tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

就職氷河期から売り手市場へ

2007年03月27日 22時30分15秒 | インポート
 新聞が初任給上昇を報じている。それだけ新卒の求人が活発になったということである。つい先年までの就職氷河期が嘘のようだが、この変化は、学生だけでなく、日本の経済社会全体にとって、喜ぶべきことである。
 新卒求人というのは金融機関など一部の業種で往々行き過ぎがあって、問題にもなったりするが、少なくとも、新規学卒の就職が思うにまかせないといった状況に比べれば、格段に結構なことである。
 企業が新卒採用に力を入れるということは、それだけ若い人材を必要としているということであり、人材を必要としてるということは、採用したら、彼らを育成し、企業に、そして社会に役立つ人間に育て上げていくという決意を背景にしたものに他ならない。
 確かに企業は従来、採用した新卒には、社会人としての生き方の基本を教え、技能技術、専門知識の教育訓練を行い、場合によっては家庭教育や学校教育で不十分だった、社会人としての生活の基本的ルールまで教えてきた。
 残念ながら、異常な円高とバブルの崩壊によってもたらされた失われた10年、15年の中で、企業はコストの削減に自らのサバイバルをかけ、その間、採用も、教育訓練も出来ないでいた。この状況がやっと変わって、採用の復活、教育訓練の復活が現実になってきたである。
 企業のこの行動変容は、フリーターやニートの増加というこのところの傾向にも変化をもたらすだろう。求人の増加は格差社会に進行にもブレーキをかける可能性もある。企業の行動変容を見守りたい。


2007の春闘

2007年03月21日 14時07分30秒 | 労働
 デフレ不況の中で、ほとんど動きの取れなかった「春闘」が、昨年あたりからやっと動き始めました。
 「春闘」というのは、もともと春季賃金闘争で、賃上げのための労使交渉です。「失われた10年」といわれたデフレ不況の中では、経済は成長しない、企業は利益が出ないということで、労働組合も賃上げなど考えられないような情けない状態でした。
 ここに来て、やっと春闘が復活してきたのは、日本経済が元気を取り戻してきた証拠でしょう。賃上げというのはサラリーマンの生活を良くするためにやるわけですから、日本経済が縮小しているようなときには、サラリーマンだけ良くなるのは無理ですが、日本経済全体が成長を取り戻したら、サラリーマンの生活も良くなって当然というのが、労働組合やサラリーマン自身の気持ちでしょう。
 3月14日の大手企業の集中回答を皮切りに、大手の平均では1000円強の引き上げになったようです。多くの企業では年々の定期昇給がありますから、合計すれば、4~5千円の月給の増加でしょか。
 マスコミなどでは、労働組合がおとなしいとか、もっと引き上げて当然といった論調もちらほらですが、まだまだ病み上がりの日本経済です。企業が成長してこそ賃金も上がるのですから、これから妥結を目指す中小企業も、企業の成長と、賃上げの良いバランスを考えて、交渉してほしいものです。