そろそろ震災後の統計が出てきて、いろいろな経済指標が落ち込みを示す中、現実の経済活動は、自動車、新型通信機器、建設機械、化学製品など、復活への兆しが見えてきています。
統計数字は過去のものですから、それが発表される頃には、新しい展開が出てくるというのは当然かもしれませんが、この政治の混迷、政策決定の迷走の中で、経済活動の現場は、着実に回復に向けて動いているようです。
被災地の皆さんが、復興に向けて、熱い思いで取り組んでおられるように、この大震災を機に、日本全体が、これまでの停滞感を打ち破り、日本経済社会の新たなる活性化に踏み出すことが出来れば、無念にも震災の犠牲になられた方々への、最大の供養にもなるのではないでしょうか。
経済の血流 は金融とすれば、産業の血流は電力でしょう。金融の正常化(行きすぎた国際投機資本の規制)が国際経済の大問題とすれば、今後の国内経済の大問題は、電力問題でしょう。国家100年の大計の中で、電力問題をどのように考えるかです。
世界経済、日本経済の浮沈に関わるこの2大問題が、本当に人類や日本経済社会のあるべき姿を目指して先入観のない論議がされているかというと、どうもそうではないようで、予断を持って論議を有利に導こうという動きが多すぎるようです。
最近、日本経済が不振なのは、少子化、高齢化、人口減少のせいだという意見を多く聞きますが、この問題を過大評価したように見える、いわゆる「ジャパン・シンドローム 」もふくめて、議論の矮小化、近視眼化を避け、古い衣を脱ぎ捨てるような、徹底的な論議をこの際すべきではないでしょうか。
大震災を契機に、結婚願望が増えたという意見も聞きます。国民意識次第で、出生率も上がるかもしれません。戦後50年かけて下がった出生率ですが、下がりっぱなしと諦めるのではなく、上げるために何が必要かを考えるほうが大事でしょう。
試練は人間の生命力を強めます。人間は自然が産み落とした子供です。自然の激しい営みは人間の魂に大きな影響を与えるはずです。
「単なる復旧でなく、新たな復興と発展を」を、といわれますが、この際、日本総ぐるみで、先入観のない日本復興のシナリオを考えるよう、日本人のすべてが、私心を捨てて、協力したいものです。