天武、持統、文武天皇の冶世に活躍し、『万葉集』第一の歌人といわれ、長歌19首・短歌75首を掲載。三十六歌仙の一人として知られる『柿本人麻呂』。
さて、人麻呂さんと言えば、何といっても百人一首に登場するこの歌。流石に知らない人は少なく、もう良いお年ごろになってしまった私でも、いまだに普通に諳んじられます。
【あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む 】
(山鳥の尾の、長く長く垂れ下がった尾のように、この長い夜を独りさびしく寝ることだろうか。)
和歌の世界に詳しくなくても、この「あしびきの~」を知らない人は少ないのでは? それほどの著名人でありながら実は出生も死亡の年月も定かでない人麻呂さん。とは言え専門的な話は正直ちんぷんかんぷん😓、 その辺りの事情は古代歴史の専門家にお任せして、2024年元旦、年の初めのブログは「県立万葉公園」の歌碑に刻まれた、美しい恋の歌から。
【道の辺の 壱師の花の いちしろく 人皆知りぬ 我が恋妻は】
(道端のいちしの花が目立つように、私の恋しい妻のことがみんなに知られてしまった)巻11-2480 (壱師(いちし)の花=彼岸花)
【君がため 浮沼の池の 菱摘むと 我が染めし袖 濡れにけるかも】
(あなたのために浮沼(うきぬ)の池の菱(ひし)を摘んでいたら、私の染めた袖を濡らしてしまったよ)巻7-1249
【妹がため 菅の実摘みに 行きし我れ 山道に惑ひ この日暮らしつ】
(あなたの為に菅の実を摘みに行ったら、すっかり山道に迷ってこの一日を過ごしてしまった)巻7 - 1250
【古に ありけむ人も 我がごとか 妹に恋ひつつ 寝ねかてずけむ】
(古の人々も私のように愛しい人に恋して、寝付くことも出来なかったのだろうか)巻4-497
新しい年の初め、誰にとっても健やかに美しい年でありますように
改めて「明けましておめでとう御座います」
皇紀二千六百八十四年 元旦