、早急な検査結果の確認が必要な場合等)、あるいは最初に提出した組織検体の F1CDx による検査が不成立だった場合等は、全血検体を用いた検査の実施を検討すべきである。

・・・(略)・・・おわりに
去勢抵抗性になった後の前立腺癌においての予後は比較的短く、臨床的な課題がまだ残る領域であるが、昨今の基礎研究に基づいた開発が進み、プレシジョン・メディシンとしてオラパリブを手にすることになった。

去勢抵抗性前立腺癌の中でも特に予後の悪い BRCA 遺伝子変異陽性の症例を特定し、病因にあった治療選択をすることで、対象患者の予後の改善が期待できる。
また、検査を行うことで、結果が変異陽性であればオラパリブ対象となるが、
結果が陰性の場合においても、mCRPC の早い段階で自分の癌の性質やリスクを知ることができることは患者にとってベネフィットは大きい。

したがって、BRCA 遺伝子変異陽性検査を mCRPC のできるだけ早い段階で導入し、さらなる予後改善を目指す、患者毎の治療戦略を立てることが重要となる。そのためには、検査にまつわる情報について我々が十分理解し、患者への適切な説明、必要な連携を行えるような体制を整えておく必要がある。


コメント ( 2 ) | Trackback ( )



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コメント
 
 
 
Unknown (mintdaisuki)
2021-09-07 15:47:02
こんにちは、てらまちさん。
私の知識が浅くブログの内容がイマイチ頭に入ってきません。以下の点につきご教示頂ければ幸いです。

今回のブログの内容は、前立腺ガンに対して早期の遺伝子検査をする有用性について述べていると思うのですが、下記の点が分かりません。

遠隔転移のある去勢抵抗性前立腺ガンになったら即、遺伝子検査をすべきである。そうする事によって今後の治療の選択をする際に大いに役立つ。
という理解でよろしいでしょうか?

それとも、私の様に遠隔転移のある前立腺ガン(去勢抵抗性ではない)になった時点で、遺伝子検査をする事が今後の治療の選択において大いに役立つという事なのでしょうか?

もし、後者ならば、私も該当しますので、是非遺伝子検査を(自費でも)受けたいと思っています。

その他、浅学な私には理解不能な箇所が多々あるのですが、先ずはこの点をお教え頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 
 
 
ブログに書きました (●てらまち)
2021-09-07 22:30:27
mintdaisukiさん、

このブログの翌日、
2021年9月7日のブログに書きました

◆遠隔転移のある去勢抵抗性前立腺ガンになったら即、検査をすべきか 遠隔転移のある(去勢抵抗性でない)前立腺ガン時点で検査をすべき?/後者なら、是非遺伝子検査を(自費でも)受けたい
 
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