21世紀中年

昭和オヤジのときめき、ひらめき、感激、嘆きを思いのままに書き連ねます

「百年の子」を一気読み

2024-09-08 11:18:19 | 雑記帳
 久しぶりに本を一気読みさせられた。古内一絵の「百年の子」だ。
 待望の出版社に就職した主人公の女性は、女性誌の編集部に配属され、編集者として充実した日々を送っていたが、ある日、出版社の礎である学年誌の創刊百年記念事業チームに出向させられる。最初は望まない部署への出向に悩むが、やがて大戦を経た学年誌の数奇な運命に心を奪われ、戦時下の臨時職員名簿の中に育ての親ともいえる祖母の名前を見つけたところから、学年誌の歴史にのめりこんでいく。
 物語の最後は百年記念展を成功させ、学年誌への異動を決意するいうストーリーだが、出版社と出会った祖母の少女時代の物語、戦後の漫画や児童文学など学年誌出版をめぐるカルチャーの狭間で格闘する文芸志望だった若き編集者の物語、そして主人公の現在との三部構成が、最後に一本のドラマにつながる展開は見事としか言いようがない。
 古内一絵を知ったのは、地方競馬の女性騎手と一頭の競走馬の出会いと活躍を描いた「風の向こうに駆け抜けろ 蒼のファンファーレ」だが、図書館で何気なく手に取った「百年の子」も表紙だけ見てロクに中身も見ずに競馬ものかもと勝手に思い込んで、いざ読んだら、競馬どころか馬など一頭も出てこない、編集ガールの物語だった。それでも、読み始めるともうとまらないとまらい。結局1日で読んでしまった。
 違う作品も読んでみたくなった、インパクトある一冊だった。


 

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映像浮かんだ「墨のゆらめき」

2024-08-27 08:45:34 | 雑記帳
 久しぶりに三浦しおんを読んだ。「墨のゆらめき」である。
 のっけから、映像がうかんできた。そう「まほろ駅前多田便利軒」の映画だ。老舗ホテルのホテルマンとホテルの筆耕士である書道家との物語なのだが、ホテルマンが永山瑛大、書道家が松田龍平というわけだ。
 著者はそんなこと考えてもいなかったはずで、読む側が勝手に映像化しただけなのだが、読みながら同時に映像が頭の隅で展開するのは思いのほか楽しいわけで、私はごくまれにそんな読書をすることがある。
 主に浅田次郎や横関大の小説が多かったが、三浦しおんは初めてだった。
 いずれも過去に作品がドラマ化や映画化されているからなのかもしれない。相変わらず、著者の男目線は見事過ぎて、どこから生まれるのか不思議でならない。まあ、書き手が男だろうが女だろうが、作品とは関係ないわけで、それをとやかく言うのは野暮というものだ。

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危ないCM、コンプラは?

2024-07-30 09:34:25 | 雑記帳
 このCMだいじょうぶなの?それは、何のCMかは定かでないのだが、よちよち歩きの坊主が、山の尾根を駆ける場面だ。おいおい危ねえだろうが、息子を背後から眺めている若い両親が笑っている。一歩間違えば、確実に尾根からずり落ちて大けが、下手すりゃ死ぬぞ!
 コンプライアンスはどうなっているのだ!
 どう考えても常軌を逸した危ないシーンだ。こんなCM良く流すな、腹が立つことこの上ない。そんなこと思うの俺だけなのか?

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正月に奥田英朗「リバー」を読んで

2024-01-07 07:31:51 | 雑記帳

 久しぶりの読書感想文かな。正月読んだのは、奥田英朗の「リバー」で、648ページの大作だ。奥田はMONOマガジンにエッセイを書いていた頃からのファンで、ずいぶんと長い付き合いだ。もちろん、単に作家と読者の関係に過ぎないが。

 好きな理由は、たぶん文章力だと思う。リズム感抜群で読みやすい、肩がこらない素直な表現力でありながら、プロットがしっかり組み立てられ、読み手をぐいぐい引き込んでいく。まあ、そんなことはどうでもよいのだが、作品の幅がどんどん広がっていくのはうれしいい。この作品も、連続殺人を扱ったミステリー仕立てで、デビュー当時からみれば考えられない硬派な作品となった。「東京オリンピックの身代金」あたりから、事件モノを扱いだし、どうやら本当に書きたかったのがそこだったのではないか。

 単行本2冊分の辞書並みの分厚い本だったが、全く苦にならずにすいすい読んだ。北関東で起きた連続殺人をめぐり、全く接点のない3人の容疑者と警察、被害者家族、新聞記者、それぞれ立場から事件との関りが展開されるが、接点のなかった点と点が徐々につながっていくあたりは、さすがといえる。ただ、残念だったのは事件の全貌が明らかになる後半、さすがに息切れしたのかまとめが雑で肩透かしを食わされた感がある。特に元刑事が執念で追い続けた容疑者が一件目の殺害の真犯人だった下りは、読者としてはもっと関係者の葛藤が見たかった。それでも、正月を過ごすには満足できる一作ではあった。今後の活躍が待たれる。

 

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高島屋はなぜ原因究明を断念したのか

2023-12-27 19:22:27 | 雑記帳

 クリスマスを台無しにした高島屋の宅配ケーキ崩壊事件だが、早々と高島屋が原因究明を断念した。

 いったい何が起こったのか。何故、高島屋は原因究明は不可能と判断したのか。取材をしたわけではないので、断定はできないが、高島屋と配送を受け持たヤマト運輸が何らかの形で手打ちをしたのではと疑いたくなる。

 それというのも、私がアルバイトしている食品会社でも同様の事件が何度も起こったからだ。

 私が勤務する食品会社は、介護施設などへパック詰めした食材を宅配しているが、自社による配送に加え、複数の運送会社に宅配を依頼しているが、ヤマト運輸にも依頼している。茶碗蒸しや卵など壊れやすい食材を配送する際、ヤマト分だけは厳重に荷造りしていた。それは、ヤマトに依頼した施設から食品が崩れていた、パックの口が開いて汁が漏れていたというクレームが相次いだからで、やむなくヤマト便に限り、緩衝材で厳重にくるむことが工場内で義務付けられているのだ。ちなみにほかの運送会社に依頼した顧客からは、厳重に梱包していないにもかかわらず同様のクレームはめったに来ない。

 原因は、荷物の取り扱いが乱暴、雑との一言に尽きる。ヤマトの段ボールにはコワレモノ注意などと仰々しいシールを張ったり、天地無用のシールを張るなどして気を遣うわけだが、何故かクレームが後を絶たないのだ。取引を辞めようという話も出たが、料金面、遠隔地への配送など、頼らざるを得ない側面もあり、未だに取引が続いている。

 実は昔、記者時代、ヤマトの配送基地を見たことがあったが、荷物の扱いはひどいものだった。取扱量が多いからなのだろうが、コワレモノだろうが何だろうがおかまいなくばんばん放り投げているのだ。あんな扱いをされたら、ケーキなどはひとたまりもないだろう。そんな状況が今も続いているとしたら、何をかいわんやである。

 高島屋とヤマトとの間でどんな話し合いがなされたのか知る由もないが、あのケーキの壊れ方は取り扱い方に問題があるのは明らかと言わざるを得ない。

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