tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「曲がり角」の年、上手に曲がれたかな

2024年12月31日 21時53分03秒 | 政治経済

2024年も今日で終わりです。今年は日本も曲がり角に来たようです。上手く曲り切れるかどうか、上手く曲がりたいものです。

戦後の混乱から立ち上がった日本は1980年代までは順調に世界も驚く成長発展を見せましたが、1990年代からは絶不調に陥り20年余りの長期不況に陥りました。

2010年代に入り,この絶不調からの脱出のチャンスがありましたが、幸福の女神の前髪を掴むことに失敗し、2020年代半ばまで残念ながら長期不況を抜け出していません。

ただし、この1年を振り返ってみますと、我慢強くておとなしい日本人も、いよいよ本気で、路線転換の高速ランプに踏み出したようです。

この方向転換は、国際環境や外国からの影響によるものではなく、日本自体が自分から始めた動きの様なので、大変力強く感じるところです。

踏み出した分野は国にとっての最も基本的な問題である「政治」と「経済」です。

経済の方が早く、これは春闘です。昨年からその蠢動はあったのですが、今年に入って33年ぶりの大幅賃上げが実現しました。残念ながらそれでもまだ実質賃金上昇の「気配」程度の状態です。

政治の方は自民党政権のカネをめぐる醜態が世論の大きな批判を呼び、過日の総選挙で、自公連立政権は衆院で過半数を失うという結果です。残念ながら野党の足並みが揃わない事から首班指名は自民党になりましたが、今後の国会運営における野党の影響力は大きく増すことになるようです。

この2つは別々の事象ですが、賃金問題は、経済成長、税制、税収、年金、社会保障問題など政治面と複雑に絡み合っています。

経済問題は政治問題に絡み、金融政策にも絡みます。金融政策は当然外交問題に絡んでくるでしょう。

今年始まった曲がり角のハンドル操作は来年に続きます。政党も労使も、自分のことよりも、日本全体、国民の目指す所に敏感にならざるを得ないでしょう。

来年は高速のランプのカーブを上手に回って高速の本線にスムーズに乗っていきたいと思っています。


<月曜随想>新聞を読んでいて・・・

2024年12月30日 14時26分11秒 | 文化社会

子供のころ「小学生新聞」というのがあって、親がとってくれて兄弟で読んでいました。太平洋戦争が始まって、小学校が「国民学校」になり、新聞の名も「少国民新聞」になったことを覚えています。

そのころから新聞は身近なもので、毎日読むものだと思っていたからでしょうか、卒寿を過ぎた今でも、毎朝、新聞を読まないと(見ないと)1日が始まらないような癖がついています。

最近新聞を取らない家が多くなったと言いますし、情報はネットでみんな入って来るから必要ないという人も多いようですが、やっぱり新聞はやめられません。

強いて理由を考えれば、新聞というのは、情報の収集、整理、伝達のプロ集団が、プロの誇りをかけて、重要なものだけを凝縮して、一目で見やすくデザインして提供してくれるので、こんな便利なものはないと思っているからでしょうか。

これは、毎日先ず新聞を読まないと落ち着かないのが癖になってしまった人間の言い訳かもしれません。

そんなわけで、現役のころは当然ですが、今でも、新聞は1面から順番に見ていくことになっています

国際、国内の主要な動きトップ記事で見る、政治の動向は知っておかないと困るし、経済は最も関係が深いから確り見ておかなければならないと思いながら、何枚かめくるとスポーツ欄になります。スポーツ欄になると、もう斜め読みでいいという感じで、社会面も、帰りがけに一杯やった時の話の種です。

こんなブログを書いているせいで、今でも、こうした読み方は変わっていませんが、最近特にですが、ページを繰っていって、スポーツ欄になると、何か爽やかな気分になることがあるのです。

確かに、大谷選手や大の里関、女子やり投げの北口選手、パラテニスの小田選手、スケートボードの堀米選手、さらには次々と新星出現のフィギュアスケートのスターなど、日本の選手の世界での活躍はまさに目を見張るものがあります。

しかし、毎日そうした人たちの記事があるわけではなく、サッカーのリーグ、バスケットやバレーのリーグ、その他いろいろなチームの勝敗、個人の記録といった記事ですから興味のあるものもないものもあります。

ページを繰って、この頃スポーツ欄のページ数が多いかな、などというだけのことですが、社会面に行くまでは気分が爽やかです。

さてこれも何故だろうかと考えてみました。気が付いたのは、スポーツは勝った。負けたの世界ですが、負ければ悔しいが、ますます頑張るぞという気が出る爽やかさ、ポイントはこれのようです。「競いの文化」の典型です。

政治も社会もドロドロなものが多い、経済はカネに絡む権謀術策、戦争に至ってはは破壊と殺戮、読みたくなくても読まなければならない記事でしょう。

その中で、やっぱりスポーツは、いつも爽やかなのです。


国家予算は増える、GDPは増えない、やはりおかしいですね!

2024年12月28日 14時48分44秒 | 政治

この所毎日のように115兆円という数字が新聞でもテレビでもネットでも見られます。そして、過去最大とかいうコメントがついています。

皆さん疾うにご承知です。これから国会で審議される日本の来年度の国家予算の金額です。

予算の決定に最終権限を持つ衆議院がこれまでの与党絶対多数でなくなりましたから、この数字は修正される可能性もあるという説明もあったりします。

しかし結局は、多分そんなに大きな修正はなく、過去最大の当初予算という事になるのでしょう。

当初予算と書きましたが、これは勿論当初予算です。実を言えば、当初予算の時は増えた、増えた、過去最大とか問題にされますが、ついこの間もありましたように、政府は毎年補正予算を組むのです。

当初予算が決まれば、政府の来年度経済見通しが確定します。この予算で、これだけのGDPを達成しますという事にいなっているのです。

所が年度の途中で、これではとても見通しの経済成長は達成出来ないということになって、補正予算を組むのです。今年度は12月になって13兆円の補正予算を組みました。

つまり、国家予算は、「これだけの金を使って、これだけのGDPを(経済成長を)作り出すのでお認め下さいという関係から計算されているものです。

ところが、どうでしょうか国家予算は毎年増え、補正予算も成立させているのですが、GDPの方はほとんど増えないのです。今年度で見ますと、当初予算を組んだ時の経済成長率の見通しは1.3%でしたが、7月になったら0.9%になり、その後10月には0.7%になり、12月には13兆円の補正予算を組んで0.4%

成長という見通しになってしまっています。

つまり、政府の政策は、思った通りの成果には全く繋がらず、あとから予算を追加しても成長率は当初見通しの3分の1にも達しないという事です。

会社でこんな経営をやったら、株主総会で社長以下最低1~2分程は頭を下げて役員退任でしょう。

結局、この所の日本政府の中枢にある人達には、日本経済・社会を成長させるための政策を立案し実行する能力が欠けているという事ではないでしょうか。

内閣(役員)が能力不足なので、管理職は何をすればいいのか解らず、管理職の指示がどうにも不適切なので一般従業員(民間企業労使)は、手探りで何とか日々の仕事をこなしているが目指す成果は出ないという状態でしょう。

アメリカとは、また中国とは、こう付き合うべきといった「経済外交の基本方針」、「格差是正のための」税と社会保障の一体改革、「日本的経営に合う」雇用・労働政策、卑近な例では「お米の値段の正常化」につながる農業政策、などなど、国の基本方針、その実現のための政策の明示がありません。

民間が経済・社会の成長発展に最適な行動をとろうとしても、政府の不適切な政策で、それが出来ないような事になっているのです。

これではいくらお金を使っても(予算を増やしても)成長は無理のようですね。


言葉は文化を作る

2024年12月27日 14時09分19秒 | 文化社会

英語はビジネスのための言葉、フランス語は愛をささやく言葉、イタリア語は歌を歌う言葉、ついでにドイツ語は馬と話す言葉、などと言われるようです。

これはドイツ語には失礼で、私はドイツ語は重厚な哲学を論じる言葉と言いたいと思います。

戦後「メディア論」で世界に名を馳せたマクルーハンは「メディアはメッセージである」という名言を残しています。

テレビが広く普及してラジオとは違った形、雰囲気でのメディアとして一般化してきた頃だったでしょうか。

ラジオの出演者は家庭とは別世界から情報を提供してくる特別な人間ですが、テレビの出演者はお茶の間にいる仲間の話という感覚で、同じ情報でも印象の強さや親近感が全く違うという意味で、メディアそのものがメッセージになる面があるという指摘をしていました。

こんなことを書きましたのも、今やメディアはますますその種類を増し、そこで使われる言葉もまた、夫々のメディアに即したものになるという世の中になって来たからです。

更にメディアが大きく変わったのは、ラジオやテレビ、映画などは、コンテンツを作るのはそれぞれの専門家、専門機関がそれなりにそれぞれの専門性を駆使して製作するのですが、今全盛のネットというメディアは、だれでも、いつでも、家族や仲間と話すことがそのまま電波に乗って世界中に伝えられるという進歩した科学技術を、日常的に、音声、文章、静止画、動画という多様な媒体(メディア)を使って発信することが出来るのです。

そして、現代人の生活は忙しくなり、メッセージ・コンテンツは簡にして要を得た短いのもが好まれるのが一般的になっているのです。

ということで、ここで考えたいと思っているのは言葉の在り方の問題です。

人間の脳は論理的思考をするための機能を揃えていると言われます。起承転結、序破急などといった物事の順序についての感覚と理解力を持っていますし、因果関係、三段論法といった論理的思考もできます。

論理学もあって、記述や推論が正しいかどうかを理解することもできます。記号論理学というのもありますが、最たるものは数学でしょう。

言葉で表したり、数式で説明したりすることで、人間は深い思考をしているのでしょう。言葉がなければ思考が出来ないという説は正しいようです。

ところで、「言葉は文化を作る」というのもその意味でしょう。そして、そう考えると、最近、我々の使う言葉がどんどん短くなって、ツイッター、X の世界で世の中が動き、それを補完するのが、一瞬で印象を与える「映像」という事は、今日の、さらにこれからの、文化そして社会の在り方に、大きな影響を与えることになると思っています。その兆しが選挙とSNSの関係などに出て来ているようです。これは確りした言葉で、深く考えることが必要な問題でしょう。


発表ごとに下がる政府済見通し

2024年12月26日 16時04分40秒 | 経済

政府は毎年12月には「来年度政府経済見通し」を発表します。

発表の形式は3年分になっていて「前年度実績」「今年度実績見込み」「来年度見通し」という形で、GDPの成長率、名目と実質、GDPを構成する主要国目の一覧表がついています。

因みに今年度についての発表数字の実質成長率について見ますと

令和4年度実績    1.5%

令和5年度実績見込み 1.6%

 令和6年度見通し   1.3%

ということになっています。

このブログでも、令和6年度は、労使ともに賃金引き上げに力を入れているし、その効果が出れば、前年より低い実質経済成長率というのは情けないというようなことを書いた記憶がありますが、1年たってみますと、全く違った、極めて情けない事になって来ているようです。

政府はこの見通しを掲げた後、7月に「年央試算」を発表し、消費も回復、設備投資も順調で内需中心の成長になるという解説をつけて平成6年度は0.9%の実質成長率になると見直しをしました。

数字で見れば、5年度の成長率が1.0%に落ちることと、6年度は輸出の寄与が減り内需中心になることから来る変化のようです。

しかしこれでは当初の成長見通しは何だったのかという感じで、当初の見通しは「望ましい」数字、政府期待の数字を書くという事で、裏付けはない「見通し」を載せる癖が残っているのかなどと思っていました。

所がさらにその後、10月に、政府は、令和6年の実質経済成長率は0.7%になるという発表をしました、原因は、自動車の認証不正問題で、自動車の輸出の減少が原因だという説明でした。

そんなに大きな影響がある問題を、起きてしまったのだからしょうがないで済ますのかと思っていました、そして今回は、更なる成長率低下という見直しで、0.7%はおろか0.4%に低落という発表です。

今回の発表は閣議了承の「政府経済見通し」の「令和7年版」の令和6年の「実績見込み」の中に出てくる数字です。

ですから令和6年度についての説明は簡単で「令和6年度は、賃上げと投資が牽引する内需中心型の成長経済」に移行出来るかどうかの分岐点で、政府は補正予算の迅速な執行でその効果の波及に努力というにとどまっています。

令和7年度については、総合経済対策の効果も出て、賃金上昇が物価上昇を上回り、企業の設備投資も堅調で、実質経済成長率は1.2%に達すると見込まれるという事になっています。

昨年も同じようなことが書いてあったような記憶もありますが、来年度になれば、急に総てが上手くいくと言われても、とても信用できないと感じる人の方が多いでしょう。

毎年「政府経済見通し」が発表されれば、取り上げますが、こうした状況では、真面目に取り上げずに、今回はこのブログで済ませたいと思います。(因みに今回の「見通し」の実質成長率は、5年度0.7%、6年度0.4%、7年度1.2%です)

米価や春闘の問題を確り見ていくことの方が重要だと思っています。


お米の値上がり60%と農林中金の巨額損失

2024年12月25日 15時06分22秒 | 経済

このブログでは、毎月、総務省から「消費者物価指数」の統計が発表になるたびに、その動きを分析して来ています。

物価の動向は、日銀の金利政策の決定にも大きな影響がありますし、最も重要なのは、日々の国民生活における実質賃金の行方を決めることにもなり、当然春闘の賃上げ率との関係も国民の重要な注目点という事になります。

この消費者物価は基本的な動きとしては昨年来次第に沈静化に向かい、日銀も金融正常化(金利引き上げ)にも動いたところです。

ところで、皆様ご承知のように、この秋にかけてお米の値段が急に上がり始めました。最初は流通段階で何か不具合があって、値上がりしたが新米が出回るようになれば値下がりすると言われました。

一時的なものなら直ぐに収まると安心していましたが、新米が出回っても価格は全然下がらず、それどころか、総務省によれば「うるち米」の価格は更に上がって10月には前年比60.3%、11月には64.7%の上昇です。作柄は平年並みとニュースでは言っています。

物価の優等生と言われた「卵」が値上がりした時には、「鳥インフル」で膨大な数の鶏が殺処分になった結果といった理由の説明もあり、消費者もテレビで可哀そうで勿体ない殺処分のニュースを見ていますから納得だったでしょう。

ところが今回のお米の値上がりについては、何故か良く解らないというのが現状ではないでしょうか。

勿論農家の数が減り、高齢化が進み農家は大変だという事は食料安保問題などとの関連で理解されています。一方、政府の政策は相変わらず減反維持で、世界で日本のお米が人気だとか、お米の輸出が増えているとか、インバウンドが増えてお米を食べているとか、農業の法人化、大規模化が進んでいないなどは皆知っています。それは環境変化に即応していない政府の政策の失敗でしょうが、この秋から急にお米が60%以上の値上がりという説明にはならないでしょう。

一方、最近問題になっているのが農林中金の巨額損失です。

この問題が、今回のお米の値上がりに関係があるのかどうかは、全く解りません。日本人の主食のお米の60%を超える急激な値上がりにつての政府の説明も農水省の説明もないのですから、不用意な発言は厳禁でしょう。

農林中金は、全国の農協、今はJAですが、その金融業務の中央組織です。主要業務は全国のJAから資金を預かり 、それを運用して全国のJAに収益を還元することです。運用資産は56兆円(今年3月)で年間3000億円ほどを全国のJAに還元しているとのことです(NHK資料)。

その農林中金が今期、アメリカ債券の投資などで1兆5千億円規模の損失予想を発表し、JAの出資などで1兆3千億円の資本増強の意向という事です。

こうした問題は、お米の値段には関係ないので、お米の値段は早晩下がりますという事になってほしいとこのブログは思っています。


2025年春闘、単産は強気の要求へ

2024年12月24日 15時15分01秒 | 労働問題

年が明ければ労使関係は春闘に季節に入ります。

このブログでは、日本経済の行方を決めるのは、結局は産業活動の現場を担う労使の活力如何と考えており、年々の春闘は、労使の活力と相互理解の状況を判断する上の重要な判断材料と考えています。

今年の春闘は、労働側も、低迷する日本経済をこのままでは放置できないと、積極的な賃金所得増による消費需要の回復を意識し、5%以上という要求基準を掲げ、経営側もそれに報いることで産業活動の活性化を図るという意識も生まれたのでしょう、結果は33年ぶりの高率賃上げとなりましたが、労使双方の元気度がまだ少し足りなかったのでしょうか、実質賃金の低下はほぼ止まりましたが、上昇迄は難しいという水準でした。

ただ経団連も賃上げのモメンタムは継続したいという見解を示していますので、来春闘はもう少し元気が出るのではないかと期待するところです。

春闘は通常、労働側が賃上げ要求を仕掛けて始まります。ここでは、労働側の元気が試されるわけで、この程度の賃上げをしても、我々の働きで企業活動を活発化し賃上げは吸収できるはずだ、という所から決めるようです。

経営側は自信があれば、よし、それでいこうお互いに頑張って業績を伸ばそうという事で満額回答になります。今年の春闘は、そんなケースも多かったですが、

さて、来春闘はどうでしょうか。

要求基準としてすでに報道されているのを見ますと、連合は5%以上で今年と変わりませんが、中小については6%以上と1%高い設定にしています。

金属労協はベースアップ1万2千円以上と定昇別のベア要求です。基幹労連は今年は単年度要求に切り替えて月額1万5千円の要求です。

多様な業種を包括するUAゼンセンはベースアップ分で4%、定期昇給込みでは6%要求と連合の基準を上回り、さらに非正規雇用については7%を要求しています。非正規の正規化が進まない中で、特別の配慮でしょう。

こうした中で、経営サイドからのニュースで日本生命が営業職員の賃金を来年度から6%程度引上げるという事が発表されました。

生保の営業職員の賃金は成果給+固定給の形が一般的ですがその両方を積増し、昨年・今年の7%程度に続き3年連続の大幅賃上げとの事です。 

サントリーHDも経営側が来春闘も7%程度の賃金引き上げの方針を打ち出していますが、賃金は労使で決めるものですから、労使どちらが言い出しても双方が納得できれば、いいわけで、それが企業の活力に繋がり、業績の向上が企業全員のモチベーション向上に繋がるというのが労使交渉の意義でしょう。

折しも来年には、日本生命の筒井会長の経団連会長就任が決まったようで、今後の春闘がどんな図柄になるか、日本経済の先行きと共に深い関心と共に見守ることになりそうです。


政治と学術の健全な関係を

2024年12月23日 15時26分47秒 | 政治

嘗て菅総理が着任早々、日本学術会議選任のメンバーのうちの6人を政府として任命しないという決定をし、政府と学術会議の関係悪化が、困った問題としてマスコミに取り上げられました。

菅総理は「私が決めました」といいましたが、任命されなかった6人が、安倍政権の政策に対して批判的な意見を述べていたからといった見方が一般的になり、その上に、菅総理が、認めないとされた6人がだれでなぜ認められないかについても、納得のいく説明がなかったので、6人の学者もその意見も知らないで「私が決めましたはないでしょう」と随分批判されていました。

学術会議は任命しない理由を問いましたが、正式な回答はなく、この問題は、結局そのままでうやむやのうちに、政府と学術会議の関係がギクシャクするようなことになっていたようです。

そのご、岸田総理になっても6人を認めない問題は解決されず、政府はその後、日本学術会議は政府の一機関で、政府の予算で運営されているが、政府機関ではなく独立の組織とすべきではないかという見解を表明するようになりました。   

6人の任命問題をきちんと処理してから改組問題が筋という意見もありましたが、政府はあくまで意地を張って、6人の問題はなし崩しにしたようです。

結局は第三者委員会の意見を聞くという事になって、今回の解決策となったのでしょう。

態度としては、学術会議の方が大人の態度で、第三者委員会の方向で、今回、話が進み、日本学術会議は政府から独立した法人格を持ち、政府が財政支援をするという形で来年度予算に組み込まれるようです。

一国の政府が、その国の学術の分野を代表する組織に財政支援をするというのは極めてまともな事ですし、日本学術会議としても、政府の一機関というよりも自由度も増しますから了解ということのようです。

その上での話ですが、政府は、新法人に、首相が任命する「監事」を求めているようです。事の経緯からすれば、安倍総理の意に添わなかった学者6人の任命を拒否したことから始まったことなので、誰が聞いても、なぜ「首相任命」にこだわるのかという感じです。

学術会議でもこれを多少気にしているようですが、一国政府とその国の学術を代表する組織の間ですから信頼と大局的な相互理解をぢ時にすべきでしょう。

国民としては、一国の発展に如何に学術が大きな役割を果たすかに、思いを致し、政治と学術会議の間で、お互いに切磋琢磨できるような健全な関係を築くよう努力をしてほしいと思うところです。


「日本は万年黒字国」の功罪を考える(補遺)

2024年12月21日 11時51分14秒 | 経済

昨日は11月の消費者物価指数が発表になったので、標記の続きは1日遅れました。今回は一昨日の続きです。

話は国民が一生懸命働いて、GDPという付加価値を作ったら、それは文字通りの「国民所得」で国民のものですから、国民の最も役に立つように有効に使おうという所で終わっていました。

いまの「万年黒字国日本」はそれを使い残しているのです。使い残した黒字は貯蓄という形で残るのですが、ゼロ金利ですから増えません。

日本はアメリカの国債の最大の保有国ですが、これからドル安になるとどんどん目減りします。

それなら、GDPを稼ぎ出した日本自身が年間30兆円ぐらいもあるその黒字を使って、もっとGDPを稼ぎ出したらどうでしょうか。

作っても売れないというのだったら、賃金を引き上げて、日本人がもっと欲しいものを買えるようにすれば、日本の中で経済成長が出来るのです。

経営側は、賃金を上げたら利益が減るというかもしれませんが、賃上げで国民の購買力は増えますから、国民の欲しいものを作ればいいのです。

資金がなくても、良い仕事には銀行やベンチャー資金が金を出してくれます。日本の新幹線も最初は世界銀行から借金して作ったのです。

経済成長は、稼いだお金を生かして使う事から始まるのです。それには、利益と賃金が「バランスのとれた成長」をする必要があります。この所の日本は賃金の成長が遅れていることから低成長になっている事は明らかです(消費不況)。

来春闘では 賃金(国民の購買力)が伸びて、消費が経済を引っ張るようにすることが求められているのです。

もう1つ注意することがあります。それは政府や日銀が日本経済を成長させる事は「出来ない」ということです。

成長を止めることはできます。かつては戦争をして日本経済を灰燼にしました。その後も、2倍の円高を容認することで、日本経済の成長力を喪失させました。日銀は、円高を元に正常に戻すことは出来ました。しかし、この環境整備を「労使」が利用しませんでした。具体的には円レート正常化を賃金構造・賃金水準に反映させることを怠ったのです。日銀に出来たのは環境整備までです。

政府は国民に代わって政府が金を使えば、経済成長が可能と考えて、国債を発行して赤字財政で景気テコ入れに走りました。

しかしこれはまさに「呼び水」で、入れただけは出てきますが地下水は上がって来ません。地下水は国民の購買力ですから、賃金が上がらなければ、枯れ井戸へに呼び水で、財政赤字が増えるだけというのが現状でしょう。   

最後に「これが大事」という事は、経済成長を実現できるのは、産業界で、その構成員は「労使」だという事です。

労使が自分たちで、企業、産業、国民経済の成長を考え、産業活動の現場で、それを実践することで、かつての日本は成長して来たという事です。

このブログでは、それをブログの副題とし、第1回から掲げてきています。


2024年11月:消費者物価反転上昇続く

2024年12月20日 14時25分16秒 | 経済

今日、総務省より標記2024年11月の消費者物価指数が発表になりました。

昨年秋から今秋にかけて、日本の消費者物価指数は基本的には沈静化を続け、日本銀行も、ようやく2%の物価目標が達成されるという見方から、今年の夏から政策金利を徐々に引き上げ、金融正常化、日本経済の正常化、健全化の動きを進めるという望ましい方向へ舵を切ってきましたが、この所の消費者物価指数の反転上昇は、それに水を掛けているようです。

下のグラフを見て頂くと明らかですが、8月から9月にかけて指数そのものが下がる段階にも来たように思えたのですが、10月、11月と反転上昇です。

    消費者物価主要3指数の動き(資料:総務省

主要3物価指数揃っての上昇で、マスコミは2.7%と言っていますが、それは「生鮮食品を除く総合」で、「総合」は2.9%と3%に近づいています。

こうした状況を日銀も想定してか、先日の金融政策決定会合では、政策金利引き上げの予想もありましたが、当面、状況静観という事になったようです。

何故急にこんなことになったかについては日経新聞以外あまり詳しく書いていませんが、大きな要因は2つで、1つはコメの値上がり、もう一つは、政府の電気・ガス料金への政策的配慮、暑い夏が過ぎたので、料金値下げの補助金をやめた事などによります。加えて天候不順で生鮮食品も上がりました。

政府のこうした補助金については「小さな親切大きな迷惑」と思っていますが、やはり主要な問題は、日本人の主食であるコメの値段が突如上昇、10月には前年比で60.3%、11月は更に上がって64.7%の上昇になっています。コンビニの売れ筋「おにぎり」も7.2%上がったようです。

主食のコメがこんなに大幅に上がっても、値上げ反対のプラカードもデモ隊もない静かな日本ですが、日本人は本当に温和しくなったようです。

話が逸れましたが、対前年同月比の動きのグラフは下記です。

   主要3指数対前年比の動き(資料:総務省)

電気・ガス企業などへの補助金で、エネルギー料金の入った赤と青の線は複雑な動きですが「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(消費者物価の「芯」のコアコア指数)は7月の1.9%が底で、その後はずっと上昇基調です。

総務省発表に資料には、細かい分類の数字もありますので、その数字で見ますと、64.7%の値上がりのコメを含む穀類が15.0%、生鮮野菜14.3%、生鮮果物11.1%、電気代9.9%、ガス代5.6%などが目立ちます。

野菜や果物は作柄が良ければ下がりますし、電気やガスは補助金次第ですから基本は緑の線のコアコア指数で、これが7月に1.9%に下がったことが、日銀の利上げにもつながりました。当面する問題はコメ値上げの波及でしょう。

米の値上がりが、直接、間接に物価問題のどのような影響を与えるかまだ解りませんが、「農政の失敗」と当然判断されるような問題が、見過ごされてしまっていいのかと思いながら、これからも経過を見ていきたいと思っています。


「日本は万年黒字国」の功罪を考える(続)

2024年12月19日 10時01分09秒 | 経済

前回、日本が万年黒字国だというのは、必ずしも国際競争力が強いからではなく、経済不振でGDPがマイナスになれば、国民が消費を減らして節約し、GDPを使い残すようにするからその分が黒字になるという事を指摘しました。

これはずっと以前に書いた「国際競争力への誤解」で説明したところですが、国内総生産(GDP)より国内総支出(GDE)が小さければ、黒字国です。

赤字国になれば、その国の信用はなくなり、その国の通貨価値は下がりますが、日本は不況になっても黒字ですから円は安定通貨で、平成長期不況の中でも「何かあれば円高」などと言われました。

円高になれば不況ですから「円高とデフレのスパイラル」が心配されました。これではたまらないというのでアベノミクス第1弾で「異次元金融緩和」をやり円安にしました。

円安で競争力が付くから、すぐ大幅賃上げになって、賃金インフレになるだろうとみんな思っていたのでしょう。「異次元緩和」の張本人、日銀の黒田総裁も、「2%インフレ目標」などは1-2年で達成と言っていました。

諸外国なら当然そうなるのが経験的常識ですからそれも当然ですが、日本は世界の常識とは違っていました。

輸出産業、海外投資収益などは、順調に増えましたが、賃金を引き上げ消費を増やすというプロセスが日本では働かなかったのです。

結果は、輸出産業、海外投資企業に収益が蓄積され、一方、輸入物価は円安で上昇、消費者物価も上昇ですが、肝心の賃金が上がりませんから、消費は増えず、物は売れず、国内経済は不振、企業利益は蓄積、投資は海外向け、国内投資の多少の増加で投資片肺の成長しない経済が続くだけでした。

家計は将来不安を強め、これからの日本は「親の代より貧しくなる」といった見方が増え、結果的に「異次元金融緩和」は空砲になってしまいました。

日銀は、こんな不況では、金利引き上げは出来ないと異次元緩和を続け、国際投機資本は、日本で安いカネを調達、高金利のアメリカで運用して利ザヤを稼ぐので円売りドル買いでますます円安、といったオマケまで付きました。

一方、家計は25か月連続で実質賃金が前年より下がるといった異常事態です。これはどう考えてもおかしいと思い始めたのは昨年の春闘あたりでしょう。 

今年の春闘では、経営側も「もっと賃上げ出来るよ」と言い始め、何となく「賃金を上げないのがまずかったのでは?」という見方が出てきました。 

やっと本当の原因に気付いたのです。これを大事にしないといけません。

大事なことは、一生懸命働いてGDPを稼ぎ出したら、それを、気前よく使いましょう。それが国の経済活動を活発にして、新しい活動の領域を気付かせてくれるでしょう。次はそれへの挑戦です。そうして経済も社会も発展するのです。

勤倹貯蓄も美徳ですが、その貯蓄を使って、経済社会を発展させてくれる人がいることが必要です。今の日本は、使い残した黒字(貯蓄)はアメリカの国債購入で、アメリカに還流し、アメリカの役に立っているのです。何かもったいないですね。(次回もう少し蛇足を付け加えます)


「日本は万年黒字国」の功罪を考える

2024年12月18日 13時17分37秒 | 経済

前回、些か過激なことを書きました。

欧米に倣って、大幅賃上げをして、日本経済もインフレですよという印象を海外に与え、それなら金利を引き上げても当然だろうとアメリカにも、国際投機筋にも考えさせて、周囲がみんな認め、みんなも、それなりの政策や取引の在り方を考える中で、日本も金利政策を考えるようにすれば、日本の経済・金融政策はもっとやり易くなるのではないかという趣旨です。 

高度成長の頃、日本がやっていたことは、財政は健全財政堅持で、国債は発行せず、経済の成長は財政ではなく、民間の投資でやっていくというものでした。

第二次大戦で国力を使い果たし、発行した国債は紙くずになってしまった経験に学んだ結果でしょう。

日銀は貯蓄を奨励し、銀行による間接金融で、その金は成長部門に投資され、通産省の構想に基づく産業政策が功を奏して、日本経済は、繊維や雑貨から、カメラ、オートバイ、トランジスタラジオ、ウォークマン(半導体産業の魁)そして3C、新3Cの家電製品、さらには自動車まで、世界に注目されるようになっていったのです。  

その間は景気が良くなれば国際収支が赤字になり金融を引き締め、黒字になれば経済加速という繰り返しでした。

今の日本経済は、経常収支は万年黒字です。これは1つには石油危機で日本経済は国際収支が赤字になったら立ち行かないという経験、もう1つ、GDP以上に消費すると赤字になる」という固定観念によるものでしょう。

一方政府は財界の要望もあり、昭和40年の「戦後最大の不況」や石油危機をきっかけに国債発行というそれまでの禁じ手を使うようになり、国際収支は黒字、国家財政は赤字という経済スタイルが定着しました。国そのものは黒字ですから、国債は国内で消化可能ですから、外から見れば立派な黒字国です。

こうして日本は国際収支の万年黒字国になりましたが、それは当然赤字国を生み出します。その代表がアメリカでした。

アメリカは、そうした状態は不適切と考え、プラザ合意で日本に円高容認を迫りました。円高になれば競争力がなくなると考えたのです。

これがきっかけで、日本は長期の円高不況に苦しみ、未だに立ち直れないでいますが、相変わらずずっと万円黒字国です。

日本人はGDP以上に消費すると赤字になる、赤字になると日本経済は壊滅すると考えていますから、GDPが減れば消費を減らします。そしてGDPを使い残した分は黒字になります。だから日本は万年黒字国です。

結果は、万年赤字国は「万年黒字国が悪い」と言い、日本は輸出も自粛し、工場は外国に作って外国の経済に貢献します。日本の国内の産業は伸びませんが、海外投資の収益が入って来て国際収支は黒字が維持されます。

アメリカは、日本は黒字だ、高価な防衛装備品を沢山買えと言います。日本はどうすればいいのでしょうか。(次回に続きます)


金利と為替レートの関係を使いこなせ

2024年12月17日 13時14分48秒 | 経済

円安が進んでいます。日本の経常黒字は相変わらず確りと続く様相です。アメリカの経常赤字も相変わらずでしょう。円はじりじりと上げ、今日は154円に乗せています。

トランプさんが「アメリカを再び偉大に」と言っているから、それを先読みしドル高になっているのだという見方もあるようです。

しかし為替レートの分析が専門の機関などの意見では、今のドル高・円安は、マネー投機筋の動きによるもの大きいという事のようです。

マネー投機筋が何を見ているかと言えば、決定的な視点は金利差でしょう。

アメリカのインフレはなかなか収まらないのでFRBは政策金利の引き上げに消極的になっているようです。

一方日本はどうでしょうか。少し前までは11月か12月に日銀が政策金利引き上げに動くのではないかと言われていました。しかし最近の観測では、12月にも利上げはないという事のようです。理由は日本の消費者物価指数が2%近傍に下がるかと思われていたのに、10月、11月には、最近また物価が上がって来たというのが生活実感で、先ずは新米が60%も上がっているのに、農水省も、政府も何にも言わないといった状況があるようです。

一方エネルギー価格については、電気・ガス料金が上がらないように関連企業に補助金を出すというちぐはぐな話です。

2%インフレ目標を大事にする日銀は恐らく政策金利の引き上げには動かないという見方になるわけです。

こうして、日米の金利差は当分変わらないという事になりますと、投機筋は当然金利差を活用しようという事でしょう。

その結果、円安が進めば、日本の消費者物価は強含みになるわけで、日銀は金利引き上げに慎重になり、日米金利差はさらに続くという事になりそうです。これでは問題は一向に進みません。

アメリかはともかく、日本は政策金利を早期に引き上げて、金融正常化、預貯金に金利が付き、サラリーマンの将来設計や年金計算の先行きも明るくなり、2000兆円の過半を占める家計貯蓄が金利を生んで家計を潤すようにはなりません。

ただ、無暗に金利を引き上げ円高を招くと、いつかもあったように株が暴落し経済が大変なことになりそうだという恐怖感があるでしょう。

そこで、アメリカやヨーロッパの真似をして、日本も賃金インフレを起こしてみたらどうでしょうか。8~10%でなくても、4~5%で結構でしょう。

当然日銀は2%を目指して消費者物価指数を下げなければなりませんから、金利引き上げが必須になります。

そのためには10%ほどの賃上げが必要でしょうか。消費者物価指数は賃上げ率以上に上がりませんから実質賃金は上がり、円レートは140円とか130年になるでしょうか。日本企業はそれでも頑張るでしょう。

円高で輸入物価は抑制されますし、賃金インフレは労使の協力で2-3年で下がるでしょう。  

こんな形で、日本も、金利や為替レートを欧米より上手に使いこなすことで、この経済の閉塞状態から脱出する知恵を持たなければならに時代になって来たようにの思うのですが如何でしょうか。


<月曜随想>石破氏の?「石橋湛山研究会」に期待

2024年12月16日 15時11分16秒 | 文化社会

最近永田町で石橋湛山が再評価され、「石橋湛山研究会に石破総理を始め超党派の数十人の国会議員が集まって、かなり頻繁に開かれているというニュースがありました。

当初受けた印象では、自民党の中で、党の意見と違うような正論を敢て言っていた石場氏が主唱して出来た研究会かと思いましたが、そうではなくて、昨年、石橋湛山残没後50年を記念して出来た研究会で、最近頻繁に開かれているという事のようです。

研究会を作ろうと言い出したのは誰かとネットで探しましたが、その情報は見つかりませんでした。

しかし、最近の世界情勢の中で、この日本において石橋湛山に興味を持つ国会議員が超党派で数十人も集まっているという事は素晴らしいことなので、応援したくなり、あえて取り上げた次第です。

このブログでも、石橋湛山については折に触れて取り上げていますが、取り上げている趣旨は「リベラル」とは何かということを論じる場合、リベラリスト石橋湛山として論じるということがほとんどです。

リベラルというのは、幅広い豊かな知識を持って、自分の考え方をきちんと作り上げ、それに従って発言し、行動できるということでしょうか。政治家としてはまさに必須の要件の様な気がするものです。

石橋湛山の主張で最も有名なのは軍国主義日本が、アジア進出を積極化する大正時代に、ジャーナリストとして、民主主義を主張、日本は、満州、朝鮮半島、台湾を放棄し、中国とは争うのではなくその経済発展を援助し、交易を盛んにすることがアジアの安定、日本の経済的成功の道と、所謂小日本論(当時は大日本帝国意識が全盛)を主張したことでしょう(戦後はまさにその通りになり、日本は大発展しました)。

大変な先見性と洞察力ですが、当時の石橋湛山の知識の集積、研究、思想、人間性といった人間力によるものでしょう。

「リベラル」は、全体主義、付和雷同とは正反対です。例えば、自由民主党の中にあっても「安倍総理の言うことは嘘でも正しい」のではなく、是は是、非は非と自分の意見を言える政治家は、リベラルな思想の持ち主で、信用できるという事になるのでしょう。

超党派でそうして国会議員が集まり、意見を戦わせれば、国会審議とは別に、本当の日本の政治の在り方を求めて意見が一致する問題も出て来るはずです。

国会全体がそのようになれば日本の政治は全く変わるでしょう。   

石橋湛山は山梨県の甲府中学の出身ですが、甲府中学に在学中、校長に大島正健が赴任したそうですが、この人は札幌農学校の第1期生で、クラーク博士の薫陶を受けた方だそうです。

石橋湛山は、大島校長との出会いが自分の人生観に大きな影響を与えたと記しているとのことですが、ここにリベラリスト石橋湛山の原点があったのかもしれません

民主主義に本来の優れた価値を与えるためには、それに参加する個々の人間が、リベラルであってほしいのですが、そのためにも、石橋湛山研究会の成果を期待したいと思っています。


民主主義の基本と「企業・団体献金」

2024年12月14日 14時13分14秒 | 文化社会

民主主義の考え方の基本は「多数決」だという事は誰もが知っていることです。国や地方自治体、学校のクラスから市民のサークル活動まで、その人間集団として意思決定をする時は、過半数の人の賛成したものを選ぶのです。

その選択が、正しいか正しくないか、ベストか必ずしもそうでないか、これは大事なことですが、民主主義ではそれは問わずにメンバーの過半数の選択を是とするのです。

これは、基本的には多数は誤らないという考え方によると言えますが、もしその選択が良くなければみんなが気付いて決め直すという試行錯誤の余地も残したものでしょう。

そんな所が「民主主義は、時間はかかるが、結果的には最良の方法」といわれる所以でしょう。

民主主義の対局は専制主義、独裁主義で、優れたリーダーに任せれば効率よく早く良い結果が出るという方法ですが、リーダーが間違えたら取り返しがつかないのが欠点です。  

この問題はさておき、今日の問題は、多数決という時に、自然人でない法人も、多数決の仲間に入れるのが妥当かどうかという問題です。

この問題を間違ってしまうと、最近マスコミを賑わせたように「法人が政治献金をするのも表現の自由だから、それを制限するのは憲法違反」などという意見が出てくることにります。

民主主義というのは、人間の「あたまかず」が、総ての基本になっている制度です。ですから、あくまで「自然人」が1人1票で、選挙という手段で物事を決めるという方式が採用されているのです。

法人は選挙に参加することはできません。選挙と最も関係の深い「政党」も元々は法人格のない任意団体でした。1995年に法人格が認められたのは、政党交付金の受け皿としての便宜的なものです。

つまり、民主主義というのは、あくまでも自然人一人一人をベースにして考えなければいけないもので、そこに法人という組織が入る余地はないのです。

所が法人の代表者が勘違いして、法人も人格が与えられているのだから意思決定に参加したいと考えて、選挙権が無理なら、カネの力で意思決定に影響を与えたいと考え政治献金をするようになったのが政治献金の始まりでしょう。

そうなると政党の方も、カネが欲しくなり、企業や団体の政治献金が一般的になり、政治とカネの癒着がだんだんひどくなるというのが結果のようです。

経団連会長が、経団連が政治献金をするのは社会貢献ですと言われました。本当にそう思われ、善意で言われたのかもしれません。しかし多くの人はそう思いませんから批判が出ました。

外国法人の政治献金は禁止されています。これは外国の企業が、日本の政治に影響を与える可能性があり問題だとの考え方によると聞いたことがあります。  

ならば、日本企業が日本の政治に影響を与える可能性も問題でしょう。

繰り返しますが、民主主義は、あくまでよりたすうの自然人の意見によって、組織の運営、意思決定をするというのが基本のものなのです。