朝、厚労省から毎月勤労統計の9月分(速報)が発表になりました。名目賃金の伸びは安定していて堅実な動きと言えるのかもしれませんが、注目の実質賃金の対前年比では6月、7月とプラスに転じましたが、8月、9月とまたマイナスになってしまっているというのがマスコミの指摘です。
33年ぶりと言われた今春闘の賃上げが、も少し高ければという所ですが、後述のように、統計の使い方もあり、方向としては明るさも見えるという状況でしょうか。具体的な数字をあたってみたいと思います。
下のグラフは過去1年間の名目賃金の対前年上昇率の推移です、所定内給与、決まって支給する給与(残業等込み)、賃金給与総額(ボ-ナス等込み)の3本の柱です。
資料:厚労省「毎月勤労統計」
ご覧のように6月、7月はボーナスが良かったことで灰色の柱は高くなっていて、この2か月は、実質賃金はプラスでした。
マスコミでは、通常の月に戻った8月、9月はまた実質賃金マイナスと書いていますが、これは現金給与総額指数と消費者物価指数の上昇を比較したもので、9月は毎月勤労統計の実質賃金指数ではマイナス0.1%で僅差のマイナスです。(下表参照)
このブログでは毎回指摘していますが、厚労省がここで使っている消費者物価指数は「持ち家の帰属家賃を除く」指数で通常の総理府発表の消費者物価指数とは違い、このところ少し高い場合が多いものです。(数字は下表にあります)
今後どうなるかは、消費者物価指数の鎮静化を期待(予測)するところですが、今後の改善へのカギは、すでに来春闘に期待という時期に来たようです。
ところで、9月の賃金と物価の上昇の関係を一覧表にしますと、こんなところです。
政府の発表は,消費者物価指数の帰属家賃を除く総合を使っていいあすからマイナス0.1ですが、このブログでは、最初から、消費者物価は通常の総合で、賃金は現金給与総額を使っていますので、それで見ますと、9月も0.3%ですがプラスという事になります。
もう少し歴然としたプラス2~3%という所が目標でしょうか。