「由比」と聞いて真っ先に思いかんだのは、浪曲や講談などで知られる『由井正雪』。 私の父はそうした演芸が好きで、いつも側に置いてあるラジオから流れてくる演目に嬉しそうに聞き入っていました。
長じて、『由井正雪』を悪として描く内容の映画やドラマばかりが目立つようになり、心のどこかの「なんか違う・・」という思いが手に取らせた『山本周五郎』の「正雪記」。むさぼるように読んだ記憶があります。
今回、思いがけなくも、その『由井正雪』の生家とされる染物屋「正雪紺屋」の前に立つことが出来て、何と言うか・・感無量。 江戸時代初期から四百年も続いているという紺屋(染物屋)ですが、その佇まいは至って普通。あまりにも普通過ぎて何度も行き過ぎそうになる程・・ごく普通に見かける佇まいなのです。
思い切って店内に入らせて頂いてまず目につくのは、土間に並ぶ「藍甕(あいがめ)」。長い年月に染み込んだ藍の残り香が見えるような、なんだかそこだけ時間が止まったような不思議な空間。結局、正雪は家業を継がず、江戸に出て軍学者として名声をあげ、浪人救済のために徳川幕府の転覆を企てるも果たせず自刃して果てるのです。一介の商人として生きるにはあまりにも聡明過ぎたのかもしれません。
ここは東海道53宿・16番目の宿場町「由比宿」・・だった地。街道沿いの町の中心部が宿場町といわれており、およそ700人の人が住んでいたといいます。参勤交代の大名の宿として設けられた本陣跡は、今は「由比本陣公園」として整備され、自由に立ち入る事が出来ます。
本陣跡地に建設された「東海道由比宿交流館」は、江戸文化に触れる!を目的とし整備された施設。無料で開放されており、由比の歴史や観光情報に触れる事ができます。
時代劇に良く出てくる日本橋を眺めながらの記念撮影は、旅の素敵な思い出(*^^*) ちなみに羽織っている半被に染め抜かれているのは、桜海老と富士山、例の由比町シンボルマーク。
公園内には「本陣井戸」なども残されており、地味ですがそれなりに見所はあります(笑)
また北西の角にある離れ座敷は、「由比本陣記念館・御幸(みゆき)亭」として復元されたもの。「茶室・結仁斎」がしつらえられており、明治天皇が3度にわたりご休息されました。
「明治の郵便局舎(平野氏宅)」折角の美しい建物なのに、黒板塀の向こうで何にも見えないなんて、誰や?この写真写したの!って・・私ですやん (>_< ) 駆け足での立ち寄りでしたが、今度はもう少し余裕を持ってじっくりと歩くのも有りだね。 由比宿で脇本陣を勤めた「饂飩屋」とか、全然気づかなかった「清水銀行由比支店本町特別出張所」とか・・・
昭和初期に建てられた建物を改装したという「和紙と錦織の館」には、興味深いお土産が一杯。
お土産と言えば、由比は桜海老がとにかく有名。「ゆい桜えび館」にももう少し時間をとって寄ってみたかったなと・・ 楽しい旅が終わった後について回る「し残した、あれもこれも」今回も、忘れずもれなくついて来ました(笑)
だからもう一度来ようと思える、それは計算外の面白さに出会えたという何よりの証拠。そういえば、おもしろ宿場館の入り口にいた「弥次喜多コンビ」。一体誰を呼んでいるんだろう?
訪問日:2011年11月12日
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