昨日に続いての「六華園」、今日は諸戸家お抱え大工であった工匠『伊藤末次郎』が棟梁を務めた「和館」の紹介。まずは旧諸戸邸の表門にあたる長屋門から。建物は木造平屋建、入母屋、桟瓦葺。外壁は当時では格式が高いとされた黒漆喰で仕上げられています。
長屋門を潜った先にある内玄関。和館は大正元年(1912)に建てられたもので、木造平屋:一部2階建。入母屋、桟瓦葺で、庭園側と奥庭側に廊下が配されています。
一階は、西側に客座敷、東側に内向きの座敷があり、洋館と繋がる2階に隠居部屋。綺麗に刈り込まれた庭木の向こうには様々な木々が配置され、ちょっとした森林公園の様相を見せています。
庭園の中央には揖斐川の流れを取り込んだ池が配されており、川の満ち引きで水位が変わる為「汐入り庭園」とも呼ばれています。六華苑庭園は「旧諸戸氏庭園」として2001年に国指定名勝に指定されました。
庭園が作庭された当初は、バラの洋式円形花壇があったそうですが、大正末期から昭和初期に和風の池泉回遊式大幅に改修されたとか。洋館には似合うと思いますが、日本人の感性では、最終的には和風庭園がしっくりと落ち着くのかもしれません。
庭から見る洋館、塔屋と煙り出しの煙突がセピア色にかすんで、まるで古い絵画のよう・・
この時代、洋館と和館を併設する場合はそれぞれを別棟として建てるのが一般的とされていましたが、諸戸邸では洋館より広い和館が壁を接して直に接続されており、普段の生活は和館が中心。周囲を巡るように板廊下が配置され、板廊下と各部屋の間には畳廊下が設けられていました。Jさんのデジカメは不思議な鮮やかさ・・メーカーでこんなにも違うんだね。
真っ直ぐに続く廊下の長さに、単純に感動(笑)
窓越しに見えるお庭の景色の素晴らしさに、素直に感動(笑)
贅を尽くした室内のしつらえの美しさにウットリ(笑)。Jさん曰く・・「自分ちに帰るのが嫌になりそう(-"-)」「うん、わかる v( ^-^(ё_ёゝ」
「離れ屋」は二部屋からなり、西側に上段の間を設けて仏間とし、さらに内部には水屋を設け、茶匠『松尾宗吾』好みの意匠でまとめられています。昭和13年7月の上棟で、桑名市の有形文化財に指定されています。
また敷地内には岐阜県海津町から移築された「旧高須御殿」があり、内部の見学もできるとの事。伝承では高須藩の陣屋にあった御殿の一部とも云われ、旧高須藩陣屋の遺構の1つとして、三重県指定文化財に指定されています。生憎とこの日はウエディング撮影中、待つには時間が足りません。
和館北廊下と接続する土蔵漆喰の建物は「一番蔵」。接客用調度品などが収納されていました。また二番蔵には、膳碗・汁器類が収納されていたそうです。
一番蔵・二番蔵ともに、切妻、桟瓦葺。また画像にはありませんが現在ギャラリーとして使われている「番三蔵」いずれも、大正時代初頭に建てられたもので1996年に三重県指定文化財に指定されています。
最後の紹介は、大正時代初頭に建てられた旧諸戸邸の鎮守社「玉舟稲荷社」。玉垣の変わりに石を塗りこんだ土塀が巡らされています。
2間社、切妻造、平入、桟瓦葺、1間向拝付。「旧諸戸家稲荷社」は1996年に三重県指定文化財に指定されています。
留蓋の上から参拝者を見下ろす飾り瓦の獅子さん。表情と言い、ピンと横にはねた両足と言い、良い出会いをさせて頂けました。
さぁ、これで「六華苑」内は あらかた廻りつくしました・・・名残惜しくとも出口に向かわねば
ワイワイと感想を言い合いながら、長屋門が近づいた瞬間、思わず振り返ってしまい・・もう一度回れ右をしたいような、ここから先に進みたくないような・・何ともやるせない気持ちの自称乙女二人 ('◇')ゞ ('◇')ゞ。呆れつつシャッターを押すご亭主殿 (~_~;)
訪問日:2011年4月9日
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