tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アジアインフラ投資銀行問題に思う

2015年03月29日 20時23分48秒 | 政治
アジアインフラ投資銀行問題に思う
 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の構想が大きな話題です。
 アジアだけでなくヨーロッパ諸国、ロシアも参加の意思を表明したようです。主要国で様子見なのは、アメリカと日本ということになっています。

 常識的に考えれば、アジアのインフラの整備のためにみんなで出資して銀行を創ろうというのですから、大変結構なことです。アジア開発銀行はありますが、二行になれば、切磋琢磨も行われ、資金供給も活動の多様性も増しより便利になる可能性も大です。

 アメリカはブレトンウッヅ協定からの世銀(本部はワシントン)のリーダー、日本はアジア開銀のリーダーで、共に歴代総裁を出しているということで、新たな銀行は屋上屋ということでしょうか、まだ参加を迷っているようです。

AIIBは、中国が最大の出資者になり、本部は北京に置いて総裁は中国から出すということのようですから当然中国がリーダーになるという組織になるのでしょう。

 恐らく、中国にしてみれば、IMF・世銀というアメリカ主導の世界金融体制に対抗して、中国主導の金融システムを作りたいという願望があるのでしょう。

 大きな問題は2つあるように思います。1つは、贈収賄などの汚職が後を絶たない、また知的所有権などの国際合意が容易に無視される中国主導で、金融のような最も組織のガバナンスが必要とされる仕事が可能なのか、という問題、もう1つは、中国の世界政策をカネの面から裏打ちする組織になるのではないか、という問題でしょう。

 すでに日本の政府筋からは、「透明性が確保されうるか」という意見が聞かれ、アメリカからは「中国が拒否権を持つべきではない」といった意見が出ているようです。

 問題はいろいろあるように思います。しかし、既にアジア、ヨーロッパの主要国を含め40か国を超える国々が参加を表明していることを考えれば、多くの国の協力で、この組織を立派なものに育て上げることが、中国を一皮むけたものにする可能性もないわけではありません。

 現実に、アメリカ主導の世界金融体制が、ブレトンウッヅ体制から大きく変質し、リーマンショックに象徴されるような世界経済への激震を齎しているという現実もあります。

 一貫して実体経済の発展に軸足を置く日本が、世界経済の安定した発展のため積極的に発言し貢献する立場からいかなる選択をするか、政府の決断を見守りたいと思います。

「自衛隊も軍隊」と言いたい人たち

2015年03月28日 10時02分09秒 | 政治
「自衛隊も軍隊」と言いたい人たち
  安倍総理が「わが軍」と発言したことが問題になっています。
 私どものような、戦前、戦中に軍国主義を叩き込まれた世代では、口癖として「わが軍」という言葉が出て来るかもしれませんが、戦争を知らない世代の人間が「わが軍」というのは、新たに「わが軍」という言葉を使うようにしたい、何とかして自衛隊を軍隊ということにしたいと考えているからでしょう。

  自衛隊は英語ではself-defense forceで、forceは軍隊ですから外国から見れば軍隊でしょう。それを日本語では「自衛隊」と言うところに日本の「意思」が見て取れるのです。
 
  軍隊と言いたい背景には、国を守ることは最終的には武力によるしかない、という単純な理解があるのでしょう。未成熟な子供が、喧嘩が強くなりたいと考える段階から出ていないのでしょうか。

  戦後の日本は、戦わずして世界から重要な国と認められ、尊敬される国への道を歩んできました。いわば、子供の時代から「大人の時代」へ脱皮しようとしてきたのです。
 成熟した大人は、近所のお付き合いでも、職場の仕事でも、腕力(=arm,armed forceは軍隊)が強いことは必要ありません。人柄や、仕事上の能力で評価されるのです。

 そんな綺麗ごとを言ってもしょうがない、現実の世界は、未だ腕力の強い方が勝つ子供の世界ですよ、という人も多いでしょう。

 日本は戦後70年、喧嘩の絶えない世界の中で、腕力ではなくて、みんなに役に立ってあげることで、喧嘩に巻き込まれず、みんなから尊敬さえる国づくりを目指してきたのではなったでしょうか。しかも、それが理解され、成功をおさめて来ています。

 三百万人を超える犠牲者を出した過去の戦争の反省に立って、日本は平和憲法を戴き、「国際関係は将来こうなるべき」という平和国家の立場を一貫してとって来ました。
 これは単なる思い付きや、外国からの押し付けではなく、日本人の形成、日本文化の源流である1万余年の縄文時代の「争わない世界」に根ざしていると考えるのが自然です。

 日本がここで、腕力と喧嘩のやまない未熟の世界のレベルに、わざわざ降りていくことはないだろうと思っていますが、 舶来崇拝で進むべき道を誤りがちな日本です、国民のすべてが、本来の日本人らしく、十分に思慮深くあることが重要のように思われます。

 「戦争を放棄した日本にも軍隊が2つある。読売巨人軍と救世軍だ」などといっていた時代が懐かしくなってきました。


新年度、新入社員の皆様へ:人間も企業も投資で成長

2015年03月27日 22時30分15秒 | 労働

新年度、新入社員の皆様へ:人間も企業も投資で成長

 経済で最も基本的な概念に

   所 得 = 消 費 + 投 資

というのがあります。あなたも給料を貰ったら、それを今日の生活のために使ってしまうのではなく、将来の自分のための投資に使う分を必ず確保しておくことが大事です。

  入社した企業の属する業界の勉強、自分の配属された職務の知識などについての本を買う。買うだけではなくて、きちんと読む方が重要かもしれません。

仕事に役立つ資格を取るためにも、おカネも時間がかかるでしょう。 

 こういうのは堅い話ですが、良い先輩の話を聞くために時々一緒に一杯飲む。人脈づくりのためのお付き合いで飲み会参加も必要な投資でしょう。 

 こうしたものに掛かるおカネは、消費のように見えても投資です。耐久消費財で言えば洗濯機や電子レンジは消費ですが、パソコンやスマホは、消費でもあり、投資でもあります。今は重要な知識や情報はいくらでもネットから入ってくる時代です。 

 此処までは従来からよく言われる「給料を全部生活費に使うな」「将来の自分の成長のために投資せよ」という、人生の先輩たちの教えです。 

 私の付け加えたいのは、こうしたおカネの「現在用と将来向けの適切な配分」と同時に、「時間においても適切な配分が必要」だということです。

 1日24時間という限られた時間の中で、今日を楽しむ分と、将来をより良くする分に分けなければなりません。 

 将来をより良くするための時間(勉強のための時間)は通常、「自分のための時間」で、24時間から労働時間を差し引いた中から、睡眠や休息、家事・食事、今日を楽しむ時間とともに、キチンと確保しなければなりません。 おカネを消費と投資に分けるように、時間も消費と投資に分けるのです。だらだら残業に時間を使うなどは禁物です。 

 ワーク・ライフバランスという言葉は最近の流行りですが、このライフの部分に、自分への投資の時間を確り組み込んでください。これは将来の自分の仕事をより高度なものにするための時間ですから、将来のワークの質の向上(自己啓発)に役立つのです。 

 ワーク・ライフバランスは、政府や企業が考えることではなく、本当は自分で設計するものなのです。おカネと同じように、時間も自分の判断で、確り「投資」にも使うように心掛けましょう。きっとより良い将来が待っていると思います。


新年度、新入社員の皆様へ:就職とともに始まるキャリア開発

2015年03月26日 11時41分53秒 | キャリア形成

新年度、新入社員の皆様へ:就職とともに始まるキャリア開発

 誰しもそうだと思いますが(私もそうでした)新入社員としての出発は、期待の一方で大きな不安と共にあるものです。

 新しい環境の中で、自分はどれだけやっていけるのだろうか・・・・・? 

 新入社員の中で、将来の自分の姿がきちんと描けていて、それに向かって邁進できる人は、恐らく極めて少数でしょう。

 大多数の皆さんは、まだ、自分に何ができ、何に向いているのかよく解らないままに、先ずは配属先で与えられた仕事に慣れることに一生懸命ということになります。 

 それでいいのです。心配はいりません。先ずは、「仕事の中での人間関係の構築」に慣れるのがサラリーマン生活の第一歩です。「チームワーク」の実体験です。 

 企業の中でもいろいろな仕事があり、3年前後で、異動、配置転換があります。結果的にいろいろな仕事を体験することになります。会社は「適材適所」の人事配置をするために、あなたがどんな仕事に適しているのかを見ています。 

 あなたも自分がどんな仕事に適しているか、どんな仕事をやりたいのか、3年、5年、10年の仕事の中でだんだん解ってきます。

 プランド・ハプンスタンスとかセレンディピティ―などという言葉もキャリア開発ではよく使われます。説明すると長くなるので、ネットで検索してください。 

 多分、好きな仕事に落ち着くことになる、あるいは、やっている仕事が好きになるといったことになっていくのです。自分の求めるキャリアを常に真剣に考えていると、次第に、あるいは突如パッと霧が晴れ、行くべき道が見えて来るでしょう。 

  そして、自分の進むべき道が解ってきた時、それまでにやってきた全ての仕事の経験が目指す仕事の中で生きてくることも解ってきます。

 職場の中での専門家になり、次第に、社内での、業界での、国内での、世界での専門家になるつもりでやってみるのもいいものです。 

 若いあなたには、時間は十分あります。


新年度、新入社員の皆様へ: 仕事を楽しく

2015年03月25日 10時45分16秒 | 労働

新年度、新入社員の皆様へ: 仕事を楽しく

 4月から新社会人としてのスタートを切る皆様、おめでとうございます。

 学生時代はいわば人生の滑走路、いよいよテイクオフ(離陸)して自力で飛ぶことになります.

 良く言われますように、おカネを払って勉強する立場から、仕事をしてお金を貰う立場に、まさに180度転換するわけですから、みなさんの心構えも、もうすでに自然と変わって来ていることでしょう。

  働くということは、我々にとって、2つの意味を持つようです。一つは、働くことで、所得を得て、それで、自分や家族の生活を支えるということです。

 もう一つは、働くことの中に、「人間」が生きることの意味を発見し、それを究めていくということです。これは人間だからこそできることです。

  先ず、働くと給料を貰えます。これは、あなたが、社会の役に立っていることの証拠と考えて下さい。あなたの働きが、会社に付加価値や利益を齎し、日本国のGDPを増やしているのです。その貢献へのリターンとしてあなたが所得を得るという循環です。

  そしてもう一つ、「働くことの意義」の発見です。日本人は昔から仕事を人間が志すべき「道」と考え、「職人道」とか「商人道」のように、仕事は人生の意義という考え方を基本的に持っています。これは、古くからの日本の伝統で、素晴らしいことです。

  会社の方も、企業は人(従業員)を育てるという重要な役割を持ち、従業員とともに発展すると考えています。あなたもその中で、仕事に意欲を燃やし、生きがいを感じるようになってくでしょう。

  会社を「わが社」といい、仕事に情熱を燃やすのは、会社にとっても、社会にとっても自分自身にとっても、大きな意味を持ち、同時に、人生としても楽しいことです。

 これからあなたが創る「我が家」と働く場所「わが社」があなたの生きがいになるのです。 

 新年度はあなたの有意義な人生への本格的な出発点です。充実した楽しい社会人生活を是非実現して頂きたいと思っています。


鳥の巣箱は今年もスズメ

2015年03月23日 22時41分29秒 | 環境

 

鳥の巣箱は今年もスズメ

  三寒四温ですが、鳥たちにはもう産卵・子育ての季節のようです。  

   わが世の梅の木に架けた巣箱には、今年もシジュウカラとスズメが交互に来ていましたが、先日巣箱の前でシジュウカラとスズメが羽ばたきながら向き合って、お互いに相手を威嚇しようと頑張っていました。

  そして勝ったのは矢張りスズメでした。 シジュウカラは、もともと四十雀と書いていた鳥です。雀と同じスズメ目の鳥ですが、スズメより一回り小さいし、見た目も色合いも上品で、形もスマートです。

  矢張り鳥は、体の大きい方が強いのかな、などと思いながら見ていましたが、それからは2羽のスズメがかわるがわる巣箱に入っては出て来ることを繰り返して、何やら枯れ草などを運び入れているようでした。

  今朝見ると、 丸い巣箱の入り口がゴミのようなもので半分ふさがっています。 おかしいな、昨夜の風で木の葉かゴミが引っ掛かったのなら、どけてやらないといけないかな、などと思いながら、少したってから見ると、今度はゴミで全部ふさがっています。

  スズメが出入りしている様子はないので、「そうか、中から塞いでいるのか」と気が付きました。

 近くで見てみると枯れ草を重ねてなんとなく出入り口をふさいだ感じになっているのです。多分、巣箱の中で抱卵に入ったのでしょう。 それで入り口をふさいで邪魔者の侵入を防ごうというのでしょうか。

  スズメの放卵期間は2週間弱ぐらいというので、4月の中旬には雛が顔を出すかもしれません。

  もともと、 スズメへの恩返しにスズメ用のサイズの出入り口の巣箱にしたのですが、シジュウカラと喧嘩をしないように、もう一つシジュウカラ用のサイズの巣箱も架けてみようかと思っています。


ベースアップ雑感

2015年03月20日 11時01分54秒 | 労働
ベースアップ雑感
 春闘の集中回答日が過ぎて、2年続きのベースアップの実現が確実になり、種々意見はありますが、矢張りベアは世の中を明るくするものだということが実感されます。

 株の値上がりも世の中を明るくしますが、これは雰囲気づくりのようなもので、多くの庶民にはあまり縁がないというのが実態でしょう。

 それに引き換え、ベースアップの方は、より多くの人に直接の影響を持ちます。しかも今年の春闘の中では、非正規従業員の賃上げ(これもベースアップ)もかなり広範に見られるようで、また非正規の正規化の動きも進みつつあるようです。

 今年の春闘の賃上げの結果は、多分、新年度の日本経済にもプラス影響を持つでしょう。日本経済は、健全な成長路線に乗っていくだろうと思われます。

 失われた20年の長いデフレ不況の中で、ベアはおろか、定期昇給さえも実施できるかどうかなどといわれたのに比べれば、本当に良かったなと思える時代が来たわけです。

 賃金の上昇というのは、本来、日本経済の成長発展によって可能になるものです。これからの日本経済は、ゼロ・マイナス成長時代ではなく、着実なプラス成長の軌道を進む環境にあるだろうと思います。

 もちろん定期昇給でも賃金コストは増えますが、経済成長(実質)がきちんと実現すれば、各企業の労使交渉で、ベア論議の出来るような春闘も多くなると思います。

 真面目な日本の労使は確りと経済成長を支えるでしょう。そして経済成長の成果は、春闘における定期昇給とベースアップを支えるでしょう。
 昨年、今年とそれ以前とは様変わりした日本経済と春闘、こうした元気な日本経済が安定して続いていくことを願う所です。

アメリカの金利引き上げは仕切り直し

2015年03月19日 10時58分37秒 | 経済

アメリカの金利引き上げは仕切り直し
 アメリカの超金融緩和からの脱出は矢張り容易ではないようです。
 FOMCの発表で「忍耐強い(patient)」という言葉が削除されるかどうかが注目されていました。若し削除され、忍耐強くなくなれば、利上げは早くなり、金融緩和の是正は仕上げに入ることになります。

 しかし、実体経済というものは、そんなに甘くありません。FOMCは、金融正常化への政策を着実に進めているという証拠に「忍耐強い」という言葉を削除しました。

 しかし、発表の内容は、金利引き上げはやるとしても9月以降(6月かという観測は消滅)、金利引き上げ幅は大幅ダウン、「すべては失業率とインフレ率を見て」ということのようです。

 こうして「忍耐強い」という言葉は消えても、マネー・マーケットはドル安、株価上昇という 予想された動きになりました。状態は「従来通り」に戻り、いよいよと思われた金融緩和脱出作業は、実質的には「仕切り直し」です。

 これも、イエレンFRB議長が、労働経済という実体経済をきちんと見ているからかもしれません。まだまだ離乳食は無理で、ミルクを飲ませ続けないと駄目だということなのでしょう。

 赤ちゃんなら、ミルクを飲ませているうちに、自然に離乳食の時期が来るのですが、アメリカ経済には、そうした時間経過による体力増強は中々望めないようです。
 世界トップクラスの技術力や資源を持ち、それをベースに世界のリーディング企業が育ち、芸術、文化の面でも華々しいアメリカですが、社会の大きな部分は格差や貧困の問題を抱えるのがアメリカの特徴です。

 人口3億、大幅な多様性を持つアメリカです。華々しい部分だけではなく、より大きいマスの部分の実体経済活動への認識と参画、経済は消費によって前進するのではなく、バランスの取れた生産と消費の循環の中で健全な前進をするものといった基本的な認識が、「マネーに偏り過ぎた」アメリカのなかで早く生まれてほしいものです。

 ベンジャミン・フランクリンの多くの言葉が示すように、かつてのアメリカはそうだったのではないでしょうか。


NHK会長国会論議の怪

2015年03月18日 09時41分28秒 | 社会
NHK会長国会論議の怪
 NHK会長の籾井さんが、国会に呼ばれた質問を受けていました。私用のゴルフに使った車の代金を後から支払ったといった問題のようでした。

 こんな問題、書きたくないと言いながら書いてしまう自分、書かせる世の中、どちらも本当に嫌になりますが、矢張り書きます。

 「秘書を通じて頼んだから仕事の時の車が来た、あとから清算した」といったことのようでしたが、最近、政治献金でも、「わかったから後から返した」というのも多いようで、「法には触れてはいない」という言訳が常ですが、世の選良やリーダーたちが、法律に触れなければいいのだ」などというのを聞くと、心底情けなくなります。

 今回のNHK会長のケースも、あとで清算したからいいだろうという事のようですが、更に大きな問題が違う所にあるように思います。
 それは、私用のゴルフの車の配車を「秘書」に頼んだということです。これこそ公私混同な最たるものでしょう。

 しかし国会論議では、その点の追求はなかったようです。ハイヤーの料金がいくらだったか知りませんが、こんなことで毎度秘書の事務量が増えるのであれば、秘書の人件費の方がずっと高いのではないでしょうか。これも後から清算しますか。
 QCでは「何故を5回繰り返せ」といいますが、問いただせば問題はいくらでも出て来るようです。

 ある友人は、「私用なら秘書ではなくて、奥さんに頼めばいいじゃないか」と言い、それを聞いた他の友人が、我が家なら「自分のゴルフなんだから自分でお頼みなさい」と女房に言われるのが落ちだよと言っていました。

 いずれにしても、単純に金銭問題だけでない、こうした仕事上の公私混同の問題が、国会では全く素通りされてしまうというのは、まともな一般企業で働いた経験のある人や、特に、人事・労務担当を経験した人などには、大いに気になるところでしょう。

 コンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)論議でも、法に触れさえしなければいいのだ、という立場が罷り通ることはないでしょう。
 書いているうちに、何かますます情けなくなってきてしまいました。

賃金・物価・消費税

2015年03月16日 09時44分27秒 | 労働
賃金・物価・消費税
 三題噺ではありませんが三つ並べさせて頂きました。
 今週18日の春闘の山場を前に、電機、自動車名護リーディング産業の交渉の具体的な中身がマスコミ上で賑やかになっています。

 ベアは電機大手では3,000円、自動車では4,000円を軸などと報道され、その他、久方ぶりのベアが決定といった情報も多くなっています。
 業績改善のはかばかしくない部門や、いわゆる中小でも、人材確保のためにある程度の賃上げはやむなし、といった見方も強くなっているようです。

 いずれにしても、こうした事がマスコミをにぎわすのは、それだけ日本経済に元気が出てきた証拠で結構なことですが、大手のマスコミの中には「それでも物価上昇には追い付かない」などという論評も見られます。些か不勉強のように思われ、残念です。

 確かに、消費税の3パーセントの増税、円安、原油高騰で昨年4月から消費者物価の上昇率は3パーセントを超え、原油が下がりはじめた秋以降も2.5パーセント前後です。その内、消費税の影響が2パーセント程度でしょう。
 
 今春闘で定期昇給分が1~2パーセント、ベアが1パーセント強としても、物価上昇はカバーされないという意見は、感覚論、感情論としてはよくあります。
 ここで問題は、消費増税分は賃上げでカバーされるべきかということです。このブログでも繰り返し触れていますが、消費増税は、国民が諒解して、消費者から国庫に消費支出の3パーセント分を上納することで、国民と政府の間の「分配を見直す」という作業です。

 物価が上がるのはそのためですから、消費者は甘んじて負担するべきものです。そうしないと、消費増税という官民の配分変更政策がきちんと機能しないことになります。

 来月、4月になれば、消費増税の影響は消えるでしょう。消費者物価上昇率は多分1パーセント以内になるでしょう。そして、新年度の賃上げで、新年度の実質賃金はプラスになるでしょう。

 消費税は政府への所得の移転(赤字財政の是正のために)で、国会で決まったことです。それを後から春闘で取り返そうというのは、些か筋違いではないでしょうか。

 連合が消費税による消費者物価の上昇を賃上げ要求に入れないのは、こうした論議をわきまえての話でしょう。「労使の喧嘩祭り」といわれた春闘にも、 経済理論は必要です。

アメリカ経済のジレンマ

2015年03月13日 08時04分10秒 | 経済
アメリカ経済のジレンマ
 このところドルの独歩高が話題になっています。直接の原因は、雇用の堅調からFRBが6月にも利上げに踏み切るのではないかという投機筋の思惑が更なる思惑を呼ぶ結果ということのようです。もともと消費(浪費)主導で、国際競争力の強くないアメリカ経済です、わずか2~3円のドル高でも、大変のようです。

 CEA(経済諮問委員会)のファーマン議長が、アメリカ経済にとってアゲインストの風と言っていますように、輸入増などから増加基調にある経常赤字幅を更に広げる可能性も当然考えられます。

 投機筋は6月利上げは当然の予想といった見方のようですが、金融緩和からの脱出を狙うFRBは、ここでどのような舵取りをするのでしょうか。

 もっとも簡単なのは、FRBは十分我慢強いということで、利上げを急いでアメリカ経済の回復に支障をきたすような事態は避けるという方向でしょう。ドル高は物価に関してはデフレ圧力でもあります。インフレ目標は遠退きます。
 次回のFOMC辺りでその辺を仄めかせば、ドル高は止まり、ダウ平均は回復して、全ては様子見の状態に戻るということになるでしょう。

 イエレン議長が、労働経済の学徒であることを前提にすれば、利上げを急いでアメリカの実体経済の回復の芽を摘むようなことはしないのではないかと考えてもおかしくないように思われます。

 変動相場制に始まり、マネー資本主義で経済弱体化を乗り切ろうとしているアメリカですが、ここに来て、利上げを仄めかしただけでドル独歩高になり、アメリカ経済にとってアゲインストの風になるといったことになり、マネー資本主義自体が、アメリカ経済に仇をなすという事になれば、それはアメリカの経済運営のジレンマでしょうか。

 やはりアメリカにとって、異次元金融緩和からの脱出な容易ではないようです。次回のFOMCの結論がどんなものになるのか、しっかりと見守っていかなければならないようです。

 ついでに、日本も円安で日経平均19,000円などと浮かれていますが、これ以上の円安には、十分注意し、投機筋の思惑に惑わされえない堅実な経済、経営の在り方を確り考えて行くことが大切なようです。

安倍談話、意地を張ると窮屈に

2015年03月11日 09時59分14秒 | 国際政治
安倍談話、意地を張ると窮屈に
 戦後70年の安倍談話が国際的にも注目されているようです。
 こんな問題ではあまり書きたくないのですが、本当に日本の将来のことを考えるなら、本来の日本人の心根が世界中から理解されるような、率直で穏やかな物言いがいいように思われてなりません。

 安倍さんは、その人柄からでしょうか、他人と違う事をいつも意識して強調しているように見えます。折口信夫の言う、日本人の特徴の類化性能ではなく別化性能が強いようで、他人に言ったことをそのまま使うのはお嫌いで、自分なりに言い換えたいようです。

 戦後70年の総括ということで、富国強兵時代「末期」の日本に触れなければならないのですが、そこで無理して、多少は正当だったと言ってみても、日本人自身「あの悪夢の時代」と振り返っているのですから、内外共に、どうしても違和感が残ると思います。

 明治時代の日本が富国強兵政策を取ったことは、あの時代背景の中では十分意味があったということは、アジアのみならず、欧米でも肯定する人は多いでしょう。
 しかし、その延長線上で、欧米に一周遅れで植民地獲得に進んだことは、どう考えても大失敗でした。本来の日本人らしくない行動とわたくしは考えています。

 そうした行動の背後には、日本人の 舶来崇拝「癖」があったと思っています。欧米がみんなやっていることを真似して何が悪い、という気持ちを、欧米の侵略からアジアを守るという錦の御旗でくるんでの日中戦争、太平洋戦争だったのでしょう。
 しかし、やったことの中身は矢張り侵略で、アジアの自立については、極々一部で認識されているにすぎません。
 
 「 加害者と被害者」という問題は、何か事件が起きるたびに、いつも私の頭の中にありますが、加害者は意識が薄く、被害者は深刻に意識するのです。日本人は本来、他人の痛みを感じる「感受性」を持っていたのではないでしょうか。

 戦後の日本は、こうした反省に立って、不戦を誓い、平和憲法を持ったのです。これは世界に例を見ないほど徹底した反省の在り方です。
 ついでに、戦後の経済活動で、植民地を持たなくても、いくらでも豊かになれるということを実証して、結果的に、世界経済に新たな地平を開きました。

 闇雲に欧米の行動をまねた侵略行為について、何とか格好をつけようと肩肘張ると、日本の立場は益々窮屈になるのでしょう。漱石のいう様に「意地を通せば窮屈」なのです
 本来の日本人の心根が解るような談話を出してほしいものです。

賃金交渉進行中

2015年03月09日 10時30分53秒 | 労働
賃金交渉進行中
 春闘の真っ只中、企業の中では労使間での真剣な交渉が進められている時期でしょう。
 既に「すかいらーく」のように、会社側から、昨年の2倍以上のベースアップ4300円が回答されたところも出ています。人材確保の視点が重視されているようです。
 定期昇給など6200円と合わせ、平均的には1万円を越える賃上げとマスコミは報じ、外食産業各社に波及するのではないかといった観測を示しています。

 因みにアメリカではファストフードの従業員が最低賃金時給15ドルを要求して(現状8ドル程度)デモやストをして逮捕者も出ているそうで、アメリカは大変ですね。

 定期昇給は企業内の制度で決まっているものですから、特別な事情がない限り実施されるのが当然です。もちろんこれもコストアップ要因にはなりますから、その分は適切に推計、ベアはそのまま上乗せになります。

 ということで問題はベアですが、本来、ベアは一律定額(まれには定率)を加算する形で賃金表全体を書き換えるものですからコスト計算は簡単なはずですが、最近は年代や資格や職種などによってベアに差をつけることも多いようです。

 実は、ベアに差をつけるというのは「賃金体系の変更」ですから、これは賃金体系の変更として「賃金体系をどう修正するか」という視点で、労使で「制度・体系」の交渉として考えなければならないことでしょう。

 ということで、通常どの企業でも、賃上げ(定昇+ベア)が妥結した後で、その配分交渉をすることになります。
 しかし、ベアの配分に「厚い部分、薄い部分」を設けて賃金体系を変えるというのは、いわば年々のパッチワーク、現在の体系の中での修正作業ということで、本格的な賃金制度・体系の変更ではありません。

 人事・賃金制度というのは、昔から「糠味噌管理」などと言われ、手を突っ込んで何時も掻き回していないと、カビが生えたり腐ったりすると言われるものです。

 相手が人間であるだけに、常に微調整、時に心機一転の新制度といった形で、従業員が常に新鮮な気持ちで、より満足して仕事に取り組めるような状況を求めて、労使で交渉を積み重ねていくことが肝心なようです。
 
 今年の労使交渉でも、労使双方にとって、良い妥結点に到達されることを願う所です。

アメリカ:金融緩和の出口は?

2015年03月06日 08時34分59秒 | 経済
アメリカ: 金融緩和の出口は?
 アメリカ経済は、ゆっくりながら改善の方向へ動いていて、このまま推移すれば、次第に雇用状況も改善し、エネルギー価格の下落などの影響がなくなればインフレも目標の2パーセントに近づき、これら2つの指標を見ながら、金融緩和の出口を探っているところ、といった見方が一般的なようです。

 そうした見通しを反映してか、ダウ平均も上がり下がりはありますが、史上最高値を更新といったニュースも時々流れということでしょうか。
 しかし現実には過日のイエレンFRB議長の議会証言のように、雇用情勢も物価上昇も見通しは必ずしも順調とは言えず、利上げの時期はなかなか来そうにもありません。

 イエレン議長は、もともと労働経済学者だそうで、恐らく、雇用、賃金、インフレといった問題には的確な理解と政策意識を持っておられるのでしょう。
 金融の最高責任者が、マネー経済学ではなくて、人間をベースに置いた労働経済学の学徒だということは、マネーで経済を塗りつぶそうという考え方がはびこっているアメリカにとって、大変幸せなことではないでしょうか。

 雇用、インフレという2つの指標を、金融政策判断のキーに置くというのは、マネー経済でなく実体経済を見据えて金融政策を打つということでしょう。
 そうした目で見た時、アメリカ経済はいまだに病み上がりであり、生産と消費のバランスのとれた回復がいかなるプロセスで可能になるか、舵取りは非常に難しいということになるのではないでしょうか。

 ニクソンショック以来、アメリカはドルを切り下げることによって、経済的にはサバイバルを果して来ました。そして最後には住宅バブルをやって、信用度の低い債券を安全(トリプルA)と見せかけで世界中の金融機関に売り、バブルの崩壊とともに、世界の金融機関のB/Sに大穴を開け、自らも返り血を浴びて(リーマンショック) 異次元金融緩和で凌いだということでしょう。

 しかし、異次元金融緩和は日本でもEUでもも導入され、もうドルの切り下げでサバイバルという手段は取り得ないでしょう。アメリカは自力で経済を再建するという行き着くべき所に行き着いたのです。
 
 この道はアメリカにとっては容易な道ではないでしょう。例えれば、 キリギリスがアリにならなければならなくなったということでしょうか。
 アメリカ経済に過大な評価や期待を持たず、確りとその実情を見守っていかなければならないように思います。

何の木でしょう

2015年03月03日 14時02分27秒 | 環境


 

我が家では猫の額ほどの庭の片隅に穴を掘って「生ごみ」を埋めています。生ごみは焼却炉の厄介者だそうで、自治体のご迷惑をおかけしないようにという趣旨です。

 そこからいろいろなものが生えてきます。カボチャやトマト、ニンジン、ジャガイモなどなど。じゃがいもは収穫して食べたこともあります。

 時に見知らぬ木が生えてくることがあります。何年か前にも南国の果物の種からでしょうか大きな緑色の葉の木が生えてきました。30cmぐらいに育っとき、根を掘ってみたら、10㎝近くある大きな種から生えていました。

 大きめの鉢に移してベランダに置きました。木はどんどん伸びて2年ぐらいで1メートルほどに育ちました。
 これは立派な観葉植物だと言っていたのですが、残念なことに、3年目には枯れてしまいました。早霜にやられたようです。

 そしてまた上の写真の木が生えてきました。3年前です。今度も根を掘って大きめの鉢に移しましたが、前回のように大きな種はついていません。南方産の果物だとは思いますが、前のとは違うようです。

 今回はずっと室内で面倒を見ています。二階のこのPCを打っている部屋は日当たりが良いので、ずっと部屋の中です。昨年夏、ベランダに出してみましたが、2、3日で葉の一部が少し茶色くなったので、慌てて室内に入れました。

 お蔭で冬でも育つようです。もう1m50cmぐらいになり、昨年暮れに枝芽が出て、枝分かれしてきました。あまり大きくなると困るなと思いながら、矢張り育つのは楽しみです。

 ところで、未だ、何の木だかわかりません。写真の通りの木ですが、もしお分かりの方がおられましたら、是非お教えいただきたいと思います。