tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

有史以来の変な春闘、現実に気付く事が大切

2024年01月02日 13時01分25秒 | 労働問題

能登半島地震で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。自然は時に苛酷です。でも、皆様の復興の努力には必ず答えてくれることを願っています。

 

新春早々、日本経済の行く先を左右すると言われている今年の春闘についての経営側からのメッセージが報道されています。

経団連の十倉会長は、賃上げへの熱量と意気込みは去年に負けない、結果も必ず昨年以上となってついてくると思うという趣旨の発言を新春インタビューで述べています。

経済同友会の新浪代表幹事は、昨年暮れの連合の2035年までに最低賃金1600円以上を目指すという方針を意識してでしょう、最低賃金が2000円を越えるような経済を目指すと新春インタビューで発言しています。

もともと春藤は、英語ではspring offensiveと言われていて、経営側にとってはspring deffesiveですねなどと言われていたものですが、今年は攻守所を変えて、経営側からの賃上げへの積極的な意見が聞かれます。

労働側の要求に対抗して、経営側は過剰な賃上げないならないために防御態勢というのが世界共通で、日本も以前はそうだったのですが、この所は、経営側が積極的に賃上げをすべきと発言しています。

昨年もそうでしたが、主要企業などで、組合の要求に対し、満額回答というケースが多くみられますが、これは、企業の財務・収益といった見地から満額回答をしても問題ないという経営側の判断を示していると言えます。

今年は労働側の慎ましい要求基準に対して、経営側が積極的に賃上げをしようという意思表示という様相で、元日早々経営側発言が、賃上げは必要、昨年より高い結果を期待する、といった国際的に見ればまさに異常な労使の賃上げに対する意識の状況という事になっています。

何故こんなことになっているのでしょうか。理由は、経営側が、日本経済、日本企業の立場として、多少とも積極的な賃金水準の是正をした方が、日本経済にとっても、自社の経営にとってもいいのではないかという意識を持っているからでしょう。

その意味では、日本経済にとっての賃金水準のあるべき姿に、今の賃金水準は達していないという、経済分析、経営分析について、経営側の方がより速く、より正確に現状を把握しているという事でしょう。

一方、労働側は、長期不況の中で経営側と一緒に苦労してきた中で、無理な要求なしないという意識が強く、その感覚に未だ支配されているというように感じられます。

欧米労組の様に、労働側の代表として出来るだけ高い賃金を実現する事が役割で、経営者はそれを払った上で利益を出すことが役割といった労使関係とは違うようです。これは欧米の労働組織が産業別、職種別なのに対し日本は企業別という要素が大きいのでしょう。

つまり、日本経済、企業経営の現状は賃金水準を引き上げ、日本中の世帯がより大きい購買力を持ち、消費需要の積極的な拡大を必要としているという事に経営者の多くが気づいて来たという事に他ならないのです。

経済学者をトップに据えた日銀も、より多くの経営者が、それに気づいてくれることを願っているのでしょう。

その実現のためには、経営側には、国内のサプライチェーン(下請け構造)における付加価値の配分に公正を期する事も要請されます。これは経営側の重要な課題で、得にd最低賃金の引き上げのためには必須の課題でしょう。


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1 コメント

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Unknown (I.SATO)
2024-01-02 16:35:16
tnlabo’s blogさん>今年も分かりやすい解説を宜しくお願いいたします。
連合は何に遠慮しているのか、8~9割を占める中小企業の先頭に立つべきです。
 
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