喜多方市字三丁目、四つ角の一角を占めるのは、江戸時代から続く醤油・味噌醸造元「若喜商店」。初代、若松屋喜祖衛門が宝暦五年(1755)から商売を始め、代々「喜一郎」を襲名して味噌醤油を製造しています。
昭和6年(1931)築、設計は地元出身の『本間嘉平』氏。木造2階建で、屋根はコンクリートスラブ陸屋根。外壁をタイル張りとしたモダニズムの意匠でまとめており、八角の小窓や張出し窓を設ける事で建物に変化を付けています。
店舗の背後に続き、脇道に面して建つ煉瓦造3階建の「道具蔵」は、明治37年(1904)築の煉瓦蔵。喜多方で操業した煉瓦工場で製造された煉瓦を用い、民間で初めて建設されたもので、当地に煉瓦建築を普及させた田中又一の施工と言われます。
煉瓦蔵の東に接続して建つ座敷蔵。木骨煉瓦造、2階建で、東面には2階をバルコニー風に造った玄関ポーチが付属されています。座敷蔵の一階は縞柿(しまがき)という大変珍しい材木で造られており、二階は欅を中心としたで造作。2001年10月12日、店舗、道具蔵と共に登録有形文化財に指定されています。
入口から垣間見せて頂ける座敷の様子
主屋南東に建つ南北棟の木造二階建、切妻造桟瓦葺の建物は「若喜商店醸造場」。東側に立つ煉瓦造煙突が特色ある景観を形成しています。
醸造場南に接する東西棟の土蔵造二階建、切妻造桟瓦葺の「作業蔵」。漆喰仕上鉢巻付で軒まで塗込み、腰を板張としています。醸造場と共に明治31年(1898)~明治45年(1912)の建築とされ、2021年10月14日に登録有形文化財に指定されています。
若喜商店に隣接した、和雑貨と駄菓子の「若喜・昭和館」。店内全部が過去にタイムスリップしたような、とにかく何もかもが懐かしい!!他に言葉を探せません😀
訪問日:2015年6月20日
私が一番心を惹かれたのは、一枚目の写真です。
風雪に耐えた白いタイルの色が汚れ、錆色のシミがつき、そのうち消えてなくなりそうな家屋全体の佇まいです。
「滅びゆくものの、美しさ」
なぜか私はどこを旅しても、こういう建物に心を奪われます。
よくがんばったね、ご苦労様と、言いたくなります。
しかし他の写真を見ますと、古い建物が確かな存在として、心に安らぎを与えてくれます。
この矛盾した、充実した満足感を、なんと伝えれば良いのでしょう。
良い旅を楽しませていただいておりますと、貴方とTONONEKO殿への感謝しかありません。
やがて生まれ変わって、また歴史を刻んでいきます
喜多方の街には
そうした歴史が今も歩みをとめずに息づいています
ふと見上げる家屋のたたずまいの奥ゆかしさ
長い風雪に磨かれた壁の摩耗さえ
そのすべてが懐かしく、そこに在るように思えます