衆院選の結果が自民・公明の過半数割れで、政権運営が不安定になる事は当然と予想されます。
今までは、絶対多数とか過半数確保といった条件の下で、政権党は何はともあれ、国会運営は多数で可能という安心感があったでしょう。
しかし、これからは違います。マスコミや評論家の中には「これでは何にも決まらないのではないか」などという言い方もあるようですが、勿論、野党は何でも反対というのではなく、国民のために良いと思えば賛成するわけでしょうから、国民が希望する方向に国会論議が収斂するという事になるはずです。
理屈としてはそうなのですが、現実を考えれば、差し当たって議論になる裏金問題では、自民党はあまり厳しくない結果を望み、野党は、企業団体献金廃止といった立場であれば、与党案は通りません。与党が国民の意見に賛成しますと言わなければ紛糾です。
石破総理の下では自民党自体の中も纏まらないといった事でもあれば、現内閣は短命という見方も多いようです。
各党が、あるいは各議員が「是は是、非は非」という事で物事が決まる衆院への練習期間が必要でしょう。
という事であれば、国民の心配する経済運営はどうなるのかという事ですが、これは結局、民間労使が確りしなければという事になるのでしょう。
経済運営の基盤部分の在り方に最も大きな影響力を持つ日銀は、確りと金融政策を考えてくれているようですから、ここは来春闘の賃金決定に向けて、労使が誤りない対応をしていくことがますます重要になって来るのでしょう。
嘗ては日本の労使は、政府はさておき、日本経済をけん引するのは産業界であり、その構成者である労使であるぐらいの自覚をもって日本経済を引っ張るといった気概を持ち、世界の主要先進国が共通に苦しんだ石油危機を、民間労使の協力で、立派に乗り切って世界から羨望の的になった経験もあるのですら、ここは、労使ともに本気を出して、日本経済を民間の力で立派に支えてほしいものです。
この3年ほど、2023~24年の春闘の経験から、少しずつ労使関係の勘所を思い出して来たような雰囲気も感じられ、政治の混乱を横目に、労使が日本経済を引っ張るという雰囲気も出てきたかなと感じられるところですが、重責を果たすにはもう一皮むけてほしいような気もしています。
というのは政府の経済外交、経済政策が失敗続き(円高、決める政治など)だった結果、民間が頑張ろうにも、そのための国際・国内環境が出来ていないといった状態が30年も続いた結果、政府依存の感覚が強くなったという事があるようです。
具体的に言えば、経団連が、政治献金を極めて重要な政治への貢献と考えるようになったり、連合が、政府の意向や政府の動きが賃金決定にも関係するといった感覚を持つに至っていることです。
産業界、産業労使が、「我々が、政府の経済政策の在り方を引っ張っていく」といった気概を持って、自立して経済活動に当たることが望まれるところです。