為替レート切り下げで逃げ切れるか
今の世界経済は本当に不健全な状態になっていると思います。先鞭をつけたのはアメリカで、いまだに世界経済を牛耳っているのはアメリカですから、それを見習う国が出て来ても仕方がないのかもしれませんが、それで世界経済は救われるのでしょうか。
問題がどこに在るのかをはっきりさせておきましょう。
アメリカは円との比較でいえば、世界が固定相場制だった1960年代までの$1=¥360から今日の$1=¥80円までドルを切り下げました。イギリスはポンド=1008円から今日の120円がらみまで切り下げましたフランスフランやイタリアリラは、ユーロ統合以前にやはり円に対しては大幅に切り下げられていました。
切り下げた理由は、切り下げないと国際競争力が弱くなって、輸出が出来なくなり、国がやっていけなくなるからです。経済統計で見れば、国際経常収支が赤字になって、毎年毎年どこかから借金しなければならなくなっています。
なぜ国際競争力が弱くなるかと言いますと、基本的には、「生産性の上昇より賃金の上昇が大きく、その結果インフレになる」からです。
さらにその原因にさかのぼれば、労使関係が悪く、労働組合が大幅賃上げを要求して、経営側が安易にそれを認めてしまうという労使関係の非合理性が全ての原因です。
ですから、インフレのひどい国ほど、大幅に自国通貨の価値が下がります。日本、ドイツ、スイスなどは、労使の合理的な行動で、インフレを一生懸命抑制してきた国です。
1971年、基軸通貨国アメリカが、先ず競争力の弱体化にこらえきれなくなり、ドルと金の兌換をやめて 、ドルの切り下げを行いました。
その後は、アメリカの主唱で、世界は変動相場制になり、インフレのひどい国ほど貨幣価値を切り下げることになりました。
プラザ合意やリーマンショックによる円高は、そのプロセスの中での現象で、マネー資本主義、国際投機資本の巨大化などは、それがやり易くなるように発達してきたものです。今では、政府が頼まなくても、マーケットが自動的に赤字国の通貨を切り下げてくれます。
ユーロ圏では他国の赤字をドイツが負担し、対外的にはユーロ安になり、一方日本は、アメリカ国債の購入や円高承認という形で、アメリカなどの赤字を負担してきました。
では、インフレをやり赤字を出している、アメリカやギリシャ、スペイン、イタリアのような国々は、為替レートの切り下げで逃げ切れるのでしょうか。
今回のユーロの経験では、やはりギリシャは逃げ切れないという事が半分解ってきたようです。
アメリカは基軸通貨国で、その立場を生かしてもう40年以上も赤字を垂れ流しながら、国内景気を保たせていますが、基本的には同じで、いつか限界を迎えるでしょう。
インフレと国際収支赤字、為替レート、政権交代、国際金融システム、国際投機資本、実体経済対マネー資本主義、などの問題がごちゃごちゃに入り組んで、問題の本質が見えにくくなっていますが、この問題の根源は「労使関係」にあると見るべきでしょう。
そこから見れば、すべては極めてクリアになります。
次回そのあたりを整理して、確りと見てみましょう。
今の世界経済は本当に不健全な状態になっていると思います。先鞭をつけたのはアメリカで、いまだに世界経済を牛耳っているのはアメリカですから、それを見習う国が出て来ても仕方がないのかもしれませんが、それで世界経済は救われるのでしょうか。
問題がどこに在るのかをはっきりさせておきましょう。
アメリカは円との比較でいえば、世界が固定相場制だった1960年代までの$1=¥360から今日の$1=¥80円までドルを切り下げました。イギリスはポンド=1008円から今日の120円がらみまで切り下げましたフランスフランやイタリアリラは、ユーロ統合以前にやはり円に対しては大幅に切り下げられていました。
切り下げた理由は、切り下げないと国際競争力が弱くなって、輸出が出来なくなり、国がやっていけなくなるからです。経済統計で見れば、国際経常収支が赤字になって、毎年毎年どこかから借金しなければならなくなっています。
なぜ国際競争力が弱くなるかと言いますと、基本的には、「生産性の上昇より賃金の上昇が大きく、その結果インフレになる」からです。
さらにその原因にさかのぼれば、労使関係が悪く、労働組合が大幅賃上げを要求して、経営側が安易にそれを認めてしまうという労使関係の非合理性が全ての原因です。
ですから、インフレのひどい国ほど、大幅に自国通貨の価値が下がります。日本、ドイツ、スイスなどは、労使の合理的な行動で、インフレを一生懸命抑制してきた国です。
1971年、基軸通貨国アメリカが、先ず競争力の弱体化にこらえきれなくなり、ドルと金の兌換をやめて 、ドルの切り下げを行いました。
その後は、アメリカの主唱で、世界は変動相場制になり、インフレのひどい国ほど貨幣価値を切り下げることになりました。
プラザ合意やリーマンショックによる円高は、そのプロセスの中での現象で、マネー資本主義、国際投機資本の巨大化などは、それがやり易くなるように発達してきたものです。今では、政府が頼まなくても、マーケットが自動的に赤字国の通貨を切り下げてくれます。
ユーロ圏では他国の赤字をドイツが負担し、対外的にはユーロ安になり、一方日本は、アメリカ国債の購入や円高承認という形で、アメリカなどの赤字を負担してきました。
では、インフレをやり赤字を出している、アメリカやギリシャ、スペイン、イタリアのような国々は、為替レートの切り下げで逃げ切れるのでしょうか。
今回のユーロの経験では、やはりギリシャは逃げ切れないという事が半分解ってきたようです。
アメリカは基軸通貨国で、その立場を生かしてもう40年以上も赤字を垂れ流しながら、国内景気を保たせていますが、基本的には同じで、いつか限界を迎えるでしょう。
インフレと国際収支赤字、為替レート、政権交代、国際金融システム、国際投機資本、実体経済対マネー資本主義、などの問題がごちゃごちゃに入り組んで、問題の本質が見えにくくなっていますが、この問題の根源は「労使関係」にあると見るべきでしょう。
そこから見れば、すべては極めてクリアになります。
次回そのあたりを整理して、確りと見てみましょう。