年が明ければ労使関係は春闘に季節に入ります。
このブログでは、日本経済の行方を決めるのは、結局は産業活動の現場を担う労使の活力如何と考えており、年々の春闘は、労使の活力と相互理解の状況を判断する上の重要な判断材料と考えています。
今年の春闘は、労働側も、低迷する日本経済をこのままでは放置できないと、積極的な賃金所得増による消費需要の回復を意識し、5%以上という要求基準を掲げ、経営側もそれに報いることで産業活動の活性化を図るという意識も生まれたのでしょう、結果は33年ぶりの高率賃上げとなりましたが、労使双方の元気度がまだ少し足りなかったのでしょうか、実質賃金の低下はほぼ止まりましたが、上昇迄は難しいという水準でした。
ただ経団連も賃上げのモメンタムは継続したいという見解を示していますので、来春闘はもう少し元気が出るのではないかと期待するところです。
春闘は通常、労働側が賃上げ要求を仕掛けて始まります。ここでは、労働側の元気が試されるわけで、この程度の賃上げをしても、我々の働きで企業活動を活発化し賃上げは吸収できるはずだ、という所から決めるようです。
経営側は自信があれば、よし、それでいこうお互いに頑張って業績を伸ばそうという事で満額回答になります。今年の春闘は、そんなケースも多かったですが、
さて、来春闘はどうでしょうか。
要求基準としてすでに報道されているのを見ますと、連合は5%以上で今年と変わりませんが、中小については6%以上と1%高い設定にしています。
金属労協はベースアップ1万2千円以上と定昇別のベア要求です。基幹労連は今年は単年度要求に切り替えて月額1万5千円の要求です。
多様な業種を包括するUAゼンセンはベースアップ分で4%、定期昇給込みでは6%要求と連合の基準を上回り、さらに非正規雇用については7%を要求しています。非正規の正規化が進まない中で、特別の配慮でしょう。
こうした中で、経営サイドからのニュースで日本生命が営業職員の賃金を来年度から6%程度引上げるという事が発表されました。
生保の営業職員の賃金は成果給+固定給の形が一般的ですがその両方を積増し、昨年・今年の7%程度に続き3年連続の大幅賃上げとの事です。
サントリーHDも経営側が来春闘も7%程度の賃金引き上げの方針を打ち出していますが、賃金は労使で決めるものですから、労使どちらが言い出しても双方が納得できれば、いいわけで、それが企業の活力に繋がり、業績の向上が企業全員のモチベーション向上に繋がるというのが労使交渉の意義でしょう。
折しも来年には、日本生命の筒井会長の経団連会長就任が決まったようで、今後の春闘がどんな図柄になるか、日本経済の先行きと共に深い関心と共に見守ることになりそうです。