tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

健全な社会と政治・経済の関係

2024年10月31日 14時24分40秒 | 政治

今、日本の大きな課題は何でしょうか。衆院選の争点は政治改革と経済の再生でした。

敢えて、一つ取り残されていたと言えば、日本社会の劣化の問題でしょう。

日本社会は基本的には健全で安定した社会だと思いますし、海外からの評価でも、最近増え散るインバウンド人たちの意見でも、安定した社会とみられているのでしょう。

しかし、われわれ日本人から見ると、最近、従来は考えられないような事件も増え、毎日のニュースを見ていても、何でこんな嫌なニュースが次から次へと出てくるような日本社会になったのかと恐ろしくなることが多くなりました。

最近、夜、明かりをつけている家が増えたように思いますが、連続強盗事件を心配する家が多くなったからでしょうか。

毎日のようにマスコミが警告している特殊詐欺事件の被害額もなかなか減らないようです。投資を装った詐欺事件も報道が頻繁です。

書きたくはない事ですが、無差別殺傷事件、家族間の刑事事件など、異常な事件も大変気になるところです。

加えて言えば、企業内の検査基準を順守しないといった問題も頻発です。

もともと根は真面目で、社会規範を順守する気持ちの強い日本人がここまで劣化するとはまさに想定外ですが、現実は現実です。

原因は、バブルとその崩壊、その後の30余年にわたるゼロ成長、ゼロサム社会の中での不合理な格差拡大が日本人の心を荒廃させたからと感じている人は多いでしょう。

これからの問題は如何にしてそれを元に戻していくかです。

原因を順に遡れば、成長しない社会の閉塞感、その中での不合理な格差の拡大、やり場のない怒り、などなど、持っていきどころのない不満感が人の心の正常な感覚を蝕んできたのではないでしょうか。

今、政府も各政党も、日本経済の建て直しに的を絞っているようです。経済を建てなおせば、社会は良くなると考えているようです。

実はこのブログもそう考えています。経済の建て直しは30年来の重要課題です。問題は、「しかし、それは政府の仕事ではない」という事です。

税と社会保障制度の抜本改革で格差社会化を是正する、といった長年の懸案、その枠であるトータルの国民負担率の適正化は政府の仕事でしょう。

しかし、どこそこに補助金を出すとか、一時的な減税や給付金で消費を増やそうなどという事は考えない方がいいのです。

そうしたツギハギ政策はすべて、国民の合理的な経済活動を歪め、日本経済の効率を悪くするだけです。(政府の見える手)

昨年あたりから日本の企業も労使も、そうした問題に気付き、労使の配分の正常化、消費と投資のバランスの是正に連合・経団連も動き始めています。

政府は良きルールを作り、産業界はそれを生かす活動をするという本来に戻りつつあります。

そこで最も重要になるのが、これこそ政府の仕事、健全な国民負担率の設定と、社会保障を含むその適切な分配です。(その合理性、公正性が政府信頼の源泉です)

今、日本の国民が最も不安、不満を持っているのは、その適切な分配でしょう。税と社会保障の一体の抜本改革です。新たな日本の再生です。

それを全力で担当する政府は、清潔で合理的な政府でないとできないでしょう。

話を基本に戻せば、今までの自民党中心の政権が、明らかになってみれば泥沼の政治でした。権力とカネと保身の渦の中で総理は平気で国民に嘘を言っていました。

それを直すことから始めるのが基本でしょう。日本経済をよくするのも、日本社会をよくするのも、「日本の政治が清潔で合理的なものになって」初めて可能になるのです。汚れた手や心ではでは、それは出来ません。

繰り返しますが、政府は、まずすべての前提条件「クリーンな政治の実現」に十分な時間と労力をかけてください。国民は待っています。(密約や野合はナシ)

経済は民間産業界、労使の組織が政府の余計な手助けは不要と言っているようです。


都区部10月の消費者物価に注目すれば

2024年10月30日 13時35分14秒 | 経済

来春闘はいよいよ,日本経済が長期不況からの脱却に成功するかどうかの正念場になるような気がしますが、それは今年から来年にかけての賃上げと消費者物価指数の動きにかかっているという見方が議論の中心になりそうです。

このまま消費者物価が沈静していけば、今春闘の賃上げでも実質賃金低下は止まります。今年に入ってボーナスの効果もあり実質賃金の連続低下は中断しましたが、まだその帰趨ははっきりしません。このブログでは、何とか黒字化の方向に行くのではないかと見ていますが、賃上げ幅の平均賃金押上が、あまり大きくなかったので、 頼りにするのは物価の安定化に大きく依存する状態です。

そんな訳で全国の消費者物価指数に先駆けて発表される東京都区部の消費者物価指数の示す沈静化傾向と今後の全国指数の関係を見てみようと数字を並べてみました。

先ず「総合」そして「生鮮食品を除く総合」、そして鎮静傾向の明瞭な「生鮮食品とエネルギーを除く総合」の主要3指標のグラフを見て頂きたいと思います。(資料「総務省」)

              資料:総務省「消費者物価指数」

ご覧いただきますと、主要3指標とも、それぞれ中身が違いますから、多少の違いはありますが変化の動き方は、ほぼ同じと言えそうです。

上の2つはエネルギーが入っていますから、輸入物価の影響と、政府の補助金政策で変動が大きく影響して実態が解りにくくなっていますが、純粋に国内要因で動く一番下の「生鮮とエネを除く」の鎮静傾向ははっきりしています。

注目は10月の東京都区部では3指標が同じ1.8%の上昇と安定化を示していることです。

大手スーパーの一部が、この2年ほどの異常な物価上昇からでしょうか、一部商品の値下げ路線に転換したようです。この延長線上で考えれば、政府、日銀の2%インフレ目標は達成の域に入るのではないでしょうか。 

この可能性を大事にして、生産、流通、消費、各段階が、差し当たって2%インフレ目標に協力する体制で、経済活動を行いたいものです。

<追記>

1、海外物価の変動は世界共通な範囲で国内経済に織り込むことで問題はないでしょう。

2、物価上昇を主要国(特に基軸通貨国)に比し、日本があまり抑え過ぎると、円高要請が起きる可能性があるので、この点には十分留意が必要です。

 

 

 

 


閣議決定で済ませたものが色々ありますが

2024年10月29日 13時39分12秒 | 政治

安倍政権以来でしょうか、閣議決定が多用(乱用)されて来ているような気がしていました。

集団的自衛権もそうですが、閣議決定で済ませていていいのかなと思うようなことがが、閣議決定で決められて、そのまま事が進められているような気がしています。

閣議決定と言えば、企業なら取締役会決定という事でしょうか、法的には。その効力は大きくても、出来れが広い合意が望ましい場合も多いでしょう。

勿論、国家の大事であれば、国会で決議すべきではないかなどと思ってしまって、しっかり国会で審議してほしいと思う人は多いはずです。

解説などで見ますと、閣議決定は仮建築の様なもので、勿論それを活用してなんでも出来るのですが、本来から言えば、仮建築ではなくて、本建築にした方がいいなどと書いてあったりします。

やっぱり国の大事であれば、国会で審議をして正式にした方がいいのではないかとは思っていたのですが、ある時「そうか」と気が付いたのは、国会にかけても、結局は原案通り通ることになるという現実を前提にすれば、結局はどちらでも同じことだという事でした。

国会にかければ議論は紛糾するかもしれません、しかしどんなに紛糾しても、与党が絶対多数ですから、最後は強行採決で原案通り通るのです。

安倍さんはよく、「強行採決などは考えたこともありません」などと言いながら、ずいぶん強行採決をやっていましたから、無駄な事をやっても結局は無意味という事になるだけだと考えていたのかもしれません。 

当時は、やっぱり絶対多数は強い。いざとなれば「政権の独裁的行為すら可能にするのが現実」、などという無力感に支配される思いもあったようです。

しかし、今回の選挙で、この前提条件が変わりました。

立憲民主党の野田さんが「今回の選挙の目的は「自公政権の絶対多数を阻止することです」と繰り返していましたが、それが実現しました。「何なら強行採決をしましょうか」とは言えないことになったのです。

そうなれば、閣議決定の仮建築で済ませていたことを、やっぱり本建築にすべきではないかの議論を国会ですべきだという事になるのではないでしょうか。

仮建築とは、基本的に違った建物にしなれば、本当の役には立たないという事になるものも、多いのではないでしょうか。

ちょっと考えてみただけでも、先にあげた集団的自衛権、防衛力整備計画、経済財政運営の基本方針、こども未来戦略、などなど国民の思いとは必ずしも一致しないものは数多くあるはずです。

日本学術会議との関係の修復なども、長い目で見て日本の、学問レベル、科学技術立国などとの整合性が問われるところでしょう。

政治的混乱を早期に収拾し、国民の意を戴して確り活動する政権の早期発足が望まれます。


<月曜随想>今回の衆院選投票率に思う

2024年10月28日 15時11分58秒 | 政治

今回の衆院選で最も注目していたのは投票率でした。

過去3回の総選挙2014年、2017年、2021年の投票率は52.7%、53.7%55.9%と戦後最低の低迷状態でした。

今回53.7%いうのが、共同通信の推定です。ここまでくれば政局は否応なしに混乱でしょう

民主主義の基本が国政選挙にあるという意味からすれば、有権者の半数近くが投票していないという状態は、国民の政治意識としては、まさに異常な怠惰です。

民主主義は、多数決原理が基本で、いろいろ問題があっても、より多くの人が「これが良い」ということで、物事を決めれば、それが最も妥当だという考え方です。

歴史的には、一部の選ばれた人たちだけとか、男だけとか、いろいろな差別があって、国民全体に選挙権が広がるのには随分時間がかかった事はご承知の通りです。

現状の日本では、民主主義の基本原則に即して有権者の範囲を広げ、2017年からは年齢も18歳以上になっています。

民主主義という政治システムに参加する権利に差別なしの本来の理念の具体化です。

ところが、世界でも「まじめ」という認識で定評のある日本人の半分近くが、この権利を行使せずに放置しているのが現状なのです。

多分、有権者の半分近くが、この権利は「行使しなくても良いもの」と考えているといるのでしょう。

この辺りは学校教育や家庭教育の範囲になりますが、権利にはそれなりの義務が伴うという事が認識されていないのです。

選挙権は権利で、政権がもし国民の意に反するようなことをすれば、それを止める権利が国民(選挙権者)にあるという事です。

もっとはっきり言えば、プーチンやネタニヤフのやっていることを止めさせる権利は、ロシアやイスラエルの国民(有権者)にだけ与えられているのです。国連にも、アメリカにもないのです。国民が権利を行使しない(出来ない)ので、世界中が迷惑しています。

勿論これは極端な例ですが、民主主義国の有権者は、その権利を行使し、政権の行動を監視し、国政の安定に責任を持たなければならないのです。

日本の場合は、一見安定ですが、モリカケサクラから裏金、長期のゼロ成長、財政赤字の急拡大、集団的自衛権、など、国民に多大な迷惑をかけています。

それを見て見ぬふりをするのは、権利の反面である義務遂行についての怠惰です。

半分近くの有権者が、「あとの半分の有権者に任せるよ」と平然として、権利と裏腹の「義務」を果たさない事は許されるべきではないでしょう。

日本が、こんな低迷状態にあることに、国政選挙で棄権する有権者の責任は大で、もし投票率が高ければ、国政の改革は、もっと早く進んでいたでしょう。 

以前「棄権は危険です」という標語もありました。民主主義は国民が監視を怠れば、容易に劣化し、最も恐ろしいのは独裁色を増すことです。

日本人が挙って、民主主義という政治体制に対して、もう少し真剣に対応することを願うところです。


総選挙の行方は:結局は投票率か決める

2024年10月26日 13時11分58秒 | 政治

明日は総選挙の投票日です。結果は、日本の将来を左右することになるでしょいう。

戦後日本の高度成長を引っ張った自由民主党が、1980年代後半以降、対日政策を明確に変えてきたアメリカの意向を安易に受け入れ、「アメリカ追随」を基本姿勢とするようになり、1993年の日本新党中心の政権奪取、2009年の民主党の政権奪取も克服、日本の経済社会を、長期安定政権と言われる形で主導を継続して来ていました。

この間アメリカの対日政策は、経済発展の競争相手から、日本の資金力をアメリカのために活用するという方針に転換したらしく、アメリカのリーダシップに牽引され、低成長の中で資本を蓄積、万年経常赤字のアメリかへの資金協力といった形の経済体制が目立つようになってきました。

こうして、自民党政権の下で、経済大国と言われた過去も忘れ、経済や技術の重要部門でも、一人当たりGDPでも、次第に順位を落とし、経済・社会共に劣化が目立って来るようになって来ました。

劣化したのは日本の経済社会だけだはなく、その劣化をリードしたのは自民党政権自体の在り方だったという事が、このところの不祥事で国民の間に広く解ってきてしまったというのが最近の政治面での現実なのでしょう。

振り返ってみれば、嘗ては、アメリカとはベストの友好関係を維持しながら、日本としては、国民とともに日本国の発展を堅持するというのが自民党の基本方針だったのでしょう。(池田勇人、田中角栄などなど)

しかし今では、世界の中で、平和と不戦を国是とした日本を、国民の中に「新しい戦前」などという言葉が自嘲的な意味で言われるような状況が生まれています。

また、かつての付加価値の生産力による経済立国の真摯な意識を忘れ、カジノを誘致して悪銭を稼ごうといった考え方までアメリカ大統領の希望、自民党政権の応諾の意思表示で進められる堕落ぶりです。

こんな日本になったのも、長期の権力維持で、諺どおりに腐敗した自民党政権、それに汚染された一部の選挙民、そして、アメリカ追随の現実に失望と諦めの結果の投票率の低さのもたらした結果ということでしょう。

この現状を打開できるのは、結局は日本国民の決意ではないでしょうか。アメリカとは友好は維持するが、同時に日本は日本としての進むべき道を世界に明確にしているのです。

そして民主主義国日本の政権は、日本国民の選挙で決まるのです。日本の政権が、アメリカ友好であれば、追随でなくてもそれは当然でしょう。そうした明確な意識で、選挙で意思表示を確りとすることなのです。

腐敗した自民党の姿を良く見ることも大事ですが、同時に、アメリカと日本の関係の在り方にまで考えを致す選挙・投票でなければならないのでしょう。

そうした意味では、今回の総選挙は、日本人が挙って自分の意見を表明する、本気で大事なチャンスなのです。

出来るだけ高い投票率で意思表示をすることで、日本の進路を世界に示し、日本の経済・社会の再建のための選挙ではないでしょうか。


景気回復の原動力は「先ず賃上げ」のようです(続々)

2024年10月25日 14時26分58秒 | 経済

(21:00頃までグラフの掲載がなく失礼しました)

前2回は、理論編でした。今回は実務編です。2025年春闘ではこんなことが必要ですから、産業労使は、是非ともよく考えてみてほしいということです。

今年の春闘は労使ともに33年ぶりの大幅賃上げが達成できたと言い、確かにその通りでした。連合の集計では5.10%、経団連集計では5.58%(大企業、中小企業4.01%)厚労省集計では5.33%でした。

これらの数字を前提に、先ず下のグラフを見てみましょう。これは「毎月勤労統計」の所定内賃金(所定時間働いた場合の賃金)の名目賃金指数の対前年上昇率です。

春闘賃上げ率がどのくらい所定内賃金を押し上げているかが解ります。

                                   資料;厚労省「毎月勤労統計」

昨年春闘の賃上げ率は3%台後半でしたが、名目所定内賃金の対前年上昇率は1.0~1.4%という感じでした。今年の5月からは、今春闘の影響がはっきり出て来て、5%台の賃上げで、所定内賃金は2.2%から2.4%に上がってきています。

春闘賃上げ率が前年比1.5ポイントほど上がっているのに、所定内賃金は1ポイントほどの上昇という事になる原因は、定昇幅の計算、人員構成の変化など多様な原因があるのでしょうが、いずれにしても、春闘賃上げ率と所定内賃金の上昇とは、それなりの差があることは前提にして考える必要があるという事です。 

そこで、本題である、賃上げが消費需要を押し上げ、実質生活水準の向上させるという問題 、更にそれが国内消費需要増加となって日本経済の実質成長率を押し上げるには、という本来の問題を考えることになります。

関門は消費者物価指数の上昇です、今春闘で、実質賃金が25か月続いたマイナスからプラスに転じ、GDPのプラス要因になるかという問題には、未だ明確な回答が出来ない状態です。

毎月勤労統計によりますと、実質賃金指数は今年の6、7月はボーナスが良かったせいで総額人件費ではプラスになりましたが、残業代込みの「きまって支給される給与」や「所定内給与」ではまたマイナスに戻っています。

ただし、この計算では消費者物価指数として「持ち家の帰属家賃を除く総合」という指数がつかわれ、これが8月分は前年比プラス3.5%(総理府発表の生鮮食品を除く総合」は2.8%)という事で、3.5%の方は今後下がる可能性もあり、今春闘の賃上げで実質賃金が対前年比プラスかマイナスかは、まさに微妙なところになります。

このブログでは、今後は消費者物価指数の方が下がりプラスに転じる可能性が大きいと見ていますが、実はその程度、「統計の取り方によってプラスマイナスが変わる」程度では、家計の実感や経済成長率に影響を与えるような効果を持ちそうにありません。

残念ながら、こんなところが、33年ぶりの高い春闘賃上げ率の結果だというのが統計から見た現実なのです。 

恐らく、連合も、経団連も政府も、これで実質賃金マイナスという状況から脱出出来ると踏んでいたのでしょう。見通しは些か甘かったのです。

いわば、今春闘は、慣れない中で何とか民間労使が一歩を踏み出したという所でしょう。

現状から見れば、物価上昇2%が何とか達成可能という環境も見えてきました。春闘賃上げ率何%を目指せば実質賃金が2%程度の黒字の定着になるかは、上の諸条件を勘案すれが皆様方にも具体的な目標値が想定可能でしょう。

連合の先日発表の要求基準(5%以上)では、多少、心許ない所ですが、個別単産の要求基準は恐らくより高いものになるでしょう。

経営者側は、すでに警戒色を示しているようですが、短期的な守りの姿勢でなく、労使協力しての、DXによる生産性向上などと組み合わせ、各企業の発展が日本経済の成長につながるような経営計画の中で、積極的な賃金上昇戦略を考えていくことが、ますます重要になる時期に入っているのではないでしょうか。

政府がどうかといった受け身ではなく、日本経済は日本の労使が責任を持つといった「経済活動担当者」としての責任意識と気概が望まれるところです。


景気回復の原動力は「先ず賃上げ」のようです(続)

2024年10月24日 15時46分24秒 | 経済

~「裏金」を「不記入」として 澄(済)まし顔~

選挙戦たけなわです。大きな課題は日本経済の再活性化で、各党党首は減税、補助金、給付金、大型補正予算などと、政権を採ったらこんなことをして、皆さんの暮らしを豊かにしますと宣伝戦を繰り広げています。

しかし、これまでも政府がいろいろとバラマキをやってきたのに、一人当たりGDPがベストテンから転落、アベノミクス以来10年頑張っても、ズルスルと、40位近くにまで下がってしまった日本経済です。

今までの政策は駄目だったのに、また同じ方法で回復!回復!言ってみても、巧くいかないと解っているはずなのにです。

そこで、何で日本がこんな事になってしまったかを考えてみます。まず、プラザ合意による円高、バブル崩壊、円高深刻化、回復努力を挫折させたリーマンショックという過去があります。

特にリーマンショックまでは自力回復の努力が明瞭ですが、リーマンショック以降、「努力するほど円高になる」という環境の中で、政府・日銀も企業経営者も、何をやったら良いのか解らなくなったという経験があると思います。

この状態は、黒田日銀の異次元金融緩和(少し遅過ぎたようですが)で解消したのですが、その後のアベノミクスが正常化した円レートの活用し方が解らず、政府の努力で経済が回復すると思い込んで民間活力の発揮を阻害し、政府主導の掛け声とバラマキの政策に終始したこの10年の失敗は大変残念でした。

この間、民間の活力は大幅に落ち、社会の劣化のひどく、政府の政策に寄りかかるという姿勢が国内では強くなり、仕事は海外でという形で、第一次所得収支(海外からの利子・配当収入)ばかりが増えることになりました。

中でも最も大きな失敗は、円安によって大幅に下がったドル建ての賃金水準の引き上げを労使が本気でやらなかったことでした。

これによって国内の消費購買力は一向に上がらず、消費不足の片肺経済がこの10年続いてしまった結果が現状です。

この間も、輸入品の国際価は上がっていますから輸入価格は上がり、消費購買力不足で値上げ出来なかった生活必需品産業が、コロナ明けを機に一斉値上げに踏み切り、毎月実質賃金の対前年低下が25か月も続くといった異常事態が発生しています。

そこに、日本のゼロ金利を利用した国際マネーゲーマーのキャリートレードといったマネーゲームや伝説の投機家の発言、円安差益も絡む日本株暴騰という現象が発生、企業利益が極大化、賃金支払い能力の大幅増加の中で、財界からも「少し賃金を上げた方がいいのではないか」という意見が出てきたのが今年の春闘だったのでしょう。

これは経済現象としては自然な動きで、経営者自身も、経済成長のためには国内消費の増加が重要と気付いたという経済理論上の意識の表れでしょう。

その結果、日本経済は少し動き始めたようです。この動きをさらに進める事が大事で、必要なのは、前回も指摘しましたように、民間労使の合意で円安に見合う賃金水準上昇の実現でしょう。

次回その実態を見てみましょう。


景気回復の原動力は「先ず賃上げ」のようです

2024年10月23日 13時39分48秒 | 経済

今回の選挙の結果で気になるのは、1つは当選すれば裏金問題の禊は終了ということになるのか、もう一つは減税や補助金、給付金などの公約が花盛りですが、それで本当に日本経済が良くなるのかという2つです。

国民がどう判断するかは解りませんつが、甘い選挙公約に乗せられずに、確りした国民の判断を見せてほしいと期待しているところです。

そんな中で連合が2025年春闘の賃上げ方針を出して来ました。要求は、初めてでしょうか「二本立て」で、基本的な賃上げ要求としては、昨年と同じ「5%以上」、それに加えて中小企業では「6%」という要求基準です。

格差社会化が進行している日本経済社会を意識して、二本立てにした事には、連合の格差拡大を止めようとする強い意識を感じ評価するところです。

日本経済の活性化に何が必要かという問題については、選挙戦の中で「政府に頼る」という意識が気になりますが、今までの実績が示していますように、政府に出来ることは限られていて、活性化のカギを握っているのは「民間産業界の活動」、端的に言えば、労使が少しでも高い賃金の上昇を志向し、その実現のために協力して技術革新、生産性向上のために知恵を絞り、汗を流すことを実践するという強い意識を持つことが必要なのです。

政府が、あれもやってあげましょう,これもしてあげますと言って、民間がそれを待つようになったら、日本は終わりでしょう。

政府はプレーヤーではなくてレフェリーなのです。活発な経済活動ができるような環境条件やルールを作り、それを確り見張ることが政府の役割です。

今年の春闘でたとえれば、労組が5%以上という賃上げ要求をして、経営側が出来るだけそれに応えることでいくらか雰囲気が変わりました。

今年政府のやったことで特筆すべきは、公正取引委員会の出した「原材料や賃金コストの上昇を価格に転嫁するというルールの明示です。

昔は、下請け企業は専属が一般的で、親企業は、下請けを育てることが大事な仕事でした。今は下請けを買いたたくことが多くそれが問題と考えて新たな行動を起こしたのでしょう。こういうのが典型的な政府の役割です。

それでもまだ、うまくいかないという事で連合は中小企業により高い賃上げ基準を打ち出したのでしょう。残念ながら、ここで取り残されているのは自己中心の大企業という事になるようです。 

つまり産業活動というのは、その中の全ての部分が、夫々に望ましい生産性を上げられるような構造にしないとそこがネックになって全体が上手く回らなくなるのです。

これは親企業と下請けの関係だけではありません。素材産業と完成品産業、労組と経営者みな同じです、利益相反のように見えて、本当は最も合理的な関係が必要なのです。

政府と民間の関係も同じです。恣意的な補助金や給付金は、合理的な関係をゆがめ、健全な経済活動を阻害します。

経済活性化は、産業労使が力をつけることでしか可能にはなりません。その意味で、春闘における労使の緊張関係は大事なものです。

新しい政府は、そのあたりをよく理解して、日本経済の活性化のために何をすべきかを十分弁えてほしいと思うところです。


忙中「閑話」:投票率を上げる方法

2024年10月22日 12時08分22秒 | 政治

衆院選の最も忙しい時期に、「閑話」などと不届きなと叱られそうですが、これも、このところの投票率の低さへの懸念を何とか多くの人に持って頂いて、投票率を上げなければと思ってのことですので、お許しいただきたいと思います。

先日も、このところの日本の総選挙からみますと、日本の民主主義は投票率50%の「半分民主主義」で、これでは本格的な民主主義の体をなしていないのではないかと思いますと書きました。

何とかして「全部民主主義」に近づけていかないと民主主義国落第という事になりそうですから100%は無理でも90%以上ぐらいは目指しましょうという願いです。

マスコミの中には、今度も投票率はあまり上がらないとの見方もあります。長期不況で政府不信が嵩じた結果とすれば、それだからこそ選挙に行ってよい政治家に良い政治をしてもらうように、国民として努力すべきでしょうと考えます。

日本人が本当にその気がないというのなら、その気になるような方法が必要です。

という事で投票率を上げる方法を考えてみました。

一つは、日本人の本来の真面目さに頼る方法です。

今は何月何日選挙「即日開票」ということになっていますが、そこを「即日投票率計算」とします。そして開票日は「目標投票率に到達した日」とし、毎日今日は何%になりましたと広報するのです。

日本人が、本来の真面目さを失っていなければ、せいぜい1週間ぐらいで目標投票率に到達するでしょう。

目標到達率は国民と政府が相談して決めます。

何時まで経っても目標投票率に到達しなかったらどうするの?という事になりますが、日本人がそこまで堕落していないと考えています。

ただし、もう一つ、もっと直接的な方法を考えなければならないかもしれません。それは棄権には罰則という方法です。

オーストラリアの罰金制度は有名です。そのほか選挙権停止(もともと行かない人に効果は?)、禁固刑の国もあるようです。

罰金の場合は効果はあるが徴収の手間がかかるという意見もあります。それならば、次の総選挙で投票を確認するまで、支払う税金を〇%増しにするという方法です。〇の数字は国民と政府が相談して決めます。これならマイナカードが活躍してくれるでしょう。

何もしなくても投票率90%の日本であってほしいと思っています。


選挙公約は実現できるか:判断は「実績」から

2024年10月21日 16時00分34秒 | 政治

選挙戦も真っ最中になりました。私は昨日、期日前投票を済ませました。歳も歳ですから、何があるか解りませんので、行ける時に行っておくことにしています。

期日前投票所は賑やかで、係員の方は、最近は期日前投票が多くなりましたと言っていました。

「投票率も上がるといいいですね」といったら「そうですね」と真面目顔でした。

マスコミでは、9党の党首の主張が繰り返し報道されていますので、それぞれの主張は良く解るのですが、それが具体的になった時にどうなのかというのが、現実の政治の世界ですから、政権を取って政治をやってくれないと意味がないのです。さらに、政権を取ってやってくれても、言った通りのことをやってくれるのか、出来ない、あるいはやらないことも平気で言っているのかこの辺りを有権者が確り見極めなければ民主主義は本来のあるべき姿にならないでしょう。

そんなわけで、今回は前々回に続いて発言の真偽、あるいは実現性を見分けるのに、いくらかは役に立ちそうな諺を取り上げてみました。

・学びて思わざれば、則ち暗(罔)し

・思いて学ばざれば、則ち危(殆)し

これも中国の諺(論語)ですが、

「人から色々学んでも、自分でも良く考えないと、結局は暗いことになります」

「自分で考えて良いと思っても、人の意見も学ばないと危ないことになります」

といった意味でしょう。

最近の石破さんでいえば、自分で考えて自民党らしくない意見を持っていましたが、総裁になって周りの意見を聞いた結果は全く違う意見になってなってしまいました。アジア版NATOなども、アメリカもアジア諸国も否定的でお蔵入りでしょう。

安倍さんや、岸田さんを見ますとブレインがいろいろなことを教えてくれますから何でも知っている様でした。しかし自分でそれをらを勉強し自分のものにしていませんからスローガンを打ち出すと素晴らしいと言われますが、自際にはアベノミクスも成長の分配の好循環もみな竜頭蛇尾で成果が出ずに終わっています。

具体例では、規制撤廃という骨太の方針は、モリ、カケ、サクラ、裏金へと、最後は自己判断の「何でもあり」に堕して、自民党崩壊につながったという事でしょう。

今、野党の多くが公約として掲げている減税や補助金・給付金の拡大にしても、「思いて学ばざれば、則ち危(殆)し」で、多分そういえば喜ぶ人が多く票が取れるという発想だと思われます。

今まで自民・公明連立政権がやってきた補助金政策、給付金、定額減税などといった政策が消費の拡大に殆んど役に立っていないという現実のデータを学んでいない単なる思い入れでしょう。

このブログではできるだけ政府の公式統計を出すことにしていますが、そうした中から補助金や給付金では消費はほとんど増えないという現実が見えています。

耳や眼に心地よい巧言令色は今日の諺でも否定的でしょう。

そんなことも、頭のどこかで考えながら、日本の国が良くなるような真剣な選択に繋がる事が、本気で望まれるのが今回の選挙だと思っています。


物価は落ち着くと予想しますが・・・?

2024年10月19日 15時06分34秒 | 経済

昨日、総理府統計局から9月分の消費者物価指数が発表になりました。

昨日からのマスコミの報道では、消費者物価指数の上昇は鈍化したが、政府の電気・ガス補助金のためとか、一方、コメの値上がりが目立つとか、家計から見ると何か気になる点が指摘されています。

という事で、まず消費者物価指数の基本的な動きを見てみましょう。

      消費者物価主要3指数の推移

 

青と赤の線は、9月は下降、緑の線は、緩やかですが上がっています、青は「総合」指数で赤は生鮮食品を除いた総合です。9月の上昇率2.4%とマスコミが書いてとるのは、赤い線で生鮮食品を除く総合の対前年上昇率です。政府はこの所この指数を使っていますが、天候不順で生鮮食品の価格が乱高下するからでしょう。

青線の下げた原因は、政府が電気・ガス会社への補助金を復活したこと、赤線の下げが大きいのは、値上がりしている生鮮食品も除いているからです。

緑の線は下がっている電気ガスと上がっている生鮮食品の両方を除いたコアコアと言われる生活の基本部分に関わる物価の動きで、天気や輸入品の動きや政府の恣意的政策の影響が除かれているからです。

政府が物価対策をやったりやめたりしますと、経済指標が不規則に動いて経済の実態が見えなくなり、景気判断などが歪む惧れがあるので、補助金や給付金、増減税などは緊急避難に限定、人気取りのバラマキ反対という意見は貴重です。

消費者物価指数の短期的な動きを、具体的にみるという意味で有用なのが、マスコミの見出しの「対前年上昇率」で下のグラフです。

   消費者物価主要3指数の対前年上昇率(%)

      資料:商務省、消費者物価指数

日本の消費者物価指数の対前年上昇率は昨年夏ごろから縮小傾向です。政府の2%インフレ目標というのは、これが2%まで下がるという目標ですが、青・赤の線は電気、ガス、石油などへの補助金で動くので実態がよくわかりません。

一番滑らかなのは緑の線で、これは政府の恣意的政策などの入らない国内中心の経済実態を示すのでしスムーズです。2022年、23年と続いた生活必需品の値上げの波が昨年秋から鎮静化かし、7月には1.9%になりました。

その後多少の反発で8月2.0%、9月2.1%となっていますが、これにはコメの値上がりの様な政府の政策の失敗、原材料費や人件費などの価格転嫁が中小企業での遅れを取り返す動き、インバウンド生協の影響などもあると思われます。

しかし、消費支出の10大費目で見ても一時の様な2桁上昇はなくなり日用品ベースでも特売のキャンペーンも増え、家計の財布の紐は予想外に固く、消費者物価指数は安定化の中での動きという予想が出来るのではないかと見ています。

こうした消費者物価指数の動きと、月が替われば発表になる毎月勤労統計の賃金指数の比較で、実質賃金の動向が議論され、来年の春闘に向けての労使の動きも含め気になる時期になってきたようです。


難しいですね「人を見る目」を身につける事は

2024年10月18日 14時35分10秒 | 政治

選挙戦が始まって、それぞれの立候補者が「自分という人間を選んでくれれば、日本は良くなります」と一生懸命訴えています。

良い感じの人もいますし、少しオーバーじゃないのといった感じの人もいます、中には言っていることが良く解らない人もいます。

テレビの画面で、十分に準備して、あなたの望みを私に託してくださいと言っているのですが、その中にある、「日本をよくしたい」という気持ちと「私が当選したい」という気持ちのどちらが強いか見破るのは大変です。

ということで、多分あまり役には立たないと思いながら、諺を取り上げてみました。

・剛毅朴訥仁に近し

・巧言令色鮮(少な)し仁

これはよく対句として言われるところですが、もともとは論語の中の別の篇に書いてあるのだそうです、並べてみるとまさに対句です。

剛毅は「質実剛毅などの四文字熟語もありますが、中身は確りしているが外見は飾らないという事でしょう。朴訥は素朴で訥弁、言葉は不器用ということで、そういった人の方が人間としては立派なことが多い、といった意味でしょう。

巧言は、言葉使いは上手で、令色は表情は相手に合わせ上手く作るが、そう言った人は人間としては薄っぺらなことが多い、といった意味でしょう。

何か、安倍さんと石破さんを並べているようですが、最近の石破さんは表情も温顔で、言葉も大変滑らかに変わっています。

大変に失礼なことを書いてしまったのかもしれませんが、例を引いて説明するには、だれもが良く見ている人でないと、肝心の理解が得られませんからという事でお許しいただきたいと思います。

これらの日本でも人口に膾炙した諺となっている言葉は、ほとんどが中国由来です。日本文化そのものが、遣唐使以来中国の影響を受けていることは誰もが知っていますが、戦後は、代って欧米の影響が大きくなっています。

欧米の場合は、先日のアメリカの大統領選での党首討論に見ますように、巧みに喋り相手を言い負かす方が評価される事が多いようです。あの勝手にしゃべるトランプさんも、ハリスさんには言い負けたようで、2回目はやらないという事になっています。

まさか「沈黙は金」という諺を地でいったのではないでしょう。自分だけでしゃべることは活発です。

この辺りは東洋文化と西洋文化の違いなのかもしれませんが、「剛毅朴訥仁に近し」と言っていたのでは進歩が止まってしまう事もあります。

毛沢東の文化大革命では知識人を下放し、肉体労働に従事させた歴史もあり、カンボジャはその影響を受けたポルポト政権が文化人の大量拘束・虐殺をしたなどという歴史もありました。

こうした政策を良しとした為政者の動きが「剛毅朴訥仁に近し」を念頭にと言ったら、孔子は大迷惑でしょう。

どちらにしても、やはり物事は極端は良くないので、ここは孔子の言う「中庸」でなければならないのでしょう。

一国の為政者でも、往々にして誤ることはあるでしょう。その意味では、それぞれの多様な常識を持つ大衆が、選挙という形でそれぞれに確り考えてその国のリーダーたちを選ぶというのは最も無難な方法で、それが民主主義ですという事になりそうです。

そしてそれならば、大衆、具体的には有権者の100%がきちんと投票をすることが最も大事なことではないかとつくづく思うところです。


企業行動と政治活動:道徳倫理と法律の視点から

2024年10月17日 13時47分55秒 | 政治

このブログでは、「企業の社会的責任」いわゆるCSR(Corporate Social Responsibility )の問題を折に触れて取り上げてきています。

嘗ての日本では経営道義などともいわれた考え方の国際版でしょう。

ウィキペディアによれば

「CSRは企業が利潤を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者投資家等、及び社会全体)からの要求に対して、適切な意思決定をする責任を指す。」

と書いてあります。

日本では、渋沢栄一が「論語と算盤」を書き、世界で見れば「国富論」を書いたアダム・スミスが「道徳感情論」を書いて、企業には「社会的責任がある」ことを指摘しています。

考えてみれば、社会に存在する限り、社会に迷惑をかけない事が当然必要です。だから反社会的行動に対しては法律があり社会秩序の維持が図られるのでしょう。

しかし、法律制度だけでは必ずしも社会は良いものにはなりません。その意味で大事になるのが道徳・倫理でしょう。

原点は個人にあって、倫理・道徳は個人の人間関係の世界では多分人類発生以来言われていたのでしょう。「徳の高い人が尊敬される」というのは人類共通の認識でしょう。

こうした、社会における善き人間関係を個人のレベルから人間集団・企業のレベルへの適用を目指したのがCSRでしょう。そしてこれは今日では広く企業社会において順守されるようになってきています。

という事であれば、これは当然政治の世界にも適用されるべき問題ではないでしょうか。

政治は企業に増して人間社会の活動に影響を与える重要な仕事です。法律を作るのも法律を執行するのも政治の役割です。企業にとってCSRがいわれるのに増して、政治はさらに広範で、高レベルの「よりよい社会実現」のための活動でなければなりません。

その役割を担うのが、今、選挙で国民が選ぼうとしている人々です。

日本を企業に例えれば、「日本株式会社」の役員に当たるのが国会議員でしょう。

さらに企業に例えれば、企業の盛衰は経営陣によって決まるのです。従業員は、60万人ほどの国家公務員でしょう。

経営者が良ければ、従業員は積極的にそれぞれの力を発揮し企業(国家)の発展に貢献します。経営者が粗末であれば、企業(国家)の行く末は見えています。

ところで、私が驚いたのは、亡くなった今でも自民党で最大の影響力を持つと言われる安倍総理、当時日本株式会社の社長、CEOに当たる人が「国会で問い詰められ「私は、法に触れるようなことはしておりません」という答弁をしたことです。

国会レベルの議論が、

法に触れなければいいというレベルで良いのでしょうか。その程度の認識で、日本国のリーダーが務まるはずがない。これでは日本の行く末が危ないのではと感じました。そして結果はそれなりの事になりました。

    

これは単なる一例ですが、これに類することはぞろぞろあり、法に触れることも、さらには道徳・倫理、社会的責任に反することはいくらでもあるのです。

選挙になると、その自民党の公認候補者も、そんなことは一言も触れません.素晴らしい目標だけが並びます。

「民主主義のトリセツ」でいえば、有権者は、嘘を言う人を始め、権力に固執する人などなど、立候補者の過去、人徳や、行動をしっかり見定め、後から「しまった」というような事が無いように心がけ(難しいですね)、手間を厭わず、必ず投票することが、日本の国を良くすることだとの自覚で行動することを願っています。 


2025年には日本経済を成長経済に・続

2024年10月16日 12時55分57秒 | 経済

前回書いてきたことは、

政治改革では、まず今度の選挙で、投票率を90~100%に上げること。

成長経済のでは、賃金上昇の加速を労使でやること。政府は補助金や給付金などを出さない事です。

今回の選挙の公約でも、消費需要不足で経済が伸びないのだから、消費を増やすために給付金を増やせ、減税をせよという「政府の力で消費を増やす」政策を言っている政党がありますが、それは厳禁です。

政府支出を増やせばツケは結局国民に回ります。もともと国には金はないのです。国民はそれを知っています。

国民が消費を増やすのは、自分で稼いで収入が増えて初めてその気になるのです。労使が頑張って会社の業績が上がり賃上げが増えて初めて従業員は消費を増やす気になるのです。

つまり、政権を取っても、現実に減税ができる環境にないことは国民はみんな知っていますから、そんな公約はすぐ剥げてしまうと思っています。

頼りになるのは自分の働いている企業です。

企業は「労使」から成り立っています。株主もいますが、株主も企業が順調に発展してくれれば喜ぶはずです。

ただ、マネーゲームで株を持っている株主もいますから、そういう株主は要注意です。株価だけ上げたい株主の思惑に引っかからないようにしましょう。

話を元に戻して、では賃金を上げるにはどうするかです。これは今春闘の連合と経団連の意見や態度からも判断可能でしょう。

今春闘では、大手企業中心に満額回答が軒並みでした。要求以上の回答さえもありました。バブル以前でもこんな記憶はありません。

つまり企業には「賃金支払い能力」があるのです。しかし連合の要求が5%以上ですから、それ以上出したら連合に失礼と思う経営者もいるのではないでしょうか。

客観的にも2年ほど前まで、円レート110円ほどで経営をやっていたのです。一時160円まで行きましたが、今の140円台でもドル建ての日本の賃金は大幅に下がっていて、賃金支払い能力には余裕があるのです。

資源エネルギ価格が上がっているという意見もありますが、これは世界共通ですから日本だけ不利になることはありません。

つまり連合が、日本経済の低成長を気にして、賃金要求を控えめにして来ていたこともあって、労使の分配は「使」に偏り、「労」に行き渡っていなかったのです。

これは、国民経済レベルでも、法人企業統計レベルでも確認できることです。

経済活動を活発にするには軽度(2%)のインフレが良いというのは定説で、日本政府・日銀もそう言っていますが、これは経常的なホームメイドインフレを指すこと日銀はよく知っています。

アベノミクス以来の賃上げは、賃上げの担当者でない政府の「官製春闘」という「言葉」だけで終わっていて、「労使」は本気で参加していませんでした。今の分配の不均衡はその積み上げですが、消費不振が経済成長を阻害していましたから、一見「低成長、低賃上げ」がバランスしているように見えていたのです。

ここまで見てくれば、ご理解いただけると思いますが、今は、これまでの基調的低賃上げ経済を、賃上げ主導で逆転し、高賃上げ→消費支出増→経済成長実現→高賃上げ、という、高賃金決定主導の経済活動の方向への転換開始の時期なのです。

そんなことをしたらインフレになって…、などというご意見もあるかもしれません。しかしホームメイドインフレ(賃金インフレ)が2%以上になれば、日銀は金利引き上げでインフレ抑制が可能ですし、連合が、賃金要求を少し引き下げればいいのです。

という事で、当面の賃上げ要求は 7~8%というのはどうでしょうか。

経営者は、昔のように業績が上がれば報いる相手は従業員、株主には定期預金を多少上回る程度の利回りでご納得いただく、マネーゲームには出来るだけ与しないという経営方針、企業は社会のために存在する「公器」であるという自覚が必要なようです。


2025年には日本経済を成長経済に

2024年10月15日 13時39分49秒 | 経済

いよいよ選挙戦に入りました。選挙の争点は、国民の立場からすれば大きく2つでしょう。

1つは、政治改革です。はっきり言えば、自分のためではなく国民のための政治をしたい人が政治家になるシステムを作る事でしょう。

2つは、日本経済の活性化です。少なくとも2~3%の実質成長率が安定的に達成できる日本経済を作り上げることでしょう。

差し当たって、この2つについて、国民が納得できるような状態になれば、マスコミの報道が、聞きたくないような問題が次から次といったことも少なくなり、国民の表情も明るくなって、日本はさっぱりと住みやすく、誰もが何かやる気になるような社会になるのではないでしょうか。

お読みになる方々には、多分、それは大変結構なことだけれども、簡単に出来ることではないですね。それでみんな苦労しているのですから、と言われそうです。

確かにおっしゃる通りです。しかし本気になれば、方法はあります。

私は政治のことは素人なのですが、まず50%台の投票率を90~100%に上げれば、現状は大きく変わるように思います。これは国民が本気になれば出来ることです。

経済の方は多少知識もありますからアベノミクス以来(円レートが正常化して以来)の失敗を正す方法はほぼ解っています。

為替レートの正常化は政府・日銀の問題ですが、それが出来たら、あとは民間労使の問題です。政府・日銀はレフェリーかせいぜいアドバイザー役に回って、民間労使に「分配と成長の問題」への取り組みを「頼むよ」と任せるのです。

経済成長は、基本的には「分配の結果」として決まってきます。これは政府には出来ません。労使の分配、具体的には賃金決定(理論的には労働分配率の決定)が成長の最大決定要因なのです。

単純化すれば、労働分配率が高過ぎると利益が減って投資減少→成長阻害となり、労働分配率が低すぎると労働意欲の低下・消費不振→成長阻害となります。

労使が共通に望ましい成長率を目標に持ち、その実現のための適正労働分配率を労使交渉で実現したとき成長率は極大になるのです。

適正労働分配率より高めの分配になるとその分インフレになります。  

2%程度のインフレならば許容範囲というのが常識となるようです。逆に、低めになるとその分デフレになります。デフレには許容範囲はありません。理由は「デフレ3悪」をご参照ください。

アベノミクス以来日本の政府がやってきたのは、労働分配率が高すぎれば、企業に補助金を出し、労働分配率が低すぎれば家計に給付金を出すという政策です。

これは「政府の見える手」で、労使が適正な労働分配率を議論して、結果に責任を持つという経済活動についての労使の責任感を不要にし、経済の自然な動き、つまり自由経済原則、価格機構の働きを壊すもので、政府による「小さな親切・大きな失敗」なのです。

勿論、労使にも失敗はあります。最近のアメリカのインフレはその好例です。そのときはFRBが出て金利政策で労使の誤りを正すことが必要(大きな回り道)になります。

オランダのワッセナー合意(1982年)は、かみ合わない労使の議論に政府がアドバイザー役を果たし政労使3者協力で成功した稀有の例で有名になりました。

さてそれでは、今の日本ではどうすればいいのでしょうか。この最も肝心な問題を書こうとしたのですが、長くなってしまうので、次回とさせて頂きます。