一転、軽減税率導入が濃厚になったが、安倍政権の選挙を見据えた露骨な変わり身にはうすら寒ささえ感じる。来夏の参院選で勝ち、何としても自らの手で憲法改正に着手したいのだろう。税収のあてが外れた分はたばこの値上げと高齢者の医療費負担と介護保険料の値上げでごまかせばいい、とにかく選挙に負けるわけにはいかないというのが、安倍の本音だろう。
そもそも、消費税アップは社会保障制度を維持するための財源確保だったはずだ。しかし、肝心の社会保障制度は衰弱する一方、さらに年金が下がり続け、物価が上がり、どんどん国民の負担が増すばかりである。一体何のための値上げなのか、不信感は募るばかりだ。
この上、憲法改正で戦争をする国に逆戻りでは、命は軽くなるばかりではないか。
問題はそんな安倍の暴走に歯止めがかけられない、野党の無能さだ。結局、今の政治家にとって目指す方向や社会に大差がないということだろう。民主も維新も結局は自民公明と向かう先は同じなのだ。最近は、共産すら目の前の主導権争いに躍起になっている感すらある。考えてみれば、この国の政治は平和の上に胡坐をかいて、あらかじめ敷かれた航路の舵取りの座を繰り返し争っているだけではないか。そんな争いに夢が持てる新しい時代への希望など存在しない。