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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

官製インフレーション継続の影響は?

2025年04月19日 14時34分56秒 | 経済

<グラフ挿入せず失礼しました。挿入しました>

昨日、総務省統計局から2025年3月の消費者物価指数が発表になりました併せて、2024年度の消費者物価指数も発表になっています。

マスコミも、消費者物価指数の上昇には警戒感が強く27年度は2.7%、3年連続2%越えでインフレ傾向の継続懸念もあり、特に3月時点のコメの価格上昇の92.1%を見出しにするものも多く見られました。

コメは日本人の主食で、値上がりしても買わなければならない必需品です。その米が、平年作の中で1年間近く連続でで価格上昇続け、政府の対策は半年遅れで備蓄米の遠慮がちな放出という生半可なもので、現在の価格上昇は2倍を超えているという惨状です。

先ず、年度末3月の消費者物価指数の原数字を見てみましょう。

先の2月には青線(総合)と赤線(生鮮食品を除く総合)は下がっていますが、これは政府の電力、ガスの補助金のせいで自然の物価変動ではありません。生鮮とエネルギーを除いた緑線は上昇を続けていました。

補助金の打ち切られた3月は3本の線が揃って上昇で、政府の政策がなければ、消費者物価指数は基本的に上昇傾向にあることになります。

3月に上昇(対前年比)が大きかったものは、統計局の例示では、まだ下がりきらないキャベツ126%を筆頭に生鮮野菜ですが、その後野菜は下がってきているようで、我が家で購入するトマトやキュウリは、規格外ならプラス1個、1本になったりしています。うるち米66%は、現在の店頭で100%を超えています。そのほか生鮮果物、チョコレートなどの菓子、飲料、補助金の切れた電気ガス、といったところです。

この辺りを、さらに対前年同月比の動きで見ますと、生鮮野菜などの急騰で大きく上がっていた青線の「総合」が上昇率を下げて来たのが特徴的です。

マーケットに任せておけば、不足して値上がりしたものは、生産が順調になれば下がるのが普通で、生鮮野菜などは当分下げ続けるでしょう。赤線の「生鮮食品を除く総合」は生鮮食品の値下がりが含まれていませんから電気・ガスの補助金ストップとお米の値上がりで反転上昇です。

緑の線「生鮮とエネルギーを除く総合」は電気・ガス料金の値上がりが含まれていませんが、お米の値上がり、関連する寿司やおにぎり、お弁当などの値上がりや誘発値上げ(便乗値上げ)もあるのでしょうか急上昇に転じ、昨年7月の1.9%から2.9%への上昇です。

これはまさに自家製インフレで、生鮮食品も原油価格も内外で物価が下げてくる中で国産のコメだけ平年作の中で1年2倍上昇という異常事態です。

こんなことは通常の経済活動の中では起き得ない事です。米価は国策で決まるものですから、政府が認めているか主導しているのでしょう。

備蓄米の放出も値下がりを期待する量ではなく、今朝のニュースでは3月中に小売店に届いたのは放出量の0.3%と農水省自身の報告で、種々手間がかかったとの弁明です。先行き大幅に値段がさがることは、農水省の最も恐れるところの様な気がします。

何か大きな違和感を感じさせる米価ですが、今回の米価問題が実質賃金の動向も含め日本経済に与える負の影響が懸念されるところです。


ガソリンの価格は下がりそうですが

2025年04月17日 15時37分06秒 | 経済

未だ時間のある参院選挙ですが、国家予算を使うバラマキで、国民の支持を得ようとしているのではないかと思われる動きが政権内にちらほらです。

一方、森永さんの『ザイム真理教』の人気があるせいか、財務省は財政均衡主義を頑なに信じて、融通が利かなくて、日本経済を低迷させていると思い込んでいる人が多いようです。

黒田日銀が実験したようにお金をじゃぶじゃぶにしても、安倍総理がコロナで一人10万円バラマイても、消費は伸びませんでした。国民が将来を安心しないと消費は伸びません。

先日は、本予算が通ったばかりなのに、補正予算を組んで1人5万円の給付をしようという話があって、そんなことをするよりコメ価格を元の値段、5キロ2000円下がるぐらい備蓄米を放出して、これから米価は下がりますから、在庫をお持ちの向きは「早く売らないと損しますよ」と政府が言えば、赤字国債を発行して無理してカネを出さずに、国民はもっと安心するのではないですかと書きました。

今度も、バラマキ関連の話ですが、政府はガソリンの補助金を何とか継続して国民に喜んでもらいたいという事のようですが、世界の情勢を見れば、原油価格は今後は更に下がる見通しで、その上に、トランプ関税の影響もあり、じりじりと円高は進むというのが確実な情勢です。放っておいてもガソリンの価下がって来る事になるでしょう。

そんな折に、ガソリン元売り企業に補助金を出すというのは、雨模様なのに、植木に水をやりましょうみたいな話で、どうにも辻褄の合わないバラマキかミズマキになりそうなので「おやめになった方がいいのではないですか」と申し上げなければと思った次第です。

ここからは蛇足ですが、大蔵法、今の財務省は、本当に必要な時に赤字でも財政支出をという形で、本当に効果のある財政政策をとるのであれば国民は安心して信用するでしょう。

しかし、当面の人気取りで安易にバラマキ財政をやれば、国民は、自分たちの老後はどうか、子供の代は、孫の代はと心配して消費を抑え貯蓄をします。

その結果、消費は伸びず、経済は成長しません。国民は更に心配になって将来に備えます。このところの日本経済はこんな悪循環でしょう。

幟を立てて財務省の前でデモをする人達もおられますが、そうした光景をテレビで見て、財務省に押しかけても、何も変わらないだろうと思います。

バラマキをすれば得票が増えると考える政権があって、呉れるものなら貰っておこうという国民が居て、何となく回っている日本経済です。

それでも海外からは信用があるのは、日本経済は堅実で、黒字国で、国民は真面目で、戦争をしない平和な国というイメージだからでしょう。

折角そう思われて信用されている日本です。もう少し何とかならないでしょうか。

アメリカが、赤字の果てに世界を困らせている中で、日本は何をしたらいいのでしょうか。これは日本の主権者「選挙権を持つ国民」の問題です。


独裁者の誤謬と国民の損失

2025年04月12日 14時22分20秒 | 経済

バイデン前政権の国務長官を務め、アメリカが世界から信頼されるようにと東奔西走したアントニー・ブリンケン氏がCNBCのインタビューに答えて「米国が世界と対立しているように見える。『米国第一主義』から『米国単独主義』へ向かっている」と懸念を示したとのことです。

アメリカの良識を代表するような言葉を聞いて、未だアメリカは大丈夫という安心感とともに、「トランプのアメリか」に強い危機感を持ったところです。

この所の「トランプのアメリカ」を見ていると、やっぱりトランプさんは独裁者を目指しているという感じをますます強くするところです。

差し当たっては、トランプさんは「戦争の嫌いな独裁者」という事で通るかもしれませんが、何でも力で押し通そうとするのが独裁者の本性ですから、経済的な力で足りなくなると必ず軍事力の活用となるのが世の習いです。

その話は別として、このブログでも既に「アメリカ・パッシング」の可能性に触れましたが、その動きはこの所種々見えてきています。

一番大きな動きは中国の、「関税戦争から降りる」という意思表示でしょう。これ以上関税の掛け合いをしても経済交流が止まるだけの話ですから、中国はもうアメリカを相手にしないという事です。

はっきり言えば、世界にアメリカが無くても中国はやっていきますという事でしょう。その裏には、それでアメリカ困るのであればどうぞお困り下さいという皮肉が見えています。(EVテスラは? イーロン・マスクさんは?)

アジア諸国でも、アメリカを諦めて、中國やインド、人口が多く、今後経済発展が期待できる国に主要な視点を転換していく動きが活発化するようです。

その結果、何が見えて来るかと言いますと、トランプさんは、世界中がアメリカにモノを売って儲けて、アメリカは損ばかりしていると言っていますが、本当は、アメリカ企業も、海外進出で随分得をしていたという現実でしょう。

トランプさんは、やっぱり独裁者ですから、広い知見を集めベストの進路を選ぶのではなく、「アメリカは損ばかり」という自分の誤った被害者意識をアメリカ中に振りまき、人間の持つ被害者意識を利用して選挙に勝ったという事で、これは独裁者(ヒットラー、プーチン、かつての日本の軍部・・)に共通な現象(政策)です。

アメリカの過半数の人たちが、アメリカに被害を齎すのはトランプさんだったと解らないと、このまま、アメリカは世界からパスされてしまう事になりかねません。  

前回のトランプ政権の時、アメリかは自分から言い出したTTPを離脱しました。その時、このブログではRCEPの重要性を書いています。

経済活動というのは、長い目で見れば、より良い経済社会を作るように作用しているようです。それを大事な事と考えねばならないようです

アダム・スミスの「神の見えざる手」(プライス・メカニズム)、同じアダム・スミスの「道徳感情論」、日本では、渋沢栄一の「論語と算盤」の思想が正しい事を示しているのでしょう。  

独裁者は強い偏見の中で誤りを犯します。権力という魔力がそれを支えます。

今の自由世界の経済関係の混乱が、アメリカ・パッシングに進んでいくのか、それともアメリカが覇権国家。基軸通貨国を維持するのかは、アメリカが民主的なリーダーを持つかどうかによるのではないでしょうか。

そうなるかどうか、それを決められるのは、アメリカ国民だけなのです。 


円高への対応が重要な時代に

2025年04月11日 17時19分38秒 | 経済

トランプさんの相互関税の発動が90日延期されました。延期された理由は、発動された途端に株価や債券価格が暴落したことでしょう。 

ここまで酷い事になるとはトランプさんも予想しなかったのでしょうか。半日ちょっとで、90日の延期を決めるというのは、当然「読みが浅かった」という事でしょうが、まずいことになった時はすぐに決断して対策をとる人だという事が解ったという事でしょう。

しかし延ばすだけで辞めるわけではありません。自説は最後まで押し通そうとするのでしょう。

そして多分今度は、為替レートとの組み合わせを考えるでしょう。すでに、相互関税の検討中も為替レートの活用にも触れていました。 

基本的には関税10%引き上げも、ドルの10%切り下げも、効果は似たようなものですが、アメリカは為替操作は怪しからんと言っていますし、ドルを切り下げるのはアメリカの沽券に関わるという事でしょう。

しかし、為替レートが金利政策で動くことは変え意見敵も知っているはずですから、為替操作は、政策金利の変更という形でしょう。

具体的には、アメリカの消費者物価指数が安定してきていますからFRBが政策金利を下げると言えば、ドル安です。

日本との貿易赤字が増えたのは、アメリカがインフレで金利を上げたのも原因です。日本は金利を上げませんから、それで大幅に円安が進んで、それに、マネーゲームが絡んだからです。結果は下のグラフです。

勿論これは日本のせいではなくアメリカの金利引き上げのせいです。アメリカの財務長官のベッセントさんは、日本が円安の行き過ぎをとめるために為替介入をするのは結構だと為替介入にも容認姿勢です。

その上に、日本経済は強く、インフレ気味でもあるから、今後金利を引き上げることも考えられ、その場合は円高になるだろうと、日本の進む方向を示唆するような発言もしています。

大変率直で結構ですが、これは多分、日本にはこれから金利引き上げをきちんとやって円高に持っていくようにしてほしいという要請と受け取るのが妥当なのでしょう。

では、そうした要請に日本はどう対応するかです。日本としては、日本経済の合理的で健全な進路を見定めながら、その範囲内で、金利の正常化(引き上げ)、円高の実現を適時、適切な範囲で進め、アメリカに貸しを作るぐらいの対応をすべきでしょう。

どこまでの円高が容認の範囲かという事は、その時点での判断によるでしょうが、上のグラフから見れば110円でも日本は頑張れるようです。

円高は輸入部門を潤し、物価を下げる効果がありますから、それを国民に解るように説明し、適切な対応策を取り、活用することが大事でしょう。

勿論、生産性を上げて、円高の負担の吸収を産業界に要請することも必要でしょう。その努力の成果は統計上では実質経済成長率に現れます。

勿論その先には1ドル=100円も視野に入り、戦争をしない安全な 国である「日本」の通貨が基軸通貨に最適,などという議論の可能性も出て来そうです。そろそろ日本も少し頑張ってみましょう。


チューリップ満開、原種も負けじと

2025年04月09日 11時59分41秒 | 経済

今日は、トランプ関税発動の日です。トランプさんのお蔭で世界中大混乱ですが、トランプ流のディールは先ずは怖い顔、厳しい条件で驚かせ、後からは多少緩和して喜ばせて纏めようという事のようです。次第に落ち着くところに落ち着くと思ってお付き合いしましょう。本当の結果が出るまでには少し時間がかかるでしょう。

そんな気持ちで、少し余裕を持ちながら、のんびりと、奇麗に開いたチューリップの花々をご覧頂ければと思っています。

昨年12月、ガチャで80球2500円ほどで買って、狭い庭の例年の場所に3列に植えたチューリップが、2~3日前から開き始め、今日あたりが満開のようです。

リュウキンカから貝母、ハナニラ、チューリップそして、白雪ゲシ、ツリガネスイセン、モッコウバラ、アケボノツツジ、オオムラサキと連休明けまで、狭い庭は「花いっぱい運動」の実践をしてきた家内の積上げた成果で、まさに花盛りとなります。

チューリップの場所は狭い庭でも最も日当たりのよい所ですから、歌の文句通りの「昼はお日様お成り道」で、今日はこんな具合です。

80球をびっしり植えますので花が開くと重なり合ってきます。下にびっしりの葉はリュウキンカの葉で、花も咲いています。

写真写りは赤い花の方がいいようです。

これは、今、一般的なチューリップですが、東側の窓の下には「原種のチューリップ」が咲いています。原種でも、チューリップですから咲く時期は∨字なのでしょう。花弁には外側に赤い帯がありに來田内側は真っ白です。葉の形は全く違います。花(鼻)の下が長いのは同じです。

 


1月、2月(2025年)実質賃金低下続く

2025年04月08日 12時31分32秒 | 経済

昨日、厚労省から2月分の毎月勤労統計が発表になりました。

毎月注目される実質賃金の動向ですが、1月に続いて2月も前年同月比でマイナスになってしまってしまいました。

実質経済成長率が殆んどゼロですから、実質賃金が上がらないのも仕方ないという見方もありますが、今の日本経済は消費不況というのが政府にも家計にも共通の認識で、家計の消費支出が増えなければ経済成長しない、つまり家計消費の伸びで経済成長を引っ張るというのが、景気回復,経済成長の牽引力として必要という状態ですから、そのためには先ずは家計の収入である賃金が上昇し、その上昇レベルが物価上昇率を越えて、実質賃金が昨年より上昇する事が、いわば必須の条件なのです。

皆様ご記憶のように昨年の5月まで連続25か月の実質賃金低下という不名誉な記録を持つ日本経済が、6月に至ってボーナスが良かったものでプラスに転じましたが、その後もボーナス月以外はマイナスになってしまうといった情けない状態です。グラフにすればこんな状態です。

                                            資料:厚労省「毎月勤労統計」

2月の数字を見てみますと対前年上昇率で、

現金給与総額上昇率(名目) 3.1%

消費者物価指数上昇率    4.3%

実質賃金上昇率      -1.2% 

という事になっています。

ご承知のように、昨年の春闘は、33年ぶりの高い賃上げ率(5%台)と言われましたが、春闘の賃上げ率は必ずしも毎月勤労統計の全国平均の賃金上昇率とは違って、およそ2%ぐらいのマイナスです。

一方、消費者物価指数の動きについては、毎月発表の都度このブログでは取り上げてきていますが、2022~23年からの生活必需品中心の値上げの波が昨年夏には沈静化し、日銀も物価安定と見ていましたが、その後コメの価格の異常な値上がりが起き、それに悪天候による生鮮食品の大幅値上がりがあって、2%近くまで下がった消費者物価が4%辺りまで上がって来てしまいました。

この所生鮮野菜などの価格は落ち着いてきたようですが、コメの値上がりは止まりません。

コメの値段は政府次第ですが、政府はコメに関する限り値下げの意向はないようで、今後も値下がりは期待出来ません。

コメの値上がりは、おにぎりやお弁当、お寿司などに波及しますし、コメの値段の2倍がOKならば、という事で物価全体への影響も考えられ、これではと家計消費は生活防衛で節約志向が強まる可能性もあります。

今年の春闘はまだ進行中ですが、昨年より高くなると見られています。但し、トランプ関税で世界経済から日本経済まで打撃が深刻という事になりそうで、予断を許しません。

大変まずい時期にコメの値上げを起こした元凶は糾弾されるべきでしょうが、外ではトランプ関税で世界経済混乱、国内では消費者物価上昇の心配と、日本経済の順調な回復は、困難を増すのではないかと心配です。


トランプ関税政策の失敗は明らか

2025年04月05日 21時30分17秒 | 経済

トランプさんの思い付きの政策が失敗するのを高見の見物といった立場で見て来ていましたが、事ここに至っては、もう高見の見物では済まされないことになりそうです。

日本は、国民が頑張り屋ですから、ある程度の問題が起きても、何とか自力で頑張り切れるという力があるかもしれませんが、世界一律に、経済理論から考えても成功の可能性のないことをやってしまうとそれこそ収拾のつかなくなっていく懸念の方が大きくなってきました。

元々、多分トランプさんのとんだ勘違いから生まれたであろう政策を、本気で推し進めることになりますから、先ずは、株価が示すように、アメリカ自体も大変です。

アメリか経済が上手くいかなくなってしまいますと、自由世界は大迷惑で、勿論中国も、さっそく猛反発ですから、プーチンさんの思う壺のようなことになりかねません。

アメリカの貿易赤字分を関税で埋めるといった単純な計算でアメリカの赤字がなくなるのるわけではありません。トランプさんは、関税を掛ければ、その分はアメリカの収入になるという勘違いをしているようなので、そんな事にはなりませんとトランプさんにしっかり教えないといけないようです。

もとはと言えば、トランプさんが、世界中がアメリカにものを売って儲け、アメリカは損ばかりしていると国民に被害者意識を植え付けたことが始まりです。しかしそれは、アメリカの企業が、国内で作れば高いものを、海外で安く作って、輸入する事も含めて、例えば、アメリカ人は、安くて良い車に乗れたという事でもあるのですsから感謝すべきでしょう。

自分たちで作れば、汗水たらして働いて、結果は値段の高い車に乗ることになるのです。それより、海外に企業進出して、安い労働力を使って、利益を上げ、さらにはマネーゲームで世界の金を集める方がずっと儲かるというのでそうやって来たのでしょう。

関税をかけるという事は、外国製品が高くなり、輸出入量は減って、経済は停滞、関税はアメリの消費者が払うので、アメリカ政府の税収は増えても、アメリカの消費者は、関税インフレに悩むことになるのが結果でしょう。

アメリカの貿易収支が黒字になるためには、アメリカの製造業が、アメリカ農業のように、国際的にみて安価な生産物(穀物・飼料)を作るか、戦後のように高くてもアメリカにしか出来ないものを作るかという、アメリカ人の働き直しが出来た時に可能になるのです。

トランプさんがいくら関税をかけても、それだけではアメリカの鉄鋼業や自動車産業は復活しないのです。(日鉄のように復活の手伝いをしようという親切な企業もあります)

アメリカの人たちが、「トランプさんの言うようにはならない」と解るまで放置したら、アメリカも世界も大変なことになりますから、沢山いるノーベル賞級の経済専門家が(クルーグマン氏がいいはじめていますが)、早くアメリカ国民に本当のことを教えて、方向転換をしないと、トランプさんの常套語のように「恐ろしいことになる」と言わなければならないのではないでしょうか。  

 


消費者物価上昇の波再び:原因の見定めが重要

2025年04月01日 22時20分37秒 | 経済

今日は4月1日、エイプリル・フールです。マスコミによれば、今日から値上げされる日用品などの品目が何千点かあるそうで、これは本当のようです。

家内が「トイレットペーパーが値上げのようですから、少し買っておきますか」といいますので「買いだめは、しない方がいいようですよ」などと言いながら、思い出したのは1973年秋の石油危機です。

あのときは石油が来なくなりそうだという事で洗剤とトイレペーパーのパニックが起きて日本中大騒ぎでした。

早速、洗剤についてもネットで見ましたら台所やトイレタリーの洗剤類も値上げするようでした。

現象は同じでも、原因は大分違いますから、石油危機の時のような事はないでしょうが、昨年になって安定してきた物価、それを契機に日銀も金融政策の正常化を進めようと動き始めたところです。さて、どういう事になるのかと心配です。 

今回のインフレは2022年から23年にかけて起きた生活必需品の波状的一斉値上げの繰り返しのような感じです。

2020年から21年にかけてコロナ禍による巣ごもり状態の中で消費は減り、消費者物価はずっと下がり気味でした。

この現象は特に生活必需品で著しく、消費縮小と、価格低下で関連企業は大変だったようです.

2022年に入りコロナ明けが見え、消費回復とともに生活必需品部門では、輸入原材料価格や人件費コストの上昇による収益低下を取り戻そうとしました。それが2022年~23年の消費者物価上昇の波でしょう。23年秋辺りで、この値上げは一巡、23年夏にほぼ終わったようです。

日銀はそこで金利引き上げに動きました。その動きを少し早めようというとき新たな問題が起きたようです。

それは2024年から春闘が活発化したこと、加えて円安が進んだことで輸入コストの上昇が顕著になったことです。

政府は補助金などの手を打ちましたが、期限が来れば効果は消えます。さらに中小企業支援、下請け価格の見直しで原材料、人件費のコスト上昇の価格転嫁を進める政策が進められ、今度は長期不況で生じた種々の歪み是正の動きが出て来たようです。

結果的に、消費者物価は再度上昇に転じることになりました。名目賃金は上がっても、実質賃金の低下が続く状態があまり改善しないのです。

最大の原因は、実質経済成長が、相変わらずゼロ近傍で、賃上げで消費需要を活発化し、消費主導の経済成長をという政府の思惑は挫折の間です。

こんな中でさらに賃上げをしいくと、「ゼロサム経済の中の分配問題」、経済成長の無い中で賃金インフレということになり、日銀が考えていた、物価が安定したら(インフレ目標2%)、金利正常化というのではなく、ゼロ成長の中で賃金インフレ防止のために金利をどうするかという予想外の事態になりそうです。

その上に、問題が重なりました。

米価が2倍になったのです。農水省も政府も殆んど放置です。農業は大事ですが、生産性の上がらないコメ作りを続けながら、価格の引き上げで対応するというのは、ゼロ成長の中で賃上げや価格転嫁を奨励するのと同じで、経済合理性を見出しようのない経済政策という事になりそうです。

特に米価の値上げを容認したことは、今後、種々の物価上昇を誘発する危険が大きいでしょう。こんな事では、これからの物価と経済の関係が心配です。


経済のベース「信用」は信用出来るか

2025年03月26日 14時07分47秒 | 経済

今や、経済のベースは「信用」です。信用は英語ではCREDITで、プラスの残高という事です。反対の英語ではDEBITでマイナスの残高ですから借金です。

単純に言えばCREDITが沢山あれば信用があるという事になります。1960年代まではドルが金本位制を採っていましたから。金が経済のベースでした。理由は金は貴重であり、さびないから減ることはない、これを価値の基準にして経済活動をすれば間違いはないう事だったのでしょう。

考えてみればこれも信用です。金に対する絶対的な信用があったからです。その頃も頭のいい人がいて、働いて「金」をためるより「金」を創ればその方が早いと考えて「錬金術」で金を作ろうと試みています。結果は当然失敗で、金は出来ずに、やっと出来たのは真鍮でした。

嘗て、アメリカは金を沢山持っているという事で、「ドルの金兌換制度」ドルの信用」を維持したのですが、段々「金」が足りなくなって、信用がなくなり「ドル」の価値を金から切り離しても、「アメリカ経済」への信用でドルの価値を何とか維持するという事にしたのが1971年で、世界の基軸通貨ドルは、アメリカ経済の「信用」で支えられ、各国通貨はその国の経済の「信用」のドルとの比較で決まるという「変動相場制」になりました。   

今では通貨は金でも紙幣やコインでもなく殆んどがネット上の「信用の残高」という事になっています。

ですから、「信用の残高」は、その国の経済活動の価値と見合ったものでないといけないはずです。

では「信用」は誰が創り出すのかと言いますと、ある銀行があり企業のプロジェクトに100億円の融資をした場合、融資を受けた企業の預金残高が100億円増えます。これは「信用」の創造です。銀行はつぶれない、プロジェクトは成功するという信用が「信用」を生むのです。

ある会社の株が上がれば、その会社の株を持っている人の資産残高は増え、それも「信用」の創造です。土地の値上がりでも同様です。

解り易いのは企業の「時価総額」でしょう、企業の実績や、その企業への期待が「信用」を創出するのです。時価総額最大を目指す経営者は大勢います。

経済が成長し、種々の信用創出の大きい国の貨幣価値は上がり、その国の通貨を持っている人の資産は国際的には増えるのです。(但し、国内では変わりません。)

今日の経済価値のベースである「信用」というのは、そのようなもので、やはり信用ですから「人の判断」で決まるのです。

典型的なものはビットコインの様な仮想通貨(暗号資産)です。これこそ信用で成り立つ経済価値です。「金」や実体経済活動とは関係ないのです。まさにマネーゲーム専用の通貨という事でしょう。

事程左様に、今日の経済は「信用」の上に成り立っています。この「信用」は、人が信用するから成り立つのです。

実体経済の活動でなく、信用そのものを証券や債券という形で取引して、経済価値を移動させるのがマネー経済で、これをうまく活用すれば、実体経済の潤滑油にもなりますし、失敗すると金融恐慌にもなります。

この信用経済を、実体経済に絡めて、いかに正しく、上手に活用するかが、一国経済、企業経営、家庭生活を決めるのですから、信用できる信用と、そうでない信用を確り見分けなければならないのです。

我々は大変な世の中に住んでいるという事になります。いずれにしても、信用を大事にすることを心掛けるようにすることでしょうか。


企業物価は上昇傾向強まるか

2025年03月25日 14時34分15秒 | 経済

日銀はこの所0.5%に誘導した金利水準についてさらなる引き上げは考えていないようです。

消費者物価指数については毎月追ってきていますが、皆様ご懸念のように、お米の価格の異常な値上がりがあり、お米が日本人の主食であるだけに、経済活動においても、心理的にも、物価上昇懸念が強まっているように感じられます。

日銀は、そうした特定物資の値上がりよりも、国際経済環境の中で、日本経済がその構造的、基調的な動きとしてインフレ傾向を示すかどうかが、金利政策の在り方を決めるという立場からでしょう、金利引き上げの必要は未だないという判断なのでしょう。

ただ、この所、日銀が調査している企業物価が上昇基調にあるようで、些か気になりましたので、昨年春まで追いかけていた、輸入物価と企業物価の動きを改めて取り上げてみました。

思い出して頂くために、原油価格の上昇で欧米では8~10%のインフレになった頃からの長期的な動きで見てみました。先ず原指数で見ますと、下のグラフのように輸入物価の影響は日本ではそう大きくなかった事が解ります。これは日本の賃金決定(春闘)があまり輸入価格に影響されないという事を示すようです。

良く見ますと2023年あたり輸入価格が下がっているときは、企業物価も下がり気味でしたが、昨年からは何となく上がってきているのが解ります。

この辺りには、昨年から春闘賃上げも少し高くなり、政府も格差社会化の懸念から下請け代金などで、コスト上昇の価格転嫁を進める動きもあっての事かと思います。

更に昨年夏からはコメの業者間価格が急上昇し、その影響がかなりはっきりと数字に表れることになったようです。勿論原油やLNGの国際価格の動きや、円安の影響など、複数の要因が絡まり合った結果ですから、その辺りは中身に入ってみないと解りませんが、見て頂きますと青い線(輸入物価)が赤い線(企業物価)に影響していることは解ります。

日本の輸入依存度はGDPで1割、企業物価のレベルでは2割ぐらいでしょうから輸入物価の変化は5分の1ぐらいに減衰して企業物価に影響するのでしょうか。

ただ、昨年の夏以降は輸入物価は総じて下げですが企業物価は上がっている様子が下のグラフで分かります。

これには米価の影響がかなりあるようですが、コストの価格転嫁容認の動きの強まりも影響しているようです。

コメの値上がりが止まっても賃金を含むコストの上昇の価格転嫁は今後も進むと思われますので、その辺りの動きは今後も見ていく必要があるのではないかと思うところです。


2月の消費者物価主要3指数はそれぞれの動き

2025年03月21日 14時22分50秒 | 経済

今朝、総務省統計局から2025年2月分の消費者物価指数が発表になりました。マスコミの報道は、対前年度月比3.0の上昇で4カ月ぶりに上昇幅が縮小などといったものが多いようですが、これはいつもの通りの「生鮮食品を除く総合」の数字で、台所を直撃している生鮮食品が除かれている数字です。

ということで、先ず、2月の消費者物価指数の全体像を見ますと、下のグラフのように、「総合」(青線)と「生鮮食品を除く総合」(赤線)は、確かに2月は下がっていますが、日本経済の基本的な動きを示すと言われる「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(緑線)は、2月も上昇です。

大事なことはこうした違いが生じる原因をキチンと見ておく事ではないかという事で、統計数字の中身に入ってを見ますと、下がっている大きな要因は2つあるようです。

1つには、値段が3倍になったというキャベツに代表されるような生鮮食品ですが、キャベツなどの野菜の値段もここにきて下がって来たようです。

1年間の値段が3倍と言われたキャベツが2.7倍ぐらいに下がってきました。天候も回復してくるようですし、生鮮食品は、収穫が増えれば価格は下がりますから、これからは次第に下がって来るでしょう。

2つには、2月に大きく動いているのがエネルギー価格です。家庭が支払う電気ガス料金が大きいのですが、これは、政府の補助金が出て大幅に下がっています。

これは経済現象ではなくて、政府の人気取り政策で、財政の都合によっては打ち切りになることもあるので、予測不能です。

3つ目の「生鮮とエネを除く総合」は、下がらずに上がっています。この原因はコメの異常な値上がりと、それにつれて上る生鮮を除く食品、おにぎり、すし、弁当などが原因のようです。

こうした動きは下のグラフの主要3指数の「対前年上昇率」で確認できます。

天候の加減でこれから下がっていくと思われる生鮮食品と政府の政策で下げたエネルギーの両方が入っている「総合」は最も下げ、生鮮食品は入っていないがエネルギーの入っている「生鮮を除く総合」も下がっていますが、生鮮とエネの両方を除いた「生鮮とエネを除く総合」は逆に上がっています。

ところで、金利政策に関連して、消費者物価指数に常に注目している日銀は、物価は安定と言って金利を据え置いていますが、「生鮮とエネを除く総合」の緑の線は昨年7月の1.9%から今年の2月には2.6%まで0.7ポイントも上がってきています。

コメの値段がどうなるかも含めて、緑の線の動向が今後はますます注目されることになるのではないでしょうか。

 


「独裁を以って独裁を制す」の行方は?

2025年03月20日 15時34分31秒 | 経済

「毒をもって毒を制す」という諺があります。現実の世界でこれが一番活用されているのは「薬」や「医療」の世界ではないかと思います。

放射線にしろ、催眠剤にしろ,鎮痛剤にしろ、使い方によっいぇは人間には毒でしょう。

放射線はまさに核の問題ですが、上手に利用すれば役に立ちます(放射線治療)。原爆の生産・保持は「核抑止力」になります。ただし、絶対使わないことです。

普通の人は、そう考えていますが、プーチンさんのような独裁者になると、威嚇のために使うと言ったりします。独裁者が言えば本気かとも思います。

独裁者は何故そんなこと言うのでしょうか。多分、独裁者は他人の意見を気にせず、何でも自分の思う事を発言し、自分のやりたいことをやれるという自信を持っているからでしょう。 

本当に何でもできるのかは解らないかもしれませんが、本人が出来ると思っているという事は、現実に起きる可能性があるので、周りの人からは、尊敬されたり懼れられたりすることになり、そこに独裁制の成立する可能性が出て来るのでしょう。 

そういう意味で、いま世界でも大きく目立つ独裁者が3人います。五十音順に言えば、トランプさん、ネタニヤフさん、プーチンさんでしょう。

このブログでは、大抵の戦争は独裁者が起こすのが歴史の経験としていますが、確かに、プーチンさんは領土拡大を目指してウクライナに侵攻しました。

ネタニヤフさんは、ハマスがイスラエルを攻撃したことに怒り、ハマスの殲滅を目指し攻撃を続けます。ハマスは人質を確保しで殲滅を免れようと必死です。

トランプさんの立場は些か違います。トランプさんの目標は戦争の終結です。勿論その手法は、かなり独裁的で「私が大統領になれば忽ち片付ける」という豪語を反映するものです。

しかし当初から予想されていたように、トランプさんの構想、その手順が順調に進展することはありませんでした。

これは当然の話で、独裁者は、当然自分の考えに固執します、常に自分の考えが正しいのです。

その点、トランプさんは、独裁的であり乍らも、柔軟でなければなりません。トランプさんはその柔軟性をディールという手段、ビジネス感覚の手段を利用しようとしているようです。

独裁者にビジネス感覚がどう伝わるかは解りません。絶対得だと思わなければ変えないでしょう。

ネタニヤフさんの場合でいえば、最終目的は、パレスチナ全域をイスラエルという国に塗り替えることでしょう。聖書に言う「約束の地」にイスラエルという国が出来るという意識が「パレスチナ暫定自治区」とう表現に明示されているのでしょう。

プーチンにしてみれば、旧ソ連邦までは別としてウクライナはロシアという自分の信念にあくまで固執するでしょう。そして、こうした個人的な感覚は、基本的に国連憲章を無視するものなのです。

一方で、トランプさん自身も、心の底ではグリーンランド、カナダなど、アメリカをもっと大きくという領土拡大の願いを持っているようです。

独裁者の心の内は解りませんが、そうした個人的な考えで国を動かす時、戦争や紛争が起きるのでしょう。

これからの世界は、やはり、より多くの国民の声が国を動かす民主主義が独裁制にとって代わるよう、国連を中心に考え、行動すべきなのでしょう。

今、一部に国連の安全保障理事会の権能を制限すべきとの意見もあるようです。常識的に考えれば、国連の最高の意思決定機関は国連総会のはずですが、こうした問題は地球社会の将来のために、特定の国や、個人の力に任せず、早期に抜本的な解決策検討へのスタートを切るべきではないでしょうか。


2025春闘:連合は中小に力点、効果に期待

2025年03月18日 14時12分50秒 | 経済

2013~2014年安倍政権が成立し、黒田日銀が、FRBのバーナンキさんがリーマンショック脱出のために主導した金融緩和政策に倣って、異次元の金融緩和と言われる低金利と量的緩和背策をとって円レートは120円とほぼ40円の円安を実現し、それまでの円高不況からの速効的な脱出を図ってから10年余がたちました。

このブログでは、あの時、連合が為替レートの大幅円安の実現という賃金決定環境の大きな変化に応じ、円高の中で出来なかった労働条件の改善を積極的に進めるだろうと予想しました。

その上で、円高の進む過程で、平均賃金の切り下げのために最も皺の寄った非正規雇用増の正規化に先ず手を付けるべしと指摘しました。

しかし賃上げをしましょうと言ったのは安倍総理で、連合の動きは遅々でした。

その後も連合の賃金水準回復(上昇)への取り組みは、どう見ても積極的ではなかったようです。

欧米で石油価格の上昇に触発されて大幅な賃金インフレが起きる程になっても、日本は対照的に賃金の上がらない国、賃金上昇圧力の弱い社会だと指摘したこともありました。

そのせいで、日本経済は消費需要の弱い国、賃金インフレの起きない国とみられ、異次元金融緩和を批判されたり、国際投機資本からはキャリートレードに活用され、一層の円安に追い込まれたりしてきました。

結果的に労働分配率は下がり、日経平均は4万円を上回ったりしました。一昨年辺りから経営サイドも消費不振を心配し、賃上げに賛成といった言葉が出たりするようになっています。  

連合もようやく、もう少し賃上げを要求してもよいのではないかと状況を理解し、一昨年辺りから賃上げ要求を思い切って出すという所まで来たようです。

それでも連合の生真面目さの表れでしょうか、今年の要求基準も昨年と同じでした。ただ、今年は変化がありました。中小の要求基準を6%としたことです。

そして、単産の要求が高まり、それに対しても軒並み満額回答という状況を受けて、去る13日、連合は、気合のこもった

持続的な賃上げの流れを中小組合社会全体へ!

という 芳野会長のコメントを出しました。

連合は一皮むけたようです。元々社会正義を実現するというのは連合の本来の主張でしょう。大企業の春闘がここまで来ている、経営側も満額回答という形でそれを認めているのであれば、長期不況で大企業に増して苦しんで来た中小企業の従業員に高めの賃上げを主張する事は社会正義に叶うという行動への必要性が確信されたという事でしょう。

連合がその行動に確固たる自信を持ったということは素晴らしいと思います。日本社会には今、格差是正がまさに必要でしょう。それは日本経済の低迷の打開策のカギでもありましょう。

これからの連合の、日本経済社会の再活性化のための積極的な活躍を期待します。


暴騰の米価には暴落の可能性が

2025年03月14日 16時20分12秒 | 経済

このブログでは、毎月の消費者物価指数の動きを追っていますが、お米の価格に異常な動きがあると気付いたのは昨年8月の消費者物価指数の発表の時です。

それまで順調に下がって来ていた「生鮮とエネルギーを除く総合」が、対前年同月比で1.9%と2%のインフレ目標を切った所から上昇に転じ2.0%になったのです。

この数字の発表は9月の20日ですが、皆様ご記憶のように8月には日銀が、物価の安定が確認されたという事で政策金利の上昇の方向に政策変更を発表した直後です。この時の消費者物価指数の調査では「うるち米」が30%の値上がりで、理由は流通の問題で新米が出れば収まるというのが政府の説明でした。

若しコメの値上がりがなければ0.1%ほど低かったのではと書いて、日銀の見ているコアコア物価の安定は確実という見方をサポートしています。

ところが、その後の状況は全く違って来ました。毎月の消費者物価指数の発表ごとにお米の価格は上がり対前年の値上がり幅は30%が50%、60%、70%と際限なく上昇、ことし2月15日にはこんなグラフを載せ、米価値上がりの異常さを示しました。

政府の説明は、その後もコメの作柄は平年並み、「値上がりの原因は流通段階のトラブル」などと納得いく説明はなく、マスコミや民間調査機関などから中間業者が高値で買っている、現場では品不足で、買い手が増えて行方不明のコメがある、などの状況が報道されました。それなのに政府は年末までだんまりでした。

その後、政府は一体何をしているのだという世論を背景に、農水省が備蓄米放出を発表したのは半年遅れの先月になっての話です。

備蓄米の放出は、なるべく値下がりしないように(?)少量で、買い戻し条件付きとか言われました。

そんな中で注目を引いたのは、大手の外食チェーン何社かが、コメを国産から輸入に切り替えたというニュースです。

外国産でも、国産に引けを取らないような味の出せるコメもあり、国内産がこんなに値上がりしては、外国産の方が安いという事のようです。

これはどういう事でしょうか。まず価格決定要因で一番基本的な需要と供給を見てみましょう。

まず需要ですが、コメの需要は統計を見れば傾向的に年々減少しています。主食用のコメの需要量は2010年には820万トン、2020年には704万トンです。昨年から今年にかけては700万トンから691万トンと予測されています。

一方生産量も減少傾向ですが、2023年1,136万トンで、これで主食用、米菓や酒造りなどを賄っているのです。昨年の作柄は平年並みです(以上は農水省資料)。

これが需給の概況ですから、最も価格決定に基本的なコメの「需要と供給」の面から考えますとコメ不足や値上がりは到底考えらえません。

パンやうどんが値上がりしたから割安になった米食に日本人が戻ったという説もあるようですが、皆様のお宅ではどうでしょうか。

70%も値上がりしたコメ値札は恨めしいがそれでもでも、やっぱり否応なしにコメを買って夕食は米の飯という家庭が多いのではないでしょうか。

インバウンドが急増して寿司を沢山食べるからコメが足りなくなるという珍説まで出ましたが、親切に計算してくれえる人がいてせいぜい3万トンぐらいだそうです。

そうなると、やっぱり農水省が言うように、流通段階の問題になりそうです。だれか影響力のある人か組織が、「コメが足りなくなる」という情報を流し、流通段階のどこかが在庫を増やしたという事でしょうか,行方不明のコメがあるとの情報もありましたが日本人の主食のコメの流通管理はどうなっているのかという事になります。

さてそうなりますと、何処かに備蓄されたコメがあり、それが値上がりの元凶(あるいは結果)という事になるのでしょう。

そうであれば、次に起きる事は何でしょう。需要が増えないものを持っていれば、値段が高いうちに売らなければという事になるでしょう。先日TVで早場米の田植えをやっていました。トラクターの人は「6月には新米の出荷です」といっていました。コメが値上がりしてので、作付面積は増えるようです。 

何処かに備蓄されたコメはどうなるのでしょう。古米古古米は、値段が下がります。行方不明のコメが突如出て来たらお米の値段は暴落の可能性が大きくなります。

今回のコメの値上がりを経済理論から見ればこうなるしかないと思うのですが、誰か、7割上がったお米の価格を維持することが出来る人か組織があるのでしょうか。

このブログは、自由経済原則に従って、米価暴落必至論に与します。


2025年「平均消費性向」上向くか

2025年03月12日 16時12分47秒 | 経済

昨日、内閣府統計局から、2025年1月の「家計調査」の「家計収支編」が発表になりました。

このブログでは、毎月「二人以上世帯」の消費支出の動向と「二人以上勤労者世帯」についての収入と消費支出の動向、そして「平均消費性向」を追いかけています。

その理由と目的は、皆様ご存知の通り、アベノミクス以来の日本経済の不振の主要な原因は消費の不振ですから。消費の動きを追う事で日本経済不振の実態と将来を統計から読み取ることです

特に家計の消費意欲を図る「平均消費性向」は大変大事な指標で、昨年はこの指標が低下傾向でしたから、賃上げは多少高くなりましたが、家計は貯蓄志向で消費が伸びず、経済成長率は年率で「辛うじてプラスか」という不振状態(改定中)でした。

ところが、年末の2カ月、平均消費性向が上昇に転じてきました。

コメと野菜が異常な値上がりをする中ですから、読み方は難しいところですが、これが、年が変わっても継続し、今春闘の結果と相俟って、日本経済もようやく消費不況から脱出できるかの微妙な段階が現状です。

そして昨日発表になった1月の平均消費性向は78.9%と昨年1月の76.7%2.2ポイント上回り昨年11月から3か月連続の上昇基調となりました。(下図)

ところで二人以上世帯全体の消費支出から見ていきますと、1月の消費支出額は305,521円で、消費不振が著しかった昨年1月より5.5%増えましたが、消費者物価の上昇に食われて実質は僅か0.8%の増加です。

中身を見ますと食料の支出は、コメ・野菜の価格上昇で実質消費支出ますがマイナスですが、住宅関係や教育関係、水道光熱などは、価格上昇に負けない支出増で実質消費支出のプラスに貢献する支出項目もあるといった状況です。

二人以上勤労者世帯では収支両面の数字がありますので、収支の両面から見ていきますと、世帯主収入は389千円で名目4.9%の伸び(伸び率は前年同月比)と毎月勤労統計などより高く、実質は0.2%(消費者物価4.7%上昇)ですがプラスです。

最近伸びの大きい配偶者所得やその他の家族の所得は正月のせいか1月は小さく、実質はマイナスで、世帯の所得は515千円、名目3.5%の伸びで、実質は-1.1%、それでも消費支出は名目5.8%伸びて実質1.1%の伸びです。

但し1月は日消費支出(税・社会保険料など)が6.2%も増え、可処分所得は名目2.9%しかのびず、結果的に消費支出を可処分所得で割った「平均消費性向」は 78.9%と前年より2.2ポイント高くなっているという状態です。

この辺りは、食料は値上がりで抑えたが、電気やガス料金は上がったが寒かったのでやむを得ず使ったとか、住宅や教育費は、思い切って出したというのか、事情は 色々あるかと思いますが、春闘で賃金が上がりそうという意識などもあるとすれば、少し生活を積極的にしようかという、今日の生活重視の意識も出て来たのかとも考えられます。

今日は春闘の集中決着日で、早期妥結、満額回答といった見出しも出ているようで、少し日本経済の雰囲気も変わるのかなという意見と、これから物価も上がるし「高齢者いじめ」になりそうだし、やっぱり貯蓄優先かといった意見とが錯綜しそうです。

国際情勢も有之、もう少し時間が必要なようです。