tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

10月27日総選挙? さて、投票率は?

2024年09月30日 15時03分38秒 | 政治

今朝のニュースによれば、総選挙が10月の27日になりそうだという事です。

立憲民主党の野田代表は、選挙の前に、国会で十分政策論争をして、有権者が選挙する際の判断材料を提供しなければならないのだから、国会で議論してからにすべきだという意見のようです。

一方、自民党内では、早く選挙をして決着をつけたい。議論の時間など必要ないという意見が多いようです。

石破さんも、結局10月1日召集の臨時総会で、衆院解散・総選挙に踏み切るという選択に踏み切ったようです。

今度の総選挙は、従来の惰性の中での総選挙とは違って、自民党がいかなる政党だったのかが、白日の下に晒され、日本経済・社会のじり貧の原因が有権者に見え見えになった後の総選挙です。

当然、「政権交代」の可能性もありうるような客観情勢でもあります。

そうした中で、自民党は、裏金問題も旧統一教会問題もブルーシートを掛けただけで、なるべく早く総選挙、という方向を選んだということでしょう。

石破さんが、その決断に全く賛成なのか解りませんが、ニュースの通りら、まさに「賽は投げられた」ということでしょう。 

客観情勢などから推測してみれば、自民党としては、早期の総選挙が有利の考える理由は矢張りあるのでしょう。

これまでも、国民の多くが「何だかんだ言っても、選挙になれば自民党が勝つんだよな」という固定観念のようなものを持っていたようでした。

その「慣性の法則」が、今のうちなら働くだろうから、選挙は早い方がいい。リーダーのすげ替えで「みそぎ」の効果もあるという意見もあるのでしょうか。

こうした感覚は、与党の代表である立憲民主党にもあるのではないでしょうか。テレビで見ますように。立憲民主党は、今回の総選挙につて「目標は自公政権が過半数を占めることを阻止」と言っています。

政権交代という希望は持ちながら、当面はどう頑張っても、現政権の過半数阻止までで、政権交代などは現実問題としては考えられないということではないでしょうか。 

たしかに、今の野党の乱立状態では、有権者もあの「てんでんばらばら」な野党では、それなりに纏まって二大政党対立、安定した健全な政権交代というような望ましい姿は想像できないのかもしれません。しかし、データを見れば、今までの総選挙の投票率は、以前の70~80%から半分強の50%台に下がってしまっているのです。

ですから、与党は、何はともあれ自分の票田を大事にし、有権者の3割程度の票をもらえば、絶対多数も十分可能ということだったのではないでしょうか。

これでは、残念ながら日本は、「部分的民主主義」で、本当の民主主義ではないので、今回は有権者も頑張って投票率を100%は無理としても、90%以上に引き上げるぐらいの意地を見せなければ、「民主主義国の名折れ」という気概を持つべきでしょう。

90%以上の投票率を実現した上で、結果を見ましょう。

本来の、国民の望む日本の政治の姿が、そこに見えて来るのではないでしょうか。


地球は表面に水がある、なぜ?

2024年09月28日 16時04分13秒 | 環境

宇宙に行った人が皆さん一様に「地球は青かった」と言っています。

空が青いのと同じ原理でそう見えるのか、それとも海が青いので青かったのか、そのあたりは、はっきり聞いたことがありません。

地球に似ているので生物がいるかもしれないと思われていた火星は、赤い星です、さそり座のアルファ星のアンタレスは恒星ですが、赤い一等星として有名です。ギリシャの昔からそうだったのでしょう「アンタレス」というのは「火星(アーレス)に対抗する(アンティ)」という意味だと、戦後夜空がキレイだったころ聞きました。昔はよく星も見えたので、子供は星に興味を持っていました。

太陽系では地球と火星は隣同士ですから、火星人の話も想像図もいっぱいあります。しかし今ではいろいろ解って来て、火星には水が無いから生物はいないことや、表面は砂や土や岩石だけだから赤く見えるということだそうです。

それでも、昔は火星の地表に水があったはずだ、水があったという地形が確認されていると言われています。最近、アメリカのカリフォルニア大学のバークレー校の研究で、地下何10キロかの岩石の層に大量の水(氷かな?)、が含まれている事が解ったともいわれます。

そうか、それなら昔は火星も青かったのかもしれないなどと思いましたが、そうだとすれば、地球も将来、赤い星になるのかな、などと想像してみたりします。

そこで湧いてきた疑問は、なぜ地球には地表に水があるのだろうということです。おそらく火星の場合も昔は海や湖や川があったとすれば、そうした水がだんだん地下に浸み込んでしまって、地表から消え、地下の岩石か鉱物の層に氷という形で岩石の仲間になって貯まっているということなのだろうかとこれも想像です。

考えてみれば、水は液体である限り、どんな隙間にも浸み込んでいきますから、地球の表層部の下に一面の防水ゴムでも敷かなければ、時とともに下に浸み込んでいって地表から消えてしまうのではないかと心配されます。

考えますと、広い海に海水が満々とたまっていて、大気圏の中だけで、全体の量はほとんど変わらずに、液体と気体と固体(水。水蒸気、氷)の循環を繰り返して何万年か何十万年か何百万年でしょうか。その中で生物が発生し、現生人類にまでに進化する環境を維持してくれているのです。

なぜ地球の中に水が浸み込んでしまわないのか調べてみましたが、素人向けに、しっくりくる説明がみつかりません。

気がついたのは、海底の熱鉱床や火山活動、温泉などの役割です。地表の下にはマントルがあり高熱のマグマがあります。浸みていった水は熱せられて水蒸気になり地表に追い返され噴出し元の水に戻るという循環が、超長期に亘って繰り返されているので、地表にある水の量は変わらないということになります。

実はこれは私個人の仮説です。信用しないでください。わたくし自身調べてみたいと思っているところです。

そして、この循環が崩れる時、つまり、マントルの温度が下がるとき。地球は火星のようになるのでしょうか。


政治を変え、政策を変えるために(続)

2024年09月27日 09時21分41秒 | 政治

戦後の復興期から高度成長期にかけて、日本の目標は「経済復興から経済大国へ」でした。国民も、政府、官僚もまさに一体でした。

目標が明確であれば、ベクトルの方向は一致します、アカデミアも種々の経済成長理論を編み出し理論的、知的な応援をしました。

もともと日本人はエネルギーレベルが高いようです。政府もその気、官僚組織は生き生きと自律的に動き、経営者は企業の発展を越えて日本経済の発展迄考え、労働組合は、経済発展に見合う生活の向上を目指して日本経済のバランスの需要面を支えました。

こういう体制が整えば、日本経済は、まさに力強い発展を見せます。アメリカとの経済摩擦も日米繊維交渉以降、自動車半導体まで続きましたが、良いものを安くという日本製品の伸長は世界で進みました。

そして驚く勿れ、アメリカの人口3分の1、国土面積25分の1の日本が。アメリカに次ぐ世界第2の経済大国になったのです。これは今の中国の位置と同じです。

しかも、ハーバー大学の教授が「ジャパンアズナンバーワン」などという本まで書いたのです。

アメリカにとっては、戦後いろいろと面倒を見てやった日本がアメリカに追いつて来るというのは、あまり面白くないでしょう。特にアメリカの核の傘の下で、国を守る苦労もせずに、安全を保障され、経済発展ばかり進めるのは・・・です。

そこでアメリカが何を考えるかは、状況を顧みれば、誰にも解るのではないでしょうか。アメリカに恩義を感じつつも、非戦を謳う日本です、今の米中対立とは違う道、アメリカとの友好を選んだのでしょう。

これは世界にとっても良かったというべきでしょう。しかし、アメリカが「アメリカと共に戦え」という所まで来れば、日本は納得するべきではないでしょう。

日本は戦後79年の経験から、世界のために日本は何をすべきかを学びました。それは、「人類世界から破壊と殺戮をなくし」、「人類文化の向上に役立つ国になる」という理念ではないでしょうか。

そのために日本の国民は何をすべきでしょうか。最も大事なことは、日本は世界のために役に立つ国でなければならないという事です。これはアメリカのために役に立つこととは違う場合もあります。違った場合には「世界のために役立つ方」を選ぶことです。

そこに、このところの自民党政治との違いが出ます。「日本自体の目標」が明確になるのです。日本に改めて自己意識が生れれば、日本人は変わるでしょう。

話を具体的なレベルに下せば、そのためには、「選挙をすればどうせ自民党が勝つのだろう」と言って選挙に行かなかった有権者がみんな選挙に行くことです。結果は「政権交代とはこんな簡単なものだったのか」でしょう。    

自分たちで目標が決められることになれば、日本人のエネルギーは、忽ち発揮されるでしょう。

今でも、政治に抑圧される学術は低迷ですが、食文化やスポーツ、映画、さらには、全く新しい「文学とアニメと音楽とダンスの融合の様な」嘗てのサブカルチャーの分野では、日本は、世界中に強烈な影響を与えています。そうした分野では、自分たちで自分たちの目標を決められるからでしょう。


政治を変え、政策を変えるために

2024年09月26日 16時47分26秒 | 政治

立憲民主党のリーダーは決まりました。野田さんです。

立候補した4人は、選挙期間中は、4人で手を握り合い、団結の意思表示を示して、政権交代への強い意欲を示していると感じさせるものがありました。

所がリーダーに 野田さんが決まって、政権構想の人員配置のニュースが流れた途端、党内に不協和音が聞かれるというニュースが流れてきました。

こうしたニュースが、どの程度の深刻さのものかはわれわれには解りません。

しかし、自民党の長期支配とその腐敗状況に失望し、政権交代を待ち望んでいる人たちにとってみれば、立憲民主党で党内にリーダー選の直後に不満感は心配です。野党結束で自民党過半数割れから、政権交代へという今後に向けての、懸念の材料になりかねません。

大事をなすには人心の糾合こそが核心です。立憲民主党にとっては十分な、留意、注意、配慮が必要のように思われます。

自民党のリーダーは明日決まるのでしょうか。もともと意見はバラバラでも、選挙に強く、リーダーが決まれば、何はともあれリーダーを立てて、国会では挙党一致で動く自民党ですから、リーダーが決まればそれなりの体制を取り、内閣の支持率が下がっても、それなりの団結を見せるのが長期政権の中で体得された本能的なものといった感じですから、だれがリーダーになるかは国民にとって極めて大事でしょう。

ということで、リーダーが決まれば、いずれ総選挙という可能性で、これまでだらだらと下り坂を降りてきた日本が、気持ちを切り替えて、「坂を上ろう」という意識になるには何が必要かを考えてリーダーを選ぶ必要があるでしょう。

その気持ちの切り替えのために何が必要かというのが、今、日本人が真っ先に考えなければならない問題でしょう。

企業はたとえ超大企業でも、トップが変われば変わります。それはトップが変われば従業員の意識が変わるからです。そして従業員の意識が変わったことが、結果的に企業が変わることになるのです。

国の政治でも同じことが言えるでしょう。ということで振り返ってみますと、日本が世界も驚く上り坂を上っていた時代は、日本のリーダーが日本の行く先を決めていた時代です。

それではいつから日本が下り坂を歩くようになったのかを考えてみますと、それは「日本はアメリカについていくよりない」と日本の政府が考えるようになった時からです。

きっかけはプラザ合意です。それからの政策の問題は繰り返し書きました。日本のリーダーは、アメリカの意向を受けて動くだけですから、あとは演説のレトリックと支持層へのバラマキという迎合政策、そしてこの所は政権維持のための裏金と旧統一教会で済んでいたのでしょう。 

国民は何を言っても政府は聞いてくれない、政府のやっている事はおかしいという意見は抹殺され、国民は批判は出来ても、批判するだけの無力な存在となったのです。

国民の意見が反映されない世の中で、国民はますます過激な政府批判をするようになりましたが、それは政策に反映されることはなく、無力になった国民は、下り坂を降りるだけの存在になったというのが現状でしょう。(長くなるので次回に続けます)


国連は能くその役割を果たしうるか

2024年09月25日 19時47分22秒 | 国際関係

日本時間の昨夜からニューヨークの国連本部で国連総会が開かれ、一般討論演説は、日本時間の昨夜10時から始まっているとのことです。

日本からは上川外相が出席していますが、ウクライナとパレスチナで悲惨な戦闘が行われている中、紛争の当事国どうしの激しい議論が予想されるとニュースは伝えています。

恐らく世界人類の中の多くの人が、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスのイスラエル急襲、それに対するイスラエルのガザ地区を中心にしたパレスチナに対する徹底しすぎるほどの反撃さら、ヒズボラのイスラエル奇襲、イスラエルの報復行動としてのレバノン空爆といった戦火の広がりに悲痛な感覚と人類何ゆえ戦争に走るのかという痛恨の思いで平和を願っていると感じているところです。

恐らくニュースが伝えるように、当事国どうしの激しい論議がなされつつあるとおもいながら、本来平和を尊ぶべき人類の一部に、こうした過ちが起きる時、平和を願って果たすべき国連の役割の不全に、人類としての慙愧に耐えない気持ちを持つのではないでしょうか。

勿論、国連総会は議論の場であって、実力行使の場ではありません。あくまでも平和の維持を最重点とする中で、人間どうしの話し合いによってすべての問題に対処することが最も大事なことです。

本来であれば、国連総会が人類社会のガバナンス維持のための最高決定機関であり、安全保障理事会は、国家や人類の安全を保障するために国連がとるべき必要な事を議論する国連の中枢機関でしょう。

その点からいえば、イスラエルとパレスチナの問題は、国連がその権限においてあらゆる可能な手段を講じ、解決の可能性のある問題でしょう。

現に、その努力は積極的になされているようですし、今回の国連総会でもその方途などがさらに本格的に議論され、少しでも解決に近づく事を期待したい所です。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻問題は、あえて侵略を企図した国が国連安全保障理事会の決議に拒否権を持つ常任理事国5カ国の1つであるという極めて異常な性格を持ったものです。

つまりロシア自体がこの侵略戦争をやめるといわない限りこの戦争は続く可能性が大きいのです。

恐らく今回の国連総会でも国連の開祖の議論はおきるでしょう。このブログでもすでに、国連の最高の意思決定機関は国連総会であるべきではないかという考え方も指摘しています。

自ら戦争を始めた国は、安全保障に逆らう国として、安全保障理事会における常任理事国の地位を失うという考え方もあるでしょう。

いかなる組織、システムが国連の理念の照らして正しいかという議論は、もっともっと進められるべきではないでしょうか。

そして最後に残る問題、正しいルールを決めても、「いかなる方法で実効性を持たせるか」が最後の問題として残ることは、誰にも解っているのでしょう。そしてそれが人類に残された最後の課題でしょう。

今の国連総会で出来ることは,「これが正しい在り方ではないか」という所までの議論かもしれません。

しかしそうであっても国連が、世界が納得できるような結論、国連の新しい在り方を十分に議論することであり、出来るだけ早く結論に到達、採択することでしょう。

そしてそれが、平和裏に順守されれるまで、人類が何世代かかっても、実現するためのレールを、誤りなく敷くことではないでしょうか。


今年から来年、日本は変わるか

2024年09月24日 13時32分30秒 | 政治経済

今年から来年にかけて、日本は変わるでしょうか。政治的にも経済的にもじり貧が進行するだけで、世界の中で、自らの位置をどんどん落としていくというこの10年に息が詰まってきた日本人が、大きく深呼吸して、さてこれからは前を向いて進む日本に生まれ変わるかが試されているような気がします。

プラザ合意とリーマンショックによる円高で、コストカットに精も根も尽き果てた日本が息を吹き返すチャンスは10年前に1度あったのです。

日銀の異次元金融緩和政策で「円高の桎梏」から脱出、当時の政府日銀の皮算用では2年ほどで日本経済はデフレ経済から2%程度の軽いインフレ経済に転じ、経済成長を取り戻せるはずだったのです。

アベノミクスという掛け声に多くの国民はそれを期待しました。しかし期待に反したことは皆さんのご経験の通りです。

なぜ失敗したのでしょうか。分析や説明はいろいろあります。このブログでもいろいろ書いてきました。

企業の経営は経営者、経営陣によって決まります。国を経営するのは政権者です。国の盛衰は政権者(内閣)によって決まる事になります。

政権者、政権党が、本気で国の持つ経営資源「人」「モノ」「カネ」「技術」「意欲」といったものを最大限に生かそうという気概を持った時、国は間違いなく発展するでしょう。

しかし、この10年、政権者、政権党にはそれが出来ませんでした。まず掲げたのは「決める政治」というスローガンでした。

全ては政権が決めようという姿勢では政権者の知恵が限界です。そして実態を見ていきますとその活動の原点は「政権党による長期政権の維持」が最大の目的だったのです。

安倍政権はそのためにルールを変更してまで総裁3選に固執しました。3選は成功しましたが結末は予想外の出来事で、あとは混乱です。

具体的な政策の方向は基本的にアメリカ追随でした。カジノ、働き方改革から集団的自衛権までです。日本は「戦争をしない国」ではなくなってしまいました。

こうした中でゼロ近傍の経済成長は続き経済力の順位は落ち、先端産業の発展は遅れ、貿易収支は赤字が目立つようになっています。若者は、親の代の生活は出来ないと嘆き、出生率は低下です。 

こうした国の状態はこれ以上続けられないというのが、今の日本国民の本音ではないでしょうか。

折しも、主要政党のリーダー選びのさなかです。いずれ、総選挙ということになるといわれています。

最近の総選挙の投票率は、50%は維持していますが、もう少し、国民は残念な現状を認識して、日本人本来の真面目さ、真剣に努力する態度を取り戻さなければならないのではないでしょうか。

これから来年にかけて、日本人は本気を取り戻し、日本の再建に取り組む必要があるように強く感じています。


「秋分の日」と「春分の日」のいろいろ

2024年09月23日 14時43分54秒 | 環境

今日は「秋分の日」です。春には「春分の日」があります。両方とも国民の祝日ということで多くの人は1日のんびり出来ます。

元々は民間では、この両日は「彼岸の中日」で、春と秋の彼岸の中日の前後3日ずつを仏教では、彼岸会と言って先祖の供養をします。その真ん中の日なのです。

皇室では春季皇霊祭、秋季皇霊祭と言って天皇家の先祖を祭る日です。

民間では仏教の行事ですが、天皇家は神道でしょうから宗教は違っても先祖の祀るのは同じです。

神仏習合の結果かどうかは別として、さらにその起こりに遡れば、この日は、春と秋にある「昼と夜の長さが同じ日」ということになるのでしょう。

「暑い、寒いも彼岸まで」と言われますが、春はこの日あたりで平均気温が15度を超えるようになり、秋は25度を下回るようになるというのが昔からの気温の変化なので、そんな言い方も生まれたのでしょう。

このところ、その諺が通用しなくなるというのが地球温暖化の中でいわれ、いよいよ今年あたりから「9月は夏」ということになるのではないかなどといわれていました。

ところが不思議なことに、今朝の東京の気温は(都下国分寺ですが)21℃でした。地球温暖化の勢力も、今日だけは少し気を使って、諺の通りにしてくれたのでしょうか。

これからどうなるかは人間の努力次第ですが、こうして暑い夏と寒い冬が毎年循環するのは(北半球と南半球では反対ですが)、北半球では春分の日から秋分の日まで太陽が当たる時間が長いので、暑さが蓄積されるからです(南半球では反対です)。

ということは、上に述べましたように春と秋に昼と夏の長さが同じになる時があるということです。

その時を天文学では、春分点、秋分点と言いその時刻を含む日が春分の日、秋分の日ということになるのです。

ついでに言えば昼が一番長い日が夏至、短い日が冬至はご承知の通りです。

ではなぜそんなことが起きるのかというと地球が太陽の周りを回っている平面と地球が自転している平面(赤道)とが23.4度傾いているからです。

地球は太陽の惑星で、太陽の子供の様なものかと思っていましたが、どうも太陽の子供ではなくて、独自の回転軸を持ちながら太陽系に編入してきたのでしょうか。それとも、回転していたガスが次第に冷えて液体になり固体になって今の地球になった過程でそうなったのか、その辺は現在研究途上なのでしょう。

最後に一つ、春分の日、秋分の日の昼と夜は本当に同じ長さなのでしょうか。

答えは春分の日も、秋分の日も7分50秒ほど昼間の方が長いのだそうです。

何故かと言いますと、日の出は、太陽の頭が地平線から出た瞬間で、日の入りは太陽の頭が地平線に没した瞬間ということになっているので(太陽の真ん中が地平線に達したときではない)合計太陽の直系の動く分だけ昼間が長くなります。

更に太陽光線が大気の中を通るとき屈折するので、日の出は早く、日の入りは遅く見えるのだそうです。その合計が7分50秒(東京天文台計測)なのだそうです。


金利の機能する経済に向かって

2024年09月21日 13時55分33秒 | 経済

日本は長い間のゼロ金利で、貯金するのは減らさないためという意識が一般的になっています。

実はインフレ分だけ目減りしているのですが、下手に株や投信に手を出すと大きく減ってしまう可能性が大きいと恐れる人が多いようです。

そうした意識の結果は日銀の資金循環表に出ています。マスコミも家計の貯蓄2200兆円と言い。政府は株や投信への投資を推奨しますが、この2200兆円のうち、1100兆円は現金・預金(タンス預金含む)です。証券投資は4.6兆円です。

ところで、この1100兆円にやっと利息が付き始めました。

日銀の目標は差し当たって短期金利0.25%ですが、金融機関の中では定期預金0.5%、中には0.75%、1%をキャンペーン利息などとするところも出てきました。

銀行の場合は元本保証、確定金利です絶対安全です。

もう少し利息が高くならないかなと思う人も多いと思いますが、日銀は、急がないけれども、そうして行こうという考えを明確にしています。

これが金融正常化の方向です。もともと資本主義というのは金利の概念が一般化したから発展したのです。倹約して貯蓄をすれば、その金は、カネがないが仕事(ベンチャー)をやりたい人が借りて仕事をして経済が成長するという循環が生れたからです。

この循環をうまく回るようにしたのが銀行だったのです。

昭和恐慌の時代には乱立した銀行がバタバタ潰れて大変でしたが、銀行は潰れない、たとえ潰れても預金は保護されるというシステムが出来て、日本の戦後の高度成長は可能になったようです。

さらに資本主義が発展すると、景気が過熱すると金利を引き上げ、不況になると金利を下げるといった経済政策も一般的になり、銀行というシステムは大変重要なものになりました。

ところが、日本ではアベノミクス以来「ゼロ金利」ですから、金利を上げて景気を冷やすことはできますが、金利を下げて景気を良くすることは出来ません。正常な金融政策が取れないのです。

金利を下げる事が出来ませんから、景気テコ入れのためには政府が財政支出を増やすしかないので、結局、政府が日銀から金を借りてバラマキをやることになります。

銀行は経済活動を活発にする目的で資金を提供しますが、政府は選挙の票田に肥料(国家予算)を撒くのが主な目的ですから、経済効果は全く違います。これも、日本経済が成長しない理由です。

ということで、金利の正常化は極めて大事ですが、更に大きな利点もあります。

家計の貯金1100兆円に3%の利息が付けば3.3兆円の利息が貯蓄をしている家計に支払われます。これが消費支出に回れば、家計最終消費支出は300兆円ですから消費支出が1.1%増えます。一時的ではなく恒久的ですから、消費不振脱出の大きな力になります。因みに今年度の政府経済見通しの消費支出の伸びは1.2%です。

年金が心配だと2000万円貯蓄していれば、金利3%なら年に60万円の利息が付きますから、税金を取られも、月5万円近い安定収入があるのです。

日銀には「ゆっくり、確り」金利のある経済への復帰を進めてもらいたいものです。


8月消費者物価指数、基調は安定へ

2024年09月20日 14時51分19秒 | 経済

今朝、総務省統計局から2024年8月の消費者物価指数が発表になりました。

結論から言うと、現状、日本の消費者物価指数は安定基調で、それを乱しているのが政府の場当たり的な補助金政策と地球温暖化による異常気象だということです。

アメリカでは、雇用統計と消費者物価指数がFRBの金融政策を左右する主要な統計ということになっているようですが、それはこの2つの統計が、アメリカの実体経済の現状を反映すると、関係者みんなが理解しているから成り立つのです。

アメリカが立派ということではありませんが、経済関係の統計などはなるべく本来の経済の動きを示してくれた方が経済状態を理解するためには好都合でしょう。

ということで、発表になりました8月の消費者物価指数を見てみましょう。

マスコミは前年比2.8%の上昇としているものが多いようです。これはこの所、政府が消費者物価指数の「総合」の数値ではなく「生鮮食品を除く総合」の数字をメインの数字として使っているからのようで、「総合」は3.0%です。

   消費者物価指数対前年上昇率(%)

このところ天候不順などで生鮮食品や生鮮魚介や鶏卵の価格が上がっていたので、低い方にしたのでしょう。

政府は数字が低い方がいいと考えるのでしょう。政府が補助金を出して物価をさげたりします。エネルギーの価格が上がったとき石油元売りなどに補助金を出して、ガソリン、電気料金、ガス料金を下げました。  

上のグラフで見ても2023年の2月から2024年1月にかけて、青と赤の線が大きく凹んでいるのが解ります。その時説明しましたように、政府の補助金で電気・ガス料金が下げられたけっかです。

緑の線は上に膨らんでいます。青・赤の線はエネルギー料金が入っていますから下がっていますが、緑の線は「生鮮とエネを除く」ですから補助金の影響はなく、本来は緑の線の上に青・赤の線が来ているはずなのです。1年たつと対前年上昇率は本来の位置に戻り、また上昇を始めます。政策で統計が歪んでいます。

緑の線は、エネルギーと生鮮食品を除いていますから国内の正常な経済活動による物価の動きということで「コアコア指数」などといわれますが、これはこのところ下げてきて2%になりました。日本経済自体によるインフレは2%程度になったということでしょう。

8月の物価上昇は、補助金の期限切れ、電気代26%、ガス代11%、それに生鮮の野菜・果物の12%と0%の上昇によるものです。うるち米の30%の上昇は緑の線に含まれていますから、農政の不具合によるコメの値上がりがなければ緑の線も0.1ポイントほど下がっていたでしょう。

下のグラフは原指数の動きですが、次第に、もう少し緩やかな上がり方になるように思います。

   消費者物価指数の推移


見えて来たアメリカの金利政策の方向

2024年09月19日 14時26分52秒 | 経済

アメリカの中央銀行FRBの9月の金融政策決定会合(FOMC)が終わり、政策金利の下げ幅は0.5%と決まって、思惑で揺れた金融市場も当面落ち着くことになりそうです。

基軸通貨国であるアメリカの政策金利の動向は、世界中の為替レートに影響を与えることになります。特に経済関係が多様に入り組んでいる日本の場合は、いろいろな面で大きな影響を受けることになりますから、目が放せません。

勿論、実体経済への影響が大事ですが、アメリカの政策金利が、即座に影響する為替レート、その影響を受けるマネーマーケットなども大変でしょう。その関係者は発表前から、情報を集めシミュレーションし、勝ち筋を狙うのでしょう。

今回のFOMCの政策金利の引き下げは0.25%か、0.5%かに絞られていましたが、0.5%に決まったことは、FRBは、アメリカ経済の活発化、雇用の安定といった積極面に対する強い意識の表れでしょう。

ただ、パウエルFGB議長は、今回の大幅引き下げは、今後についても大幅引き下げを示唆するものではない、11月のFOMCは今後の雇用指標、物価指標といったデータ次第で0.5%もありうるし0.25%もありうるといった 微妙な発言で FRBの現実的な態度を示すとともに、無用な憶測や思惑排除にも対応しているようです。

しかし、今回の思い切った政策金利の引き下げで、アメリカ経済の対する積極的な態度を明確にしたことで、基本的な政策方針は、アメリカ経済の順調な成長という視点にあることは理解されてのではないでしょうか。

もともとアメリカは経済活動が活発な国で、インフレ率は高めというのが体質のようです。そしてその方が雇用にとっても望ましいので、インフレ含みの経済成長という選択はあったのではないかと思うところです。 

アメリカの目指す2%インフレというのは、その理想形という理解なのだといった気もします。その意味では、イエレン財務長官が指摘していたように、すでにアメリカはインフレ抑制に成功して、軟着陸を果たしたとみてもいいのではないでしょうか。

そういう事であれば、今後のFRBの金利政策は、物価と雇用といった経済指標に即してキメ細かく運用していけばいいので、パウエルさんの言われるようにデータ次第ということになるのではないでしょうか。

翻って日本を見たとき、日本は,長年の異常なゼロ金利政策から、金利の正常化を進めなければならないという、経済と金利のアンバランス是正の要請の中で、意図的に政策金利の上昇を続けなければならないという困った状況の中にあります。

既に、8月の誘導金利の引き上げ(0.1%→0.25%)では雇用市場の株式の乱高下がありました。日銀は、マネーマーケットの混乱がないようにと繊細は注意を払いながら政策発表をしたようですが、マネーマーケットは過激な反応を示しました。

9月にはアメリカが金利を引き下げるという思惑と考え併せての神経質な反応になった面もあるでしょう。

そのアメリカの政策金利の動きが少しは解り易くなったということでしょうから、今後の日銀の政策決定は少しはやり易くなるのかもしれません。

実体経済に資し、マネーマーケットを混乱させない巧みな舵取りを望むところです。


雇用構造を変えるには:官製「働き方改革」の盲点

2024年09月18日 16時11分34秒 | 労働問題

このブログでは国が「働き方改革」を言うなどは「余計なお世話」で、働き方改革は必要に応じて労使が自主的に考えって実行するものという立場をとっています。

「賃上げ」の場合も同様ですが「官製春闘」はスローガンだけで、去年、今年、経団連が賃上げを認める姿勢を取り、連合内の主要単産が本気なって、やっと賃金が上がってきています。  

政府が日本の雇用構造に影響を与えたのは、「プラザ合意」という経済外交の大失敗の結果、大幅円高で企業が賃金水準の維持が出来なくなり、やむを得ず正社員を減らし、非正規社員の著増という雇用構造の悪化をもたらした事ぐらいでしょう。

ところで、技術革新が進み、雇用構造がそれに従って変わらなければならないというのは当然で、大変大事なことです。

実はそれを極めて上手にやって来ているのが日本企業なのです。これはコダックと富士フイルムの比較でも書きましたし、GMやGEの経営の変容でも書きました。今日現在の話では、日本製鉄のUSスチール買収の話があります。

アメリカの主要企業はでは軒並み産業構造の変化に雇用構造が対応できずに失敗をしているのです。

自民政権の「働き方改革」は、まさにアメリカ型の職務中心、職務がなくなれば解雇のアメリカ型雇用システムが素晴らしいという現実を知らない単純な欧米崇拝の結果なのです。

現政府の「働き方改革」では、企業の新卒一括採用は非合理的だからやめるべきとなっています。日本企業はやめる気配はありません。これは雇用というものの本質の理解が、欧米と日本では違うからです。

日本では企業は人間集団です。人間集団の凝集力がシナジー効果を生んで、1+1が2以上の力を出すのです。欧米流の職務中心の採用では、個々人の能力を全部引き出しても100%で、そこまでは出ないのが普通でしょう。

欧米流では職務がなくなれば解雇されます。技術革新の時代です、解雇され、改めて進路を決め、勉強し、トレーニングを受けて新しい職務を探します。

日本の伝統的な方法は、技術革新などで企業の職務内容、職務構成が変わったとき、企業自体が自分のやる仕事を変えて行きます。繊維や窯業の産業から化学、電機、半導体へ業態を変えていくのは企業の当たり前の発展過程のようです。

従業員は手慣れた専門分野から共通点のある新分野に雇用は継続のまま企業内の再訓練再配置で安定した生活を保障されながら、高度技術企業の従業員に脱皮します。

ですから、日本には企業生命の長い会社がいくらでもあります。ドラッカーが日本の企業生命の長さに驚嘆し、自らの経営学に取り入れたことは知られています。

日本の失業率は欧米に比べて常に異常に低いことも知られています。人間集団ですからそこから排除するということは人間の尊厳という視点からも避けたいという意識が根底にあるからでしょう。

雇用という問題が、企業の利益を中心に判断される欧米のと、人間集団が協力してその時代に必要な仕事をして社会貢献するという経営理念を持つ日本企業との違いが判らずに、日本の雇用政策を考えても決してうまくいかないのは、こうした理由からだと考えています。


生産性向上は大切、その分配も大切

2024年09月17日 13時24分26秒 | 文化社会

昨日は敬老の日でした。折角の国民の祝日でしたが、高齢者を大切にする事と、経済成長や国家予算のやりくりという問題で、世界の先進国は軒並み年金問題で苦しんでいるといった現実を書きました。

前々回は、「働き方改革」に関連して、人手が足りないのはエッセンシャルワーカーなどの社会の重要な分野を含む対個人サービスの職務だと書きました。

こうした問題はみんな、生産性の向上と生産性向上の成果の分配の問題に関わる事ですということを今回は整理しておきたいと思います。

こう書いただけで、もうこのブログが「何を言おうとしているか解ったよ」とおっしゃる方もおられると思います。その場合は「巧く書けているか」採点して下さい。

前回、高齢化問題の中で「今の日本社会は、昔のように、絶対的窮乏の社会ではありませんから、GDPの配分を適正化すれば、何とでもなると思うのですが」と書きました。

日本人は、日本のGDP(より正確には国民所得)で生活しています。GDPが増えれば(経済成長)日本は豊かになります。GDPが増えるのは労働生産性が上がるからです。企業では生産性が上がれば賃金が上げられます。賃金が上がれば従業員は豊かになります。

ここまではいいのですが、やっている仕事によって生産性が上げやすい所と上げにくい所があります。端的に言って、技術革新が生まれやすい所は生産性が上がりますが、技術革新が起きにくい所は生産性が上がりません。

生産性の上がりやすい所の代表は製造業、上がりにくい所の代表は対個人サービスでしょう。

GDPは殆んど企業が創りますから、生産性の上がる企業は賃金が上がりやすく、生産性の上げにくい企業は賃金が上げにくいということになり、産業別、業種別、企業別、職種別で、賃金格差が生まれます。

労働経済学では、この格差は、労働需給によって調整される事になっています。必要な人が集まらないと賃金を上げなければならないという形で上がるのです。

今マスコミで報じられているのは、訪問介護やタクシーの人手不足です、労働経済の理論に従えば、訪問介護やタクシー料金が上がって、賃金も上がり人手不足が解消するのですが、訪問介護もタクシーも政府の許認可で、料金が決まっているので、生産性が上がらず、賃金が上げられない企業は、倒産、廃業でサービスが無くなるといったことのようです。

勿論史上最高の利益、ボーナスも最高といった企業が悪いわけではありません。それは企業努力の結果で,日本経済に貢献しているのです。

ただ、はっきり言えることは、産業構造の中で、生産性の上がりやすい所と上がりにくい所があるのは当然で、特に、高齢化が深刻化するような場合、対個人サービスという最も生産性の上がりにくい部門で人手不足が深刻になることは避けがたいということは自明です。

結局は、高生産性の分野が、生産性は上がらないが、健全な社会の維持のために存在が必須な、いわゆるエッセンシャルな分野の活動のための負担をすることで社会全体がスムーズに回転していくというシステムを「適切に上手に整備する」ということを真剣に考えていかなければならないのです。

これは、国、社会全体の大きな課題で、それに成功した国が、働きやすく、生活もし易い国民にとって望ましい国ということになるのでしょう。

そういう事を確り考えて政策を打つ政府を持ち、それが豊かで快適な国、社会に必須なことだという国民の意識と行動が最も大事ということではないでしょうか。


今日は敬老の日です、老人は何をしたら?

2024年09月16日 12時30分07秒 | 文化社会

敬老の日が国民の祝日になったのは1966年からで、老人福祉法の制定に伴ってということになっています。

それまでも敬老会というのは全国各地にあって、日本では「敬老」という意識が定着していたように思うのですが、戦後21年たって、日本経済も高度成長のおかげで少しは余裕ができ、まだまだ年金制度などは不十分でしたが、日本人の持つ「敬老」という美徳を国として明確にしようという所まで到達したのでしょう。

世界でも敬老を国民の祝日にしている国は、僅か数か国というのがネットの情報ですが、子の祝日は、いかにも日本らしいという感じがします。

そんな事を言っている私も昨年卒寿を越えた老人です。大事にしてもらえるのは有難いですが、個人的には、敬ってもらうだけでは何か気が引けるような感じもします。

昔から日本には、自分たちを生み育ててくれた老人を大事にしたいという気持ちは強かったのでしょうが、それと同時に、家族の負担になる老人に対して割り切った行動も必要という生活上の現実もあって、それはいわゆる「姥捨て」という行動(習慣・掟)という形で表れていたようです。 

年寄りを大切にしようという心根と、経済的可能性の限界の狭間で昔から日本人は困難な解決策に悩んでいたようです。

わたしの記憶している民話が2つほどあります。

1つは、殿様が「灰で縄をなって献上せよ」というおふれをだし、家に隠していた年取った親に聞いたら、「なった縄を塩水につけ、それを焼けば灰の縄ができる」と教えてくれたという話。もう一つは、また別の民話で殿様の命令で、曲がりくねった木の穴に糸を通せというので、隠していた親に聞いたら、「穴の出口に蜜を塗って、穴の入口に蟻に糸をつけて放せばいい」と教えてくれたという話です。

共に殿様に大変褒められ、「実は年取った親におそわった」といったところ、殿様は感じ入って、どちらの殿様も老人を捨てる習慣をなくすようにしたということになっています。

こうした民話は日本各地にあるようですが、日本では昔から、自分を生み育ててくれた親を大事にしようという心と、経済的制約のあいだで、悩んだのでしょう。

これは決して、貧しい時代の日本の話ではありません。今も世界の先進国は何処でも社会保障の問題で、悩みに悩んでいるのです。

現に、今日の日本でも、年金問題は大変です。高齢化問題では最先端を行く日本ですから、同時に、もともと高齢者を大切にしようという優しい心根の日本人ですから、政府は板挟みです。

しかし、高齢者問題ばかり心配していましたら、出生率は落ち、若者の数が減って、年金財政を支える若い人口が伸びないという状態が深刻化し、今度は子育ての支援の積極化を考えようと計画を作ってみたが、その計画を実行するための財源のめどが立たないというお粗末の一席になったようです。

今の日本社会は、昔のように、絶対的窮乏の社会ではありませんから、GDPの配分を適正化すれば、何とでもなると思うのですが、日本の殿様はその気はないようです。

ところで、民話の年寄りは、さすが良いことを教えてくれて、殿様を感心させるのですが、私も戦時中の経験も生かして「戦争ほど無駄でばかばかしい事はありません。戦争は絶対やらないほうがいいです」とこのブログでもいつも言っているのですが、それを聞いて感心してくれる殿様もまだ日本にはいません。


「高生産性部門への雇用の移動で経済成長」という理解は誤解です

2024年09月14日 17時09分55秒 | 政治

働き方改革が言われて以来、表記のような言葉をよく聞くようになりました。

この主張をされる方は異口同音に、日本の生産性が低いのは、低生産性部門に大勢の人が働いているから生産性が低いのは当然で、そういう人たちが高生産性部門に移動していくことが大変重要だと言います。

聞いていれば確かにその通りですから、積極的に労働移動を促進して、雇用構造を変え、高生産性部門中心の日本経済にしていかなければならない、そのためには、再訓練をしたりして新しい専門分野の仕事に雇用が移るように官民あげて努力することが大事だなどと考えたりします。

働き方改革を推進している自民党の政治家も、マスコミで「専門家は・・」ということで紹介される方も、同じように言われる方も多いのですが、そのたびに感じるのは理屈はそうかもしれませんが、アベノミクス以来10年以上たって生産性も上がらないし経済成長もしないですねという、理屈と現実の乖離です。

何故こんなことが起きるのでしょうか。よく考えてみると、原因と結果の説明があべこべになっているからではないかと思ってしまいます。

たしかに、日本の経験でも、繊維工場で、若い女性が大勢並んで作業をしていたり電機や自動車の工場で、製造ラインにべったり作業員がついて作業をしていたりという景色のころは日本の生産性は低かったのですが、今は工場も人影はまばらで要所要所でモニターを見て,キーボードを操作しているといった感じです。

これでは生産性は大違いということになるようですが、これは結果の話で、技術革新で作業環境が変わったから、高度作業の出来る少数の要員で効率的な生産が可能になったのです。

高度なキーボード作業の出来る高度技術者が増えたから生産性が上がったのではありません。

今、逆に本当に人手が不足なのは対個人サービス、例えば訪問介護とか、増えるネット購入者への商品の宅配、タクシー運転手といった、生産性を上げようにも上がらない部門なのです。生産性の上がらない分野中心に人手不足が深刻になっています。

その中では、社会の安定に必要な、いわゆるエッセンシャルワーカーが多く含まれ、社会が不自由になって、経済成長の足枷になっているのです。

「高生産性部門に雇用が移動すれば」と担当大臣などが言うたびに、政治家の生産性はどうなのかな。GDPが伸びないのは政治が駄目な結果でもあるのだから政治家の働き方改革の方がまず必要なのでは、などと言ってみたくなったりします。

必要なのは日本経済の中に、高生産性部門をどんどん作ること、そちらが先で,それを誰がどうやるのか、国の経営者である政治家が本気でやらなければならないことは沢山あるようです。


国民の経済活動、日米の違いを考察すれば

2024年09月13日 22時53分11秒 | 経済

アメリカのインフレが収まってきてアメリカの消費者物価指数の観測をやめていましたが、久しぶりに昨日のブログでアメリカの消費者物価指数の動きを見ました。

日本の消費者物価指数の動きは、ずっと追い続けています。

アメリカの消費者物価指数の動きを久しぶりで見たのは、FRBが雇用の統計と消費者物価指数の統計に極めて敏感で、それによって政策金利の下げ幅を決めようとしているからです。

雇用の増加が大きければ、求人難から賃金上昇の可能性が高い、賃金が上昇すれば、それは物価を押し上げる圧力になり、賃金・物価のスパイラルの可能性が出てくる。

賃金インフレの激化は絶対に避けなければならないということで、金利引き上げを続けて来て、やっとインフレが収まって来たと見ているのに、ここでまたインフレでは困るというのはFRBにとっては当然でしょう。

インフレが上手く収まれば、0.5ポイント政策金利の引き下げで景気を刺激、未だインフレの兆候があれば0.25ポイントにするかといった具合に、景気は悪くしたくないが、インフレになるのも困るというのが悩みでしょう。

その決定会議であるFOMCの関係者の中にも0.5ポイント支持と0.25ポイント支持がいるようで、それぞれの発言をするもですから、どちらに賭けるかという国際投機筋の動きもあって、世界中が右往左往です。

というわけで、アメリカの消費者物価指数の動きを見ますと昨日のブログのように物の値段は下がりサービス料金は上がっていますから、物価上昇は人件費つまり賃金の上昇が主因ということが解ります。

多分FRBは賃金の上昇が消費者物価指数を2%以上押し上げるようなら、政策金利の引き下げ幅は小さくし、賃金上昇がぶり返さないようならば、インフレはひどくならないから少し大幅に金利を下げて景気のテコ入れをと考えているのでしょう。

ところで日本の場合はどうでしょうか、日本では賃上げは春闘方式ですから、今年の分はもう決まっていて、変化するのはボーナスと残業ですから、消費者物価指数への影響はもうほぼ決まっているのです。’ボーナス・残業は変動費のような部分ですから消費者物価指数にはあまり影響はないでしょう)

春闘の結果は多少高めでしたがそれが賃金インフレを起こすようなものでないことはほぼ読めていて、実質賃金の対前年同月マイナスが消えるかどうかぐらいでしょう。

アメリカならインフレの心配はないから金利大幅下げでもいいかなという状況ですが、日本の問題はアメリカとは全く違って、ゼロ金利で人手が不足でも賃金が上がらないという病気ですからFRBのような金利政策の打ちようがありません。

代わりに金融正常化という経済学の基本問題が日銀の課題ですが、雇用情勢と賃金の関係が経済学の法則通り動かないという病気が治らないと、金融政策は半分しか意味を持たないのです。

人手不足になれば、賃金が上がって、インフレになり、インフレ抑制が必要になって金利を上げる、金利を上げれば不況になって、人手不足が解消するから賃金が上がらなくなりインフレは収まる。そこで金利を下げれば企業活動は活発になって、人手不足になって賃金が上昇しインフレになる、そこでインフレをおさえ・・・、という循環の山と谷を出来るだけ平準化するという金利政策の役割が回らないのです。

これを直すためには何が必要かですが、必要なことはもうお判りでしょう、人手不足になったら、企業は賃金を引き上げて、物価も上げることです。

アメリカでは,労働運動が賃上げをやりますが日本では労働運動がやらないので、企業がやらなければなりません。

そうすれば副産物として、家計の消費支出が増えて、今一番困っている「消費支出の伸び悩み」も解決し、少しインフレになって、日本経済の順調に回るようになるでしょう。