tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費税論争の中で

2010年07月08日 14時56分14秒 | 経済
消費税論争の中で
 参議院選挙が間近に迫っています。焦点は消費税の税率アップという事になっているようですが、二大政党は、結局は同じ10パーセントへのアップをいっているようで、他の政党も、いずれも「いつかはあげなければならない」という点では似たようなもののようです。

 引き上げは必要ないといっているところもありますが、政権与党になっても同じことが言えるのか疑問ですし、第一、現実的に、どのようにして消費税増税なしで日本経済、日本財政を健全・正常にするのか、「具体策」のない論議のようです。

 国民自体も、大方は「いつかは」消費税増税やむなし、と考えているようですから、消費税が本格的な論争点には、多分本当は、なっていないのでしょう。

 消費税増税で一番変わるのは、政府が予算を立てやすくなるという事でしょう。結果的には、国債で借りる分を、消費税で取り立てて、借金を税金収入に置き換えるだけのことです。当世流行の言葉でいえば、「借金・税金スワップ」でしょうか。

 それが今日の日本の経済社会の活性化につながるのかというと、活性化の条件 は、国内需要が増えることですから、例えていえば、消費税を上げても消費需要は減らず、税収の増えた分は政府がどんどん使って、内需拡大が促進されるといいう場合だけです。
 消費税増税の分、家計が消費を切り詰めたり、政府が税収増で国債発行を減らしたりしては効果は激減、あるいはマイナスでしょう。

 副次効果として、日本の財政が健全化したということで、円の信頼が増し、円高が進むかもしれません。これは日本には最悪のシナリオ です。

 選挙の街頭演説が忙しい中で、じりじりと円高が進んでいます。「90円台の半ばぐらいが居心地がいい」との菅発言は、すでに国際投機資本には忘れられ(本人はどうでしょうか)、今日はアメリカの株高で88円台に戻しましたが、状況によっては$1=¥85の声も聞かれそうです。10パーセントの円高は、国際的に見れば、日本のあらゆる国内コストの一律10パーセント上昇を意味します。

 為替動向に留意しない国が、経済運営に成功することは至難な世の中になってきています。「日本の製品は品質もサービスも素晴らしい、しかしちょっと価格が高すぎて・・・」という状態が改善されない限り、日本経済の復活は難しいでしょう。
 ところで、ユーロ安の恩恵でしょうか、最近ドイツ車は元気ですね。