久しぶりの読書感想文かな。正月読んだのは、奥田英朗の「リバー」で、648ページの大作だ。奥田はMONOマガジンにエッセイを書いていた頃からのファンで、ずいぶんと長い付き合いだ。もちろん、単に作家と読者の関係に過ぎないが。
好きな理由は、たぶん文章力だと思う。リズム感抜群で読みやすい、肩がこらない素直な表現力でありながら、プロットがしっかり組み立てられ、読み手をぐいぐい引き込んでいく。まあ、そんなことはどうでもよいのだが、作品の幅がどんどん広がっていくのはうれしいい。この作品も、連続殺人を扱ったミステリー仕立てで、デビュー当時からみれば考えられない硬派な作品となった。「東京オリンピックの身代金」あたりから、事件モノを扱いだし、どうやら本当に書きたかったのがそこだったのではないか。
単行本2冊分の辞書並みの分厚い本だったが、全く苦にならずにすいすい読んだ。北関東で起きた連続殺人をめぐり、全く接点のない3人の容疑者と警察、被害者家族、新聞記者、それぞれ立場から事件との関りが展開されるが、接点のなかった点と点が徐々につながっていくあたりは、さすがといえる。ただ、残念だったのは事件の全貌が明らかになる後半、さすがに息切れしたのかまとめが雑で肩透かしを食わされた感がある。特に元刑事が執念で追い続けた容疑者が一件目の殺害の真犯人だった下りは、読者としてはもっと関係者の葛藤が見たかった。それでも、正月を過ごすには満足できる一作ではあった。今後の活躍が待たれる。
クリスマスを台無しにした高島屋の宅配ケーキ崩壊事件だが、早々と高島屋が原因究明を断念した。
いったい何が起こったのか。何故、高島屋は原因究明は不可能と判断したのか。取材をしたわけではないので、断定はできないが、高島屋と配送を受け持たヤマト運輸が何らかの形で手打ちをしたのではと疑いたくなる。
それというのも、私がアルバイトしている食品会社でも同様の事件が何度も起こったからだ。
私が勤務する食品会社は、介護施設などへパック詰めした食材を宅配しているが、自社による配送に加え、複数の運送会社に宅配を依頼しているが、ヤマト運輸にも依頼している。茶碗蒸しや卵など壊れやすい食材を配送する際、ヤマト分だけは厳重に荷造りしていた。それは、ヤマトに依頼した施設から食品が崩れていた、パックの口が開いて汁が漏れていたというクレームが相次いだからで、やむなくヤマト便に限り、緩衝材で厳重にくるむことが工場内で義務付けられているのだ。ちなみにほかの運送会社に依頼した顧客からは、厳重に梱包していないにもかかわらず同様のクレームはめったに来ない。
原因は、荷物の取り扱いが乱暴、雑との一言に尽きる。ヤマトの段ボールにはコワレモノ注意などと仰々しいシールを張ったり、天地無用のシールを張るなどして気を遣うわけだが、何故かクレームが後を絶たないのだ。取引を辞めようという話も出たが、料金面、遠隔地への配送など、頼らざるを得ない側面もあり、未だに取引が続いている。
実は昔、記者時代、ヤマトの配送基地を見たことがあったが、荷物の扱いはひどいものだった。取扱量が多いからなのだろうが、コワレモノだろうが何だろうがおかまいなくばんばん放り投げているのだ。あんな扱いをされたら、ケーキなどはひとたまりもないだろう。そんな状況が今も続いているとしたら、何をかいわんやである。
高島屋とヤマトとの間でどんな話し合いがなされたのか知る由もないが、あのケーキの壊れ方は取り扱い方に問題があるのは明らかと言わざるを得ない。