EUの中央銀行ECBが政策金利を0.25%引き下げました。EUの消費者物価指数の上昇率はまだ2.7%ほどでアメリカのPCE(個人消費物価指数)の2.5%より高いですが踏み切りました。
アメリカは昨日と今日FOMC(金融決定会合)ですが、パウエル議長は利下げには言及するのですが、なかなか踏み切らない状態が続いています。
日本はと言いますと、これまで政策金利という基本政策には踏み切る様子はなく国債の買い入れ額を減らし長期金利の0.1%近傍の微調整で、極めてきめの細かい政策です。
ご承知のように、EUやアメリカの金利政策はインフレ退治のために高く引き上げた金利を、いつ引き下げるかという問題であるのに対し、日本の場合はアベノミクス以来のゼロ金利をいかに引き上げるかという問題で、方向は正反対です。
EUは経済情勢に素直に金利引き下げに入っていますが、アメリカは、早い時期から下げる下げると言いながらなかなか下げません。
理由は、インフレがまだ収まらないという事ですが、それはアメリカには2%インフレ目標というのがあって、厳密に2%を切らないと下げられないという事のようです。しかし最近、金利が高すぎて、住宅投資が進まないとか、金融引き締めで一部に不況の気配が出てきて、求人が減ったり、失業率が4.1%と高止まりといったこともあって、金利を下げないことを心配する意見もあるようです。
傍目に見れば早く下げて多少物価が上がっても、景気が良い方がいいのにといった感じですが、なかなか下げません。
勘ぐれば、アメリカ政府はドルが高い方がいいと考えているのかなという事です。今、アメリカは出費が多いようです。ウクライナ援助やフィリピン援助、それに日本に巨額の防衛装備品を売るなどといった場合、金利を下げてドル安になると、アメリカにとっては都合がよくないでしょう。強いドル。高いドルが必要な時に金利を下げてドル安にするのは不都合のように思います。
所で日本の場合を考えますと、日本は円安で困っています。円安だと輸入物価が上がって消費者物価も上がり、実質賃金が下がって政府は評判が悪くなるという事もあるでしょう。
しかし、金利を上げれば円高になって、国際競争力が低くなり稼ぎ頭の輸出産業や、盛り上がっているインバウンドにマイナスのの影響が出れば、日経平均は大幅に下落するでしょうし、そうなればこの春以来の株価上昇は逆転し、NISAたiDeCoの評価は下がり、円安による好況感は消滅し、政府にとっては具合が悪いことになるでしょう。
アメリカはドル高、強いドルは維持したい、しかし、金利を下げればドル安になってしまうという問題に直面しますし、金利を下げれば、景気はよくなるかもしれませんが、またインフレが再燃し、国際競争力が落ちて、万年赤字がまた膨らむといった困った問題を抱えているようです。
日本は、政策金利の引き上げは経済正常化のために必要ですが、そうすれば物価は下がるかもしれませんが、輸出産業の利益はかなり減るでしょう、株価は円高ショックで大暴落の可能性も出てきます。インバウンドの盛況も影響を受けそうです。
本来、金利の引き上げは、景気を抑制するための政策ですから、この経済不振の中でやるべきなのかという意見もあるでしょう。
一方円高になれば、国際的な日本の地位は上がるでしょう。世界2位返り咲くかもしれません。またアメリカの防衛装備品も安く買えるかもしれません。
という事で、これから、日本とアメリカはどんな金利政策をとるのでしょうか。日本経済も、我々の生活もそれに振り回されるのでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
PS 日銀が政策金利を0.25%程度に引き上げるというニュースが入ってきました。3時半から記者会見だそうです。楽しみです。