円安と企業の果たすべき役割(3)
政府経済見通しが出ましたから、それの実現に邁進するという立場からその中で企業労使はいかなる行動をとるべきかを考えてみましょう。
まず、前回、10円(約10パーセント)の円安で、日本経済はドル建てでいえば10パーセントほど縮小したことになると指摘しました。放っておけば、日本経済は円建てでは10パーセントのインフレになって、それで終わりです。しかし、そうはならないでしょう。それは、企業がそれをビジネスチャンスとして新しい取り組みを始めるからです。
輸出企業の場合を考えてみましょう。ドル建てで輸出していたものは円建てでは10パーセント値上げしても売れるわけです。1ドルで売っていたものは80円だったのですが、今度は円に換えれば、90円になります。この10円をどうするのかということになります。
利益に計上する、値下げして売り上げを伸ばす、R&D、設備高度化、雇用増、賃金引き上げ、下請け単価の改善などなど。現実にはこれららのベストミックスに使うでしょう。
1ドルで輸入していたものは、80円だったのですが、今度は90円払わなければ買えません。単純に値上げする場合、90円払うんだったら国産品が85円だから国産品を買おうという場合、改めて輸入から国内生産切り替えもあるでしょう。
国内生産でコストダウンで頑張ったが、輸入品に負けていたのが、輸入品より有利になる場合もあるでしょう。
こうした場合、円安による円ベースの価格変化ををそのまま受け入れたのではトータルではインフレになって終りですが、企業は必ずこれをチャンスに生産活動を活発化します。円安で増加した円建ての付加価値はこうした生産活動の活発化、それによるGDPの増加になって、利益増、雇用増、賃金上昇を生み、実体経済の改善、経済成長につながります。
これらはすべて、円高の場合と逆の動きですから、円高が如何に経済成長を阻害するかは自ずと解ります。残念ながら、円高の時に、この円高の働きを熟知して、政策を助言した経済・経営学者は居らず、円高の恐ろしさを誰もが過小評価していたというのが、失われた20年の悲劇を生んだようです。
このブログでは、企業発展の原動力は「付加価値」、その成果も「付加価値」、増えた付加価値を使って付加価値をさらに増やすのが経済成長と述べ続けていますが、それを突如可能にするのが「円安によって与えられた付加価値」です。
一言でいえば、円安によって自動的に新たに与えられた(円建ての)付加価値を使って、更に新たな付加価値を創造する(経済成長を実現する)、というのが、過去3回のテーマ「円高と企業の果たすべき役割」です。
政府経済見通しが出ましたから、それの実現に邁進するという立場からその中で企業労使はいかなる行動をとるべきかを考えてみましょう。
まず、前回、10円(約10パーセント)の円安で、日本経済はドル建てでいえば10パーセントほど縮小したことになると指摘しました。放っておけば、日本経済は円建てでは10パーセントのインフレになって、それで終わりです。しかし、そうはならないでしょう。それは、企業がそれをビジネスチャンスとして新しい取り組みを始めるからです。
輸出企業の場合を考えてみましょう。ドル建てで輸出していたものは円建てでは10パーセント値上げしても売れるわけです。1ドルで売っていたものは80円だったのですが、今度は円に換えれば、90円になります。この10円をどうするのかということになります。
利益に計上する、値下げして売り上げを伸ばす、R&D、設備高度化、雇用増、賃金引き上げ、下請け単価の改善などなど。現実にはこれららのベストミックスに使うでしょう。
1ドルで輸入していたものは、80円だったのですが、今度は90円払わなければ買えません。単純に値上げする場合、90円払うんだったら国産品が85円だから国産品を買おうという場合、改めて輸入から国内生産切り替えもあるでしょう。
国内生産でコストダウンで頑張ったが、輸入品に負けていたのが、輸入品より有利になる場合もあるでしょう。
こうした場合、円安による円ベースの価格変化ををそのまま受け入れたのではトータルではインフレになって終りですが、企業は必ずこれをチャンスに生産活動を活発化します。円安で増加した円建ての付加価値はこうした生産活動の活発化、それによるGDPの増加になって、利益増、雇用増、賃金上昇を生み、実体経済の改善、経済成長につながります。
これらはすべて、円高の場合と逆の動きですから、円高が如何に経済成長を阻害するかは自ずと解ります。残念ながら、円高の時に、この円高の働きを熟知して、政策を助言した経済・経営学者は居らず、円高の恐ろしさを誰もが過小評価していたというのが、失われた20年の悲劇を生んだようです。
このブログでは、企業発展の原動力は「付加価値」、その成果も「付加価値」、増えた付加価値を使って付加価値をさらに増やすのが経済成長と述べ続けていますが、それを突如可能にするのが「円安によって与えられた付加価値」です。
一言でいえば、円安によって自動的に新たに与えられた(円建ての)付加価値を使って、更に新たな付加価値を創造する(経済成長を実現する)、というのが、過去3回のテーマ「円高と企業の果たすべき役割」です。