tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ゴーヤと名月と

2015年09月30日 13時49分23秒 | 日記


ゴーヤと名月と
 紛争、難民、権謀術策渦まく中での国連総会と、経済面では二大超大国経済の不安定、影響を受ける国々、これをチャンスと捉えるかピンチと捉えるか市場の乱高下を増幅する国際投機資本、狭くなった地球表面は混乱の只中にあるようです。

 市井の片隅の1市民としては、ただ傍観するだけで為す術はありません。われわれ日本人にとって唯一の救いは、日本は世界の平和と発展を愛する国で、紛争への加担はせず、復興には貢献してくれる国という評価が定着してきていることと、幸いにも日本経済が安定を取り戻し、自分たちの努力次第で、安定成長路線を築けそうな状況にあるということでしょう。

 今年は仲秋の名月とスーパームーンが天体の運行と暦がズレたせいか2日にわたり、運よく三多摩辺りでは雲もほとんどなく、綺麗なお月さまが見られました。
 デジカメでただお月様を撮っても、変哲もないのでどうしようかなと思っていました。

 我が家では、このところ毎年、日除けのために窓の前にゴーヤを育て、ベランダに届くようにしていますが、今年は古くなった外装の塗り替えをしたので、植えていませんでした。ところが工事が終わったころ、昨年落ちた種から一本の実生が伸びて、ようやくベランダに届くようになりました。

 ということで、ゴーヤの葉の向こうに名月ということにしました。それが上の写真です。スーパームーンではなく十五夜のほうです。

 宮沢賢治は「世界が全体幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」と言っています(『農民芸術概論』)。とてもそこまで行き着けない凡人は、この混乱した地球の片隅で、しばしの安息を感じました。

国連の活用の仕方

2015年09月29日 11時27分28秒 | 国際政治
国連の活用の仕方
 今回の国連総会では、各国首脳が、特に活発にいわゆる「国連外交」を展開しているように思われます。

 国連については、このブログも、常にその本来の目的、果たすべき役割といった、本質論や、理想論を述べてきていますが、主要国中心に、各国主脳は、何とかフルにこの国連総会の機会を活用しようと現実に模索していることは明らかでしょう。

 矢張り何といっても、国連はその本来の設立の理念からして、国際社会の役に立つことを目的としているのですから、国連は国際社会、地球人類のために役に立つ組織なのです。
 だからこそ、各国首脳がそれを利用しようとするわけです。

 問題の本質は、その「国連を利用しようとする」姿勢にあることは、ほとんどすべての方が感じておられるでしょう。
 米中会談については前回触れましたが、国連の場というのは、本来、自国の立場を少しでも有利にしようという主張や画策をする場ではないはずです。

 地球人類全体の平和と安全と発展のために、協力してできることは何か、そのためのベストのアプローチは何かを、協力して模索する建設的な活動の場であるはずです。

 紛争への視点の対立、覇権争い、領土的野心などなどが、多少オブラートにくるんだり、それなりの合理化などをしつつ、内実は衝突を繰り返しているような権謀術策、力比べの場にしてしまうのにはあまりに勿体ないのが国連という場ではないでしょうか。

 主要国がそうした本来の国連の理念をないがしろにするような姿勢を続けている中からISのようないわゆる国際テロ組織、国内警察権の場に置き換えれば誘拐、殺人、文化財破壊を常習する犯罪組織のようなものも生まれてくるのではないかという気もします。

 こうした、改めて荒れ始めている地球社会の問題、その象徴としての大量の難民問題が世界を揺るがしている現実を一つのきっかけとして、世界の主要国、特に国連常任理事国が、暫定的にでも対立を横に置き、協力を前面に活動することが望まれてなりません。

 日本も、難民支援に資金を拠出すると同時に、それだけでなく、その発生の源である紛争解決のための国連の活動の在り方を強く主張するべきではないでしょうか。
 それが常任理事国入りを主張する日本の、国連の中での存在意義としても理解されるのではないかと思うのですが。

米中首脳会談の限界

2015年09月27日 21時02分55秒 | 国際政治
米中首脳会談の限界
 米中首脳会談は、新たな大国関係を模索しようという趣旨でしょう、サイバー攻撃、南沙諸島埋め立て問題、人権問題、人民元レートの問題、温室効果ガス排出問題、などなど多くの問題を取り上げ、お互いに本気で意見交換そしたといった雰囲気が報道からも感じられました。

 中国も、ボーイング社から旅客機300機を購入するという手土産を持って、友好関係を何とか構築(演出?)しようと努力したようです。
 首脳同士が膝突き合わせて、こうした難しい問題も含め、話し合うことは大変結構なことだという認識は誰にも共通でしょう。

 しかし総論は賛成でも、各論に至れば意見はなかなか噛み合わないでしょう。世界の二大大国が紛争を起こせばそれこそ大変なことになりますから、その点ではぎりぎりの共通認識はあるのでしょうが、紛争を起こさない範囲で自国の有利にといった駆け引きは当然でしょう。

 アメリカは中国のサイバー攻撃を言いますが、中国はお互いさまという見方のようです。我々には真実はわかりませんが、アメリカも、報道された盗聴問題では脛に傷持つ身です。
 中国は南沙埋め立て問題では、中国とアメリカの間の太平洋には十分な空間があるという主張なようですが、米中の間には空間があっても、アジア諸国との間にはあまり空間はありません。

 世界は二大大國で出来ているものではありません。多くの国が対等の権利を持って存在しています。
 アメリカも中国も、共に二大大国をもって任じ、物理的には確かにそうですが、世界の覇権を競う両国が、他の多くの国から見れば、あまりに多くの国内問題、対外問題を抱え、それが内外の種々の紛争を生んでいることは現実が証明しています。

 たまたま力を持った大国が世界を管理するといった方式では、地球人類にとって本当に平穏な時代は来ないのではないでしょうか。
 今。世界は民主主義という原理を、最も優れたものとして尊重するという意識を明確にしてきています。
 ならば選択すべき道は、国連中心主義しかないでしょう。

 二回の大戦を経て、戦勝国は「国連」が中心となる世界を作ろうと考えたはずです。しかし、それらの国が覇権国願望を持つとき、国連は形だけのものとなり、地球人類の民主的システムは機能しなくなるのでしょう。

 サイバー攻撃や、領土問題や、国際通貨問題は、多様な発展段階の国々が共存する地球人類全体の問題として、国連を活用する以外、本格的な解決に近づくことは困難ではないでしょうか。

 こうした問題、折角作った国連をいかに人類社会の平和、安定、進歩のために活用するかという問題にアプローチするという視点も、世界の二大大国の話し合いの中に入ってきてほしいものです。


安倍政権、経済に注力を表明

2015年09月25日 22時02分13秒 | 経済
安倍政権、経済に注力を表明
 安倍政権は、昨24日、ひと仕事終わったところで、新たに「経済政策に注力」という方針を打ち出しました。

 安保問題で支持率低下を招いたところから、何とか支持率の回復をという狙いだなどと言う向きもありますが、経済政策注力そのものは、国民の本来の願望に沿うものです。

 基本政策として、50年後も人口1億人の維持、一億総活躍社会をキャッチフレーズに「強い経済」「子育て支援」「社会保障」が「新3本の矢」だそうです。
 折しも、日本の合計特殊出生率は2005年のボトム1.26から一昨年には1.43にまで回復する状況で、これは追い風になるでしょう。

 強い経済では、GDPを現在の500兆円レベルから600兆円に引き上げるという目標を掲げています。子育て支援、社会保障については具体的なものは何もありませんが、これは経済成長次第ですから、何といっても、まともな経済成長路線を回復するのが先決でしょう。
 
 思えばプラザ合意での円高容認以来の「失われた20年」で日本経済は長期の縮小を経験、経済外交失敗の恐ろしさを実体験している我々です。どのくらい損をしたかは「 プラザ合意なかりせばの日本経済」で推計しましたが、あの推計に従えば、今のGDPはゆうに800兆円を超えているでしょう。

 死んだ子の歳を数えても仕方ないので、改めて600兆円を目指した頑張ることになりますが、昨今の状況を見ても、少し時間がかかりそうです。
 以前のように、輸出が伸びれば経済が伸びるという日本経済ではありませんから、内需拡大が重要な柱になります。

 外国人の爆買いはありますが、日本人の爆買いはなかなか起こりません。日本人は アリ型ですから、将来不安が払拭されないと消費は伸びません。最近の日銀の資金循環表を見ても家計部門の黒字は消費には向いていないようです。

 最近の雑誌の特集でも、低所得家庭の増加(格差拡大問題は世界的に消費不振の元凶と言われる)や、老後不安(下流老人)の問題が、繰り返し大きなテーマになっていますが、安倍政権は能くこうした具体的難問に対応できるでしょうか。

 安保関連法案成立で問題で国際的不安(不安定)も抱えるようになった日本です、経済政策は国会で強行採決すればそれで解決というようなものではありません。
 これから、安倍政権の真の能力が問われることになるのでしょう。

プラザ合意30年

2015年09月23日 09時52分21秒 | 政治
プラザ合意30年
 昨日は「プラザ合意」30周年の記念日だったようです。
 ニュースではほんのちょっと報道されただけでしたが、本当は日本経済にとっての戦後最も重要な、経済政策失敗の記念日だったと考えています。

 このブログでは繰り返し書いてきましたが、「ジャパンアズナンバーワン」といわれ、日本経済の安定性、日本的経営の強さを世界から羨望の目で見られていた日本が、つい先ごろ、黒田日銀総裁がアメリカ流の異次元金融緩和で円安を実現するまで、「失われた20年」などと言われた超長期のデフレ不況を経験させられるキッカケになった、まさに記憶に残すべき日なのです。

 プラザ合意までは日本経済は$1=¥240がらみの為替レートでしたが、日本経済の好調を妬むアメリカなどから当時のG5で円高を容認するように強いられ、「ハイハイ」といった結果、2年後には$1=¥120という事態になりました。
 その結果日本の賃金や物価は2年後にはドル建てで2倍になり、日本は世界で一番物価もコストも高い国になりました。

 その後アメリカの経済政策失敗によるリーマンショックもあり、日本国民は長い苦労を強いられたのですが、その理論と実態は「為替レートとゴルフのハンディ」 でお解り頂ける説明をしてきたつもりです。

 アメリカに遠慮してか、為替レート問題についてはあまり言及しない日本の政府、アカデミアやマスコミですが、為替レートとというのは企業が仕事をする際の価値基準ですから、いわばメートル原器のようなもので、メートル原器が伸びたり縮んだりしては、構造物の設計などできないのとおなじように、為替レートが誰かの思惑で変動するような中では、キチンとした経営計画などは立ちません。

 こうしたことが始まって、それを世界標準にしたのはアメリカで、理由は、万年「経常収支赤字国」に転落したからです(黒字の時は、ブレトンウッズ体制を敷き、固定相場制を世界標準にしていました)。

 今思い返してみれば、為替レートを2倍に切り上げられて、黙ってその克服に努力してきたのは、まさに日本人の勤勉性の成果で、他の国ではほとんど不可能と思われるようなことを、日本人はやってきたようです。

 現状の$1=¥120がらみでは、円は正常な評価と言えます。ですから、これからも日本人は、その勤勉性をしっかりと維持し、頑張っていけば、経済・社会の安定成長は間違いないと思っています。

 

シルバーウィーク、5連休

2015年09月22日 13時46分30秒 | 日記
シルバーウィーク、5連休
 珍しく、シルバーウィークが5連休になって、日本中が秋の旅行でにぎわいを見せているようです。好天で何よりです。

 日本はお休みですが、外国は昨日から動いています。アメリカが利上げせずで、当面のマーケットは小康状態、中国もヨーロッパもアメリカも昨日今日は株価は堅調なようです。
 混乱を深める世界経済社会の情勢からふと目をそらせば、猫の額ほどの我が家の庭も秋の気配です。

 昨日は酔芙蓉の第1号が咲き今日は山茶花が一輪咲きました。夏の終わりを告げるしょうじょうそう(猩々草)は種子をつけ、中秋の名月を控えてススキも穂を出しています。
 酔芙蓉は夕方になると花弁は赤く変わり、翌日には花は赤い子供の握りこぶしのようになり、ぽとりとおちます。

 秋海棠は今が盛りでしょうか、寂しげですがよく見るときれいな花です。
 リーマンショックで景気が落ちこんだ秋、自然は秋は秋なりに風情がありますが、景気の秋は風情も何もない厳しく困ったものだと書いた覚えがありますが、日本の今年の秋は違うでしょう。

 政治は荒れていますが、経済はおそらく徐々とはいえ、安定成長路線を維持していくと思われます。
 連休明け、そして来週の日本経済、世界経済社会はどんな動きをするでしょうか。しっかり見守りましょう。
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 上に書いた花々の写真を載せました。どれがどれか当ててみてください。 


FRB利上げ見送りの読み方

2015年09月19日 09時39分37秒 | 経済
FRB利上げ見送りの読み方
 9月のFOMCではFRBは結局利上げを見送りました。しかし、雇用や物価の数字が改善すれば、利上げを行うという意思表示は固いようで、10月のFOMCその判断の範囲内といった表現をしています。

 労働経済学者といわれるイエレン女史は、雇用については数字は表面上は良いかもしれないが、労働参加率の低下や非正規雇用が多すぎる点には要注意といった分析も示しています。
 非正規雇用の問題にほとんど理解のない日本の政策当局とは少し違うようです。

 新興国など、世界経済との関係への配慮も示していますが、これは基軸通貨国の責任意識と同時に、新興国経済への打撃はアメリカ経済へのブーメラン効果を持つことへの懸念もあるのでしょう。
 
 ただ、会見の内容から受け取れることは、「何とか利上げに漕ぎ着けたい」という意思でしょう。アメリカは金融の正常化をするんだという明確な意思を内外に示す必要は痛感しているのでしょう。遅れれば引き締めは強くならざるを得ず、それはまたアメリカ経済のためにならないといっています。

 金融緩和万能論者(?)のバーナンキ氏が始めた異次元緩和を労働経済(実体経済)学者のイエレン女史が締めくくるというバトンタッチは結果的に良かったのかもしれません。
 いずれにしても、異次元緩和をいつまでも続けるわけにはいかないことは当然です。しかし赤字体質から脱出できないアメリカです。利上げがドル高をもたらし、アメリカの貿易赤字、経常収支赤字を拡大させるような状況も当然考えられます。

 そのときアメリカはいかにしてドルの価値の安定化、アメリカ経済の健全化を図るのでしょうか。
 こうした基本的問題へのアプローチは今回の会見からも見えてきません。少し長い目で見れば、まだまだ紆余曲折はあるのかもしれません。
 
 しかし、アメリカが、金融の正常化に強い意志を持っているといういうことであれば、日本とそても、近い将来、異次元緩和を脱し、金融正常化の方向に転換しなければならないといった事態を予見しつつ、日本経済の安定性の確保、正常な円レートの維持に適切な政策がとれるような準備をそろそろ考えておく必要が出てきたようです。
 

 

 

日本産業の誇りを失う武器輸出

2015年09月18日 10時55分10秒 | 経済
日本産業の誇りを失う武器輸出
 つい昨年、アベノミクス解散・総選挙で自分の 政策を世に問うて世論支持に自信を得たはずの安倍政権が、「集団的自衛権」では国民に信を問うことはせず、強行採決という愚挙で自論を通そうとしています。
 国民に問えば賛成を得られないと恐れている(分かっている)からでしょう。

 それと相呼応するのでしょうか、財界の一部から、武器輸出推進の動きが出ています。多くの国民はこれをどう受け止めているのでしょうか。

 戦後の日本は、政策の多少の変更はありましたが、原則として、武器の輸出には消極的でした。上記の財界の一部の声は「それでは、みすみすビジネスチャンスを失う」ということなのでしょうか。何か今流行りの利益中心主義に堕した感じがします。

 繰り返していますが、日本企業の経営理念は、社会のため、人類の発展のためといった高邁なものがほとんどです。
 こうした理念を掲げ、戦後の日本企業は、先端技術を民生品に活用する分野で発展させてきました。

 確かに武器開発は先端技術開発に役立つという意見は多くあります。しかし日本企業は、それをより優れた民生品の開発に活用し、より安全、よりきめの細かい多くの製品を開発し、社会をより豊かで快適なものにするように意識的に努力してきました。

 そしてそうした中から、民生品に注力したほうが、より高度でより有用な技術開発が可能になるといった意見も多く出るようになりました。

 武器は、抑止力をもたらすといった主張もありますが、結局は人を殺傷するためのものです。究極の武器核爆弾がすべての頂点にあります。核爆弾以外ならと言える根拠は何でしょうか。まさか小規模ならいいということはないでしょう。

 日本の産業、日本の技術開発は、あくまでも民生品中心ということで、日本産業は世界の信頼を得、評価を高めて来たはずです。

 多様なDNAの1万年以上の平和共存と融合を実践した日本文化の源流、縄文文化の伝統が、 舶来崇拝によって汚染されたと書きましたが、世界平和がますます渇望される時代に、日本産業界の一部に武器輸出推進などといった意見が出ることは、改めて日本文化の伝統を穢し、日本産業の誇りと世界からの信頼を失う大変残念な出来事に思われてなりません。

金融の現状維持は上策

2015年09月16日 11時41分21秒 | 経済
金融の現状維持は上策
 このところ、国際情勢の不安定から日本の景気も、いささか足踏みといった様相もあり、今回の日銀の政策決定会合に、金融緩和を期待した筋もあるようです。

 黒田日銀は強気を崩さず、現状維持で行きましょうということのようですが、それは当然でしょうし、最も上策のように思われます。

 金融緩和を求める声は、ほとんどマネーマーケットからのようです。
 中国の経済減速、アメリカの利上げの行方などの不透明感から、3発目のバズーカで株価押し上げなどという淡い期待もあったのかもしれませんが、株価はもともと経済についてくるものでしょう。マネーゲーマーが経済に口出しして碌な事はないようです。

  現状金融は十分緩んでいます。日本にしても、いつかはアメリカのように、ゼロ金利政策から脱却して、経済と金融のまともな関係を取り戻さなければならないことは当然です。そのタイミングが、他国に振り回されることの多い日本経済では遅れているというのが現実でしょう。

 ゼロ金利の下での金融緩和の最大の狙いは通貨安というのが今の常識ですが、今の日本の$1=¥120の円レートは、すでに過去の円高時代から完全に脱却、購買力平価より円安と見られても仕方ないぐらいの状況ではないでしょうか。
 海外からの観光客の急増、さらには、いわゆる爆買いの様相を見ても知られます。

 これ以上の円安を演出することは、株価には効果があるかもしれませんが、日本の実体経済にとっては「やり過ぎ」の感を免れないでしょう。諸外国の目も、しっかり日本の金融政策を見ているでしょうし、真面目な努力型の日本経済にもいいことはないでしょう。

 現実問題として経常黒字は大幅化しています。二段階の円安で大きなウィンドフォールプロフィットを得た日本企業ですが、今後はこの為替レートの下で堅実な>安定成長への努力をすべき時です。

 経常黒字(国の貯蓄)を巧く活用すれば、経済成長率はもっと上げられるはずです。真面目に働いて経済成長を実現するという日本企業・日本経済の伝統的な手法を、一層の磨きをかけて駆使する時期でしょう。

 技術開発を含め、そのための環境は整っているように思います。

FRBは利上げをするのか

2015年09月14日 10時24分09秒 | 国際経済
FRBは利上げをするのか
 アメリカの異次元金融緩和もいよいよ出口模索の段階から、出口に向かう扉を開け、階段を上る段階に入るのでしょうか。
 9月利上げ説が言われる中で、FOMCは16・17両日ということですが、利上げは延ばすのではないかという観測が強まっているようです。

 もともと雇用と物価の動きが経済の回復を示せば、利上げに踏み切るという姿勢だったわけですが、雇用はそれなりの強さを示す一方、物価は世界の資源価格の低迷で目標の2パーセントにはほど遠い状況です。

 利上げは本来アメリカ経済の問題ですから、国際的な資源価格の影響は関係ないはずで、ホームメイドインフレで目標を決めればよかったのかもしれませんが、今度は消費者信頼感指数がよくないなどと新しい指標も出てきて、予測も混乱状態です。

 地方のFRB 議長の中には強気の人もいて、利上げ、利上げと言ったりしていますが、イエレン女史はもともと労働経済学者で、実体経済を重視するのではないかと私は考えています。

 アメリカにはアメリカの事情があるでしょうし、利上げがあるかないかの予想に参加するつもりはありませんが、アメリカが利上げをすれば、異次元緩和で途上国を潤していたマネーがアメリカに吸い上げられ、途上国の不況が深刻化するといった意見も強く、アメリカ自身が、基軸通貨国の責任をどこまで考えるかも問われる状況です。

 一方では中東やアフリカの混乱も激化し、難民問題が未曽有の深刻さといったこともあり、問題は、単にアメリカ経済の動向と金利政策といった範囲の問題ではなくなっているような感じすらします。

 こうした状況を考えれば、アメリカとしても極めて動きにくいでしょう。もちろんアメリカが経済を健全化し、金利の正常化を進め、世界経済、各国経済が、それぞれに健全化す方向に動くことが一番ですが、現実にはアメリカも不安定、途上国は援助が必要です。

 アメリカは金利引き上げにもっていきたい、しかし途上国から文句が出そう、もうひとつ、アメリカ自体がドル高でやっていけなくなったりする可能性も高いので、利上げはするが、実際にはその悪影響が最小限といった超小幅利上げの可能性などもあるのではないでしょうか。
 先延ばしの可能性も含めて、もうすぐアメリカの考え方(肚の中)が明らかになります。さて、どんな結末になるでしょうか。

消費増税と4000円の還元案

2015年09月12日 14時07分54秒 | 政治
消費増税と4000円の還元案
 このところ随分重たい問題を取り上げてきましたが、今回は身近な問題です。
 2017年から消費税るが10パーセントに引き上げられる際に、低所得者を対象に生活必需品について軽減税率を適用すべきだという考えがありました。

 今回の与党案は、酒類を除く食料品について、マイナンバーのカードを活用して、食料品購入の際に支払った分について2パーセント分を後から還元するというもののようです。
 ただし全額還元するのではなく、上限を年間4000円程度にするということだそうです。

 わたくしなどは、そうした面倒くさいことをやるより、消費税率は手間もコストもかからないようにい一律にして、低所得者への支援は低所得者への支援策の中で、別途適切に考えていけば、そのほうがすっきりするだとうと以前から思っていました。

 もともと、税率を複数にすると、同じコメでも最後に酒になったのかご飯になるのかわからない段階ではどうするかといった問題がついてまわり、問題が多いことは知られています。税制はわかりやすいほど優れているというのは常識でしょう。

 還付方式ではそういう問題がなくなるとか、4000円は、低所得者にとっては大きいが、高額所得者にとっては小さいから、消費税の逆進性の緩和につながるとかいった意見もあり、マイナンバーを導入するから丁度いいという普及促進が絡むのかもしれませんが、年金問題ではありませんが、どんなことになるのかよく解らない新しい制度に乗せて、というところで、いろいろ不安もあるようです。

 個人の消費行動が全部政府に把握されたしまうのではないかとか、もしそれが個人情報の流出につながったらどうしてくれるとか、それは、そのための正式な機構を作って管理するから大丈夫と言っても、今度は、そんな機構を作って、大勢の人が働くようになったら、その人件費はどうするのだ、などいろいろな意見が渦巻いているようです。

 年金機構の民営化も言われるところですが、やはり政府の仕事となると、官庁組織はパーキンソンの法則にしたがって肥大するのが常のようですし、あらゆるコストの中で人件費が最も大きく、必ず増え続けるというのもよく知られたことなので、何のための軽減税率かということにもなりかねないなどという危惧もあるようです。
 個人情報の流出の問題も、マイナンバーが基本的に抱える問題ですが、予断を許しません。

 パッと打ち上げて、反応を見て方法を考えるというのならまだいいのかもしれませんが、面子もあって、無理してでも押し通していくようなことにならないように願いたいものです。

 

 

 

安定を望む世界、深まる混乱

2015年09月10日 09時41分23秒 | 政治
安定を望む世界、深まる混乱
 一昨日大幅下げを演じた東京市場を見ながら、中国、ヨーロッパ、アメリカの市場は大幅上げを記録しました。そして1日遅れで東京市場も大幅上げで追随しました。きょうはまたNYの下げを受けて東京は下げていますが、各国はどうでしょうか。

 中國、アメリカの経済が、それぞれの政策努力によって、大方混乱は回避されるのではといった期待は強いでしょう。市場は、世界経済の安定を望んでいるようで、時に世界経済社会を混乱に陥入れる投機市場も、本音は安定を望んでいるということでしょうか。戦争や紛争で株が上がるといったことは昔の話になったようです。

 こうした中でヨーロッパに新たな問題が起きています。難民受け入れの問題です。先日も書かせて頂きましたが、通常、こんなに広範な地域から、こんなに大量の難民が発生するというのは過去の歴史を見ても異常でしょう。
 いかに安定した経済を誇るEUでも、何時まで続くかわからないこんなに大規模の難民の受け入れには負担の限界がありましょう。

 今日の地球上の経済システムは、基本的に国別に出来ています。巨大な難民の流れはこうした国別の経済システムの破綻に繋がりかねません。どの国でも大変苦労している社会保障システムなどは、こうした圧力に弱いことは容易に理解できます。

 安定を求める世界の世論を後目に、ISのような組織が紛争を主導し、世界を混乱に陥れているのが現状です。
 人間は本来、豊かさ、快適さを求めているはずですが、自ら好んで騒乱や殺戮、文化財破壊などに狂奔する人間の集団が出てきたということは、まさに人類社会のガバナンスの欠如を象徴するものでしょう。

 恐らくISという人間集団は、心理学的に言えば、「被害者意識の塊」となった人たちが集まって成立っているのでしょう。かつて「加害者と被害者」で書きましたように、加害者の加害者意識は薄く、被害者の被害者意識は厚く深いというのが最近の傾向のようです。

 しかも、今日の国連の常任理事国を構成する国々においても、それぞれにISのような組織に大きな危惧や危険を感じながら、当面する自国の権利や権益を守ることに汲々とし、ISのような地球人類がその政策の失敗の結果産み落とした忌まわしく禍々しい集団に対し、協力して対応しようという意識を持つに至っていません。
 
 人類の将来を背負う主要各国の指導者が、自らの利害は脇に措き、地球人類に明るく豊かで快適な将来を齎すべく、協力して適切に行動することを60億余の人類のほとんどのが望んでいるのではないでしょうか。人類の知恵が問われています。

混乱期に突入するか、世界経済社会

2015年09月07日 09時29分30秒 | 国際経済
混乱期に突入するか、世界経済社会
 アンカラG20は終わりましたが、 マスコミはその成果の評価には消極的なようです。麻生副総理は中国に不良債権の解消、過剰設備の処理、高齢化への対応など具体的な助言をされたようですが、問題は、中国自体の自己認識でしょう。

 アメリカの利上げの問題には新興国が懸念を示したようです。黒田総裁は、利上げが可能になるということはアメリカ経済が好調の証左で世界経済にプラスとの認識のようですが、経常赤字の拡大を伴っていることには触れていません。

 G20の結果がどこにどう反映されるかはわかりませんが、それが巧く反映されて、世界経済社会の混乱が収拾される方向に順調に進むとは、あまり期待できないような気がします。

 G20の主要なテーマの1つは、世界同時株安だったようですが、これは中国経済の懸念と、米国の利上げ問題の絡まり合いをビジネスチャンスととらえる国際投機資本筋の思惑が渦巻いている中での出来事です。
 実体経済に比べてはるかに巨大なカネが動く投機ビジネスの波乱増幅効果を適切なレベルにするようなことは至難でしょう。

 もともとこうしたマネー資本主義、マネー経済(学)、金融工学などを流行らせたのはアメリカですし、アメリカはその成果を自らの赤字のファイナンスに活用したのですが、そのやり過ぎがサブプライム景気、その破綻によるリーマンンショックで世界的金融混乱を引き起こしたのが現実です。

 その解決策として、バーナンキ流異次元金融緩和を導入、世界中にカネをばらまきながら(基軸通貨ですから)アメリカ経済立て直しを図り、そろそろいいかなと緩和をやめ、金利引き上げに動こうという時、中国の経済変調に重なることになったのです。

 世界同時株安の直接の原因は中国経済の問題かもしれませんが、経緯を辿れば、いままでのG20で何度も問題になっているマネー資本主義の問題が根底にあっての話です。さらにその元を辿れば、アメリカが経常赤字から脱出できないという問題です。

 人類社会の統治能力とかNGRとか覇権国・基軸通貨国の責任とか書いて来ましたが、こうした基本的な問題へのアプローチがない限り、本当の問題解決は不可能でしょう。

 ここからは少し余計なことです。
 アメリカと中国の覇権争いといったテーマがマスコミを賑わせますが、今日の地球社会では、覇権国方式は、どこが覇権を握ってもうまく機能することはないでしょう。

 解決策はレジティマシー(正当性)のある民主的な国際組織、具体的には民主的に運用される国連組織しかない、ということは誰しもお分かりなのでしょうが、そこまで行くのに人類は、これからどのくらいの時間を使うのでしょうか。

学卒就職ルールに妙案はあるのか

2015年09月05日 09時00分47秒 | 教育
学卒就職ルールに妙案はあるのか
 学卒就職のルールに何かうまい方法はないのか、ルールが変わるごとに学生も思い悩み、企業も大変な手間と費用をかけ、政府も介入しますが、「学生が卒業まできちんと勉強し」「企業は望ましい学生にアプローチできる」ようなことにはないっていません。

 考えてみれば、これは当たり前のことで、そんな巧いことが在ると思う方がおかしいのかもしれません。
 就活も婚活も似たところがあるのかもしれませんが、企業と人(あるいは人間どうし)が広い社会の中で、最も適切な方法で結びつくなどというのは土台無理な話でしょう。

 かつては日経連時代に「就職協定、(1952~96年)」があり、高速道路のスピード標識などといわれ(80kmと書いてあっても皆100kmで走っている)、97年から縛りの無い「倫理憲章」になったと記憶します。
 そして今年から安倍政権の要請で、4月選考開始が4か月後ろ倒しとなりました。

 もともと産学の申し合わせで「倫理」の問題に政府が介入したのですが、今の経団連は「産業界」といっても大企業の組織体ですから、中小は倫理憲章の適用は受けないと考え、先に内定を出します。しかし大企業の選考が始まると、内定は大分反故になるでしょう。
 学生は、かえって就活に手間と時間がかかると感じるようです。

 就職氷河期と言われた時代には、現実には、学生の就職は今よりずっと大変でしたが、就職協定の問題はあまり表に出ませんでした。就職環境がずっと良くなった今、問題が激化しているのです。
 そういえば、以前の就職協定も、「青田買い」などが問題になって、深刻化していました。

 「学生が卒業まで落ち着いて勉強できるように」と言うのは、確かに大義名分でしょう。しかしそれを選考開始の期日を何時にするかで解決しようなどというのは発想の貧困でしょう。

 さらに言えば、就活の本当の問題は、学生と企業の出会いの機会を出来るだけ増やすということでしょう。そうならば、期間など区切らずに、1年生からでも、学生と企業の接触できる「多様」な機会を出来るだけ多く準備するとか、インターンシップを活用(単位も認定)して学生の職場や企業への理解を深めるとか、もっと多様な方法に知恵を絞るべきでしょう。

 学生は通常、卒業したら就職しなければならないのです。それなのに両者の接触の期間を短くして、あとは勉強の時間にと言っても、巧くはいかないようです。

要注目! 新エネルギー開発の多様な進展

2015年09月03日 10時17分38秒 | 科学技術
要注目! 新エネルギー開発の多様な進展
 最近の新エネルギー開発では、いろいろと面白い研究があるようです。
 ソーラーパネル、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーは試行の段階から、次第に普遍化の段階に移行しつつあるようですが、ソーラー発電でも画期的な新技術が生まれて来ているようです。

 現状では太陽光発電の利用効率はせいぜい20パーセントといわれますが、それを理論的には80パーセント台、実効でも60パーセントぐらいまで上げることが出来そうな研究が進んでいるという報道がありました。

 受け入れた光をガラス板の中で横に流し、波長の短い光から順に電気エネルギーに変換していくことで、紫外線から可視光線、赤外線、遠赤外線と順次電気に変換して、太陽光線を余すところなく活用するということのようです。

 人間は元々、太陽が無償で贈与してくれる 太陽エネルギーの恩恵で生きていられるわけですから、自分でエネルギーを作ろう(原子力)などと思い上がらず、謙虚に太陽の恩恵を出来るだけ巧く活用することを考えた方が自然でしょう。

 藻にバイオ燃料を作ってもらおうという研究も佳境に入っているようです。ミドリムシは食料から燃料まで既に企業化されていますが、OOコッカスといった藻に出来るだけ効率よく炭化水素を作ってもらうという研究では、藻の性能が勝負のようです。
 これも、藻が太陽光線を使って炭化水素を作ってくれるわけです。

 さらにタングステン系の触媒を使って、鉄イオンの水溶液に太陽光線を当てると、水の電気分解で水素が出来るという方法で、安価に水素を作る研究も進んでいるようです。近い将来、化石燃料から作る水素と価格競争できるように研究を進めているこのことです。

 エネルギーではありませんが、ある大手化学会社はCO2を原料にしてプラスチックを作っていますし、最近、藍藻を使いCO2と太陽光を原料にしてアミノ酸も作れるようです。

 人間そのものも自然の産物ですが、その人間が、自然の働きに人間の知恵をつぎ込んで、自然の活動をより豊かに活用することが出来るまでに人間の知恵が進んできたことは素晴らしいことではないでしょうか。

 そういえば、日本には、人間が自然に働き掛けて、より豊かな自然を作る「里山」のような経験があります。何か共通点がありそうですね。