明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(160)政府が原発再稼働に動き出した!抗議を!

2011年06月18日 17時00分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110618 17:00)

昨日、僕は「「シビアアクシデント対策」という名の安全思想の切り捨て」という題の
文章を配信しました。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/dc1ead8555b372bccf88155cfb3ede04

そこで述べたのは、政府・保安院・電力会社が、シビアアクシデント対策といい
ながら、シビアアクシデントを行さないようにするのではなく、シビアアクシデント
=設計段階の想定を越えた重大事故が発生することを前提とした原発の運転
継続に踏み込もうとしており、安全思想が完全に切り捨てられてしまっている
という点でした。

すると、やはりというべきか、この本当に俄か仕立ての「シビアアクシデント対策」
をもって、本日、海江田経済産業省より、「運転停止中の原発についても再稼働
は可能」というとんでもない声明が出されました。このことで、まさにこの「対策」が
はじめから運転継続あり気の、本当に小手先の、安全を無視したものであることが
より明らかになったと思います。

このことを毎日新聞が報道しています。記事内容が的確です。ともあれ冒頭の
内容を紹介します。

「海江田万里経済産業相は18日、東京電力福島第1原発事故のような設計基準
を上回るシビアアクシデント(過酷事故)対策について、各原発への立ち入り検査
などを実施した結果、「水素爆発などへの措置は適切に実施されている」と評価した
結果を公表した。海江田経産相は「これにより、運転停止中の原発についても
再稼働は可能」との見解を示した。しかし、原発立地の自治体では慎重姿勢が強く、
定期検査などで停止している原発の再稼働までには時間がかかる見通しだ。
海江田経産相は結果の説明と再稼働要請のため、来週末にも立地自治体を
訪問する方針を明らかにした。」

可能であればですが、ぜひそれぞれの「立地自治体」で、海江田大臣訪問に
対する抗議を行って欲しいと思います。

内容の中で、最も注目すべき点は、「水素爆発などへの措置は適切に実施
されている」と述べていることです。これは二つの点から批判されなければ
いけない。

まず第一には、このことが意味するのは、それぞれの原発で、政府が今回の
福島第一原発のような事故、つまり放射能が大量に漏れ出す事故が起こり
うることを認め、それが起こった時に水素を逃がす工夫のみをしたという事実です。

だとするならば、何よりもこのことを各自治体に告げなければいけない。
今回のような事故が起こる可能性はあります。それでも運転していいですかと
住民に聞くべきです。いやむしろ事実上、今回の訪問はそうした意味合いを
持っていることを私たちの側が認識しなければいけない。これを認めたら、
シビアアクシデントを前提とした運転を容認することになってしまいます。

第二に、シビアアクシデントの結果、起こりうることを水素爆発だけに限定している
事の誤りです。今回は、水素爆発だけでなく、2号機の圧力抑制室の爆発も
起こっている。燃料プールでの火災、あるいは爆発と思われる事象も起こっている。
それだけてはない。メルトダウンし、メルトスルーし、格納容器がガタガタになり、
それで膨大な放射能が外に出てきています。

汚染水も膨大に貯まっている。処理がなかなかおいつかないでいる。いや外に
出た放射能が汚泥の形で集まってしまい、焼却で二次汚染が起こり、さらに
処理できない汚泥がどんどん積み重なりつつある。

分かっていることを少し並べただけでも、これだけのことがシビアアクシデントの
結果、起こっているのであって、水素爆発はその一つに過ぎない。そもそもまだ
原因不明のことはたくさんあるし、恐らくはまだまだ分かっていないこともたくさん
あるのです。

だからシビアアクシデントが起こることを前提にした対策は、実はほとんど何も
立てられていないに等しい。水素爆発そのものについてだとて、建屋に穴を
あければ防げるというものではないはずです。

だから仮に・・・そんなことはあってはなりませんが・・・シビアアクシデントが起こる
可能性を持った運転を容認する立場を採るのだとしても、その対策がまだ
なされているとは到底いえないことが明らかです。

しかも、こうしたシビアアクシデントが起こった時、現行の災害マニュアルが、
まったく役に立たないことも明らかになっています。つまりシビアアクシデント時の
防災マニュアルもないのです。それでどうして、シビアアクシデント対策が
出来たと言えるのか。言えるわけなど絶対にないのです。


これらから言えるのはこういうことです。
僕はもともと原発の運転に反対の立場です。その僕から言えば、シビアアクシデント
を前提とした運転など到底認められません。だからこの海江田大臣の暴言に
強く抗議したいと思います。

しかし原発運転容認の立場からだって、安全対策が施されていること、万が一の
防災体制がしっかり整備されていることが運転の絶対条件だと思います。
その観点から言っても、水素爆発対策しか行っていない今回の「シビアアクシデント
対策」は、安全運転に逆行する、あまりに誤った「対策」であることが明らかです。
その意味で、原発運転を容認する方々にも、ぜひこの点の批判を行って欲しいと
思います。

ともあれこのような暴論を許してしまったら、すべての安全思想が吹き飛んで
しまいます。海江田大臣の発言は、人命をあまりに軽んじたものです。
とても真剣に原発の安全運転を考えているとは思えない。はじめから運転再開
ありきの発想であり、この考え方が、今回の事故の原因になっていることへの
何らの反省の色もない。

みなさん。抗議の声をあげましょう!強く!

*****************************

原発事故:定検で停止中の原発、政府が再稼働促す

2011年6月18日 11時44分 更新:6月18日 14時28分
 海江田万里経済産業相は18日、東京電力福島第1原発事故のような設計基準
を上回るシビアアクシデント(過酷事故)対策について、各原発への立ち入り検査
などを実施した結果、「水素爆発などへの措置は適切に実施されている」と評価した
結果を公表した。海江田経産相は「これにより、運転停止中の原発についても
再稼働は可能」との見解を示した。しかし、原発立地の自治体では慎重姿勢が強く、
定期検査などで停止している原発の再稼働までには時間がかかる見通しだ。
海江田経産相は結果の説明と再稼働要請のため、来週末にも立地自治体を
訪問する方針を明らかにした。

 調査は原子力安全・保安院が7日、電力会社など11事業者に対し、(1)原発の
中央制御室の作業環境の確保(2)停電時の原発構内での通信手段の確保
(3)放射線管理のための体制整備(4)水素爆発の防止対策(5)がれき撤去の
重機配備--の5項目について状況を報告するよう指示。さらに各原発への
立ち入り検査を実施した。

 この結果、中央制御室の作業環境については震災後に各電力会社が非常用
電源などを確保しており、保安院は「必要な電源が確保されている」と評価。福島
第1原発1~3号機で発生した水素爆発についても、沸騰水型軽水炉については、
建屋上部での水素滞留を防ぐために建屋に穴をあけるドリルなどが配備された。
さらに水素を建屋外に逃がすベント装置の設置計画も進んでいると判断した。

 国内の商業用原発54基のうち、37基は定期検査や東日本大震災の被災など
で停止している(調整運転を含む)。17基は営業運転を続けているが、うち5基
前後が8月末までに定期検査に入るため、電力需給の逼迫(ひっぱく)が懸念
されている。海江田経産相は記者会見で「電力供給の不安、コストの上昇は
国内投資への抑制、日本企業の海外への回避を呼び起こし、産業の空洞化を
招く恐れがある」と強調。「原発の再稼働をぜひお願いしたい。私が直接地元に
出向いて説明する」と述べた。【中西拓司、野原大輔】

◇「住民、納得しない」 福島で当惑の声

 東京電力福島第1原発事故の収束が見通せない中で18日、海江田万里経済
産業相が各地の原発の安全対策の確認を発表、定期検査で止まっていた原発に
ついては再稼働を促した。「本当に安全が確認できたのか」「時期尚早だ」。原発
事故などで2万人にも及ぶ避難者を出し、今も被害に苦しむ地元・福島では
怒りや当惑が広がった。

 自宅が警戒区域にある浪江町川添の松本幸子さん(27)は県内外で7カ所の
避難所を転々とし、現在は新潟県柏崎市の民宿に身を寄せている。大熊町の
勤め先は営業の見通しが立たず解雇されたが、その後も住居が定まらないため、
職探しもままならない状態だという。松本さんは「福島第1原発も絶対安全だと
言われて安心していたが、事故が起きてからはもう信用できない」と話した。

 福島県内では10基ある原発のうち、福島第1の5・6号機と第2の1~4号機が
冷温停止中だ。これらについて佐藤雄平知事は4月以降「再稼働はあり得ない」
と明言し続けている。第2原発が立地する楢葉町の猪狩克栄・企画課長は「まず
は原発事故を収束させるべきだ。地震にも津波にも対応した安全対策を国が
十分に説明できるとは思えない」と疑問を投げかけ、「夏場の電力不足を心配して
のことだと思うが、立地自治体の住民も納得しないのではないか」と話した。

 福島第1原発事故で全域が計画的避難区域になった飯舘村の菅野典雄村長は
「国を信用できないわけではないが、原発の再稼働は国の判断だけではだめ。
地元の人たちの十分な合意が必要だ」と話した。

 津波の被害を受け運転を停止したものの、深刻な事故を免れた東北電力女川
原発(宮城県女川町、石巻市)。女川町の鮮魚店経営、佐藤圭一さん(54)は
「電力会社は過去に何度かトラブル隠しを起こしており、国や町がきちんと批判
できる体制を作らなければ不安は消えない。まず仲間意識を断ってほしい」と
注文をつけた。その上で「廃炉にすれば職に困る人がたくさん生まれるので、
本当に安全が確認できるのならば反対はしない」と複雑な思いを語った。
【金寿英、松本惇、種市房子、津久井達】

◇宮城県知事は「一定の理解」

 宮城県の村井嘉浩知事は18日午前、運転停止中の原発について海江田万里
経済産業相が「再稼働は可能」との見解を示したのを受け、東京都内で記者団に
「日本全国で電力が不足する状況で、国がそのような考え方を示したことには
一定の理解はできる」と語った。ただ、東日本大震災後に停止中の女川原発
(宮城県女川町、石巻市)については「東北電力から何も聞いていないので
コメントできない」と述べるにとどめた。【中井正裕】

◇橋下知事「経産相が原発周辺に住めばよい」

 大阪府の橋下徹知事は18日、海江田経産相の発言に「時期尚早だ。海江田
経産相や経産省のみなさんが原発の周辺に住めばよい」と批判。「福島第1原発
事故を収拾できていない政府が、安全を言うのはどういう思考回路なのか」と
述べた。
 5日間のインドネシア出張を終え、関西国際空港に帰国し、記者団に
明らかにした。【堀文彦】
http://mainichi.jp/select/today/news/20110618k0000e040041000c.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(159) 京都・ママ・パパ会の活躍に触れて

2011年06月18日 00時30分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110618 00:30)

6月14日に、「京都・ママ・パパの会」の方たちに呼んでいただいて、お話を
してきました。

「京都・ママ・パパの会」は、子どもたちを守るのは自分しかいないと決意して
起ちあがったママさん、パパさんの集う会です。素敵なホームページも
立ち上げています。
http://kodomo-kyoto.sakura.ne.jp/

この日の会合、自分の話がどうだったかは分かりませんが、赤ちゃん連れの
お母さんたちがたくさん詰めかけてくださり、熱心な討論が交わされました。
とくに印象的だったのは、福島県郡山市、茨城県、東京都から避難してきた
お母さんたちも参加してくれたことでした。東京からはふた組の親子が参加
してくださった。また自分のご家族をオーストラリアに避難させているパパさんも
参加してくださいました。

僕の話の後に、それぞれが自分の思いを話して下さり、それがとても良かった。
京都のお母さんたちも次々と質問や意見を言われていました。全体として
みんなで子どもたちを守っていこう、避難してきた人たちの苦労をシェアして
いこうという気持ちが溢れていました。

・・・人の思いの中で、何が一番とは、なかなか言えないものだとは思いますが、
やはりわが子を守ろうとするママさん、パパさんの気持ちはとても強いものであり、
同時にとても気高いものだと思います。接していて胸を打たれます。
柔らかくも、しなやかな強さ、逞しさを感じました。

参加させていただいていることがとても幸せに感じれる一幕でした。
僕もママさん・パパさんたちと一緒に頑張っていきたいと思います。

同会のホームページに、この日の報告も載っています。
写真もあるので、雰囲気も伝わるかと思います。よければご覧ください。
http://kodomo-kyoto.sakura.ne.jp/

なおこうしたママ・パパの立ち上がりは、全国で進んでいるようです。
その一つ、東京の江東区でも子どもを守る会が立ちあがっています。
『NO!放射能「江東こどもを守る会」』です。
http://koutoumama.jimdo.com/

この会は、独自に放射線計測を行う中で、近くの汚泥処理施設周辺が高線量源に
なっていることを突き止めています。非常に有効な活動だと思います。
この会の活動を紹介する記事が、「女性セブン」に載ったので、ご紹介します。

また京都・ママ・パパの会の方たちによる、街頭署名活動の記事も貼り付けて
おきます。

ママさん、パパさんたちがたくさん集ってくださったのは京北で、「おむすび
マーケット」の方たちが開いてくださった会合も同じでした。このときも僕は
集まったみなさんたちの真剣なまなざしに包まれて、胸が熱くなりました。
京北と和知の集まりの様子が京都新聞に報道されたことを、同会のHPに
載せてくださっているので、紹介します。
http://omusubi.keihoku.jp/info/kyoto-np_110614.html

ともあれ、みなさん。素晴らしく活躍中です!

**************************

放射能から子を守りたい」母の願いに立ち上がった大学教授

NEWS ポストセブン 6月12日(日)7時5分配信
 6月7日、東京都庁記者クラブで行われた記者会見。NPO『NO!放射能「江東
こども守る会」』代表の石川綾子さん(33)と神戸大学大学院山内知也教授が
こう説明し始めた。

「東京都江東区のグラウンドから1kg当たり2300ベクレルものセシウムが検出
されました。これは福島県内の小学校の校庭に匹敵する汚染レベルです。
またこの場所では、0.25マイクロシーベルト/h以上の放射線量も計測されています」

 子供が毎日のように野球やサッカーを楽しむグラウンドで計測された高い放射
線量。単純計算だが、0.25マイクロシーベルトは1年間常に外にいた場合、外部
被曝だけで年間2.19ミリシーベルトにも達する数値だ。

 文科省は5月27日、福島県内の学校で子供が1年間に浴びる放射線量について、
年間1ミリシーベルト以下を目指すことを示したが、前出のグラウンド周辺はその
1ミリシーベルトを超える放射能高濃度エリアということになる。

 独自に調査を行い、その衝撃の結果を発表した石川さんは、4才、3才、1才の
3人の娘をもつ主婦。震災以前は、放射能の知識もほとんどなかったという。

「中学校の修学旅行でJCOのある茨城県の東海村に行ったくらいで、それっきり。
放射能とか原発とか全然詳しくなかったんです。でも、5月中旬の新聞で、東京の
亀戸でかなり高濃度の放射性セシウムが検出されたという記事を見て、いま
住んでいる所は大丈夫なのか知りたくなり、行動に移したんです」(石川さん)

 夫がインターネットで検索して、放射線計測学を専門にする山内教授に連絡を
取った。山内教授は快く承諾してくれたので、長女と次女の通う幼稚園に掛け合い、
園内の放射線量についても調べることにした。しかし、調査をする直前に、
幼稚園からは「その話は進めないでくれ」と断りがはいってしまったという。

 子供たちを守るためには自分たちが動かなければと、石川さんたちはそれを
機に『NO!放射能「江東こども守る会」』を設立。同じような考えを持ったママ
友らがあっという間に31人も集まった。

 同会が依頼する形で、山内教授らが、5月21、22、25日に江東区内の11エリア
で地表や大気の調査を行った。

「山内教授とアシスタントの先生、それと会のメンバー約9人で公園や公道、神社
などを回りました。いずれも測定器の針が振れて高い数値が出たのですが、
東部スラッジプラントの周辺でより高い数値が出たんです」(石川さん)

 スラッジプラントとは、下水の処理過程から発生する汚泥(スラッジ)を処理する
施設。下水道から出る汚泥を濃縮・焼却し、砂を生成。その砂をセメントや建築
資材などに再利用している。都内には水道局管理の下にスラッジプラントが2か所、
他にも汚泥の焼却施設が10か所存在する。このうち、江東区内で稼働している
東部スラッジプラント周辺で高い放射線量が計測されたというわけだ。冒頭の
会見で報告されたグラウンドはまさに東部スラッジプラントの目と鼻の先だった。

※女性セブン2011年6月23日号
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110612-00000005-pseven-pol

***

子どもを放射能から守って 「京都・ママ・パパの会」が署名宣伝

京都民報 2011年6月16日 10:31
 「放射能から子どもを守る京都・ママ・パパの会」は15日、京都市下京区の四条
河原町で「法定1ミリシーベルトの順守」と、「放射能を浴びた震災ごみを京都市で
焼却しないこと」を求める署名を呼びかける街頭宣伝を行いました。

 「1ミリシーベルト」の署名では、現行法の年間被ばく量の上限1ミリシーベルトを
守り、放射線量の高い地域の子どもたちの避難・疎開の実施や内部被ばく検査
などを求めています。また、「震災ごみ」の署名では、東日本大震災で生まれた
ごみの処理について、年10マイクロシーベルト以上の震災ゴミを京都市へ持ち
込まず、焼却しないことを求めています。

 同会のメンバーは、「多くの子どもが放射能の危険にさらされています。これ以上
の被ばくを生まないでほしい」とマイクで訴え、署名を呼びかけました。2歳の子ども
を連れて宣伝に参加した女性(36)=左京区=は、「これだけ大きな原発事故が
起こり、自分も行動しないといけないと思って宣伝に参加しました。福島の人も
大変ですし、京都でも不安に思うことがあります。少しでも放射能の危険を
減らしたい」と語りました。
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2011/06/16/post_7932.php
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする