tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

やっぱり気になるお米の値上げ

2024年11月30日 13時30分05秒 | 経済

11月22日に総務省時計局から10月分の消費者物価指数が発表になり同日、このブログでは「消費者物価に注意信号点灯か?」と書きました。

このブログで最も注目している消費者物価指数の中の指標は「生鮮食品とエネルギーを除く総合」です。この指標はお天気次第で動く生鮮食料品の価格と、海外の物価や円レートの変動で動くエネルギー価格を除いていますから、ほぼ、日本国内の通常の経済活動で起きる物価の動きを反映していると考えられ、消費者物価の芯の芯という意味で「コアコア指数」などと呼ばれます。

政府や日銀がインフレ目標として掲げる2%というのも、基本的にはこの指数の動きに相当すると考えていいのはないかと思っています。

この指数は2022年の春から2023年の秋まで異常な上昇を続け、日銀はこのインフレ状況が収束しなければ、政策金利の引き上げ、金融政策の正常化もできないと考えていたようでした。

この異常なインフレは、その前の1年余、コロナ禍もあり消費不振で値上げは愚か値下げが必要といった時期のマイナスを何とか取り戻そうと関連業界が一斉、波状的に値上げに走った時期でした。

2023年の秋に至り、消費者の反発も高まり、マスコミの批判も強くなって、値上げの足並みも揃わなくなり、コアコア指数は急速に上昇率を弱め、今年7月には対前年比1.9%と、政府・日銀のインフレ目標を下回りました。

日銀も、これで国内要因による消費者物価之上昇はほぼ正常化したと踏んだのでしょうか、日銀も金利引き上げ転じたところです。

ところが、8,9,10月と、コアコア指数が上昇に転じたのです。

最近マスコミの報道でも、卵が上がっています、トマトが上がっていますといっています。卵は鳥インフルの影響のようです。トマトはこの所出来が悪いようです。

しかし、総務省統計局の消費者物価指数統計に出ている「うるち米60.3%値上がり」については、マスコミは関心がないようです。

米は日本人の主食です。夏頃、コメが足りないという噂(FAKE News?)がありましたが、政府は新米の作柄は平年並みで「そんな心配はありません」と言っていました。

ならばなぜ60.3%も値上がりするのでしょうか。解説は政府からも、マスコミからも聞こえてきません。

アメリカで主食の肉が60%も値上がりしたら暴動が起きるでしょう。トランプさんは「失政だ」と吠えるでしょう。

何処がどうなっているのか知りませんが、減反政策でコメ作りは制限されているようです。一方、世界中で米食が人気になり、特に日本のコメはおいしいと評価が高く、そのせいで輸出も伸びているようです。

インバウンドが増えて、国内でもコメの需要が増えているといニュースもあり、「インバウンドでそんなに増える?」などと言っていました。

今の臨時国会でも、コメの値上がりを論じる気配もないようです」補正予算案の非課税世帯への一時金で済んでいるとでもいうのでしょうか。


来春闘への動きを追いかけてみましょう

2024年11月29日 15時06分50秒 | 労働問題

バイデン大統領は、任期内で可能なことは、きっちりしておこうと努力されているようですが、国際情勢は、トランプ氏の登場を前に、何となくざわつく様相です。国内は政治改革と経済政策が、少数与党という条件の中でどんな議論になるのでしょうか。

そんな中で、日本経済の今後に最も影響があると思われる来春闘についての動きが報道されています。

去る26日、石破総理は、来春闘に向けての政労使会議を開いて、労使の意向を聞きつつ、最低賃金1500円に向けての要請もしたようです。

27日には金属労協が来春闘の賃上げ目標として、今春闘の1万円を上回る1万2千円の要求基準を発表しています。

政府のバラマキや補助金が役に立たないと、このブログでは指摘していますが、政府が自分の役割の限界を理解した上で、来春闘の賃上げに関心を持つのは結構ですが、気になるのは、政府が自分の意見を伝えるためにやっているように思われる点です。

もともと賃上げは労使が自主的に決めるもので、政府は関係ないのです。その代わり、政府は財政・金融政策という手段を持っていて、必要があればそれを使うのです。

今度のアメリカ、ヨーロッパのインフレも、石油や木材などの資源価格の上昇に刺激されて賃金が急上昇し、賃金インフレを加えて消費者物価上昇が8-10%に達し、それを政策金利を引き上げて収めようとしたが、金利引き上げは景気抑制と通貨高を伴うので、FRBもECBも対応策に苦慮した(している)というのが実態です。

日本の春闘ではそうした賃金上昇はありませんから物価は上がらず円安が進み、主要輸出企業が大儲けという事で今春闘の満額回答続出という異常状態でした。

欧米と事情が違い過ぎる日本の労使の行動に、日銀は金利引き上げの時期を待ちながら10年以上も苦慮し続けるというのも、日本特有の問題です。

賃上げが高すぎる欧米、低すぎる日本という、労使関係の文化の違いが齎す問題にそれぞれが苦労しているという構図でしょう。

所で、来春闘に向けては,連合が、中小企業に特に配慮して、中小の賃上げ目標は1ポイントプラスの6%と設定しました。政府は公労使が決める(政府は入っていない)はずの最低賃金の目標に、早期に2029年までに1500円にするという目標を提示して上記懇談会に「そのための環境整備」をすると労使に伝えたようです。

政労使が一堂に会したことは大変結構ですが、写真を見ますと政府が労使代表を前において、懇請しているのか、指示しているのかは解りませんが、政労使3者が対等の立場で、意見を交換するというものではないようです。

その翌日の27日、日本で最も開明的な労働組合組織として知られる金属労協が来春闘の要求基準1万2千円を発表しました。単産の要求は、今春闘を超えそうです。

こうした種々の動きから感じられるのは、要求基準は上がりそう。中小は連合が応援する、政府は法律で強制する最低賃金の大幅引き上げを望む、などなどで、平均賃金水準の一層の引き上げと、賃金格差の是正を労使が望み、政府はその環境整備をするという動きです。これが進めば大変結構なことですから、大いに応援したいと思いますが、最も難しいのは格差是正ではないかという気がします。


イスラエル・ヒズボラの停戦合意を大切に!

2024年11月28日 16時39分12秒 | 国際関係

2024年11月27日朝4時(現地時間)、9月から続いていが続いていたイスラエルとヒズボラの間の戦闘の停戦が合意されました。

60日以内にイスラエルはレバノン領内から撤退、ヒズボラは戦闘地域から戦闘員と武器を引き揚げ、戦闘地域はレバノンの管理に移すことになったのです。

アメリカのバイデン大統領の努力をはじめ、フランスの協力、イスラエルと対立するレバノン、そしてイランも、合意の意思を表示、バイデン大統領は「これは恒久的な停戦を目指すもの」と付け加えたとのことです。

「戦争は人の心の中で始まる」とは、ユネスコ憲章の前文にある言葉ですが、「人の心の中で」の「人」というのは〈一国の〉リーダーを指すのでしょう。

そして同時に、戦争をやめさせ、やめるのも「リーダーの心」にあるようです。

イスラエルの後ろ盾と言われる、アメリカのバイデン大統領は、その強い意志と影響力を行使し、イスラエルのネタニヤフ首相の「襲撃を受けたからには、相手を殲滅するまで戦いはやめない」という異常な敵愾心の抑制に成功、停戦を成功させたのです。

戦争が終われば、そこで文明の破壊と人間の殺戮は止まるのです。そしてこの戦争で失われた多くの命の追悼、生活の場所を追われた一般の人々の正常な生活に戻るのです。

しかし、いまだに、イスラエルはパレスチナ、ハマスとの闘争を続け、ロシアはウクライナへの侵攻をやめる気配はありません。人類に残された問題まだまだあるのです。

人類社会は、数限りない戦争を体験し、多くの人々が惨禍にさらされ、破壊と殺戮の中で苦しんできました。その経験は、人類に、平穏な生活の大切さと、人類の文化文明の発展の大切さを多くの人類に理解させてきているはずです。

今回のバイデン大統領の決断と努力、その決断を支えた人々、そしてそれを良しとして受け入れた人々は基本的に、人類の一員として正しい判断をしたのです。

何故なら、人間は元々その本能として生存欲求を持ち、その上に立って社会を作り、その社会の進歩、向上、発展を求めるという性格を持っているからです。しかるに、戦争は結局、破壊と殺戮という人間本来の性格とは正反対の現実しか齎さないからです。

これまで、地球上で、戦争が繰り返され、それが破壊と殺戮という人類社会の退行を生んできたのは、人類社会の一部のリーダーの心に、邪な欲望が生れ、その実現のための手段として、人の手による破壊と殺戮を利用するという恐ろしき妄念・邪念が生まれたことによるのでしょう。

もともと人間の心には、倫理的でない要素もあるのでしょう。そうした人間の心に内在する部分の発露が、歴史的には、征服や殺戮という「争いの文化」として広がることになりました。しかし、人間は同時にあくなき向上心も持ち、それが、より高等な「競いの文化」を築き上げ、人類世界の進歩の原動力になったという事でしょう。

「競いの文化(オリンピック)」は古代ギリシャの時代から「争いの文化(戦争)」に優先すると考えられていました。

今、人類は早期に「争いの文化」を人類社会から消去し、「競いの文化」こそ人類に相応しい文化とする地球社会を作るべく最大限の努力をする必要があるように思うところです。


関税積上げより大事な仕事があるのでは?

2024年11月27日 17時18分51秒 | 国際関係

トランプさんは大統領就任前から「私はこうします」と政策方針を一杯だし、もう大統領をやっているようです。

特に、MAGA(アメリカを再び偉大に)のスローガンは、アメリカ経済を再び世界一立派にという経済政策が中心のようです。

その中でも真っ先に手を打つのでしょう関税の話が次々出てきます。

やっぱり一番気にしているのは貿易赤字で、アメリカは世界中から物を買って各国の役に立ってやっているのに、彼らはアメリカから物を買わない。おかげでアメリカの貿易はいつも赤字だ。といった気持ちは強いようです。

以前から、アメリカは日本の車を沢山買っているが日本はアメ車を買わないといいます。日本人が乗りたくなるような車がないからといっても解ってくれないようです。

今は、問題の相手国は中国で、現政権も安価な中国製電気自動車(EV)には100%の関税、その他EV関係の部品・原材料、半導体関連にも高率の関税を決めていますが、トランプさんは、さらに一律10%の関税を上乗せするといっています。

今回は、メキシコ、カナダからの輸入品に(薬物の輸入が止まるまで)25%の関税をかけると言い出しています。

メキシコには、トヨタ、日産、ホンダなど日本の自動車産業も工場を持ち、対米輸出の拠点にもなっています。

勿論日本の自動車産業はアメリカにも工場を持っていますが車種によってはより人件費の安い所で生産という選択もあります。

トランプさんは、もともと企業経営者ですから、赤字が気になるようで、まずアメリカの貿易赤字を消すために、アメリカ産石油を掘りまくれなど発言したりしますが、これは気候変動政策への逆行という事で心配されるところです。

ところで「アメリカを再び偉大な国に」というのは、先ず、赤字国を黒字国に転換するという事でいいのでしょうか。

確かに、1960年代にはアメリカは黒字国で「バターも大砲も」と言われ世界に君臨出来たのですが70年代に入ったころには経常赤字が慢性化して(ベトナム戦争のため)ドルの金兌換をやめ、変動相場制を世界に採用させることになったのです。

その後、レーガン大統領は、対日赤字を消そうと日本に円高を要求しました。日本経済は衰退しましたが、アメリカは黒字にはなりませんでした。前回のトランプ政権は、中国に人民元高を迫りましたが、中国は「ノー」で、関税戦争になりました。

しかし、イーロンマスク氏のテスラは売れてマスクさんはアメリカ一の億万長者になっています。世界一の新興企業もGAFAのように沢山あります。

それでも、今の状態は昔と違って、アメリカの技術水準や生産力が世界でも圧倒的という時代ではなくなっているのです。テスラも上海に工場を作っていますが、結構苦戦しているようです。この問題は、関税を動かすだけで相殺・解消できるほど単純ではないでしょう。

今、アメリカの分断が言われますが、アメリカの素晴らしい先進国部分と、今や途上国にも似て来た部分の『合衆国』が嘗ての「偉大さ」を取り戻すことは容易ではないでしょう。

若し、今のアメリかが「アメリカの栄光」を取り戻せるとすれば、それは、今の世界が最も望んでいる事、「世界の平和に役立つ」という全く「新しい形」で、アメリカの優れた「外交力」を駆使し、世界の共感と共に、その実現に邁進することではないでしょうか。


「長期的視点→近視眼→瞬間的」:忙しいから? 

2024年11月26日 16時35分13秒 | 文化社会

このブログでは、日本的経営の基本である2本の柱は「長期的視点に立つ経営」と「人間中心の経営」だといつも書いています。

これは、かつての日経連が建てた定説ですが、経営だけではなくて、世の中万事「長い眼で見て」物事を考えた方が間違いないという事の様な気がしています。

ゴルフどもそうで、若くて素晴らしいスコアを出すような人は、「3歳から始めました」などと言っています。サラリーマンになってから始めましたなどという人は大体100を切れば万歳、時に80台が出ればお祝いというところまででしょう。

余計なことを書きましたが、今の社会は、毎日新しい知識が入って来て、例えば、MMTという貨幣理論が入って来て、いくら赤字財政をやっても、貨幣発行権を持っている国は大丈夫ですから、景気を良くしようと思ったら、政府は、赤字でも思い切ってどんどんカネをばらまけば景気は良くなりますなどといいます。

それが正しければ大変便利でいい方法ですから、今の日本でもそれを信用している政治家も結構いるようです。

経済というのは、いろいろな要素が絡まって動くものですから、2000年代に入ってからの世界中が長期不況という様な時にはそんな気がしたのかもしれません。

しかし長い目で見れば、そんな上手いことは無いと解ってくるわけでそれは長期的視点で、経済の動きの色々な経験をきちんと整理すれば理論的にも解る事なのです。

ところが、最近の世相を見ていますと、人の生活は,なぜかどんどん忙しくなって、コスパがタイパになり、ビデオを倍速で見たりといった時代です。

新聞や雑誌で活字を読んでいたのが、タブレット、スマホになり、世界中の情報が津波のごとくです。活字を読むのでは遅すぎる。SNSやX、ユーチューブで、視覚、聴覚、肌感覚、第六感、総動員で、要点だけ拾って、情報武装になるのでしょう。

タブレットやスマホでは、遠くの世界の物も眼の前ですから、若い人も近視が多くなって来るようで、眼球が近視になるだけでなく、頭の中も近視眼的になってくるように思われます。

しかも、1つの画面を見る時間は瞬間的なものですから、入ってくる情報は、前後の関係よりも、その瞬間々々の中の印象の強烈なものだけになりそうです。

これではどう見ても世の中を長期的視点で見るという余裕時間はなくなって、近視眼的、瞬間的な「印象」の世界に支配されるようなことになるのではと心配する所です。

最近オーストラリ例が報道されていますが、アメリカの諸州、ヨーロッパでも子供や若者とSNSの問題が起きているようです。

勿論若者でなくても影響を受ける人は大勢いるでしょう。最近の政治家や選挙関係のトラブルも、瞬間的映像や、説明不十分や部分切り取り的な情報によるものが多いようです。

何故かやたらと忙しい世の中ですが、やっぱり、瞬間機情報でも繋ぎ併せたり何とか深読みしたりして少しでも長期的視点にしていくようにするというのが最近の情報リテラシーの在り方という事になるのではないでしょうか。


さざんか(山茶花)、今年は元気に咲き始める

2024年11月25日 14時00分54秒 | 環境

素人には、庭木の剪定は難しいものです。狭い庭の南のフェンスの際にさざんかの木を2本植えてあります。

出来るだけ緑が茂るのはいいことだと思って、伸びるに任せて置いたのですが、本当によく伸びて毎年剪定をしないとフェンスの向こうまで伸びていくので、お隣の邪魔にならないように枝を切るのですが、どうにも格好がつかなくなって困っていました。

大きく伸ばしてしまうからいけないという事で、一昨年思い切ってフェンスよりほんの少し高いぐらいのところで、枝をみんな切ってしまい、これで剪定も楽になると思っていました。

所が剪定の仕方が悪かったでしょう、切り込み過ぎだったのでしょうか、昨年は折角の花の時期にほんの2~3輪咲いただけで、寂しい限りでした。

やっぱり、木は、虐めてはいけないのだと反省して、昨年は伸ばし放題にすることにしたのですが、それでは格好がつかない事になるだろうと考えて。右に伸びている枝だけ、見よう見まねで形を整えてみました。

結果はどうなったかと言いますと、上にどんどん伸びていまった枝はげんきがいいのですが、蕾が全然t来ません。

右に伸びた枝は、こじんまりとした形に一応整えたつもりでしたが、有難いことに、この枝には、キレイに花が咲き始め、蕾もたくさんついているのです。

こんなにうまくいくのだったら、ほかの枝もこんな風にすればいいという事なのでしょうが、まっすぐ上に伸びている枝を、どんなふうに整理すればいいか解りません。

それでも今年、一枝だけは、花がたくさん咲いてくれるようですから、今年は、この枝を大事にして、上に伸びている枝も何とか、うまい形になるように考えてみたいと思っています。

もう1本の、小さなピンクの花の山茶花も少し上まで伸び放題ですが枝の下の方には何輪か花が咲いています。

これも何とかしたいと思っているのですがどんなことになるのでしょうか。

家内には、「歳ですから、無理はしないほうがいいですよ」と言われています。


自・公・国、この期に及んでまだバラマキ

2024年11月23日 16時00分31秒 | 政治経済

自公が国民民主党を抱え込み103万円の壁はなんとか崩すという事で、合意を取り付け、13.9兆円という今年度予算の補正予算を組んで、日本経済に何とかテコ入れをしようという閣議決定を行いました。

これに財政投融資や特別会計を入れれば23兆円、それが呼び水で、それを契機に民間が使うお金を入れれば39兆円になるのだそうです。

日本の名目GDPは、政府経済見通しによれば、昨年度597兆円で、今年は3%成長という事になっています。一方実質成長率は1.3%でその差の1.7%分はインフレ率という事になります。

所が実質成長率は、毎四半期紹介していますが7-9月期は年率実質0.9%成長で低下傾向、今年度は1%行かない可能性もと政府は恐れているようです。

気持ちは解りますが、本当に日本経済のことを考えるならば、四半期統計を気にするのではなく3年5年先を見据えての政治・経済一体改革を考えるべきでしょう。 

所で補正予算の中身を見てみれば、当面のバラマキ中心の近視眼政策ばかりです。

並んでいるものを順にあげれば、低所得世帯向けの給付金3万円、やったりやめたりの電気・ガス代補助金を来年1-3月以降も継続、新しい地方経済生活環境創生交付金のを創設、(そのあとの能登半島の災害復旧・復興は当然のもの、「闇バイト」対策に至っては経済対策ではないですね)。

低所得世帯向けの給付金に子供1人2万円を上乗せするなどというのは、まさにバラマキで、政権の気休めでしょう。本来、疾うに、格差解消、消費支出促進といった長期的経済政策でやるべきことです。短期ツギハギの繰り返しの効果は実証されていません。

今やっている定額減税にしても、それで7-9月の消費が増えたなどという自画自賛もありますが、各家庭に聞けば増えたとすればそれは6-7月のボーナスが大幅に増えたからで、それでもうちは倹約して出来るだけ貯金に回しているのですよ」と答えるでしょう。その様子はこのところ平均消費性向が低下傾向にある事からも明らかです。

地方経済・生活環境創生交付金は中身は解りませんが、103万円の壁見直しで大変な地方財政のためのバラマキの様にしか見えません。

103万円の壁問題はどいなっているのかと見ますと「何とかしましょう」という合意で国民民主党を納得させているようですが、何処かに書いてあったように「では104

万円で」と言ったら3党合意は空中分解でしょう。

この問題こそ「政治と社会保障と税制」の一体改革の本命でしょう。

国民民主党の言う「手取りの増加」は、税・社会保障の一体改革,特に所得税累進度の見直しなしには恒久的なものにはならないでしょう。

もう一つガソリン税については、トリガー条項の様な対策は、害あって益なしです。石油の値上がりは、国として、省エネ・再エネの努力で克服すべき問題です。小さな親切は、長い眼で見れば大きな迷惑なのです。

野党の意見でも、バラマキに類するものは、かなりあります。選挙対策も必要でしょうが、毅然として理を説くのが野党でしょう。本当に日本経済を強くしたいのであれば、春闘の賃上げをもう少し高くして、その分をその年の生産性向上努力で乗り越えるという嘗ての日本経済の真面目で力強い姿を取り戻すために、政府、労使は何ができるかを、例えば、かつての「産労懇」の様な頻繁なコミュニケーションと、そこから生まれる相互信頼の中で、絶えず考えていくことでしょう。


消費者物価に注意信号点灯か

2024年11月22日 21時11分35秒 | 経済

今日、総務省統計局ら、10月の消費者物価指数が発表になりました。このところ比較的順調に安定傾向を示していた消費者物価指数ですが、10月に至って些か変調を見せたようで、十分注意することが必要でしょう。

秋に入って日本中の家計が、気にしているのがお米の大幅すぎる値上がりです。どこからか、コメが足りないという噂が出て、急にコメが値上がりしています。政府は全く気にしている様子はなく、備蓄米を出すといった話もなく、新米が出れば作柄は悪くないので下がるでしょうといた態度のようでした。

ところが新米の値段が大幅に上がったのです。今日発表の消費者物価指数の中の説明でも「うるち米(除くコシヒカリ)60.3%と書いてあります。

米は日本人の主食です、作柄は今年も平年並みだそうです、減反政策をしています、一方、輸出は伸びています。その米が急に60%も値上がりするというのはどういう事でしょうか。しかも農水省は全く気にしていないようです。

今、日本経済は消費者物価いかんよって金利政策を決まり、政策金利が決まり、日本経済の基本構造を正常以下するために大変重要な時期にあります。

の時期に、基本的に政府の政策で決めると言っています。米価が60%も上がっていいのでしょうか。

少し余計な事を書いたのかもしれませんが10月の物価は全面的に上がりました。これまでの何低下傾向から突如反発です。

消費者物価原指数(2020年=100)

          資料:総務省「消費者物価指数」

恐らく、主食のコメがそこまで上がって許されるのであれば・・、という感覚は、意識・無意識に消費者物価指数全体に影響するでしょう。「総合」も「生鮮を除く総合」も、「生鮮とエネを除く総合も一斉に上昇です。

対前年同月比で見たグラフは下ですが、このグラフから解ることは9月、10月にかけて生鮮食品やエネルギーの入っている指数は前年比で下がっているのに、どちらも入っていない国内の、季節変動も海外輸入価格の影響もない国内要因で上がる物価が、それまでの安定化傾向から、突如上昇に転じているのです。

      消費者物価指数対前年上昇率

           資料:上に同じ

米の値上りが、おにぎりやすしの値上げにつながる可能性は大きいでしょうが、問題はコメの大幅値上がりが、心理的にいかなる影響を持つかでしょう。まして、農水省がほとんど無関心という現実が日本の物価問題にいかなる影響を与えるかです。

統計は、自由経済下の物価の動きについては、それなりの分析が可能です。しかし政策的に政府が価格を動かすような状態の下では、経済分析の意味を持ちません。

という事は、統計を分析して経済政策に活用することも意味を持たない事になります。

2%インフレ目標などを政策の柱に掲げる日本政府というのは、どんな頭の構造をしているのでしょうか・・・。

などとブログに書くだけで、値上がりしたお米のご飯を食べていている日本人は、本当に政府に対して寛容で、扱いやすい国民ということなのでしょうね。

 

 

 


「レベニュー・ニュートラル」を思い出そう

2024年11月21日 15時34分09秒 | 政治経済

「レベニュー・ニュートラル」を思い出そう

前回は、アメリカの今後4年間のトランプ時代を考えると、今の日本にとって本気の「政治・経済の一体改革」が必要だという問題を提起したつもりですが「そんな事は疾うに解っているよ」と言われそうです。

「解っている」と言われる方が多いのは心強いものです。そこで皆様と一緒にその中身にもう少し入ってみようと思います。

自公の絶対多数がなくなって、与党の「決める政治」はなくなるのでしょう。野党の合意がないものは成立しません。当然与党も野党の共に責任を持つわけですから、国会決議の内容は良くなるでしょう。

政治はそれだけでも大きな進歩です。では、経済政策の中身はと言いますと、野党にもポピュリズムに陥っている部分もあるように思いますので、一番大事と思われる事だけでも書いておきたいと思います。

国会は、国家予算の規模とその配分の内容を決めることが出来ます。この権利を利用して、今まで絶対多数の与党は、国民が今日喜びそうなバラマキをやってきました。

コロナの時の1人10万円を筆頭に、種々の給付金補助金、今回も定額減税をやっていていますし、法人税では2012年から2018年に4回も減税をやっています。

それぞれに事情があってですが、減税は結局は国債が頼りで、国の国民への借金が増えるばかりです。まさに朝三暮四の好例の様なものでしょう。

毎年当初予算は「抑えて、抑えて」と言うのですが、新年度が始まるとすぐに補正予算をと言って、野党も賛成という事もあります。本当の問題は決算です。

そういえばこの頃「レベニュー・ニュートラル」ということばをあまり聞きません。MMT(モダン貨幣理論)などというのが一時はやって、いくら赤字財政をやっても大丈夫などという学者もいたのでその影響を受けたのでしょうか。

「レベニュー・ニュートラル」というのは税制を変えても歳入は増えないという意味で、減税の時はその財源は何らかの増税で差し引きチャラにするという考え方です。

日本でも最初に消費税を導入するときいは、この考え方を大事にし、年末調整の際に、消費税増税の分は所得税の減税で賄われている事を源泉徴収票に減税額を表示して国民の理解を得よという議論があり、実行されたと記憶します。

レべニュー・ニュートラルであれば国民の税負担総額は増えないわけで、これを経済成長分は増えてもいいとすれば、プライマリー・バランスと同じ思想になります。

政府の財政規模を無暗に増やさないという考え方は、自由経済の基本でしょう。

家計の消費支出を増やすのには、一時的な給付金や補助金などは、殆んど効果はなく、政府がやるなら恒久的な減税、最も望ましいのは賃金水準の上昇だという事は経験的に明白です。

こうした考え方を与野党は十分理解し、労使を経済活動の主役として活発な消費と投資を生み出すような環境条件を整えなければならないのです。アカデミアにはその理論的な背景についての国民の啓発を期待します。

与野党も労使も、それぞれ役割は違い、徹底した論争は必要ですが、最終目標は共通でなければならないでしょう。


日本に必要な「政治・経済の一体改革」

2024年11月20日 21時19分03秒 | 文化社会

年が変わればいよいよ第二次トランプ政権の本格始動となります。

MAGA(Make America Great Again = アメリカを再び偉大に)の掛け声で「トランプ劇場の開幕」という人もいます。

ロシアのウクライナ侵攻のストップ、アメリカは化石燃料を掘りまくれ、輸入超過には関税で対抗、国境には壁だ、などなど、何はともあれ、意表を突くようなスタンドプレーがお好きなトランプさんの登場で、世界中が何かそわそわしています。

日本に対してもいろいろあるでしょう。安倍さんはトランプさんとは良いお友達関係でしたが、石破さんとはどうだろうかと心配する声もあるようです。日本製鉄のUSスチール買収では、微妙に意見の変わるようなトランプさんですから、事前にあまり考えても、先のことは解らないかもしれません。それよりトランプさんの最大の関心事は何かを読み取る方が大事でしょう。

同時に、アメリカの世界に果たす役割の変化から、場合によってはアメリカ・パッシングが起きる可能性もなしとしません。まずは程々のお付き合いという事でしょうか。

アメリカが「アメリカ・ファースト」ならば、日本は「君子の交わりは水の如し」などはどうでしょうか。カジノをもっと増やせなどと言われたくなですね。

日本には日本に大事なことがあり、それも対米関係に左右されてしまうのも良くないので、対米関係にあまり深入りすることは、出来れば避けたい気がするところです。

今、日本に必要なことは、これまでの対米関係を重視しすぎることによる国内の政治、経済体制の歪みを直し、世界の中で日本の立ち位置を如何なるものにするかという、いわば日本自体の軸を確りと見定め、それを世界に、着実に解り易く説明し、理解を広めていくことでしょう。

そのために大事なことは、

第一に日本は戦争をしない国であると憲法で明らかにしている事、

第二は、日本は世界に貢献することを常に真剣に考えている事、

第三にそのために必要な、文化、経済力、技術力などの向上に真剣に努力している事、

といった点でしょう。

しかし、この所日本は対アメリカなどと経済外交に失敗し30年問も停滞状態で、これを脱却しなければ世界に貢献することもできないでしょう。

そうした意味では日本は今まさに対米、対中国を始めとした世界との付き合いを抜本的に見直し、アメリカ一辺倒から脱して、世界を平等にみる政治・経済体制を築かなければならない時期にあるのでしょう。

必要なのは、はっきり言えばアメリカ追随をやめ、世界の国々総てとの相互理解を目指して日本という国を鍛え直すことでしょう。

覇権国アメリカのGAFAには、その内容如何によっては批判的であること必要でしょう。

標記の「政治・経済の一体改革」は、日本が、その目的とする世界の平和と発展を望む人類文化のリーダーとして活動するための必要条件ではないでしょうか。


アメリカでのビジネスは難しい

2024年11月19日 21時54分45秒 | 経営

メジャーリーグのアストロズの本拠地の球場の命名権を日本の「ダイキン工業」が取得して、来シーズンから、アストロズの本拠球場は「ダイキンパーク」という名前になるというニュースが入ってきました。

日本人プレーヤーが大活躍しているメジャーリーグですが、球場にも日本企業の名が入れば、またメジャーリーグとの親近感が広がることになるでしょう。

ダイキン工業はその卓越したヒートポンプなどの技術を中心に、世界で活躍している日本の企業の好例です。

しかし、例えば日米の間でも、協力関係もありますが競争関係もあり、企業関係の分野では難しい問題も多々あります。

マスコミではどちらかというと上手くいかなかった例が大きく取り上げられるのかもしれませんが、最近のいくつかの例を見てみましょう。

東芝の場合は原発最先進企業だったウエスチングハウスを買収し、アメリカの原発技術と協力して、原子力発電の一層の発展に乗り出したのですが、環境問題への対策も含めて、アメリカの原発建設のコストが上昇、それに資金を注ぎ込んだ結果、結局はアメリか進出を諦め、自己資金も使い果たし上場廃止の道を選ぶ事になっています。

三菱航空機の例も、大変な努力を重ねながら成果が得られず撤退の憂き目でした。

MRJ(三菱リージョナルジェット)、後に名前を変えてMSJ(三菱スペースジェット)のスマートな機体の写真をご覧になった方も多いと思います。多くの施設をアメリカにつくり、人を雇い、アメリカの経済に貢献しています。

当時の通産省も、航空機産業を日本の将来の重要な柱にと、意気込んでいたようですが、世界で飛び回るために必要なアメリカの型式免許がどうしても取れず、結局三菱としてもこのプロジェクトを諦め、三菱航空機は清算という事になっています。

この顛末について聞かれる意見は、三菱の技術から言えば、性能のいい機体を作ることはそんなに難しい事ではない、失敗の原因は、アメリカの型式免許を取るという制度の壁を乗り越える政策的な面だったのではないかという意見が多いようです。

もう一つ例を挙げておきましょう。これは日本の「官民ファンド」の例です。民間はあまり金を出したくないようで、今は大部分が政府資金のようです。このファンドが、アメリカのテキサス州の新幹線計画に資金を提供しているのです。

しかし注ぎ込んでも、計画はなかなか動き出さないのです。そしてえ、最終的にはこの計画は取りやめになるような話になっているようです

始めが何で、終わりは何でそうなるのか、はっきりした情報はありません。  

これらの話はすべて、膨大な日本の資金がアメリカにつぎ込まれ、何の成果もなく終わるという事なのでしょう。

アメリカは万年経常赤字の国で、外国の金が流入することは結構な事なのでしょう。然しこういう資金協力は、双方にプラスをもたらすべきものでしょいう。

こんな経験の中で、成功を願いながらも、心配しているのは、日本製鉄のUSスチール買収の件です。成果は如何に・・・。


<月曜随想>人口問題は悲観論より積極的政策に力点を

2024年11月18日 16時56分22秒 | 文化社会

合計特殊出生率という言葉がります。最近あまりマスコミにも登場しなくなりましたが、1人の女性が一生に何人の子供を産むかという数字で、この数字が2.1人を越えていれ人口は減らないという数字です。

2023年の日本の数字は1.20ですから、少子高齢化が問題になり、年金財政の危機が言われ、最近では人口減少で消滅する集落の予想が出たりして、マスコミでも大きな話題になりました。

終戦(1945年)直後のベビーブームの時の合計特殊出生率は4.5人という高さでしたが1960年代に入ると2人レベルに堕ち(1966年の丙午の1.6人は例外)、1970年代前半までは2人レベルを維持しました。

しかしその後は2人を割り込みじりじりと下げ続け、2005年には1.26人となっています。

しかし、その後2015年までは奇跡的に上昇に転じ2015年には1.45人です。

この時期は、バブル崩壊後、ようやく日本経済も回復の気配を感じた時期と一部重なります。 

同時に、当時日本中が合計特殊出生率の回復を真剣に考えた時期だったような気がします。 

残念ながらこの回復の動きは続きませんでした。リーマンショック後の深刻な円高不況からアベノミクスの初期円安移行で、期待された非正規雇用の是正も、企業の相変わらずの非正規重視の中で、安倍政権の出生率回復の掛け声もむなしく、コロナ禍もあってか2023年には1.20人と最低水準に落ち込んでしまいました。

今の日本の経済社会の先行きの不透明感、将来不安の基本的な背景にはこの、合計

特殊出生率の問題があると考えている人は多いでしょう。

社会が豊かになれば出生率が下がるという研究もあるようですが、かつて合計特殊出所率の低下に悩んだフランスやスウェーデンが今は2人を超える様になっていることを見れば、回復の手段もあるのではないかと考えています。

日本に増して急速な合計特殊出生率の低下に見舞われている韓国は1980年の2.82人から2022年には0.78人に下がるという状況にあります。身近な国ですので、参考になる情報もあるのではと思っています。

下がるところまで下がれば回復するという説もあるようですが、フランスの場合、1970年代に児童手当が驚くほどに大幅だった事をECの統計で確認してからもう何十年でしょうか(子供5人だと児童手当だけで平均賃金より多い)。

スウェーデンの場合は1.5人から2.1人ほどの間を上下していますが、何で上がったのか関係の人たちに随分尋ねましたが、「実は良く解っていない」といった返事がほとんどでした。

しかし、これは国としては最も重要な問題の1つでしょう。

解決には時間がかかる難しい問題ですが、悲観的な面を喧伝するのは、何か情けないので、より、国民が元気になるような方法を確り研究する事に資源を注いだ方がいいのではないでしょうか。


物価問題の先行きをどう見るか

2024年11月16日 21時10分50秒 | 経済

最近、大手スーパーの業績不振が報道されています。現場の実感としては仕入れ価格の上昇と、最近の日用品の買い控えに対する値下げ戦略の挟み撃ち状態の中での苦戦といった声が聞かれるようです。

このブログでは物価については、輸入物価、企業物価、消費者物価指数,それに消費者物価指数については、総合から除く生鮮食品、除く生鮮食品とエネルギーといった形で

、ほぼ毎月追いかけちますが、今回は改めて物価が上がりそうという心配が本当にあるのかどうか、統計のデータから現状を見てみたいと思います。

一昨年から昨年にかけて特に日用品や食品の値段が大幅に上がり、実質賃金が25か月も連続で前年比マイナスという記録を作りましたが、この物価上昇の大波も、昨年の秋から鎮静化に向かい、最近は国内インフレを示すとみられる「生鮮とエネを除く総合」は年率2%程度に収まるまでになり、日銀も政策金利引き上げに動きました。

ところがこの秋に入ってコメの値段が上がるという全く政策の過ちとしか言えない問題が起き、さらに物価を下げていたエネルギー産業への補助金も夏に終わり、政府の物価政策の混乱から、物価上昇再燃の声が出てきているのです。

そこで客観情勢をみましょう。

日本の物価上昇の要因は大きく2つです。1つは輸入価格の上昇です。食料自給率の低い日本、エネルギーも食料も輸入に依存です。これが上がれば日本中物価は上がります。(これには国際的な値上がりと円安による日本だけの値上がりが含まれます)。

もう1つは賃金水準です。賃金が生産性以上に上がればその分コストインフレが起きます。これは国内インフレです。

ところで、1年前から物価は落ち着いて来ていますから、過去1年間の輸入物価と企業物価の動きを見ましょう。

                                             資料:日本銀行 

去年9月から今年の10月まで輸入物価(円建て)は1.5ポイント、1.4%ほどの上昇です。赤い線の契約通貨建てでは0.7ポイント下がっています。この差が円安によって上がった分です。

気になるのは5月から7月までの4か月、青色の円建ての線が高かったので、その辺りの高かった原材料や飼料、エネルギーなどが今になって小売商品に被って来る可能性はあります。ただしそれは何か月かすれば消えるでしょう。

灰色の線の企業物価を見ますとこの間3.9ポイント上がっています。これは経済学では「生産性を越えた賃金の上昇分というのですが」利益が物価を押し上げても同じこと起きます。どちらが主因かは、法人企業統計などで分析すれば解るかもしれません。

いずれにしても、この1年間では、基本的に日本経済がインフレになるような事態は起きていないことが解ります。

お米の価格が上がったことは米作農家の所得が増えたことになるでしょうし、ス-パ=のマージン率が低くなったことは,スーパーの利益が減ったことで吸収されて、産業別、業種別,企業別、地域別、規模別・・などのプラス・マイナスはあっても、全体としては大きな動きはなかったという事でしょう。

こうした点に十分気を付けて経済を運営していけば、消費者物価まで含めてみても、物価の大きな動きはなさそうだと言えそうです。

ただアメリカ次第ですが、円安になるか、円高になるか、これが大きく動くと、影響は大きいと思います。


2024年7-9月期GDPは低速・安定成長

2024年11月15日 16時52分55秒 | 経済

今日、内閣府より7-9月のGDP統計の速報が発表になりました。

実質成長率は対前期比で0.2%(端数は4捨5入)で、年率換算0.9%、2期連続のプラス成長というのがマスコミの報道です。

つけ加えて、その前の状況を見ますと4-6月の対前期比0.5%はいいのですが、1-3月はマイナス0.6%で、その前は0.1%とマイナス0.1%ですからすから、過去1年ほどでみれば、ほとんど経済成長していないというのが現状です。

ところが、今年度に入って、2期連続前期比プラスと状況が変わってきているように見えます。何が変わったのかと、需要別の内訳を見ますと原因ははっきりです。

今年の1-3月期まで3期連続マイナス成長だった家計最終消費支出が4-6月期0.7%、7-9月期0.9%(数字は実質値)と、このところあまり見られないようなペースでの上昇になっているのです。

日本経済が成長しないのは、個人消費が伸びないからだと長年言われてきていました。その消費が動き出したとすれば、これはいよいよ日本経済にも成長の気配が出てきたかなという観測もあり、マスコミの見出しも明るいのでしょう。

因みに、この2四半期の家計最終消費支出対前年同月の実質成長率の0.7%、0.9%を年率換算すれば、それぞれ2.8%、3.6%になりますから、この家計消費のペースで日本経済が成長するようになったら、日本も1人前の経済成長国です。

この家計最終消費支出増加の背景を最もよく説明しているのが、25か月連続で対前年の実質賃金がマイナスになったという異常ともいうべき現実が、その後どうなったかでしょう。

皆様ご記憶のようにこの不名誉な記録は今年の5月までで6月のボーナスの大幅増加でストップ、7月以降も統計の取り方にもよりますが「ほぼ」解消でしょう。

ただ、解消のきっかけがボーナスの大幅な伸びで、8月以降は、完全解消かどうかは疑問という意見もあります。

上記の4-6月期、7-9月期は、共に、ボーナス月が入っています。

さらにここで付け加えれば、この所の家計の消費支出の動きは収入のわりに支出が抑えられていることも明らかです。

これは平均消費性向の低下にはっきり現れていますから、先行きが明るくなり、家計の消費支出が収入の増加に応じて増える様になれば、消費支出の増加は安定し、日本経

済の先行きも明かりがともるはずです。

この辺りは、これからの石破政権と野党の動き、さらには、連合、経団連の動きいかんでしょう。

タイトルはGDPでしたが、中身は家計消費の検討ばかりになってしまいました。

この所の最重要問題は「消費支出」ということで、お許し頂きたいと思います。


人類はこの所の経験から何を学ぶか

2024年11月14日 16時00分21秒 | 国際関係

先日、古い友人に久しぶりで会って話をしているなかで、「イスラエルとパレスチナは酷い事になってしまって、世界中心配しているが、歴史から見れば、この問題には終わりはないんじゃないか」と言われました。

十字軍の歴史から、連綿と続くキリスト教とイスラム教の争いは、一旦終わっても、また何らかの形で再発するのではないかというのです。

それでも今の争いは早く終わってほしいねと言うしかないという事になりました。

そんな会話に触発されて少し考えてみました。

確かに宗教上の対立、抗争、紛争というのは、歴史的にみれば、いくらでもあります。キリスト教の中でさえも、カトリックとプロテスタントの争いには北アイルラアンド紛争の例もあるのです。

しかし、こうした宗教上の争いも次第に少なくなってきているというのが現実でしょう。キリスト教国とイスラム教でも、平和共存、協力し合っている例の方が多いのではないでしょうか。もちろん草の根どうしでは平和共存が通常でしょう。

その意味では人類は歴史から学び、人類社会の進歩・発展を阻害する紛争や戦争は次第に少なくなっていると言っていいでしょう。

それなのに、この所、なぜか対立、抗争、戦争が増えてきています。このブログでも時に触れますが、地域紛争が拡大し、第三次世界大戦になるのではないかという危惧すら感じられるようです。

勿論最大の問題はロシアとイスラエルと言えるのでしょうが、これは必ずしも宗教の問題ではなく自由圏と専制(独裁)国という思想上の問題でもあります。

この他にも、北朝鮮の韓国との対立、北朝鮮のウクライナへの派兵、アジアではさらにミャンマーのクーデターによる軍部独裁政権問題などもあります。

こうした問題発生に共通な要素を上げてみますと

・宗教や思想の対立

・独裁者(権力の個人への集中)の存在

・領土拡張(資源獲得)願望

の3つが重要な要素であることが知られます。

ただし、宗教や思想の対立だけでは戦争には発展しないでしょう。独裁者の存在だけでは内戦まででしょう。領土問題だけではせいぜい部分紛争程度まででしょう。

ところが、この3要素が揃った時はほぼ確実に戦争の可能性が大きくなるのではないでしょうか。

人類がみな地球上で平和裏に文化・社会の進歩・発展を謳歌していくためにはそれぞれの国がこの3要素が併存することが無いよう確り努力することが必要です。

この3つの要素が偶然に揃ってしまうといった事は多分起こりえないでしょう。起こるとすれば、それは国民の無関心、怠惰といった不徳が一般化する中で、ある程度の時間をかけて独裁者が生まれ、独際者の権力の浸透する中で残る2つの要素、宗教や思想の違い、領土の回復や拡大という対立を生む要素が、国民の中に次第に共通なものとして認識される退行現象が起きた時ではないでしょうか。そして、そのプロセスでは、独裁者によるメディアの支配が大きな役割を果たすのでしょう。

いま、世界には、このプロセスが進行している国もあるようです。それを阻止する役割の中心は国連でしょう。

具体的な例を1つ挙げてみましょう。国連憲章には「力による国境線等の変更は認められない」ということが明記されています(憲章2条4項)。

ロシアのウクライナ侵攻問題で、早晩この問題に関わる議論が起きるでしょう。その場合、国連は世界の支持を得て、憲章を貫徹しなければなりません。

それが貫徹されれば、前記3要素のうちの1つが亡くなるでしょう。当然その後戦争は大きく減少するでしょう。

加えて言えば、世界各国は、独裁者を生まない努力を徹底することです。独裁者が生まれるのには時間がかかります。ですから、国民の注意と努力によって、早期に気付き、独裁者が生れない国作りに、常に留意する必要があります。そして独裁者が生れなくなれば、人類社会に、たぶん、戦争はなくなるのではないでしょうか。