今日、毎月勤労統計の2024年11月が発表になりました。
この所注目を集めているのは実質賃金(指数)の動向で、すでに発表されている11月の反転上昇の消費者物価指数の統計と合わせて、賃金と物価の上昇率の比較から実質賃金の動きが発表されるからです。
実質賃金の動きは2022年の4月から2024年の5月まで25か月にわたって連続して前年水準を下回ったという長期低迷の実態を示しました。昨年の6月に至ってボーナスが良かったことでこの連続記録はストップしましたが、ボーナス月が過ぎた8月から11月まで再び連続のマイナスとマスコミは書いています。
このブログでも、実質賃金の動向は追ってきていますが、昨年の春闘が多少高めだったこともあって、実質賃金はプラスかマイナスかは、統計の見方によるという状態になっています。
昨年1月からの実質賃金指数を毎月勤労統計の実質賃金指数で見ますと下の図です。
資料:厚労省「毎月勤労統計」
5月まではマイナスで、6月は1.1%、7月は0.3%で一応プラスです。しかし8月からは小幅ですが、残念ながらマイナス転落です。ただ春闘前の1~3月から見ればマイナス幅は小さくなっていることは明らかで、昨春闘の賃上げが33年ぶりの大幅賃上げと言われ、この程度の効果はあったという事でしょう。
もともと実質賃金は、長い目で見れば実質経済成長率程度は上がって行ってもいいのですが、実質経済成長率が僅か0.4%という所ですから、やっぱりこの程度という事でしょうか。
ただこのブログでは、いつも触れていますが毎月勤労統計の実質賃金を計算する際の消費者物価指数は、理論的に正しいとされる「持ち家の家賃を除く総合」(家計調査でも同じ)で、これが毎月発表される消費者物価指数「持ち家の帰属家賃を含む」消費者物価指数に比べると上り幅が大きいのです。
持ち家の人は家賃を払っていませんから、持ち家の家賃相当額は、市場の家賃の動きを参考にして決めているとの事ですが、この11月も、通常の消費者物価指数の「総合」は2.9%、「帰属家賃を除く」は3.4%の上昇となっています。
賃金指数の方は「現金給与総額」で3.0%の上昇ですから通常の消費者物価指数を採れば0.1%のプラスです。10月は「除く」が2.6%、「通常」が2..3%の上昇ですから実質賃金のマイナス幅は0.1%と縮小します。
日本は持ち家が大部分で、持ち家の帰属家賃のウェイトは大きいので家賃水準の推計如何が大きな影響を持つようです。
考えてみればこんな1%にも足りない所でプラス・マイナスを論じるよりも、早く2~3%の経済成長を実現して、実質賃金が毎年2%ぐらいは上がって当たり前という日本経済にすることを確り考えた方がいいようです。