tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

<笑話>「独裁度指数」の再録です

2025年01月04日 11時06分42秒 | 国際関係

以前ご覧になり、ご記憶の方には申し訳ありませんが、今回は大分前に書きました「独裁度指数」の再録です。

「独裁度指数」:22世紀の笑話

アインシュタイ ンは「第三次、第四次世界戦争は解らないが、第五次世界戦争は確実に石と棍棒での戦いになるだろう」といったそうです。

核戦争の恐ろしさをブラック・ジョークにしたものでしょう。
本当か作り話か知りませんが、アインシュタインが言ったといえば、そんな気がしないでもないところです。

話は22世紀に飛びますが、そんなことにならないようにと、とある研究組織が、世界各国の「独裁度指数」という数字を発表することにしました。

その研究組織の発表によりますと、
いろいろな研究機関が、世界各国の生産性や、国民の満足度、ジェンダー平等の度合い、デジタル化などのランキングを発表しているが、もっと世界の役に立つランキングを考えてみましたというのです。

考えたことは、歴史上、戦争を起こしているのは独裁者が殆どだから、国のリーダーが独裁化する事に十分注意しなければいけない。

国のリーダーが独裁化することがないように、我が研究組織では、世界の国々の政権の「独裁度」を示す指数を作成し、ランキングを発表することを決定したのだそうです。

指数は、~59:問題ない、60~69:トラブルを起こしやすい、70-79:しばしばトラブルを起こしている、80~89:問題を深刻化させる恐れがある、90~:危険な国、という事になっていて、いろいろ問題はあるでしょうが、世界の平和のために思い切って発表を決めたというのです。

これを聞いて世界では、無関心な人や国から、関心あるという反応、馬鹿な事はやめろという意見、絶対やめろという強硬な態度までいろいろな反応がありましたが、その第一回が発表になりました。

結果は9割の国が60未満で、残りの10%の国が60~100の間に散らばっていました。

世界からの反応は、あまり大きくありませんでしたが、上位10%の国からは多様な反応がありました。

相手があるからトラブルが起きるという言い訳じみたものから、当事国間で解決に努力しているという現状報告などはいい方で、わが国のランキングは高すぎる釈明と謝罪を要求するというもの、更には、我が国を侮辱することは許さない貴研究組織の存在を認めないというものまでいろいろでした。

そこで、研究組織は、考慮の末、その反応を正確に文書にして発表し、その内容を指数の検討項目に加えて、新たな指数を作成して発表しました。結果は多くの人が予想した通りで、指数の高い国ほど指数がさらに高くなっていました。

この発表によるトラブルは簡単に収まりそうにありませんでしたが、これまで横眼で見ていた国連が調整に出ました。

22世紀には、国連も民主主義の基本である『多数決』の原理を尊重するようになっており、安全保障理事会も、国の数を増やし、多数決が原則になっていました。

この数十年で、国連の役割は強化され、21世紀より人類社会の中での権威が増し、信頼感を持たれ、頼りにされるようになっていましたから、問題は収拾の方向に向かいました。

世界の国の独裁度ランキングを発表した研究組織については、そうした仕事は、国連としても関心があるから、国連外郭にそうした研究機関を作ることも考慮し、独裁度指数のランキングを発表した研究組織の人間の中で、希望者がいれば、国連で採用することも可能いう事になったそうです。

という事で、先ずはメデタシ、メデタシ。


イスラエル・ヒズボラの停戦合意を大切に!

2024年11月28日 16時39分12秒 | 国際関係

2024年11月27日朝4時(現地時間)、9月から続いていが続いていたイスラエルとヒズボラの間の戦闘の停戦が合意されました。

60日以内にイスラエルはレバノン領内から撤退、ヒズボラは戦闘地域から戦闘員と武器を引き揚げ、戦闘地域はレバノンの管理に移すことになったのです。

アメリカのバイデン大統領の努力をはじめ、フランスの協力、イスラエルと対立するレバノン、そしてイランも、合意の意思を表示、バイデン大統領は「これは恒久的な停戦を目指すもの」と付け加えたとのことです。

「戦争は人の心の中で始まる」とは、ユネスコ憲章の前文にある言葉ですが、「人の心の中で」の「人」というのは〈一国の〉リーダーを指すのでしょう。

そして同時に、戦争をやめさせ、やめるのも「リーダーの心」にあるようです。

イスラエルの後ろ盾と言われる、アメリカのバイデン大統領は、その強い意志と影響力を行使し、イスラエルのネタニヤフ首相の「襲撃を受けたからには、相手を殲滅するまで戦いはやめない」という異常な敵愾心の抑制に成功、停戦を成功させたのです。

戦争が終われば、そこで文明の破壊と人間の殺戮は止まるのです。そしてこの戦争で失われた多くの命の追悼、生活の場所を追われた一般の人々の正常な生活に戻るのです。

しかし、いまだに、イスラエルはパレスチナ、ハマスとの闘争を続け、ロシアはウクライナへの侵攻をやめる気配はありません。人類に残された問題まだまだあるのです。

人類社会は、数限りない戦争を体験し、多くの人々が惨禍にさらされ、破壊と殺戮の中で苦しんできました。その経験は、人類に、平穏な生活の大切さと、人類の文化文明の発展の大切さを多くの人類に理解させてきているはずです。

今回のバイデン大統領の決断と努力、その決断を支えた人々、そしてそれを良しとして受け入れた人々は基本的に、人類の一員として正しい判断をしたのです。

何故なら、人間は元々その本能として生存欲求を持ち、その上に立って社会を作り、その社会の進歩、向上、発展を求めるという性格を持っているからです。しかるに、戦争は結局、破壊と殺戮という人間本来の性格とは正反対の現実しか齎さないからです。

これまで、地球上で、戦争が繰り返され、それが破壊と殺戮という人類社会の退行を生んできたのは、人類社会の一部のリーダーの心に、邪な欲望が生れ、その実現のための手段として、人の手による破壊と殺戮を利用するという恐ろしき妄念・邪念が生まれたことによるのでしょう。

もともと人間の心には、倫理的でない要素もあるのでしょう。そうした人間の心に内在する部分の発露が、歴史的には、征服や殺戮という「争いの文化」として広がることになりました。しかし、人間は同時にあくなき向上心も持ち、それが、より高等な「競いの文化」を築き上げ、人類世界の進歩の原動力になったという事でしょう。

「競いの文化(オリンピック)」は古代ギリシャの時代から「争いの文化(戦争)」に優先すると考えられていました。

今、人類は早期に「争いの文化」を人類社会から消去し、「競いの文化」こそ人類に相応しい文化とする地球社会を作るべく最大限の努力をする必要があるように思うところです。


関税積上げより大事な仕事があるのでは?

2024年11月27日 17時18分51秒 | 国際関係

トランプさんは大統領就任前から「私はこうします」と政策方針を一杯だし、もう大統領をやっているようです。

特に、MAGA(アメリカを再び偉大に)のスローガンは、アメリカ経済を再び世界一立派にという経済政策が中心のようです。

その中でも真っ先に手を打つのでしょう関税の話が次々出てきます。

やっぱり一番気にしているのは貿易赤字で、アメリカは世界中から物を買って各国の役に立ってやっているのに、彼らはアメリカから物を買わない。おかげでアメリカの貿易はいつも赤字だ。といった気持ちは強いようです。

以前から、アメリカは日本の車を沢山買っているが日本はアメ車を買わないといいます。日本人が乗りたくなるような車がないからといっても解ってくれないようです。

今は、問題の相手国は中国で、現政権も安価な中国製電気自動車(EV)には100%の関税、その他EV関係の部品・原材料、半導体関連にも高率の関税を決めていますが、トランプさんは、さらに一律10%の関税を上乗せするといっています。

今回は、メキシコ、カナダからの輸入品に(薬物の輸入が止まるまで)25%の関税をかけると言い出しています。

メキシコには、トヨタ、日産、ホンダなど日本の自動車産業も工場を持ち、対米輸出の拠点にもなっています。

勿論日本の自動車産業はアメリカにも工場を持っていますが車種によってはより人件費の安い所で生産という選択もあります。

トランプさんは、もともと企業経営者ですから、赤字が気になるようで、まずアメリカの貿易赤字を消すために、アメリカ産石油を掘りまくれなど発言したりしますが、これは気候変動政策への逆行という事で心配されるところです。

ところで「アメリカを再び偉大な国に」というのは、先ず、赤字国を黒字国に転換するという事でいいのでしょうか。

確かに、1960年代にはアメリカは黒字国で「バターも大砲も」と言われ世界に君臨出来たのですが70年代に入ったころには経常赤字が慢性化して(ベトナム戦争のため)ドルの金兌換をやめ、変動相場制を世界に採用させることになったのです。

その後、レーガン大統領は、対日赤字を消そうと日本に円高を要求しました。日本経済は衰退しましたが、アメリカは黒字にはなりませんでした。前回のトランプ政権は、中国に人民元高を迫りましたが、中国は「ノー」で、関税戦争になりました。

しかし、イーロンマスク氏のテスラは売れてマスクさんはアメリカ一の億万長者になっています。世界一の新興企業もGAFAのように沢山あります。

それでも、今の状態は昔と違って、アメリカの技術水準や生産力が世界でも圧倒的という時代ではなくなっているのです。テスラも上海に工場を作っていますが、結構苦戦しているようです。この問題は、関税を動かすだけで相殺・解消できるほど単純ではないでしょう。

今、アメリカの分断が言われますが、アメリカの素晴らしい先進国部分と、今や途上国にも似て来た部分の『合衆国』が嘗ての「偉大さ」を取り戻すことは容易ではないでしょう。

若し、今のアメリかが「アメリカの栄光」を取り戻せるとすれば、それは、今の世界が最も望んでいる事、「世界の平和に役立つ」という全く「新しい形」で、アメリカの優れた「外交力」を駆使し、世界の共感と共に、その実現に邁進することではないでしょうか。


人類はこの所の経験から何を学ぶか

2024年11月14日 16時00分21秒 | 国際関係

先日、古い友人に久しぶりで会って話をしているなかで、「イスラエルとパレスチナは酷い事になってしまって、世界中心配しているが、歴史から見れば、この問題には終わりはないんじゃないか」と言われました。

十字軍の歴史から、連綿と続くキリスト教とイスラム教の争いは、一旦終わっても、また何らかの形で再発するのではないかというのです。

それでも今の争いは早く終わってほしいねと言うしかないという事になりました。

そんな会話に触発されて少し考えてみました。

確かに宗教上の対立、抗争、紛争というのは、歴史的にみれば、いくらでもあります。キリスト教の中でさえも、カトリックとプロテスタントの争いには北アイルラアンド紛争の例もあるのです。

しかし、こうした宗教上の争いも次第に少なくなってきているというのが現実でしょう。キリスト教国とイスラム教でも、平和共存、協力し合っている例の方が多いのではないでしょうか。もちろん草の根どうしでは平和共存が通常でしょう。

その意味では人類は歴史から学び、人類社会の進歩・発展を阻害する紛争や戦争は次第に少なくなっていると言っていいでしょう。

それなのに、この所、なぜか対立、抗争、戦争が増えてきています。このブログでも時に触れますが、地域紛争が拡大し、第三次世界大戦になるのではないかという危惧すら感じられるようです。

勿論最大の問題はロシアとイスラエルと言えるのでしょうが、これは必ずしも宗教の問題ではなく自由圏と専制(独裁)国という思想上の問題でもあります。

この他にも、北朝鮮の韓国との対立、北朝鮮のウクライナへの派兵、アジアではさらにミャンマーのクーデターによる軍部独裁政権問題などもあります。

こうした問題発生に共通な要素を上げてみますと

・宗教や思想の対立

・独裁者(権力の個人への集中)の存在

・領土拡張(資源獲得)願望

の3つが重要な要素であることが知られます。

ただし、宗教や思想の対立だけでは戦争には発展しないでしょう。独裁者の存在だけでは内戦まででしょう。領土問題だけではせいぜい部分紛争程度まででしょう。

ところが、この3要素が揃った時はほぼ確実に戦争の可能性が大きくなるのではないでしょうか。

人類がみな地球上で平和裏に文化・社会の進歩・発展を謳歌していくためにはそれぞれの国がこの3要素が併存することが無いよう確り努力することが必要です。

この3つの要素が偶然に揃ってしまうといった事は多分起こりえないでしょう。起こるとすれば、それは国民の無関心、怠惰といった不徳が一般化する中で、ある程度の時間をかけて独裁者が生まれ、独際者の権力の浸透する中で残る2つの要素、宗教や思想の違い、領土の回復や拡大という対立を生む要素が、国民の中に次第に共通なものとして認識される退行現象が起きた時ではないでしょうか。そして、そのプロセスでは、独裁者によるメディアの支配が大きな役割を果たすのでしょう。

いま、世界には、このプロセスが進行している国もあるようです。それを阻止する役割の中心は国連でしょう。

具体的な例を1つ挙げてみましょう。国連憲章には「力による国境線等の変更は認められない」ということが明記されています(憲章2条4項)。

ロシアのウクライナ侵攻問題で、早晩この問題に関わる議論が起きるでしょう。その場合、国連は世界の支持を得て、憲章を貫徹しなければなりません。

それが貫徹されれば、前記3要素のうちの1つが亡くなるでしょう。当然その後戦争は大きく減少するでしょう。

加えて言えば、世界各国は、独裁者を生まない努力を徹底することです。独裁者が生まれるのには時間がかかります。ですから、国民の注意と努力によって、早期に気付き、独裁者が生れない国作りに、常に留意する必要があります。そして独裁者が生れなくなれば、人類社会に、たぶん、戦争はなくなるのではないでしょうか。


アメリカは何処へ行く

2024年11月02日 12時26分19秒 | 国際関係

日本は今日から3連休です。3連休が明けて5日の火曜日がアメリカの大統領選挙の日です。

ハリス候補とトランプ候補、民主党と共和党の、まさに勢力伯仲と言われる中で、その決着がつく日です。

事はアメリカだけではありません。世界の覇権国であるアメリカの選挙ですから、その結果は世界に大きな影響を及ぼします。

折しも世界は第二次世界大戦以来の混乱の時期にあります。ロシアのウクライナ侵攻からすでに3年がたとうとしています。

さらにパレスチナ問題は、ハマスの突然の攻撃に対し、イスラエルは、これを機と見たようにハマス殲滅、さらにはパレスチナ排除もと思わせるような徹底した報復攻撃で、戦線はレバノンにも広がり、イランにまで飛び火する情勢にあります。

加えて最近の報道では、トランプ候補の前大統領の時代、トランプ劇場ともいわれた北朝鮮との直接対話があったことも忘れられたように、北朝鮮の兵士がロシアで訓練を受け、対ウクライナ戦線に派遣されるという異常なる風雲急の事態にあります。

世界人類が頼る国連が、安全保障理事会常任理事国のロシアの暴挙以来、これらの人類社会の混乱にほとんど無力である中、頼りにするのはアメリカとも言われる中です。

当のアメリカの選挙戦は、どちらかというとアメリカの国内問題への関心が圧倒的で、いかにアメリカのインフレを抑え雇用を増やし、アメリカ経済を強くするかが関心の中心であるようで、そうした真剣な議論が中心なら内向きでも健全でしょう。

ところが、端から見てもどうにも心配なのは、世界のリーダーのアメリカの選挙戦にしては、議論の内容がいかにも低次元で、トランプ候補の「アメリカを再び偉大な国に」という抽象論に大衆が熱狂したり、具体的な政策論はかみ合わず、相手の中傷や、最後には発言の言葉尻をあげつらう「ゴミ議論」になってしまったりしている所です。

どちらが勝っても、アメリカが自国優先という基本には変わりないとしても、現実に政策の実行を担う人たちには、世界トップレベルの理論家や活動家がいるので、安心という面もあるのかもしれませんが、かつてのトランプ政権の時代のように、周囲に本当に優れた人たちを集めて活用するよりも自分のスタンドプレーがお好みのトランプさんの登場には、この際アメリカが世界のトラブルメーカーになったら大変という危惧が先に立つという見方の人も多いでしょう。

端的に言って、北朝鮮の核開発問題にしても、イランの核開発問題にしても、当時のトランプ政権は、国際的にみて何の貢献もできず、状況のさらなる深刻化をもたらしただけという事だったようです。

今、世界が各地で混乱状態を増している中で、必要とされるのは、トラブルシューターなのです、この上にトラブルメーカーが出て来たのでは、本当に、第三次世界大戦が世界に惨禍をもたらすという事態を招きかねないのではないでしょうか。

世界の覇権国をもって任ずる国は、世界人類社会のガバナンス維持のリーダーとして,世界で最も頼りになるトラブルシューターでなければならないのです。

今回の大統領選挙で、アメリカにはその点が試されているという意識を持ってほしいと思う所です。


被団協のノーベル賞受賞と日米関係

2024年10月12日 12時04分57秒 | 国際関係

被団協のノーベル賞受賞、本当に良かったと思います。普通なら、「おめでとうございます」という言葉を使いたいところですが、原爆という背景を考えますと、「おめでとう」という言葉は何か使いにくい気がします。

今、ロシアがウクライナ問題で核の使用をほのめかす発言をしていますが、こうした人類としてあるまじき態度に対し「頂門の一針」ともなってほしい受賞です。

日本人として誇りに思うのは、被団協に典型的なように、アメリカの原爆投下に対して、日本は、怨念とか報復といった言葉を全く言っていないことです。

原爆の悲惨を唯一の被爆国として経験しながら、そこから導かれる発言、行動は、核廃絶という人類共通の主張だけです。

アインシュタインもオッペンハイマーも何等かの形で反省の言葉を述べているようですが、日本は、「過ちを繰り返さない」ことだけを人類に訴えているのです。

2016年の現職のオバマ大統領と被爆者代表坪井直さんの握手と対話、あの世紀の和解は、人類のあるべき姿を世界の人々眼に焼き付けたはずです。

アメリカと日本の関係は、あの人類の将来を最大の課題とする認識に立つ和解の姿にあるのではないでしょうか。

現実には、冷戦の中で、アメリカは日本に核の傘を差し出し、日本はその下に入りました。しかし、日本は非戦を憲法で謳う平和国家です。たとえアメリカの核の傘の下にいるとしても、日本は独立国として、核廃絶を目指す独立国なのです。

しかし、これまでの日本は、核の傘の下にいることをあまりに強く意識しすぎているのではないでしょうか。

世界の多くの国は日本が核禁条約を批准していないことに疑問を持っています。多くの国や人々が、世界で唯一の被爆国である日本こそが、核禁条約をリードすべきではないかと考えているでしょう。 

人間関係では日本人は「控えめ」という意識、習慣を大事にしています。これは日本では美徳のように考えられていますが、それは国内、つまり日本人社会の中での話で、国際社会では「控えめ」でないことが要求されるのです。

会議での積極的な「発言」は、でしゃばりではなく、積極的な「貢献」なのです。より良い考えを持っていたら、控えめでなくリードするのが正しい行動でしょう。 

被団協の行動はまさにその実践であり、今日の極めて混乱した状況の中で、人類全体のために、そのあるべき姿を明確にする活動を一貫して続けてきていることが評価されたと考えるべきでしょう。 

日本人は、そして日本政府は人類社会、国際関係の中で、その将来についての望ましい姿、選ぶべき方向について、積極的に発言し行動するという姿勢、態度でアメリカとの付き合い方も考えていく必要があるように思います。

これは、今回の選挙においても十分に考えるべき問題ではないでしょうか。


分断は闘争に繋がり、友好は平和を作る

2024年10月03日 15時22分35秒 | 国際関係

前回は、石破総理の持論と言われる「アジア版NATO 」については封印して、いずれ廃棄してしまうのがいいでしょうという趣旨のことを書いたつもりです。

マスコミも、不用意にこの話を持ち出して、世界から誤解される事が無いように気を付けってほしいと思っています。

日本は平和憲法を掲げ、非戦をはっきりと打ち出している国です。そして、戦後の世界の中で、多くの国際関係を持ちながら、行動の基本は、すべての国と友好関係を保つというものであることを実践してきています。

この日本の在り方は、戦後79年を経て広く定着しつつあると思われます。これからも日本は、その更なる定着、それによる日本への信頼の獲得を目指して、一貫した行動をとるべきだと考えています。

個人の場合でも、国の場合でも,基本的には同じだろうと思いますが、こうした認識の定着というのは些細な不信感でもあれば簡単に崩れてしまうというものでしょう。

「千里の堤防も蟻の一穴から」、些か下品ですが「百日の説法屁一つ」という諺もあります。

日本にも、防衛庁があり、自衛隊もあります。しかし、これは自然災害も含め予期せざる問題が起き自衛の必要が生じる場合への対応という事になっています。

決して、敵を特定しているものではありません。日本には敵はいないのです。

こうした考え方は、日本人には素直に受け入れることが出来ますが、世界には敵を作ることによって、自己の存在意義を確立するという考え方の国やリーダーは大勢います。

リーダーは、敵を作り、国民に被害者意識を植え付けて、自分への支持を固めるという手段をよく用います。

歴史に「もし」はありませんが、ゴルバチョフがソ連を解体し、東西冷戦が終わったと言われたとき、NATO・アメリカが、すかさず、ロシアに新生民主主義国として友好の積極策を取れば、ウクライナ問題はなかったかもしれません。

中国のリーダ-は、迷っているかもしれませんが、そういう時ほど分断ではなく、協調、友好の姿勢を貫くことが、平和と安定の基本でしょう。

リーダーはともかく、国民のほとんどは平和と友好を望んでいるのです。戦争を起こすのは、何時の時代も、限られたリーダーとそのグループの自己満足という欲求の結果なのです。日本もそれは経験済みです。

さらに言えば、戦争は経済的に苦しくなった国のリーダーが起こすことが多いことは知られています。 

経済は多様で、広範な国や地域が協力することで発展することも広く知られています。ならば、経済協力は戦争を防止するために極めて有効な手段、成果を期待できる活動という事が出来るのではないでしょうか。

そういう意味で、一国のリーダーが、被害者意識を持つことは極めて危険で、それは分断と敵対、そして抗争、戦争行きの列車のプラットフォームに立っている状態と考えるべきでしょう。

先ず、最近問題の多い中国との友好関係がどこまで回復、改善できるかが「試金石」ではないでしょうか。


石破新総理の何が一番問題か

2024年10月02日 14時43分48秒 | 国際関係

石破新総理が誕生しました。

自民党総裁に決まってから、テレビのニュースのたびに、石破さんの映像が映るのですが、些か奇異に感じたのは、その表情でした。

これまでの石破さんは、テレビに映っても、何かを語るような場合には、常に慎重で、極めて思慮深い顔をし、問題の難しさを真に認識しているという口調で、理論的に事を述べるという印象でした。

ところが、自民党総裁に決まってからの石破さんの表情は全く違って、何か子供の様な無邪気な笑顔が多く、総裁選任が心から嬉しそうな映像が見られました。

個人的にはこうした表情が見られるのは楽しいのですが、この自民党の半崩壊状態の中で、総裁になり、当然すぐに難問の山積する日本の総理大臣に就任という事になるのですから、その重責を考えれば、あの思慮深い顔にさらに額のタテ皺、真一文字に結んだ口といった厳しい表情が刻まれるだろうとの予感は霧消してしまいました。

昨日、組閣を終え総理大臣に就任したわけですが、10月27日の総選挙日程の発言も考え方も、現実の行動も、自民党の在り方を厳しく正そうとする姿勢もどこかへ行ってしまったようで、「随分変わった」という驚きや批判の声が、野党だけでなく与党の一部からも聞こえて来たようです。

組閣の人選についても、多様な問題があちこちから指摘され、ついには、石破さんは総裁就任から違う石破さんになった、などという揶揄発言すら出ているようです。

9日の衆院解散まで、石破さんがどちらの顔でテレビに映るのか、これからはっきりすると思いますが、どうなのでしょうか。

ところで、安倍政権の後半から菅さん岸田さんと迷走を重ねた日本の政治を、迷走責任者の自民・公明連立政権で立て直すのは「至難」か「不可能」かと思いながらこれからニュースを見ることになるのでしょうが、石破さんが前から言っていることで、大変重要で大きな懸念となることがあります。

それは、石破さんの持論だそうですが、「アジア版NATO」という構想です。

裏金問題や経済政策といった問題は、いずれも国内の問題であり、政治が国民とともに真面目に考える様になれば、正される問題です。

しかし「アジア版NATO」になりますと、これは、アジア諸国を巻き込んだ問題です。

これに対しては、ネットは冷ややかで、「アジアの国々の状況をみれば、そんなもは出来るはずがない」 といった見方が多いようですが、真の問題は「平和憲法を持ち、非戦を掲げる日本が、そんなことを言い出したら、世界にとんだ誤解を与える」という事ではないでしょうか。

「アジア版」という事は、誰が考えてもそれは「アジア諸国と中国の対立」を意識したものという理解になりましょう。

それは本来の日中関係とは駆け離れた、まさに「平地に乱を起こす」構想以外のなにものでもありません。

中国と日本は、千数百年の長い相互依存の関係を持ち隣人であり友好国でなければならい間柄の国です。

戦後は「周恩来=田中会談」以来の友好関係で、故石橋湛山首相が予言したように、経済もそしてスポーツも、ともに発展してきた間柄ではなかったでしょうか。

ここで下手に間違えると、悔いを千載に残すことになるでしょう。石破総理に、何をおいても、歴史観を誤らないようにして頂かなければならないと思っています。 


国連は能くその役割を果たしうるか

2024年09月25日 19時47分22秒 | 国際関係

日本時間の昨夜からニューヨークの国連本部で国連総会が開かれ、一般討論演説は、日本時間の昨夜10時から始まっているとのことです。

日本からは上川外相が出席していますが、ウクライナとパレスチナで悲惨な戦闘が行われている中、紛争の当事国どうしの激しい議論が予想されるとニュースは伝えています。

恐らく世界人類の中の多くの人が、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスのイスラエル急襲、それに対するイスラエルのガザ地区を中心にしたパレスチナに対する徹底しすぎるほどの反撃さら、ヒズボラのイスラエル奇襲、イスラエルの報復行動としてのレバノン空爆といった戦火の広がりに悲痛な感覚と人類何ゆえ戦争に走るのかという痛恨の思いで平和を願っていると感じているところです。

恐らくニュースが伝えるように、当事国どうしの激しい論議がなされつつあるとおもいながら、本来平和を尊ぶべき人類の一部に、こうした過ちが起きる時、平和を願って果たすべき国連の役割の不全に、人類としての慙愧に耐えない気持ちを持つのではないでしょうか。

勿論、国連総会は議論の場であって、実力行使の場ではありません。あくまでも平和の維持を最重点とする中で、人間どうしの話し合いによってすべての問題に対処することが最も大事なことです。

本来であれば、国連総会が人類社会のガバナンス維持のための最高決定機関であり、安全保障理事会は、国家や人類の安全を保障するために国連がとるべき必要な事を議論する国連の中枢機関でしょう。

その点からいえば、イスラエルとパレスチナの問題は、国連がその権限においてあらゆる可能な手段を講じ、解決の可能性のある問題でしょう。

現に、その努力は積極的になされているようですし、今回の国連総会でもその方途などがさらに本格的に議論され、少しでも解決に近づく事を期待したい所です。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻問題は、あえて侵略を企図した国が国連安全保障理事会の決議に拒否権を持つ常任理事国5カ国の1つであるという極めて異常な性格を持ったものです。

つまりロシア自体がこの侵略戦争をやめるといわない限りこの戦争は続く可能性が大きいのです。

恐らく今回の国連総会でも国連の開祖の議論はおきるでしょう。このブログでもすでに、国連の最高の意思決定機関は国連総会であるべきではないかという考え方も指摘しています。

自ら戦争を始めた国は、安全保障に逆らう国として、安全保障理事会における常任理事国の地位を失うという考え方もあるでしょう。

いかなる組織、システムが国連の理念の照らして正しいかという議論は、もっともっと進められるべきではないでしょうか。

そして最後に残る問題、正しいルールを決めても、「いかなる方法で実効性を持たせるか」が最後の問題として残ることは、誰にも解っているのでしょう。そしてそれが人類に残された最後の課題でしょう。

今の国連総会で出来ることは,「これが正しい在り方ではないか」という所までの議論かもしれません。

しかしそうであっても国連が、世界が納得できるような結論、国連の新しい在り方を十分に議論することであり、出来るだけ早く結論に到達、採択することでしょう。

そしてそれが、平和裏に順守されれるまで、人類が何世代かかっても、実現するためのレールを、誤りなく敷くことではないでしょうか。


戦争で平和が実現した例があるか?

2024年08月30日 15時02分31秒 | 国際関係

「平和」は世界人類の希求するところでしょう。

それなのに世界には戦争が絶えないのです。このパラドックスの原因になっているのが「平和を実現するために戦争をする。という論理です。

私も小学校の6年生の夏までその理論を教え込まれて「東洋平和のためならば、何の命が惜しかろう」と歌って、平和のための戦争だと思っていました。

後から解ってみれば、やっていたことはアジア諸国での殺戮と破壊でした。300万人を超える日本人の犠牲もありました。

プーチンのウクライナ侵攻も。ウクライナ東部の人たちをナチスの圧政から解放し平和な日々を実現すると説明されていたようです。

ネタニヤフのハマス殲滅作戦も、危険なハマスがいなくなれば、イスラエルの平和は実現するという理論のようです。

この理論には問題が2つあるように思われます。

1つは、平和のためだと言って戦争をしている間は殺戮と破壊が続くという問題です。この間の殺戮と破壊は、将来の平和のために容認されるのかという事になりますが、それは許されることではないでしょう。

もう一つは、戦争をして勝てば、その後の平和が保証されるのかという問題です。報復という問題は考慮されていません。 

第一の問題は、人間としての正常な思考過程からすれば、理由は何であろうが殺戮と破壊は許されないという事なのではないでしょうか。

平和の実現のためには平和な手段で事を行うのでなければなりません。勿論交渉に持ち込むために戦争を仕掛けるといった行動も許されるものではないでしょう。  

これが国際的な行動の原則になれば、まず戦争はなくなるでしょう。

そして更に重要なのは、第2の問題です。

歴史を見てみれば、大国から小国まで興亡の歴史はいろいろあるでしょうが、ヨーロッパでもアジアでも、その他のいかなる地域でも、「結局、戦争はなくなりました」という歴史はないようです。

原爆という最終兵器が生れて、これで戦争はなくなるかとも思われましたが、お互いに原爆は使わないだろうという暗黙の前提を置いて、通常兵器で戦争をしようということで戦争をしているというのが現状です。

多くの場合戦争は勝てば驕り、負ければ恨みを残し、結局、報復の連鎖を生むことが歴史の示すところです。宗教や思想の違いが絡むと、この報復の連鎖はさらに深刻となる例も多く見られます。

また恨みはなくとも、戦争に勝つことで、主権が握れると考え、内戦やクーデターに走る人間を生み出します。

戦争に勝つことで平和が生まれるというのは多くの場合、戦争を正当化するための口実で、理論的にも経験的にも、ほとんど無いのではないでしょうか。

若しあるとすれば、それは日本の場合です。

日本は太平洋戦争で敗戦した結果、世界から軍国主義の権化のように見られた国から、世界に先駆けて憲法で不戦を謳う「平和国家」になりました。そして戦後79年、戦争の殺戮、破壊とは無縁の国として着実に行動してきています。

日本に勝ったアメリカは、戦争に勝って平和な国をつくった成功の実績の再現をとその後いくつかの戦争をしましたが、すべて失敗に終わったようです。

成功の原因はアメリカではなく、日本にあったと考えられます。

その当事国、日本として「戦争で平和は実現されない」と(残念ですが)明確に発言すべきではないでしょうか。


バングラデシュの早期安定を願う

2024年08月20日 16時27分13秒 | 国際関係

バングラデシュの国旗は日の丸です。ただ日本の日の丸と違うのは白地に赤い太陽ではなく緑の地に赤い太陽です。この国旗の制定については、建国の父ラーマン氏が、日本の日の丸も参考にしたという話もあります。洪水の多いバングラデシュです。緑の大地に真っ赤な太陽というのも理解できます。

そのバングラデシュで、延べ20年、今回も、この8月5日まで15年にわたり首相の座にあった建国の父ラーマン氏の次女でもあるハシナ首相が国外逃亡し混乱状態に陥っているというニュースには驚きました。

バングラデシュには、2010年に行ったきりですが、その時の印象は、まだまだいろいろ苦労はあるだろうが、この国は順調い成長しているのではないかというものでした

ダッカの町は人でいっぱい、車でいっぱい。どこへ行っても人混みと、車の渋滞でしたが、人は自然に人をよけ、車は少しでも間隙が出来れば先に突っ込んだ方が勝ちというルールのようでしたが、トラブルはあまり見かけませんでした。

日本に来た外国人が、渋谷のスクランブル交差点を見て、日本人はよくぶつからないとビックリしたなどという話がありますが、バングラデシュでも、人々は、狭い道でも自然と譲り合っているような感じを受けました。

そんな印象を持った国で、デモが起き、軍の出動で数百人の死傷者も出るような状況にまで発展したというのです。しかも直接の原因は,独立戦争の功労者の子弟を公務員に優先的に採用する制度の復活という、かつては国民の理解もあったであろう問題がきっかけというのです。

首をかしげるようことに感じられましたが、ピンと来たのは再任以来15年の長期政権になっていたという事でした。

少しニュースを拾ってみて、やはりと思ったのは、最近は経済情勢もあり、若者の就職環境が良くないなくなっているという実体があり、政権幹部その周辺の人々が就職も有利で、所得格差の拡大もあり、雇用、就業、所得格差等の不満が若者の間に鬱積してきていたと思われる社会情勢があるらしいのです。

このブログでは、長期政権は往々にして独裁化すると書いてきています。バングラデシュでも、最近は政治手法に強権的なことが増えてきていたなどとの解説記事もありますが、恐らく政治の硬直化による社会の硬直化、格差化に対する若者の反発が原点でしょう。

反発の対象はハシナ首相に向けられますが、ハシナ首相が独裁者であったのか、ハシナ首相を取り巻く利益集団がその利権の維持をはかって硬直化したのか、首相逃亡が示唆するのは何だろうかと考えてしまいました。

バングラデシュは「グラミン銀行」で有名です、発展途上国で農村の振興などのために如何にして生業を営む人たちの自主的な資本蓄積を可能にするかという文字通り「マイクロ・ファイナンス」事業を成功させ、世界で活用されるベースになったシステムです。

2010年に偶々現場を見る機会があり、「現場に見るグラミン銀行」を書きましたが、こうした活動を実践できる真面目さ勤勉さをバングラデシュの人々は持っているのです。

「グラミン銀行」というシステムを開発、普及し、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が、今回、バングラデシュ暫定政権の最高顧問に就任しました。

ユヌス氏はまず、「治安の安定化が最優先」と言われているとのことです。    

バングラデシュの早期の安定・回復を願うところです。 


8月15日、日本が戦争をやめた記念日です

2024年08月15日 14時38分09秒 | 国際関係

毎年8月15日は新聞でもテレビでも戦争の悲惨さを広く知ってもらいたいと願い、それで、より多くの人に、もう戦争は決してすべきでないという気持ちを強く持って欲しいと願って特集を組みます。

戦争の現実を、深く知れば知るほど、だれもが、戦争はすべきでないと考えるはずだからです。

しかし、地球上では今も戦争が続いています。今日のマスコミの特集が指摘する戦争の悲惨さ、忌まわしさが、その今日も、現実に存在しているのです。

そして、戦争をしている国の国民にしても、多くの人は、戦争などないほうがいいと考えているのです。

おそらく、現に戦場で、戦争の真只中にいる人達の心の中でさえ、何処かに「こんな事はしたくない」という気持ちがあるのではないでしょうか。

それでも現に、戦争は現時点でも進行中なのです。

より多くの国民が戦争など無い方がいいと考えている国や組織が、戦争に走るのは、その国や組織のリーダーの心の中に、「戦争に訴えてでも、自分の思いを実現したい」という願望が起きるからでしょう。そして勝てば英雄という名誉欲が働くのでしょう。 

然し、民主主義社会では、リーダーがそう思っても、大多数の人々が戦争などすべきでないと考えていれば、通常は戦争にはならないはずです。

リーダーが戦争をしようと考えれば戦争ができる国というのは,はっきり言ってしまえば独裁国です。

つまり、戦争を起こすのは、今日の国際関係の中では、独裁国か独裁組織に限られるという事になるのではないでしょうか。

ならば、地球市民は、どこの国でも組織でも、独裁者を作らないようにすることが戦争をなくする道ということになります。

そのためには、国民への民主主義教育の徹底しかないようです。国連が独裁者の出現を防止するような仕組みを持てればいいのでしょうが、その可能性は小さいでしょう。

戦争は殺戮と破壊を正当化するものです。独裁者が戦争を仕掛ける時、仕掛けられた国は、殺戮と破壊の防止のため、否応なしに応戦という事態に巻き込まれます。これは最大の悲劇です。

国際法は、自衛権は認めるといいます。しかし、独裁者が戦争を仕掛ける可能性を放置し、自衛権を認めることでは、戦争の防止は不可能です。

平和憲法を掲げる日本でも、自衛のための戦力を持つべきという意見を排除することはできません。

こうして、見てきますと、戦争をなくする道は、容易でないことは明らかです。しかし、国際社会として、それを放置しておくわけにはいかないでしょう。

平和憲法を掲げる日本は、国連や世界の国々とともに、出来れば先頭に立って、戦争をなくする方法を真剣に考え続けなければなりません。

そう考えた時、考えうる方法は、国レベルの問題と国際レベルの問題と大きく2つあるように思います。

1つは、世界の国や組織がそれぞれに、如何にして独裁者を出さないようにするかという問題です。

もう1つは、国際関係の在り方を、排除の理論をやめて、包括の理論に進めることでしょう。

この問題は世界の問題としてと同時に、平和憲法を掲げる日本としては、喫緊の課題として、政府、国民が共に考え、共に取り組まなければならない問題でしょう。

日本が戦争をやめた日に、戦争をなくす方法を考えてみました。

戦争をやめた日本が、また戦争をする体制に入っていまます。の問題は、さらに論じていきたいと思っています。


アメリカの現状を憂う

2024年07月20日 14時41分13秒 | 国際関係

「もしトラ」という言葉がいたる所に見られるようになりました。しかもその「もし」が、次第にその確率を上げてきているような状況ではないでしょうか。

一方では、民主党支持者の中にもバイデンさんは高齢で、体力的にも記憶力でも問題がありそう、という意見が強くなっているようで、今回のアメリか大統領選挙はこれからどう展開するのか、世界中が心配しているのではないでしょうか。

もともと、バイデンさんであれば、今後のアメリかの行動についての予測もある程度可能という見方が多く、トランプさんになると予想外のことが起きそうで心配というのが「もしトラ」の意味だったのでしょう。ところが、この時期になってバイデン下ろしが動けば予想のつかない要素がさらに増えることになります。

こうした事になるのも、民主党が、あるいはバイデンさん自身が後継者を育てて来なかったことの結果でしょう。

こんなことで「もしトラ」の可能性がさらに大きくなれば、世界も国連も今後の地球社会の予測困難による不安定化に悩まされる事になりそうです。

かつてのトランプさんの時代を思い出してみても、あの北朝鮮の金正恩さんとの世界のテレビ画面を巻き込んだショーはいったい何だったのか、イランの核問題から「一抜けた」行動の結果は何だったのか、アメリカ自身が言い出したTPPからこれも「一抜けた」でよかったのか、ユネスコなど国連機関からの脱退は何をもたらしたか、中国との関税戦争は何か解決したのか、国会議事堂占拠をまたやるのか、などなど、世界のトラブルや混乱の種がまた増えるのではという危惧が先に立つようになりそうです。

口では国際社会の安定・発展を言いながら、トラブルメーカーになる国や人はいつの時代にもいるものです。日本もかつては、アジアの平和と発展を謳いながら、アジアや世界に多大な迷惑や苦難もたらした過去を持っています。

だからこそ、戦後の日本は、平和憲法を掲げ、世界の中でトラブルメーカーには絶対ならず、常にトラブルシューターであることを心掛けて来たのではないでしょうか。このブログでも、日本は徹底して常にトラブルシューターであるべきと言ってきているつもりです。

ところで、アメリカは日本と同盟関係にある国です。そのアメリカが「もしトラ」でトラブルメーカーになるのではと心配されそうな様子です。

「もしトラ」の「トランプ」が現実になって、その「トラ」が「トラブル」の「トラ」になるなどという事のないのを願うところですが、もちろん、トランプさんも、今言われている「石油をガンガン掘ってガソリンの値段を下げ、中国のEVは買わない」と言い続けるかわかりませんが、米中問題は経済だけでは収まらない可能性もなしとしません。

首脳の外遊が多い割に、外交政策については極めて下手の日本のようですが、世界のトラブルシューターとして、日米関係を含め、日本に、これから何が要請され、日本として何が出来るのか、追随から自主へ、日本も本格的に変わって行かなければならないのではないでしょうか。


<月曜随想>アメリかについていくのですか?

2024年07月15日 15時01分46秒 | 国際関係

アメリカでまた大変な事件が起きました。トランプさんが演説中に狙撃されたというのです。狙撃した人物は即座に射殺されたということです。

日本だって安倍さんが銃撃されて死亡しているではないですか、日本のずいぶん野蛮な国ではないですか、という人もいます。

言われてみれば確かにその通りで、世界でも民主主義の先進国を自任する国でこうした恐ろしいことが起きるのです。

ただ、違うところもあります。安倍さんの場合は、政治問題というより、私怨による犯行ということのようです。

アメリカの場合は多分政治問題に関わる事なのでしょう。しかし犯人が射殺されているのでその辺は解りません。

警察の対応も日米では違うようで、日本では逮捕して犯行の理由を突き止めようとしますが、アメリカでは、射殺することが多いようです。

世界を驚かすようなことが起きたので、つい書いてしまいましたが、本題は日米関係のことです。

日本経済がおかしくなったきっかけは「プラザ合意」(1985年)で日本が円高になってからと、このブログでは書いていますが、宮沢喜一さんが「回顧録」を出されたとき、一番よくわかっているのは宮沢さんだろうと思い、早速「回顧録」の「プラザ合意」で円高が進んだ時期の頁を開いて見ました。

しかし、書いてあったのは「あの時は毎日のように大幅に円高が進んで大変困りました」といったことだけだったので、「え!それだけ」と落胆したのを覚えています。

昨日の朝日新聞に、「宮沢喜一・日録(戦後政治の軌跡)」でちょうど「プラザ合意」の所になっていたので読んでみました。

記事の冒頭に「竹下さん、あなた、自分が何をやってきたか解っているのですか」という宮沢さんの言葉がありました。プラザ合意から帰国早々の竹下登蔵相を、居並ぶ政府与党要人の前で面罵したのだそうです。

回顧録では「困りました」だけでさらっと書かれた言葉の背後に、あの時起きていたことが「日録メモ」にはつぶさに書いてあったようです。

大蔵省出身で当時経済・財政には最も通暁している人として知られ、自民党総務会長だった宮沢さんは、円高の恐ろしさを十分に先見していたのでしょう。

それからのアメリかのベーカー財務長官との交渉の過程も「日録メモ」には詳しく書いてあったようです。

「プラザ合意」の翌年の7月には、中曽根内閣の蔵相に就任、その翌年には竹下内閣の副総理兼蔵相として、日本に円高を強いたアメリカのベーカー財務長官との共同声明で円高阻止を狙う努力を続けたようです。

一時は話に乗る気配もあったベーカー財務長官も、もともとアメリカの対日貿易赤字削減の奥の手の円高要請ですから言を左右にしたようで、宮沢さんの職をかけるという意気込みも結果的には成功しなかったようです。

結局、プラザ合意後1年ほどはアメリカの貿易赤字は減少しましたが、赤字体質是正は役に立っていないのが現実です。一方日本はその後30年も円高に苦しんでいます。

もともとアメリカ経済そのものが生産より消費が多い体質ですから、それが治らない限り黒字国にはなりません。

日本に対して円高政策を取り、その後中国にも人民元切り上げを要請しましたが、習近平さんに断られ、今度は関税の引き上げで、習近平さんとトランプさんの泥仕合になりましたが、アメリカは中国に工場を作り、中国はアメリカに製品を輸出するという関係が出来ていますから、ともに返り血を浴びるような結果で、お互いに巧くいかないのは当然です。

アメリかも自己主張の強い良い国ですし、中国もその点では負けていませお互いに損をしながら意地を張り続けているようです。

この辺りは、アメリカが民主党であろうと共和党であろうとあまり変わりはないようです。

日本は現状アメリカについていこうというのが自民党政権の態度ですが、それで日本にとっていいことはあまり無いようです。

日本はもっと自分について確り考え、にほん自身の存在意義を明確にして、米中両国に、喧嘩するより仲良くした方がお互いに上手くいきますよと説得する役割を果たした方が余程世界のためになりそうな気がします。

そんな難しい事が出来るのは、世界広しと言えども日本ぐらいではないでしょうか。


心配なアメリカ経済の今後と日本

2024年05月15日 16時27分26秒 | 国際関係

アメリカ経済はサービス部門の活況で、雇用も堅調、賃金も上昇で、その結果が消費者物価の上昇率が3%を切らず、この所は前月比も上昇という事のようです。

経済が元気という事は結構なことですが、生産性の上がりにくいサービス部門が好調というのは何か心配でもあります。生産性が上がらないと人手不足、求人増につながり、雇用増が経済の活発化、好況の先行指標と考えるアメリカの見方ではいいかもしれませんが、そのせいで賃金が上がり、消費者物価が下がらないという事になりますと問題が出て来ます。

というのは、FRBはインフレ目標2%を掲げ、それが達成されれば金利を引き下げ景気抑制策を止めると言っているのですが、この所消費者物価が3%がらみでそれ以上低くならないといった様子だからです。

FRBのパウエルさんは、この分では金利引き下げは当面視野に入らないといった発言をしています。アメリカの経済成長率の予想は、今年は2.6%(実質)で良いのですが金利が下がらないと住宅建設や製造業の景気は良くならないので、来年は1.8%の成長に減速の予想だそうです。

これはアメリカにとっても良くないのですが、アメリカの金利が下がらないと、日本との金利格差が開いたままになる可能性が大きく、日本は円安が更に進むとか、アジア諸国なども通貨安になってインフレ進行、経済不安などが言われ始めています。

アメリカは、今、国際情勢の不安定で、ウクライナ支援をはじめ出費が多ですから、ドル高の方が良い面もあるかもしれませんが、国際競争力という面では当然問題が出るでしょう。

その具体的現われかどうかは解りませんが、バイデン大統領が、中国製電気自動車(EV)の関税を25%から100%に引き上げるというショッキングな発言をし、更に中国対象に電池やソーラーパネル、加えてアルミや鉄鋼といった工業原材料の関税引き上げにも言及しています。

中国は当然これに反発して、何かトランプさん時代の関税引き上げ競争のような雰囲気になってきそうな気配です。

覇権国、基軸通貨国のアメリカが果たさなければならない役割は大変かと思いますが、残念ながら、アメリカの経済力はそれについてけないのが現状でしょう。

日本も、アメリカら防衛装備品など、色々な物を買わなければならないようですが、円安もあり大変な値上がりのようです。

今の対米関係では、NY市場と東京市場の関係のように、アメリカに依存して動くものがたくさんありますから、アメリカの経済情勢には最大限の注意を払わなければなりませんし、同時に、日本経済自体も、もっと確り力をつけなければならないのでしょう。

それにしては、日本の政権の現状は、一体何を考え、何をやっているのかコップの中の泥仕合という情けなさです。これではダメだと思っている人は大勢いるのでしょうが、それでは何をすべきかをきちんと考える人が出てこないというのが今の日本の一番の悲劇のような気がします。