企業の目的
このブログを見ていただく方も、ほとんどは企業で仕事をしておられる方だと思います。そんなわけで、改めて、企業の目的は何か、などといった古くて新しい問題を持ち出してみました。
企業の経営管理者のいる席で、この問題を持ち出すと、たいてい7~8割の方は「利益」と答えます。そのほか顧客満足とか、日本人の場合には社会貢献といった答えも聞かれますが、アジアも含め外国人経営管理者の場合は「利益」という答えが圧倒的に多いような気がしています。
これは最近のアメリカ流(昔はアメリカでも違っていたようです)の経営のあり方やアメリカ流経営学の影響が強いせいでしょう。一方日本では、昔から多くの社是社訓の中に見られるように「広く社会のために役立つ」ことを目的とする考え方が基本的にあります。
よく考えてみれば、「利益が目的」といっても、利益を出せば会社が発展できるし、配当を増やせば株主がより良い生活を出来るわけで、「なぜ利益が目的なの」「なぜ会社を発展させるの」「なぜ増配するの」・・・、と「なぜ」を5回繰り返せば、利益を出すことの先にさらに本当の目的がある事が見えてきます。
現実の世界では、企業は、顧客に満足や便利さを提供したり、雇用を創出したり、雇用した人に所得を配分したり、技術を開発したり、投資によって途上国の経済を発展させたり、関連する企業と協力して共に発展したり、税金や社会保険料を支払って国や地方自治体を支えたり、いろいろなことをしています。
企業というものは人間が考え出した大変優れたシステムで、人間と同じように、いろいろなことが出来るのです。良いことも悪いことも出来ます。悪いことも出来るというのは別にしても、「企業は多目的な存在」「多様な目的を果たすことが出来る存在」ということが出来るでしょう。
そうした優れた機能を持つ企業の目的を、単純に「利益の追求」などとひとつの目的だけ絞って矮小化して考えてしまうのはあまりに勿体ない事だと思います。