働き方改革の行方:法案は通ったが
昨日、6月29日、政府が最重要法案と称する「働き方改革法案」が成立することになるようですが、それで日本人の働き方はどうなるのでしょうか。
これまでも書いてきましたが、法律制度が変わっても、働き方といったものは、社会文化的背景の中で出来上がっているものですから、ほとんど変わらないと思っています。
安倍内閣は、OECD主要国の中でも常に低位と言われる日本の生産性をこの法律で上げられると思っているのでしょう。だから最重要法案なのでしょうが、残念ながら、その目的は果たせそうにありません。
根本的な理由は、この法案が「欧米における企業と従業員の関係」を日本に持ち込もうとしていることにあります。ところが、欧米と日本の「企業と従業員の関係」は基本が違うのです。
欧米では企業の収益と自分の給料が関係あると思っているのは極く少数の幹部だけでしょう。しかし日本ではほとんどの従業員が(時にはパート・アルバイトに至るまで)企業の収益が上がれば自分の給料に関係があると思っているのです。
これは日本の企業が基本的に人間集団で、従業員は「自分たちが企業を作っている」と考えているからでしょう。
欧米の従業員は「企業を作っているのは株主とその委任を受けている経営幹部」で「我々は企業に時間を売ってその対価として賃金を得ている」、「賃率は仕事によって決まっている(職務給)」と考えています。
ですから欧米の従業員は仕事には客観的で、もっと良い仕事があれば、何時でも変わります。
日本の場合は、末端の従業員まで、「うちの会社」等と言い、自分と企業を一体化しています。だから勤勉によく働き、長時間労働も厭わず、「過労死」などいう言葉も生まれるのでしょう。
日本でもパートやアルバイトは欧米の従業員と同じ雇用形態ですが、正社員と同じように、会社にコミットすることも少なくないようです。
それなのに、なぜ生産性が低いのでしょうか。これは多くの研究、多くの解説がありますが、一つ重要な点を挙げておきたいと思います。
この生産性本部の調査は、1970年代からやっているのですが、OECD加盟国の中で、日本はずっと20位前後で、最高が19位です。
「ジャパンアズナンバーワン」などと言われたころは、さぞかし高かったと思うかもしれませんが、やっぱり20位か日21位(2016年は20位)です。
しかし日本の製品は品質が良く安いという事で世界で評判ですし、近年急増する外国人旅行者は、買い物の便利さ、行き届いた親切さなどに感銘を受けています。
こうしたことは、社会の在り方や文化の在り方の違いによるもので、生産性といった、経済効率の数字だけで測ると違和感のある数字になるのかもしれません。
働き方改革では、この問題解決は恐らく不可能でしょう。
今回はさしあたって生産性の問題について論じましたが、人間の生き方と働き方といった問題についても論じていきたいと思います。
昨日、6月29日、政府が最重要法案と称する「働き方改革法案」が成立することになるようですが、それで日本人の働き方はどうなるのでしょうか。
これまでも書いてきましたが、法律制度が変わっても、働き方といったものは、社会文化的背景の中で出来上がっているものですから、ほとんど変わらないと思っています。
安倍内閣は、OECD主要国の中でも常に低位と言われる日本の生産性をこの法律で上げられると思っているのでしょう。だから最重要法案なのでしょうが、残念ながら、その目的は果たせそうにありません。
根本的な理由は、この法案が「欧米における企業と従業員の関係」を日本に持ち込もうとしていることにあります。ところが、欧米と日本の「企業と従業員の関係」は基本が違うのです。
欧米では企業の収益と自分の給料が関係あると思っているのは極く少数の幹部だけでしょう。しかし日本ではほとんどの従業員が(時にはパート・アルバイトに至るまで)企業の収益が上がれば自分の給料に関係があると思っているのです。
これは日本の企業が基本的に人間集団で、従業員は「自分たちが企業を作っている」と考えているからでしょう。
欧米の従業員は「企業を作っているのは株主とその委任を受けている経営幹部」で「我々は企業に時間を売ってその対価として賃金を得ている」、「賃率は仕事によって決まっている(職務給)」と考えています。
ですから欧米の従業員は仕事には客観的で、もっと良い仕事があれば、何時でも変わります。
日本の場合は、末端の従業員まで、「うちの会社」等と言い、自分と企業を一体化しています。だから勤勉によく働き、長時間労働も厭わず、「過労死」などいう言葉も生まれるのでしょう。
日本でもパートやアルバイトは欧米の従業員と同じ雇用形態ですが、正社員と同じように、会社にコミットすることも少なくないようです。
それなのに、なぜ生産性が低いのでしょうか。これは多くの研究、多くの解説がありますが、一つ重要な点を挙げておきたいと思います。
この生産性本部の調査は、1970年代からやっているのですが、OECD加盟国の中で、日本はずっと20位前後で、最高が19位です。
「ジャパンアズナンバーワン」などと言われたころは、さぞかし高かったと思うかもしれませんが、やっぱり20位か日21位(2016年は20位)です。
しかし日本の製品は品質が良く安いという事で世界で評判ですし、近年急増する外国人旅行者は、買い物の便利さ、行き届いた親切さなどに感銘を受けています。
こうしたことは、社会の在り方や文化の在り方の違いによるもので、生産性といった、経済効率の数字だけで測ると違和感のある数字になるのかもしれません。
働き方改革では、この問題解決は恐らく不可能でしょう。
今回はさしあたって生産性の問題について論じましたが、人間の生き方と働き方といった問題についても論じていきたいと思います。