以前ご覧になり、ご記憶の方には申し訳ありませんが、今回は大分前に書きました「独裁度指数」の再録です。
「独裁度指数」:22世紀の笑話
アインシュタイ ンは「第三次、第四次世界戦争は解らないが、第五次世界戦争は確実に石と棍棒での戦いになるだろう」といったそうです。
核戦争の恐ろしさをブラック・ジョークにしたものでしょう。
本当か作り話か知りませんが、アインシュタインが言ったといえば、そんな気がしないでもないところです。
話は22世紀に飛びますが、そんなことにならないようにと、とある研究組織が、世界各国の「独裁度指数」という数字を発表することにしました。
その研究組織の発表によりますと、
いろいろな研究機関が、世界各国の生産性や、国民の満足度、ジェンダー平等の度合い、デジタル化などのランキングを発表しているが、もっと世界の役に立つランキングを考えてみましたというのです。
考えたことは、歴史上、戦争を起こしているのは独裁者が殆どだから、国のリーダーが独裁化する事に十分注意しなければいけない。
国のリーダーが独裁化することがないように、我が研究組織では、世界の国々の政権の「独裁度」を示す指数を作成し、ランキングを発表することを決定したのだそうです。
指数は、~59:問題ない、60~69:トラブルを起こしやすい、70-79:しばしばトラブルを起こしている、80~89:問題を深刻化させる恐れがある、90~:危険な国、という事になっていて、いろいろ問題はあるでしょうが、世界の平和のために思い切って発表を決めたというのです。
これを聞いて世界では、無関心な人や国から、関心あるという反応、馬鹿な事はやめろという意見、絶対やめろという強硬な態度までいろいろな反応がありましたが、その第一回が発表になりました。
結果は9割の国が60未満で、残りの10%の国が60~100の間に散らばっていました。
世界からの反応は、あまり大きくありませんでしたが、上位10%の国からは多様な反応がありました。
相手があるからトラブルが起きるという言い訳じみたものから、当事国間で解決に努力しているという現状報告などはいい方で、わが国のランキングは高すぎる釈明と謝罪を要求するというもの、更には、我が国を侮辱することは許さない貴研究組織の存在を認めないというものまでいろいろでした。
そこで、研究組織は、考慮の末、その反応を正確に文書にして発表し、その内容を指数の検討項目に加えて、新たな指数を作成して発表しました。結果は多くの人が予想した通りで、指数の高い国ほど指数がさらに高くなっていました。
この発表によるトラブルは簡単に収まりそうにありませんでしたが、これまで横眼で見ていた国連が調整に出ました。
22世紀には、国連も民主主義の基本である『多数決』の原理を尊重するようになっており、安全保障理事会も、国の数を増やし、多数決が原則になっていました。
この数十年で、国連の役割は強化され、21世紀より人類社会の中での権威が増し、信頼感を持たれ、頼りにされるようになっていましたから、問題は収拾の方向に向かいました。
世界の国の独裁度ランキングを発表した研究組織については、そうした仕事は、国連としても関心があるから、国連外郭にそうした研究機関を作ることも考慮し、独裁度指数のランキングを発表した研究組織の人間の中で、希望者がいれば、国連で採用することも可能いう事になったそうです。
という事で、先ずはメデタシ、メデタシ。