野坂昭如氏の訃報に、えっまだ生きてたの? というのが正直な感想だ。いかんせん、一線から退いて長すぎた。毎年、終戦の日になると、地上波で火垂るの墓が流れていたが、メディアは野坂氏の近況には一切ふれてこなかったことから、とっくの昔に盟友大島渚と天国で殴り合っているとばかり思っていた。
マリリンモンローノーリターン♪という歌っていた頃が懐かしい。あれから、いったい何十年経ったのだろうか。メディアに登場する野坂氏は、風貌、行動、言動からアンチヒーローの代表選手だったが、その派手なパフォーマンスの根幹には反戦作家としての気骨があふれていた。当時の若造にとって文句なしにかっこいい憧れの存在だった。
菅原文太氏に続いて、堂々と反戦を主張する戦後闇市派の文化人がまたひとりこの世を去った。
合掌