先月の18日にアメリカで9月15日に始まったUAW(全米自動車労組)のストライキを取り上げました。
ストが始まってもう1カ月ですが、労使はともに譲らず、ストは続いているようです。
最大の争点は勿論賃上げで、UAWの要求はこれからの4年協定で今年は20%、来年以降は年5%で、累計39%(通常4年で40%と言われている)です。ビッグ3(GM、フォード、ステランティス)の方は4年で20~23%(今年8%、後3年は4%と推定)を提示しているようですがストは続いています。
UAWの要求根拠は昨年から年10%レベルのインフレで去年の分も入れて今年は20%、来年からはインフレは5%以下だろうというような計算と推測でき、ビッグ3の方は過去は別で、インフレはピークで8%、来年以降は3~4%という見方でしょう。
第三者の目から見れば、如何にもUAWの要求は、力ずくで大幅賃上げを勝ち取ろうという感じですが、労働組合としては、これまでの4年間いろいろと我慢して来たという思いは強いのでしょう。
アメリカ経済の好調もあり、アマゾンその他の組合結成の動きもあったりして、この際労組の力を取り戻そうという意気込みもあり、アメリカの労働運動の代表ともいえるUAWは頑張っているのでしょう。
しかし、要求の幅はいかにも大きすぎて、実現すれば、アメリカの自動車産業のコストは高過ぎて、国際競争に太刀打ちできないという事になるでしょう。
更には、こうした高賃上げが波及し、物価上昇を誘発すればFRBは金利を引き上げて円高、企業サイドにはますます不利になるといった読みもあるのでしょう。
問題は、アメリカ経済自体の国際収支の赤字体質、高コスト、インフレ体質といった恒常的な問題があるにもかかわらず、UAWは何とか無理な要求も押し通そうと、ビッグ3全てでストに入るという初めての総がかりともいうべきストを、その範囲も拡大させながら続けるという強硬さです。
どう決着するかは解りませんが、そこで考えてしまうのが、日本の労働組合の連合との対比です。
日本の労働組合は、今春闘で頑張って賃上げしたつもりが17カ月連続の実質賃金低下という惨状にあります。
しかも、日本は万年経常黒字国で、それでありながらこの所は大幅円安で、国際競争力は強化されるばかり、しかし実質賃金の低下で、消費需要は低迷、家計は改めて緊縮の動きを見せ、低賃金の非正規労働者が家計を支える貧困家庭は増加傾向、マクロ経済で見れば、消費需要の不足が低成長の元凶と言われる状態です。
政府や企業サイドから賃上げも必要といった声も聞こえる中(賃上げ不足による消費不振で低迷する)年々の経済成長率を基準にした賃上げを生真面目に守り続けているのです。
較べてみますと、まさに、典型的な「やり過ぎ」と「やらな過ぎ」の日米労組といった感じではないでしょうか。
「やり過ぎ」のアメリカはかつてスタグフレーションに呻吟、労働組合も「やり過ぎ」を反省して何とか復活しました。
日本(連合)は、国際経済の環境変化の中で「やらな過ぎ」になり、アベノミクスも、岸田流「成長と分配の好循環」も起動せず、低迷を続けることになってしまっています。
そろそろここいらで「やらな過ぎ」を脱して、やるべき事はやるという所に上らないと、今の国際経済環境では、時代遅れの真面目さで、損ばかりすることになりそうな気がします。
来春闘に向けて連合がどんな賃金要求を打ち出すか、最大限の興味を持って見守っています。
ストが始まってもう1カ月ですが、労使はともに譲らず、ストは続いているようです。
最大の争点は勿論賃上げで、UAWの要求はこれからの4年協定で今年は20%、来年以降は年5%で、累計39%(通常4年で40%と言われている)です。ビッグ3(GM、フォード、ステランティス)の方は4年で20~23%(今年8%、後3年は4%と推定)を提示しているようですがストは続いています。
UAWの要求根拠は昨年から年10%レベルのインフレで去年の分も入れて今年は20%、来年からはインフレは5%以下だろうというような計算と推測でき、ビッグ3の方は過去は別で、インフレはピークで8%、来年以降は3~4%という見方でしょう。
第三者の目から見れば、如何にもUAWの要求は、力ずくで大幅賃上げを勝ち取ろうという感じですが、労働組合としては、これまでの4年間いろいろと我慢して来たという思いは強いのでしょう。
アメリカ経済の好調もあり、アマゾンその他の組合結成の動きもあったりして、この際労組の力を取り戻そうという意気込みもあり、アメリカの労働運動の代表ともいえるUAWは頑張っているのでしょう。
しかし、要求の幅はいかにも大きすぎて、実現すれば、アメリカの自動車産業のコストは高過ぎて、国際競争に太刀打ちできないという事になるでしょう。
更には、こうした高賃上げが波及し、物価上昇を誘発すればFRBは金利を引き上げて円高、企業サイドにはますます不利になるといった読みもあるのでしょう。
問題は、アメリカ経済自体の国際収支の赤字体質、高コスト、インフレ体質といった恒常的な問題があるにもかかわらず、UAWは何とか無理な要求も押し通そうと、ビッグ3全てでストに入るという初めての総がかりともいうべきストを、その範囲も拡大させながら続けるという強硬さです。
どう決着するかは解りませんが、そこで考えてしまうのが、日本の労働組合の連合との対比です。
日本の労働組合は、今春闘で頑張って賃上げしたつもりが17カ月連続の実質賃金低下という惨状にあります。
しかも、日本は万年経常黒字国で、それでありながらこの所は大幅円安で、国際競争力は強化されるばかり、しかし実質賃金の低下で、消費需要は低迷、家計は改めて緊縮の動きを見せ、低賃金の非正規労働者が家計を支える貧困家庭は増加傾向、マクロ経済で見れば、消費需要の不足が低成長の元凶と言われる状態です。
政府や企業サイドから賃上げも必要といった声も聞こえる中(賃上げ不足による消費不振で低迷する)年々の経済成長率を基準にした賃上げを生真面目に守り続けているのです。
較べてみますと、まさに、典型的な「やり過ぎ」と「やらな過ぎ」の日米労組といった感じではないでしょうか。
「やり過ぎ」のアメリカはかつてスタグフレーションに呻吟、労働組合も「やり過ぎ」を反省して何とか復活しました。
日本(連合)は、国際経済の環境変化の中で「やらな過ぎ」になり、アベノミクスも、岸田流「成長と分配の好循環」も起動せず、低迷を続けることになってしまっています。
そろそろここいらで「やらな過ぎ」を脱して、やるべき事はやるという所に上らないと、今の国際経済環境では、時代遅れの真面目さで、損ばかりすることになりそうな気がします。
来春闘に向けて連合がどんな賃金要求を打ち出すか、最大限の興味を持って見守っています。