人材と人財
もともとの言葉は「人材」ですが、人材というのは単なる労働力とは違った意味を持ってる言葉でしょう。労働力の中ででも、何か特に優れた能力を持っているとか、将来そうした能力を発揮する可能性を秘めている素材とかいった労働力が、きっと何か良い仕事をしてくれるだろうと期待されて人材と呼ばれるのではないでしょうか。
この人材というい言葉が、最近良く「人財」と書かれて使われています。時に説明もしてあって、「当社では、従業員を単なる素材とは考えていない。企業の大切な財産という意味で「材」ではなく、「財」を使うことにしている。」というようなことが述べられています。確かに英語でもヒューマン・キャピタルという言葉もありますし、人間を大事にする日本企業ならではの表現だと感じるところです。
これはこれで大変よろしいのですが、これに対する反論も聞かれます。「財」というのは、貝偏だから「カネ」のことだろう。人間をカネにたとえるのは、日本的経営のようなカネよりも人間を大事にする経営思想からすると適切とはいえない。」というような趣旨の反論です。
「でも、木材よりカネのほうがいいだろう。」とか、「材というのは木偏だが今日では特に木を意味するものではない」などという議論になると、さてこれは困ったことだというようなことになってしまいます。
ところで先日中国に行きましたら、中国では、日本の「人材」や「人財」に相当する言葉は「人才」でした。今の中国は、難しい漢字を簡単な漢字や略字に置き換えて使っていますが、この「人才」もうまいものだと感心した次第です。
「人材vs.人財」論争が激化するようでしたら、いっそ「人才」はいかがでしょうか。