最低賃金論議の本質
新聞に、今年の最低賃金についての審議会の論議が労使の対立でまとまらないと出ていました。最低賃金についてはこのブログでも取り上げた ことがあります。
厚生労働省は、最低賃金をできるだけ引き上げていきたい意向のようで、現在600円台(1時間当たり)の水準の低い県の最低賃金も800円以上に引き上げたいと考えているようです。
最低賃金の引き上げには2つの意味があるように思います。
・ 1つは、経済の成長発展に従って最低賃金も引き上げられるべきであること
・ 2つは、賃金格差の是正のために最低賃金を引き上げるべきであること
多分この2つが主な理由でしょうが、この所、日本経済は停滞あるいは縮小で、平均賃金水準も下がり気味ですから、1番目のほうの引き上げ理由は無いことになります。
ということで、現在、厚生労働省が主張している最低賃金の引き上げは、もっぱら賃金格差是正のためということになります。
確かにこの所格差社会が言われ、もともと格差社会を嫌う日本人のメンタリティーからいえば、賃金格差是正には賛成という気持ちの人も多いと思います。
しかし残念ながら、経済問題は気持ちや感情ではアプローチできません。きちんとした戦略や方法論が必要です。
格差是正のために最低賃金を引き上げるのならば、下を引き上げた分だけ上を引き下げなければなりません。そうしないと単なる人件費の膨張になってしまいます。
前回も書きましたように、ドルで見れば、この3年で日本の最低賃金は3割以上上がっています。円高で上がったのですから、製品やサービスの価格も同じように上がっているので、一見何とかなるように思われますが、そこに落とし穴があります。
多分、円高で3割以上上がった日本の物価は、(円安にならない限り)何年かかけて、国際水準に向けて下がります。牛丼だけではありません、日本経済は当分デフレになるという事です。デフレの中では税収も増えませんが、賃金原資も増えません。改めて賃下げの時代です。
日本経済の払える人件費総額(国民経済計算で言う雇用者報酬)には限度があります。基本的には企業内の賃金配分と同じで、格差是正のために最低賃金を引き上げるなら、その原資がいくらかかり、その分は正規社員の賃金からいくら、経営者の賃金からいくら、それぞれ削って捻出するのか、きちんと計算しないと厚労省の方針は「杜撰」のそしりを免れないでしょう。
企業間格差そのものが拡大 する中で、現に中小企業では、背に腹は変えられず、そうした努力をやっています。
新聞に、今年の最低賃金についての審議会の論議が労使の対立でまとまらないと出ていました。最低賃金についてはこのブログでも取り上げた ことがあります。
厚生労働省は、最低賃金をできるだけ引き上げていきたい意向のようで、現在600円台(1時間当たり)の水準の低い県の最低賃金も800円以上に引き上げたいと考えているようです。
最低賃金の引き上げには2つの意味があるように思います。
・ 1つは、経済の成長発展に従って最低賃金も引き上げられるべきであること
・ 2つは、賃金格差の是正のために最低賃金を引き上げるべきであること
多分この2つが主な理由でしょうが、この所、日本経済は停滞あるいは縮小で、平均賃金水準も下がり気味ですから、1番目のほうの引き上げ理由は無いことになります。
ということで、現在、厚生労働省が主張している最低賃金の引き上げは、もっぱら賃金格差是正のためということになります。
確かにこの所格差社会が言われ、もともと格差社会を嫌う日本人のメンタリティーからいえば、賃金格差是正には賛成という気持ちの人も多いと思います。
しかし残念ながら、経済問題は気持ちや感情ではアプローチできません。きちんとした戦略や方法論が必要です。
格差是正のために最低賃金を引き上げるのならば、下を引き上げた分だけ上を引き下げなければなりません。そうしないと単なる人件費の膨張になってしまいます。
前回も書きましたように、ドルで見れば、この3年で日本の最低賃金は3割以上上がっています。円高で上がったのですから、製品やサービスの価格も同じように上がっているので、一見何とかなるように思われますが、そこに落とし穴があります。
多分、円高で3割以上上がった日本の物価は、(円安にならない限り)何年かかけて、国際水準に向けて下がります。牛丼だけではありません、日本経済は当分デフレになるという事です。デフレの中では税収も増えませんが、賃金原資も増えません。改めて賃下げの時代です。
日本経済の払える人件費総額(国民経済計算で言う雇用者報酬)には限度があります。基本的には企業内の賃金配分と同じで、格差是正のために最低賃金を引き上げるなら、その原資がいくらかかり、その分は正規社員の賃金からいくら、経営者の賃金からいくら、それぞれ削って捻出するのか、きちんと計算しないと厚労省の方針は「杜撰」のそしりを免れないでしょう。
企業間格差そのものが拡大 する中で、現に中小企業では、背に腹は変えられず、そうした努力をやっています。