前2回で指摘して来た事は、欧米は賃上げ圧力の強い社会、日本は賃上げの弱い社会ですが、欧米は強すぎ、日本は弱すぎるといった方がいいようです。
このブログの認識では、今の日本経済の最大の問題点はこの「弱過ぎ」にあると言っていいようです。そこから出発して、2013年以降の日本経済の動向の「まとめ」として問題点を順に列挙してみます。
1、 賃上げ圧力が弱いと、国民の消費意欲が鈍ります。一方、付加価値(国民所得)の配分は人件費より企業への資本が過剰に配分されます。
2、 企業サイドが自主的に賃金(人件費)配分をするケースもありますが、全体的には低い賃上げ要求をさらに削った賃上げに抑え、長期不況で増やした低賃金の非正規はそのまま使う事が出来ます。
3、 企業の資本蓄積が進み投資意欲を刺激します。しかし国内は需要が少ないので、海外直接投資が増え、第1次所得収支(利子配当)が増えます。(賃金部分は外国で支払済)
4、 GDPは、ある程度増えますが、企業の設備投資中の片肺飛行状態が続き、消費は伸びず、資本分配過剰でPBRの低い企業が増えます。
5、政府は、政権の人気取りもあり賃上げを奨励し、給付金や賃上げ減税なども考えますが、赤字財政ですから国民は将来展望の不安から貯蓄優先で消費は増えません。
6、政府は国民の貯蓄が増えるので日銀の異次元緩和を背景に国債を増発、財政で景気浮揚を考えますが、逆に国民の将来不安を煽り、平均消費性向は下がり続けます。
7、日銀は異次元金融緩和の効果が、賃上げ圧力の強い国と同じと勘違いし、勘違いに気づいてもこれ以上の緩和策は無いので、賃上げ圧力上昇を注視して待つだけです。
8、その間も海外は皆インフレですから、エネルギーと食料の輸入依存度が高い日本では、消費者物価がじりじり上がり始めます。これに円安が拍車をかけています。
8、家計は、財源のない子育て支援策など当てに出来ない事を見越し、コロナ明けの消費増加も一時的で、見込みの立たない将来設計に苦慮、節約と貯蓄に戻るようです。
9、頼みの来春闘ですが、連合は、昨年要求に「以上」を付けただけで、賃上げで日本を救うといった気迫はなく、支持する立憲も、「賃上げよりバラマキ」指向です。
10、纏めてみますと、これでは来春闘の賃上げはあっても、基本的に状況は変わらず、実質賃金上昇の可能性は、アメリカのインフレの鎮静、金利の低下といった「人様頼み」になって、それが巧く行ったとしても(可能性は小さいですが)せいぜい、2,010年代の賃金は上がらないが物価も上がらにから良かった程度で、後はそれにしても防衛費の急拡大はどうするの、など将来不安は絶えないのではないでしょうか。
大変悲観的な「まとめ」になってしまいましたが、「賃上げ圧力の弱い社会」は元々明るく開けた未来を持つようには、極めてなりにくいという事なのではないでしょうか。
このブログの認識では、今の日本経済の最大の問題点はこの「弱過ぎ」にあると言っていいようです。そこから出発して、2013年以降の日本経済の動向の「まとめ」として問題点を順に列挙してみます。
1、 賃上げ圧力が弱いと、国民の消費意欲が鈍ります。一方、付加価値(国民所得)の配分は人件費より企業への資本が過剰に配分されます。
2、 企業サイドが自主的に賃金(人件費)配分をするケースもありますが、全体的には低い賃上げ要求をさらに削った賃上げに抑え、長期不況で増やした低賃金の非正規はそのまま使う事が出来ます。
3、 企業の資本蓄積が進み投資意欲を刺激します。しかし国内は需要が少ないので、海外直接投資が増え、第1次所得収支(利子配当)が増えます。(賃金部分は外国で支払済)
4、 GDPは、ある程度増えますが、企業の設備投資中の片肺飛行状態が続き、消費は伸びず、資本分配過剰でPBRの低い企業が増えます。
5、政府は、政権の人気取りもあり賃上げを奨励し、給付金や賃上げ減税なども考えますが、赤字財政ですから国民は将来展望の不安から貯蓄優先で消費は増えません。
6、政府は国民の貯蓄が増えるので日銀の異次元緩和を背景に国債を増発、財政で景気浮揚を考えますが、逆に国民の将来不安を煽り、平均消費性向は下がり続けます。
7、日銀は異次元金融緩和の効果が、賃上げ圧力の強い国と同じと勘違いし、勘違いに気づいてもこれ以上の緩和策は無いので、賃上げ圧力上昇を注視して待つだけです。
8、その間も海外は皆インフレですから、エネルギーと食料の輸入依存度が高い日本では、消費者物価がじりじり上がり始めます。これに円安が拍車をかけています。
8、家計は、財源のない子育て支援策など当てに出来ない事を見越し、コロナ明けの消費増加も一時的で、見込みの立たない将来設計に苦慮、節約と貯蓄に戻るようです。
9、頼みの来春闘ですが、連合は、昨年要求に「以上」を付けただけで、賃上げで日本を救うといった気迫はなく、支持する立憲も、「賃上げよりバラマキ」指向です。
10、纏めてみますと、これでは来春闘の賃上げはあっても、基本的に状況は変わらず、実質賃金上昇の可能性は、アメリカのインフレの鎮静、金利の低下といった「人様頼み」になって、それが巧く行ったとしても(可能性は小さいですが)せいぜい、2,010年代の賃金は上がらないが物価も上がらにから良かった程度で、後はそれにしても防衛費の急拡大はどうするの、など将来不安は絶えないのではないでしょうか。
大変悲観的な「まとめ」になってしまいましたが、「賃上げ圧力の弱い社会」は元々明るく開けた未来を持つようには、極めてなりにくいという事なのではないでしょうか。
狂乱物価もあり、賃金インフレを体感したんだなぁと読ませていただきました。新しい資本主義とは何なのか、考える時代かも知れませね。岸田選手にはムリですが。
コメント有難うございます。
何処の国でも、政府や経営者に頼んでも生活は良くならないようです。
やっぱり自分で勝ち取る気がないと、他人任せでは生活は改善しないようです。
そのための労働組合法でしょう。