tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米抜きTPP 年末に発足へ

2018年10月31日 15時50分36秒 | 国際経済
米抜きTPP 年末に発足へ
 さきに半分冗談も含めて「 アメリカ・パッシング」と書きましたが、今回TPPがアメリカ抜きの11カ国で発足、さらに加盟を希望しる国も増えているというニュースを見て、これではまともにアメリカ・パッシングが現実になると苦笑したところです。

 もともとTPPを言い出したのはアメリカで、その折は、いずれアメリカの赤字削減戦略の一環だろうと見ていて、 TPPは何か胡散臭いと思っていました。
 しかし、アメリカのフロマン代表の考え方は、アメリカの利害よりも、開かれた国際貿易を考える「まともなもの」のように見え、日本の甘利代表との相互理解もあったようでした。

 これなら、 TPPも良い結果になるのかなと思っていた途端に、トランプさんの一声で、アメリカはTPP脱退という事になりました。
 トランプさんにしてみれば、アメリカの思惑に従って、都合のいいものになればと思っていたのでしょうが、アメリカ・ファーストではなく、環太平洋・ファーストだったという事でしょうか、たちどころにこんなものは要らないという事になったのでしょう。

 結果は「アメリカは蚊帳の外」、アメリカ・パッシングです。
 今の世界は、アメリカが圧倒的に強力な超大国で覇権国、基軸通貨国という事ですが、すでに時代は移り、重商主義や植民地主義からの決別が進んでいる中で、そうした地球人類全体の発展進歩への知恵に反して、アメリカ・ファーストの自国中心主義を振りかざしても、世界はついてこないという事が実証されたという事ではないでしょうか。

 アメリカの中間選挙も目前に迫りましたが、アメリカ国民が、こうした世界の動きを敏感に察知し、地球人類のあるべき形をリードするアメリカに立ち帰るのかどうか。まさに来週にかけての世界の注目点でしょう。

 日本政府は勿論、産業界、そこで働く労使(団体)も徹底してTPPを大事にするべきでしょうし、この輪をさらに広げ、下手をすると( 前回も書きました)潮目の変わりそうな世界情勢を、本来のまともな方向に維持すべく全力を尽くすべきでしょう。

 日本経済は、まだまだ生産性を上げなければなりません。OECD加盟国の中の生産性低位国に甘んじているわけにはいかないでしょう。 (因みに、生産性を上げれば 人手不足も緩和します)
 そして、あらゆる部門の生産性向上を梃子に、常に、より開かれた経済を指向しつつ、世界経済の安定した発展に貢献すべく、孤立主義や自国中心主義の行動に対しては一貫してトラブル・シューターの立場を堅持してほしいものです。

 世界の二大超大国が、自国中心的な動きに走り、それが人類社会の発展の中で許されることの様に勘違いをする国が増えそうな様相も見える中で、国際的に見れば、国は小さくても、経済規模は何とか第3位を維持し、先進技術、経済発展でも多くの可能性を持ち、平和憲法を堅持し、自由かつ安定した社会を創ってきた日本です。
 
 「人畜無害で、世界に役立ってくれる日本」というイメージをさらに確立すべく、今一度本気を出して頑張ってみるというのはどうでしょうか。

政治にも流行が? 本音が噴出する時代・・・

2018年10月30日 17時05分09秒 | 社会
政治にも流行が? 本音が噴出する時代・・・
 昨日から今日にかけて、世界が、「秩序」から「混乱」に舵を切るのではないかと思われるようなニュースが飛び込んできて来ています。

 「ブラジルのトランプ」と評され、極右の政治家などと言われる ボルソナロ氏が大統領に当選しました。イケメンの大統領ですが、お得意は「銃」を持つしぐさで、「ブラジルを再び偉大な国に」のスローガンを掲げ、人種差別発言、セクハラ発言などはとんと気にしないお方のようです。

 一方では、ドイツのメルケル首相が引退を表明したというニュースも入ってきました。12月の党首選への立候補を取りやめ、2021年の任期満了で首相退任を表明されたとのことです。
 ヨーロッパの盟主的な役割を果たし、トランプ大統領にも直言をされたニュースなどもありましたが、移民問題で、国内でも寛容すぎという批判が強まっていたようです。

 こうした大きなニュースが立て続けに飛び込んできますと、その背後に何か世界的な潮目の変化があるのではないかといった疑念が出てきたりします。
 過日、権力集中が世界の流行なのかという疑念を書きましたが、何か世界が、というより世界の国々における民意の発現の仕方が変わってきたのではないかといった気がしてきます。

 トランプ政権の誕生から目立つようになったこうした(何となく感じられる)変化は、直接的には、それぞれの国の事情によるのでしょうが、その根底には何か共通点があるように思われてなりません。

 直接の原因としては、トランプ政権の誕生は、一言で言えば、民心の中にある不満を「アメリカは世界の被害者だ」と明言することで掬い取った結果でしょう。ボルソナロ氏の当選は汚職の横行する政権への国民の不満と不信の代弁のように見えます。メルケルさんの退陣表明は、移民問題への寛容な姿勢に国民が自分たちの利害を表明した結果でしょうか。

 しかしこれらの根にあるのは、国民がより良い将来を考える「忍耐とより合理的な解決を選ぶ」か、解決指向を捨てて「忍耐より本音を言う気分良さを選ぶ」かのどちらを選ぶかという選択があるように思います。
 そしてもう一つはエリッヒ・フロムのいう「自由からの逃走」、強いリーダーについて行った方が楽という(安易な)選択があるのではないでしょうか。

 この見方が当たっているかどうかは解りません。しかし、子供にも、「お行儀良くしなさい」と言われて「いい子」にしているという面と、往々どこかで補償行動が暴発する面とがあるのと同様、民心にも同じようなことが起きることは十分考えられるのではないでしょうか。

 これまでの協力・協調の国際秩序、基本的人権をあくまで尊重しようという節度といったものが、息苦しく、国際関係も人間関係も種々の「忍耐(堪忍)」を強いる中で、どこかで自分の「本音」を大声で叫び、スッキリしたいという気持ちが嵩じるのでしょうか。

 しかし歴史の経験から見れば、こうした動きの結果はやっぱり失敗に終わるという事のようです。
 中国には「韓信の堪忍」の故事があります。日本にも「ならぬ堪忍するが堪忍」とか「負けるが勝ち」といった諺があります。
 
 言いたい本音を言う事はすっきりして気持ちがいいかもしれません。しかしそれはその時だけのことで、問題の解決にはつながらないことが多いようです。後からトラブル・シューターがその分苦労をすることになるのでしょう。

 今、歴史がいささか誤った方向に振れているとすれば、世界の行く末を見つめたトラブル・シューターの出現が望まれる時ではないでしょうか。

インド、モディ首相来日、日印関係の一層の進展に期待

2018年10月29日 08時45分51秒 | 国際関係
インド、モディ首相来日、日印関係の一層の進展に期待
 昨日、インドのモディ首相が来日しました。今日、首脳会談が行われとの事ですが、昨晩は、安倍総理の招待で、山梨県鳴沢村(富士山麓河口湖の近く)の安倍総理の別荘で夕食をともにし過ごされたとのことです。

 今朝は晴れてはいますが、東京は雲も多く、山梨県鳴沢村から富士山の雄姿がうまく見らたかどうかわかりませんが、早朝の綺麗な富士山が、モディ首相を喜ばせたことを願う所です。

 日印の関係は既に10年以上に亘り首脳の相互訪問を続けているように、極めて友好的です。インド独立を望んだチャンドラ・ボース氏や東京裁判で日本への理解を示したパール判事の事は既に故事かもしれませんが、戦後のインドと日本の関係は一貫して良好だったのではないでしょうか。

 そして今や インドはICT先端技術では先進国、巨大な民主主義国として人口、経済でも中国を猛追という所でしょうか。
 以前から“Unity in Diversity”というスローガンで、多様な民族、言語、宗教を包摂・共存させ、民主主義体制で統一を成功させています。

 日本企業も数多く進出し、日本製品に対する信頼度も極めて良好なように感じます。モディ首相の出身地のグジャラート州は日本企業の新種も多く、某電機関係の企業の方から、「わが社では、この地ですでに 5Sは完全に定着しています」とお聞きしましたし、現地の人からは「IT関係の技術者はいわば新しいカーストで、今迄のカースト制は関係ない」などと言われたことを思い出します。

 中国もそうですが、国が大きく人口が多いと沢山の問題があるのでしょう。中国は14億の国民を共産党一党独裁で纏めようとしています。 一方インドは民主主義体制で13億の国民を纏めようとしています。
 
 歴史の実験と言ってしまってはまさに語弊があるでしょうが、体制の違いがあっても、目的は同じで、豊かで快適な国家社会の実現でしょう。
 日本は、戦争をしない国として、役に立てることがあれば相手国にも日本にもプラスの形で、積極的に協力していくことで、世界の発展と進歩に貢献する姿勢を堅持することが大事なようです。

 インドとは既に相互理解が進んでいる間柄です。良好な日印関係を更に進んだものにするように、また世界の見本にもなるように、両国のよりよい関係の一層の促進を強く期待したいと思います。

トランプさん、自分の首を締める?

2018年10月26日 14時20分14秒 | 国際経済
トランプさん、自分の首を締める?
 どう見ても暴走気味のトランプ大統領ですが、何を目指して走っているのでしょうか。
 「アメリカ・ファースト」、「アメリカを再び偉大な国に」と選挙で公約しているのですが、このところ何かあちこちで馬脚が現れてきているように思われます。

 NAFTAの衣替えは、いわばご近所同士のお付き合いというところかもしれませんが、対中国という事で、世界の第1位と第2位の経済大国がガチンコの衝突となりますと、これは、世界経済にも大きな影響を及ぼします。

 もともとトランプさんの発想は単純で、「移民が大勢入ってきて、アメリカ経済を蚕食し、お蔭で競争力がなくなって、ラストベルトなどと言われる地帯が出来てしまった。これは外国に親切にし過ぎたせいだから、これからは、世界のためのアメリカではなく、アメリカのためのアメリカとなり「アメリカの繁栄」を考えるべきだ」という事でしょう。

 ラストベルトの繁栄を取り戻すというのが目玉なのかもしれませんが、そのためには政治的には国境を厳しくし、経済的には関税で輸入を防げばいいだろうという程度の着想だったようです。

 しかし、多少昨今の世界経済情勢を理解している人ならば、それで巧く行くはずはないと解っているのではないでしょうか。
 アメリカの企業自体が、中国をはじめ世界中に展開して仕事をしているのです。GMからアップルまで、中国で仕事をし、稼いでいるのに、中国との経済関係を悪くしても、アメリカさえよくなれば、と考えているのがトランプさんなのです。

 そんなに巧く行かないのですよ、という事がこの所現実になって来たのでしょうか、トランプ景気で上がっていたダウ平均も現実が解れば下がらざるを得ません。
 そのトバッチリは日本にも来て東証も大変です。日本はそんなに悪くないのですよと言っても、国際投機資本は儲けやすいところで稼ぐわけで、日経平均はアメリカよりも振れ幅が大きくなっているようです。

 現に中国の実体経済には成長率低下という形で、悪化の兆しが見えるようで、そうなりますと、事はゲームの域を越えて、中国もアメリカも、共に傷つく「トランプ・ショック」になりかねません。
 
 経済の大敵は先が見えない不確実性です。何を言い出すか解らないトランプさんは、アメリカを偉大にしようとして、結果的にはアメリカ経済をさらに駄目にし、自分の首も締めることになるのではないでしょうか。

 その余波が大きくなって トランプ・ショックで世界経済が混乱するようなことににならないことを願っていますが、それは、アメリカ国民が現状をどう判断するか (正しく判断することが出来るかどうか) にかかっているという事になるのでしょう。

消費税増税:見当違いの政府発言

2018年10月25日 22時48分50秒 | 政治
消費税増税:見当違いの政府発言
 安倍総理も、政府としても、来年10月からの消費税増税は「やる」という意向のようです。まあ何が起こるか解りませんから、場合によっては「やらない」なんてこともあるかもしれませんが、真面目に考えれば今の日本政府としては「やる」という選択肢しかないはずです。

 現実的に言えば、やらなければ財政債権放棄と解釈されかねませんから、「やるっきゃない」とお考えと思いますが、ニュースなどで見聞きしていますと、現政権が考えている主要な問題は、「やる」という事と、もう一つ、矛盾だらけで判りにくい軽減税率を「国民の爲だという顔をして」何とかうまく説明しようという事のようです。

 しかし、国民が本当に政府に説明してもらいたいと思っているのは、よく考えてみれば、「軽減税率」がどうなるという事などではなくて、消費税増税で政府の税収がいくら増えて、その全額が社会保障のどの部分にどのように分配され、消費税を増税しなかった場合に比べて、社会保障の内容がこれだけ改善されますという、「消費税の使い方」の筈です。

 「どうせアメリカら買う戦闘機やイージスアショアに化けるのだろう」などという陰口もあるようです。「そんなことは絶対にありません。現に増税分で来年以降の社会保障の内容はこれだけよくなるように考えています。」と国民に「真摯に、丁寧に、具体的に」説明してほしいものです。

 そうなれば、軽減税率で税収を減らすより、確り取って社会保障をより充実させてほしいという声も出るかもしれませんし、何より、政府への信頼が増すこと必定です。

 確かに「全世代型社会保障」などといった声は政府から聞こえてきますが、本来、今の税収ではそんな大それたことは出来るものではないでしょう。今回の消費税増税ではとても足りないでしょうが、まず第一歩として具体的にその中で今回の消費税増税の果たす役割を、国民は知りたいはずです。

 今の政府は、取る方ばかり国民に説明するのですが、「遣い道」の方については何も説明していません。消費税論議をそんな形にしてしまっているのはどう考えても、政府が、国民の本当の関心事を理解していないから、あるいは解らないふりをしているからではないでしょうか。
 税金は国民から取るのですから、国民にしっかり具体的数値で、解り易く、増収分の「遣い道」の説明をしてほしいものです。
  
 

日中関係正常化を長期・広範な視野で

2018年10月24日 15時14分58秒 | 国際関係
日中関係正常化を長期・広範な視野で
 米中関係が種々の問題点を孕む中で、中国が日本に接近してきているとマスコミが報じています。
 安倍総理訪中も明日に迫っています。日本の総理大臣の訪中は7年ぶりだそうですが、隣同士で経済的には最も関係の深い両国なのに、7年ぶり? といった感じです。

 それだけ中国も阿部さんも「頑な」だったという事でしょうが、今回の関係の急転は、矢張り米中関係の険悪化の結果でしょうか。素人目にはそう映ります。
 しかし、改めて日中の関係改善のきっかけが出来たという事は本当に良かったと思います。これを機に、遣隋使、遣唐使の時代からの隣同士の国のより良い関係が確立されることを願う所です。

 漢字から箸の文化まで、日本は多くの文物を中国から導入し、日本的に咀嚼しつつ日本文化を創ってきました。日本の諺なども殆ど中国の故事から来ています。

 嘗て日本が中国の役に立とうとしたのは、列強が中国を食い物にしようとした時期で、孫文の日本亡命に象徴されるような関係も存在したのです。
 その後の日本は、大正時代にすでに 石橋湛山が指摘していたような日中関係の道を歩まず、大きな過ちを犯しました。

 第二次大戦後、中国は日本に対する賠償を放棄し、「恨みに報ゆるに徳を以てす」中国の諺どおり徳を示してくれました。
 その後中国の体制は変わりましたが、それは千数百年の日中関係の歴史の中ではごく限られた時期です。

 石橋湛山の思いを顧みれば、今日の状況は、日本は植民地政策などは放棄し平和憲法の国になり、中国は世界第二の経済大国に成長し日本の最大の貿易相手国となったわけですから、湛山の思いそのものが実現して来ているわけです。

 ならばこれからの日中関係はどうあるべきかでしょう。体制が変わり、共産党一党独裁になった中国は昔とは違うようです。しかし、アメリカとの摩擦が激しくなり、世界から中国の在り方が問われている難しい局面にあることもあり、中国が日本との友好関係を求めるというのであれば、日中関係の近代史の中で、田中・毛沢東、福田・鄧小平、の友好関係を受け継ぐ良い機会という事になるのではないでしょうか。

 すでに経済的には最大の貿易相手国です。今回も安倍訪中に、日本の財界人数百名が同行するようで、中国は大歓迎との由です。
 「愚公山を移す」ではありませんが、中国はもともと長期的にモノを見る国です。
一衣帯水の国であり、GDP世界第2位と第3位の両国です。腹を割って話し合い、アジアは勿論世界の安定的な発展に力を尽くす協力体制を築く様なあるべき構想を話し合うときでしょう。

 折しも、アメリカが世界の トラブルメーカーの役割を演じています。トラブルシューターとしての日本の役割を、中国と手を携えて、今こそ果たしてもらいたいと思うところです。
 先哲、石橋湛山もどこかでしっかり見守っているのではないでしょうか。

生産性3原則:人間と経済の原点に帰れば

2018年10月23日 12時26分35秒 | 労働
生産性3原則:人間と経済の原点に帰れば
 前回、2019春闘に向けての「連合の基本構想」は「日本経済の現状を憂う」姿勢が表れていると書きました。
 特に強調されているのは、長期不況を通じて、日本社会の格差社会化が進んできて、景気が回復してきたのにもかかわらずその是正への動きが見えないという所でしょう。

 連合は、その辺りもきちんと見ていて、格差社会化が消費需要を停滞させ、景気回復の足を引っ張っているのだから、「クラシノソコアゲ」、「格差是正」を実現することが消費拡大、経済成長の促進につながると見ています。

 そうした視点で基本的に大事と考えているのが「生産性3原則」です。連合は何時も生真面目に「生産性3原則」を基本においていますが、これは大変大事なことだと思います。
 1955年、日本生産性本部が出来た時、「労・使・学者」の三者で合意した古いものですが、上の表題の載せましたように、人間と経済の原点にかえれば、その本質はこれしかないのです。

 という事で、温故知新の意味も込めて、これを取り上げてみました。
<生産性3原則>
① 雇用の維持・拡大 ②労使の協力と協議 ③成果の公正配分
ただこれだけのものですが、人間と経済の関係の基本はみんなここに入っています。

 「雇用の維持・拡大」は経済活動の社会的な面での目標です。経済的な面の目標は富の生産ですが、社会的な面では失業は政治家にとっても大敵、ケインズの一般理論のタイトルもまず「雇用」です。(注:雇用、利子および賃金の一般理論)
 余計なことですが、その点安倍さんは今、求人倍率が高いので安心です。
 
 「労使の協力と協議」は、企業というものは人間が「社会を豊かで快適なものにするために」人間が考え出したシステムで、組織の効率性を考えて、労働者と使用者に分かれて分担していますが、これはあくまで「付加価値生産」の効率性のための役割分担ですから、労使は対等で、互いに協力し、話し合って(協議)、良好なコミュニケーションを維持することが大事(効率的な企業活動=永続的な高生産性の実現のために)という労使の関係を指しています。

 「成果の公正配分」は、人間が考えて社会を豊かで快適なものにするために作った企業ですから、その活動の成果(付加価値)を公正に配分しようという理念です。ですから、「公正」の概念は、社会をより良くするものでなくてはなりません。資本の強欲や、社会を不安定にする格差社会化などは望ましいものではないでしょう。
 公正の概念は、社会の文化によって、どこでも同じではないかもしれません。そこは労使の協議の問題でしょう。

 戦後、労・使・学者が「3人よれば文殊の知恵」まとめたこの3原則は戦後日本の高度成長を支えました。今、停滞する日本経済の実態は、この3原則が無視され来ている結果ではないかと反省してみると、2019春闘の中で、何か見えて来るかもしれません。

連合、日本経済の現状を憂う2019春闘構想発表

2018年10月22日 15時51分27秒 | 労働
連合、日本経済の現状を憂う2019春闘構想発表
 先週10月18日、連合は来春闘に向けての基本構想を発表しました。
 2013年の日銀の新政策による異常な円高是正以来、終焉したと言われた春闘が復活、次第にその形を明確にしてきました。
 今年はその形が一段と明確になったように感じられます。

 春闘と言えば、賃上げ闘争で、労働組合が掲げるのは「賃上げ」だというのが一般的ですが、日本の連合の考え方は些か違うのです。
 「政労使」というのは国の運営に関わる3大主体ですが、多くの国では、「政府」が国全体を考え、「使用者」は企業の利益を考え、「労働組合」は賃金の引き上げを考えるというのが常識的な理解ですが、日本の場合はそういう段階を卒業し、「政労使」で日本の経済社会をいかなる形に作り上げるかを「春闘」で論じようという、「年に一度の全国的学習集会」に発展してきていました。

 これは第一次オイルショックの失敗を経験した結果、日本の「政労使」が到達した新たな次元でした。
 その後オランダが政労使のワッセナー合意などを実現し、こうした新次元の「政労使関係」が更に発展するかと思われましたが、なかなかそうはいきません。

 日本ではその後「 プラザ合意」による急激な円高があり、平成という長期不況の時代に突入し、見通しを誤った政府は為す術を知らず、労使は、この円高不況のもとでのサバイバルで手一杯、前向きの議論などをする余裕はなく「春闘は終わった」と言われたのです。

 2013年以降の円高解消で、ようやく「日本経済・社会の将来」について労使の話し合いもできる環境になって来年で6年目でしょうか、連合の意識は、長期不況で歪みにゆがんだ産業社会の状況を、立て直し、健全な経済成長路線の実現と安定した快適な社会の実現を目指しているように思われます。

 この間労使にとって迷惑だったのが、環境整備をすべき政府が本来自分の役割でない「 賃上げ奨励」に走ったことでしょう。
 昨年の今頃、連合は2018春闘の基本構想を出し、その中で賃上げ2%以上を打ち出しました。ところが後から政府が3%賃上げを言い出し、大迷惑だったでしょう。

 政府はインフレにしたかったのでしょうが(2%インフレターゲット)連合は、日本経済の現状を考えれば、経済成長(正確には日本経済の生産性向上)に見合う賃上げは2%程度と踏んでいたのでしょう。これは客観的に見ても 経済整合性のある数字です。

 賃上げは経済成長の成果の配分です。先に賃上げをしてしまいますと、経済はインフレ傾向になり、引き締め→不況の可能性が出てきます。
 連合の2%以上という表現はその辺りを確り読んで、持続的な安定成長を視野に入れた発言でしょう。これは経済運営の責任持つ立場からの発言です。

 今年は、昨年の様な事にならないよう、賃上げの%は今の段階では掲げていません。その代わり、日本社会の格差社会化の阻止を重要な力点としています。
 以前から述べている、「サプライチェーン全体への付加価値の均等な配分」の徹底です。表現は「取引の適正化」です。

 これは言い換えれば、生産性を上げたところに適正に付加価値が配分されるという考え方でしょう。生産性を上げたが納入先から値引き要求があり、生産性向上分の付加価値は納入先に移転してしまったということが無いようにしたいという事でしょう。
 これこそ政府が「下請取引適正化法」などできちんとやるべき問題です。

 日本の政府も経営者も、未だ長期不況の悪夢から醒めきっていないところもあるようですが、極めてまともな論陣を張る連合の様な労組組織を持ったことを、日本の政府も使用者(経営者)も感謝すべきかもしれません。
 春闘についてはまた折に触れ取り上げたいと思っています。

小さい秋、庭の秋

2018年10月21日 13時24分56秒 | 環境
小さい秋、庭の秋

 今日は素晴らしい上天気です。もう長い年月「毎日が日曜日」ですが、やっぱり日曜日は日曜日らしくしたくなるような日和です。諸種の事情で外出はままならないので、狭い庭の様子を眺めて、「秋だなあ!」と感じることにしました。

 今年は穂の出るのが殊の外早かったススキも、台風の襲来で、何度もばらばらになって倒れましたが、その度に根元から紐を回して真ん中あたりで束ねてやったので、元気に直立して、陽光に穂を輝かせています。

 穂の半分から下が暗いのは、狭い庭ですから、南側の隣家の屋根の影です。それでもススキはやはり秋の象徴で、長い間眺めて楽しめますから大事にしています。そういえば、今夜は十三夜ですね。

 酔芙蓉は大きくなりすぎるので、真ん中の枝1本だけにして育てていますが、それでも毎年広くその枝が伸びて閉口しています。今年は、天候のせいか、緑に黒い斑の青虫(「フタトガリコヤガ」という蛾の幼虫だそうで、毛虫ですが、毛があまりないので青虫にしました)が沢山ついて、たちまち枝から枝に葉を食べています。

 私は放っておきますが、シジュウカラは放っておきません。勢いよく飛んできて、あの可愛い姿とは裏はらに、自分の体長の半分ぐらいありそうな幼虫を「つついては食べ、つついては食べ」これが「自然」なんだと教えてくれます。

 今朝咲いた酔芙蓉は綺麗ですが、昨日咲いた花は、今日は赤い拳骨です。明日は多分下に落ちるでしょう。これも我が家の小さな秋の象徴です。

 玄関わきのハナミズキは日当たりの少ないせいか、余り花が咲かないのですが、2階の窓から見たら、赤い実が2つ見えたので。これも秋だなと写真に撮りました。
 今日は良い日曜日です。

最近の消費者物価の状況を見る

2018年10月19日 22時49分10秒 | 経済
最近の消費者物価の状況を見る
 今日2018年9月分の消費者物価指数が発表になりました。
 マスコミでは前年同月比で丁度1%の上昇、上昇は1年9か月連続、1%上昇は今年の2月以来といった説明です。

 政府・日銀はまだ2%上昇目標などと言っているようですが、消費者物価のあがらないのは世界的な現象で、そのなかでも物価上昇を嫌う日本ではなかなか上がりません。
 借金漬けの政府だけ物価上昇を願っているのでしょうか。

 総務省の発表資料の中に最近の傾向を示す面白い図表がありましたので、今回はそれを載せてみました。スキャンでなくて写真でやったのでちょっと見にくくてもうわけありません。
  最近の消費者物価の動き (総務省統計局)


 いつもこのブログでは取り上げていますが、消費者物価の系列には主要なものが3つあります。上の図で見ますと、
図1 総合指数、
図2 生鮮食品を除く総合指数、
図3 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数
の3つです。

 「総合指数」は全てを含みますが、「生鮮食品を除く総合」は天候要因などで変動の大きい生鮮食品を除いています。これは正常なな動きをかく乱するからという事でしょう。
生鮮食品とエネルギーを除く総合」は石油などの海外から買うものの影響も覗くという事です。国際価格が上がったので、ガソリンスタンドで値上げが相次ぐといった事は、日本に原因があるのではなく、世界中で値上がりする結果の輸入インフレですので、これも除いて考えようという事です。

 お天気次第の生鮮食品と、海外に原因のあるエネルギー価格を除くと、所謂「コアコア」(core core)と言われる、消費者物価の核心部分、つまり日本の経済自体がインフレ傾向にあるのかどうかを示す指数という事になります。

 ところで上の3つの図を見ますと、何か、今年に入って消費者物価の上昇が目立ちます。特に図1の総合指数の値上がりが大きいのが解りますが、図2、図3を見ますと、どうもその理由は、天候不順で、台風などもひどく、生鮮食料品の値段が大きく上がったことによる部分が大きいこと、さらに、最近ガソリンの値段が上がっていますが、原油価格など海外資源の値上がりの影響が特に大きいことが解ります。

 図3が、日本自体がインフレ体質になっているかを示すと考えて良いのではないかと思いますが、具体的に数字で見ますと。「総合」の対前年同月比は1.2%の上昇、「生鮮食品を除く総合」は1.0%の上昇、図3、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は0.4%の上昇で、一番落ち着いています。

 政府・日銀が目指す2%のインフレというのは(はっきり言いませんが)図3の上昇率が2%を目指すと考えられますので、これは達成無理と言われているのが実態です。

 消費者にとってはこれは大変有難い事で、賃金もなかなか上がらない、年金も増えない貯金してもゼロ金利なのに、物価だけ2%も上がったのではたまりません。
 天候不順は毎年酷くなりそうで心配ですが、原油価格などは落ち着いてくれて、「総合指数」も、もっと桃と下がってくれることを願いたいものです。

TAGは日本政府の造語?

2018年10月18日 14時17分28秒 | 政治
TAGは日本政府の造語?
 先日、国会で強行採決までしたカジノの問題について、「 真実は外国から・・」と書きましたが、どうも最近そのようなんことが多いようで、大変気になります。

これも最近「 TAGという聞きなれない言葉・・」と書きましたが、聞きなれないわけで、どうも日本政府が日本国民向けに作った造語のようです。

 ご丁寧にこれはTrade Agreement on Goods で、「物品に関する貿易協定」などという日本語への翻訳が(政府によるのかマスコミによるのか解りませんが)付け加えられたりしていました。

 まぁ、アメリカの意向は自動車中心だから、そういう事になったのか、などと解釈していましたが、これについても、真実は外国から入ってくるようで、ニューヨーク・タイムスによれば、アメリカ政府は US, Japan Agree to Negotiate a Free Trade Agreement(FTAに関する日米交渉)と言っているとのことです。

 何のことはない、英語の本場のアメリカではFTAと言っているようなのです。物品だけではない、何が出てくるか解らない貿易交渉になるのは多分必至でしょう。
 TAGなどと言ってみても、アメリカから「そんな言葉は当方は存じません」と言われそうです。

 言葉の問題は言葉の問題として、本当の問題は、「何故こんな事が起きるのですか」という事でしょう。
 安倍政権が、何とか国民に耳障りのいいような表現に置き換えて伝えようとしているとすれば、ポピュリストの安倍さんのお気持ちは解らないでもありません。

 アメリカからぎりぎりやられて、反論もできず、かといって逃げ場もないので、さしあたって当面国民には「アメリカはそんな厳しいことは言わないでしょう」と自らの交渉力を評価してもらえるような情報にして(すり替えて)伝えておくことにしよう、言うことになるのでしょうか。

 しかし、いずれ本当の事は解るのです。交渉の仕掛け人のアメリカでのマスコミが何と書いているかは世界中に知られるのです。
 さらに具体的に、本当はアメリカが「何の交渉」をしようとしているかは、年明けに始まる現実の交渉の場忽ち明らかになるでしょう。

 更にもう1つもっと重要な問題は、日本の政権担当者が、本当のことを率直に国民に知らせていないと国民が感じるという問題です。
 「 政府の信用」はこのブログではいつも触れる言葉ですが、政府自身も時々言いますように「信なくば立たず」でしょう。

 日米、日中、日ロ、さらには北朝鮮の拉致問題などなど、安倍政権が本当に何をしているのか、国民に本当のことを率直に言っていてくれているのか?といった事が、益々問題になるような気がして、私も国民の一人として心配が絶えません。
 何とかしてほしいと願っています。

貿易問題と為替問題:絡めるか切り離すか

2018年10月17日 15時21分02秒 | 経済
貿易問題と為替問題:絡めるか切り離すか
 インドネシアのバリ島でひらかれた今回のG20では。自由貿易が望ましいという点については何とか確認に至ったようです。

 米中の貿易摩擦が激化し、丁度G20の時期にアメリカで株が暴落、その後2、3日は世界中で株価下落が連鎖する状態でしたが、G20がそう確認しても、米中貿易摩擦がどうなるというものでもないのが実態です。

 関連して問題になっているのが、為替問題です。過日も触れましたが、関税障壁を10%引き上げてみても、相手国通貨が10%安くなればその効果はゼロになります。
 関税の影響は貿易に限定的、適用品目に限定的ですが、為替レートはその国の経済全体に影響する問題で、影響の範囲は格段に違いますが、関税対為替は十分に有効な対抗手段になります。

 関税戦争を仕掛けるアメリカは、為替操作で関税障壁が「しり抜け」になるのを防ぐため、貿易と為替を絡ませて、通貨安誘導(操作)による対抗手段を封じ、お得意の2国間協定で、関税戦争の効果を確実にしようとするのは当然の方法論でしょう。

 しかしもともとドルを安くしてアメリカ経済を防衛しようとしたのはアメリカで、それは1971年のニクソンショックから始まっています。
 プラザ合意で日本に2倍の円高を強いたのもアメリカです。対日本で言えば、リーマンショック後は円とドルの関係はかつての1ドル360円から1ドル80円とドルを4分の1以下に切り下げています。(アメリカは「マーケットがやったのだ」というでしょう。)

 基軸通貨国がこの有様ですから、アメリカの主張も説得性は乏しく、麻生財務相も、貿易問題と為替問題を一緒にすることはないと言っているようですが、トランプさんのアメリカがそれでOKするとはなかなか考えられないのではないでしょうか。

 現実問題を考えれば、トランプさんが何を言うかで、株価も動けば為替レートも動くわけで、最近でも、トランプさんがFRBの利上げ方針を怪しからんといっただけで円レートは114円から111円台まで円高(ドルの切り下げ)になりました。

 そういう意味では、アメリカはトランプさんの口先で為替レートは操作できますが、その他の国は、日本も含めてそうはいきません。私などは、為替レート切り下げ切り上げを問題にするなら、かつてアメリカ主唱したように「 固定相場制にしたら」と考えます。

 結局変動相場制にしておうというのは、国際競争力がなくなった時に備えて、自国通貨の切り下げを可能にしておくという事でしょう。
 変動相場制のもとで、貿易問題を為替問題をまとめて考えるというのは、結局腕力の強い国に有利という事になるような気がしますがどうでしょうか。

消費税増税は国民のためにやるのでしょう

2018年10月16日 12時40分25秒 | 政治
消費税増税は国民のためにやるのでしょう
 やっと始動した安倍内閣の消費税増税への準備ですが、政府の態度を報道を通じて知る限りでは、政府が胸を張って「これからの国民の生活をより良いものにするための増税です」という態度は全く窺えません。

 全体的の印象は、何か及び腰で、「実施するかしないかは経済状況次第」とか「やるとしても、出来るだけ国民への迷惑を少なくするように」とか「何とか景気の落ち込みを避けるために」とかいった、何か国民の皆様に「ご迷惑」なことをやるのだからといった意識が見えてきます。

 現場が混乱・迷惑し増税の効果を減殺する軽減税率の導入、安倍総理の景気冷え込み対策の指示など、やりたくないことを無理してやっているのだからという感じで受け取られることばかりです。

 しかし消費税増税の本来の目的を考えれば、国民が安心して生活できるような日本社会を創るために増税をするのでしょう。安倍総理の言う、全世代型社会保障を実現するための第一歩としてやるのでしょう。なぜ国民に気兼ねすのか解りません。

 すでに全国知事会は10%への増税の確実な実施を求めると提言しています。このほうが国民の声に近いのではないでしょうか。
 前回も書きましたが、政府が国民に明示すべきは消費増税による税収分は全額社会保障のために支出するという明確な発言そして予算案での解り易い説明です。

 これをきちんとやれば、国民の負担した増税分は確実に社会保障の充実という形で国民に還元されることがハッキリします。国民が使うか、政府が使うかは違いますが、使われるカネは同額です。そして、政府が使った場合、それは社会保障に限られます。
 
 社会保障費は振替所得と言われます。例えは悪いかもしれませんが、競馬や競輪、パチンコやゲームセンター、将来はカジノでギャンブルに使われるかもしれないお金が消費税というシステムを通じて、社会保障に使われるというのが本来の振替所得の趣旨です。

 何で政府は及び腰になるのでしょうか。消費税増税による駆け込み需要、増税後の需要の低下は、2、3年を均せばどうという事ではないと解っています。今、消費税が8%で消費が冷え込んでいるのは、消費税のせいではなくて、社会保障への不信感からくる将来不安が原因でしょう。

 政府は、明確に「社会保障への信頼を取り戻すために消費税を増税するのです」と胸を張って言えばいいのです。賢明な日本国民は理解するでしょう。

 もし国民が理解しないとすれば、それは、消費税負担増が全額社会保障に回らず、政府の都合の良いように使われるのではないか、どこかで国民が損するのではないかといった 政府への信頼の欠如のせいかもしれません。

 もしそうなら、この問題は、軽減税率などで糊塗出来る問題ではありません。これまでの安倍政権の国民に対する態度の反映と受け取るべきでしょう。
 その意味では、今回は、安倍政権の信頼を取り戻すチャンスかもしれません。

消費増税分は全額社会保障へ:税・社会保障一体改革の理念追求

2018年10月15日 17時04分14秒 | 政治
消費増税分は全額社会保障へ:税・社会保障一体改革の理念追求
 8%から10%への消費税増税もあと1年弱に迫りました。安倍さんはもうこれ以上先伸ばしは出来ないという状況で準備に入る気になったようですが、増税で人気が落ちるのが矢張り怖いのでしょう、影響を小さくすることばかりお考えのようです。

 もともと、公明党の主張に従って、生活必需品などについては「軽減税率」を適用するという方針のようですが、今回は小規模店舗のキャッシュレス決済について消費者に2%還元すれば、その費用を補助するのだそうです。

 キャッシュレスというのは店にとって便利でコスト削減になるから値引きをするので、なぜ政府がその費用を負担するのか良く解りません。
 以前からコンビニ弁当を持ち帰れば税率は8%、中で食べれば10%、何で違うか解らないなどと言われたりしていますが、解りにくさは税金の大敵です。

 こうした訳の分からないことが起きるのも、「軽減税率」という当然に不規則性が含まれることになるものを、人気取りのために持ち込もうとすることが根本原因なのです。

 本来、税と社会保障の一体改革の理念は、消費増税分はもっぱら社会保障に使うという事だったはずです。
 これは極めて重要なことで、格差社会化を防止し、 資本主義の中身をより良いものにするための知恵の一環だからこそ国民も受け入れるのでしょう。

 勿論、格差は社会化の阻止のためには、所得税の累進税率の在り方や、相続税の在り方など種々の方法はありますが、消費税(国際的には付加価値税といったほうがいいでしょう)は誰にも非常に解り易く、負担はある意味で一律公平というメリットがあります。

一部に消費税は逆進的という意見もあります。しかしそれは消費税の使途、使い方次第で、解決できる問題です。
国民にとって、消費増税分を全て社会保障の財源にするという理念は納得性もあり、税収増とそれによる社会保障の充実の関係が国民に解り易く説明できるという素晴らしい特性を持っているのです。

 折角こうした特徴を持つ消費税の導入であるのに拘わらず、わざわざ税収の総額をわかりにくくし、ビジネスの現場を混乱させ、余計なコストをかけ、結果的に税収を減らして、社会保障充実の原資を少なくするのが軽減税率です。

 こうした政策を取るのも、与党として、消費税増税で人気を落とすことを少しでも食い止めようという、まさに姑息な思考回路によるものでしょう。
 でなければ、税収の計算をわかりにくくし、全額社会保障という公約への違反を、国民に解りにくくするためでしょうか(小規模店舗への補助の財源は何処から?)。

 取るべきものはきちんと取り、2%の増税でこれこれの増収(国民所得統計の消費支出に2%を掛ければ誰でも計算できます。)になりますから、それを全額社会保障の改善に「このように」使いますと、解り易く国民に説明してほしいと思います。

ついでに、増収分は全部政府が社会保障支出として使いますから、その分家計の負担(医療、年金、介護、育児、公教育などへの支出)は軽減され、 経済には±0で、悪影響はありませんという説明でも付け加えたらどうでしょうか。

 先ずはキチンと財政再建への一歩を踏み出すこと、そして日本の社会をより健全で暮らしやすくするための消費税増税だという事を国民に解り易く説明して、国民がそれならやって下さいというような状況を作り出すことが先決でしょうか。

労働力不足:外国人頼みでいいのか

2018年10月13日 21時43分01秒 | 労働
労働力不足:外国人頼みでいいのか
 政府は人手不足の緩和のために、外国人労働力の導入を進めようとしているようです。産業界の中にも賛成の所は多いようです。

 日本はこれまで外国人の出入国には、国際的に見てもかなり厳格で、マスコミや識者、評論家の中には、日本の国際化の遅れを指摘する人は少なくありません。
 特に最近は、少子高齢化の進行、景気回復に伴う労働力不足の深刻化といった国内事情、外からは安全性や住みやすさ、賃金水準、技能習得などから日本行きを望む外国人の増加など、いくつもの要因が重なって、外国人の受け入れに積極的な意見が多くなっています。

 国際的にも、トランプさんのメキシコ国境の壁建設ではありませんが、外国人の流入阻止といった意見はどちらかというと評判が悪いというが現状ではないでしょうか。

 確かに人類皆兄弟で、好きな国で暮らせるというのは理想かもしれませんが、そうした理想論とは別に、外国人の流入に対する深刻な本音も見えるのが、今日のヨーロッパの移民・難民の受け入れに反対する国民意識です。

 一体この問題はどう考えたらいいのでしょうか。大変難しい問題ですが、矢張り本当はこう考えるべきではないかといった、地球市民に共通した考え方があってもいいのではないかと考えてしまいます。

 この問題には文化的側面と経済的側面の両方があるように思います。
 アメリカを例に取れば、戦後、世界人類社会の理想を掲げて民主政治を柱に、経済は自由主義市場経済を謳い、国際的ガバナンスを目指す国連、傘下にユネスコをはじめとする多くの国際機関、経済ではブレトンウッズ体制、世銀、IMF、GATTなどの活動に全面的にイニシアチブをとった時代から、今、アメリカ・ファースト、国際機関嫌い、多国間協定より二国間交渉といった内向き姿勢への大きな変化の背後に、アメリカの積極的な移民政策が関係あったのかなかったのか、検討してみる必要もあるのではないでしょうか。

 文化的側面から見れば、国としての文化のレベルを上げることは至上命題でしょうし、経済的に見れば、健全経済を維持して経済成長を目指すことは必須でしょう。
 こうした国として目指す目標と、労働力や移民の受け入れという問題が、いかなる場合に成功体験となり、いかなる場合に失敗に陥るのか、地球人類社会の総体としての発展のために十分な検討が必要のように思われます。

 人間が職に就き、技能を身に着け、それによって生活を支えるというプロセスには長い時間を要します。国際協力から考えれば、受け入れ国の短期的な事情で簡単に決められる問題ではなさそうです。
 例えばドイツでも、成功と失敗の経験を持っていますし、日本でもすでに、そうした経験はしているはずです。

 現在の日本での、人手不足だから外国人労働力をという発想は解りますが、それは裏返せが、不況になったらご帰国をお願いしますという事にほかなりません。こうした労働力の国際移動は受け入れ国の都合次第でいいのでしょうか。
 
 願わくば、相手国と日本、来日労働者と日本企業とがwin=winの関係になるにはいかなる条件が必要か、十分な検討が必要で、拙速は将来に禍根を残すようにも感じます。
 統計では日本の労働生産性はOECD加盟企業の中でも随分低いようです。生産性を上げることで労働力不足を解消する余地は大きいという事にもなるでしょう。
 
 日本としては、出来れば、自国の事情優先ではなく、相手国への経済協力、貢献を重視した政策を長期的視点で確りと考え、長い目で見て相手国からも、受け入れ労働者からも喜ばれるような政策を考えてほしいと思う所です。
 政府は人手不足の緩和のために、外国人労働力の導入を進めようとしているようです。産業界の中にも賛成の所は多いようです。

 日本はこれまで外国人の出入国には、国際的に見てもかなり厳格で、マスコミや識者、評論家の中には、日本の国際化の遅れを指摘する人は少なくありません。
 特に最近は、少子高齢化の進行、景気回復に伴う労働力不足の深刻化といった国内事情、外からは安全性や住みやすさ、賃金水準、技能習得などから日本行きを望む外国人の増加など、いくつもの要因が重なって、外国人の受け入れに積極的な意見が多くなっています。

 国際的にも、トランプさんのメキシコ国境の壁建設ではありませんが、外国人の流入阻止といった意見はどちらかというと評判が悪いというが現状ではないでしょうか。

 確かに人類皆兄弟で、好きな国で暮らせるというのは理想かもしれませんが、そうした理想論とは別に、外国人の流入に対する深刻な本音も見えるのが、今日のヨーロッパの移民・難民の受け入れに反対する国民意識です。

 一体この問題はどう考えたらいいのでしょうか。大変難しい問題ですが、矢張り本当はこう考えるべきではないかといった、地球市民に共通した考え方があってもいいのではないかと考えてしまいます。

 この問題には文化的側面と経済的側面の両方があるように思います。
 アメリカを例に取れば、戦後、世界人類社会の理想を掲げて民主政治を柱に、経済は自由主義市場経済を謳い、国際的ガバナンスを目指す国連、傘下にユネスコをはじめとする多くの国際機関、経済ではブレトンウッズ体制、世銀、IMF、GATTなどの活動に全面的にイニシアチブをとった時代から、今、アメリカ・ファースト、国際機関嫌い、多国間協定より二国間交渉といった内向き姿勢への大きな変化の背後に、アメリカの積極的な移民政策が関係あったのかなかったのか、検討してみる必要もあるのではないでしょうか。

 文化的側面から見れば、国としての文化のレベルを上げることは至上命題でしょうし、経済的に見れば、健全経済を維持して経済成長を目指すことは必須でしょう。
 こうした国として目指す目標と、労働力や移民の受け入れという問題が、いかなる場合に成功体験となり、いかなる場合に失敗に陥るのか、地球人類社会の総体としての発展のために十分な検討が必要のように思われます。

 人間が職に就き、技能を身に着け、それによって生活を支えるというプロセスには長い時間を要します。国際協力から考えれば、受け入れ国の短期的な事情で簡単に決められる問題ではなさそうです。
 例えばドイツでも、成功と失敗の経験を持っていますし、日本でもすでに、そうした経験はしているはずです。

 現在の日本での、人手不足だから外国人労働力をという発想は解りますが、それは裏返せが、不況になったらご帰国をお願いしますという事にほかなりません。こうした労働力の国際移動は受け入れ国の都合次第でいいのでしょうか。
 
 願わくば、相手国と日本、来日労働者と日本企業とがwin=winの関係になるにはいかなる条件が必要か、十分な検討が必要で、拙速は将来に禍根を残すようにも感じます。
 統計では日本の労働生産性はOECD加盟企業の中でも随分低いようです。生産性を上げることで労働力不足を解消する余地は大きいという事にもなるでしょう。
 
 日本としては、出来れば、自国の事情優先ではなく、相手国への経済協力、貢献を重視した政策を長期的視点で確りと考え、長い目で見て相手国からも、受け入れ労働者からも喜ばれるような政策を考えてほしいと思う所です。