明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(448)燃料プールの恐ろしさ(訂正。共用プールの燃料棒は、63745本ではなく6375本)

2012年04月11日 21時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120411 21:30)

明日に向けて(447)で、元スイス大使の村田光平さんの発言についてご紹介
しましたが、その中で大きなタイプミスをしてしまいました。福島第一原発
4号機の近くに共用プールがあり、そこに燃料棒が63745本あると誤記してし
まったのですが、正しくは6375本です。訂正してお詫びします。

読んでいただいた方からの指摘があり、ブログについてはすでに訂正しました
が、メールマガジンでお送りしている方には、ここで訂正をお伝えすることに
なります。どうも申し訳ありません。

さて訂正だけにとどまらず、全国の使用済み燃料の状態に関してのリサーチを
行なったところ、東京新聞が3月9日1面に「全国54基1万4000トン 核のごみ
増殖 保管余力3割」という記事を載せていたことを知りました。しかしなぜか
WEB上から消えてしまっている。それでこの内容を紹介すると共に、これを載せ
たブログのアドレスを記しておきます。
http://p.twipple.jp/iMrRX
http://plaza.rakuten.co.jp/hifumi369/diary/201203140001/

これによると、昨年9月段階で、使用済核燃料は計14000トンもあります。それ
ぞれの原発ごとに見ていくと、以下のごとしです。

北海道 泊原発  380t
青森  東通原発 100t
宮城  女川原発 420t
福島  第一原発 1960t
福島  第二原発 1120t
新潟  柏崎刈羽 2300t
茨城  東海第二 370t
石川  滋賀原発 150t
静岡  浜岡原発 1140t
福井  敦賀原発 580t
福井  美浜原発 390t
福井  大飯原発 1400t
福井  高浜原発 1180t
(福井原発銀座) 3550t
島根  島根原発 390t
愛媛  伊方原発 590t
佐賀  玄海原発 830t
鹿児島 川内原発 870t

表からもわかるように、福井県の原発銀座には3550トンと、原発立地県の中
では最高の量が集積されています。再稼働が狙われている大飯原発には、
柏崎刈羽、福島第一につぐ、3番目の1400トンが貯められており、すぐ近くの
高浜原発には、4番目の1180トンが貯められています。 

このほかに、青森県六ヶ所村の再処理施設に、施設単独では国内最大の2860
トンがある。合わせると、約17000トンの使用済核燃料が私たちの国にあります。
非常に恐ろしいのは、これらのほとんどが、密閉性のある原子炉ではなく、
災害に非常に脆弱であることが証明されたプールに沈められていることです。
そのどこにも、今、福島第一の4号機で具体化しているような危険性があります。

記事によると、全国の燃料プールの総容量は20630トン。すでに7割が埋まって
おり、残りは6400トンしかないとされていますが、実はこの数値も操作された
ものであることを、「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」が、昨年、
的確に指摘していました。

これは、昨年の事故直前の3月3日に発行された「美浜の会ニュース」に発表
されたものですが、まず六ケ所村は、プール容量が3000トンとされているも
のの、日本原燃が1996年に国に出した変更申請では、事実上のプールの保管
上限が2600トンとされていたのだそうです。これを上回り、プール容量の
ギリギリまでの保管が行われているのです。

さらに各サイトでは、号機間のプールの共有化が行われると共に、プールの
「リラッキング工事」が行われているそうです。これは燃料棒を、もともと
の設定とはちがって、ぎゅうぎゅう詰めにしてしまい、容量を増やすことで、
すが、この手で高浜3号機の場合、貯蔵容量が663体から1240体に増やされて
います。4号機にも同じ措置が取られている。さらに関電は、大飯原発でも
同じ工事を行うことをほのめかせていたそうです。

こうした操作をしなければ、すでに総容量は7割を大きく越えていたことが
明らかです。そしてこの操作自身が、燃料プールの危険性をさらに増大させ
ています。詳しくは以下をご覧ください。

美浜の会ニュース No.111 2011.3.3
http://www.jca.apc.org/mihama/News/news111/news111top.pdf


それでは福島第一自身はどうなのかと言えば、すでに1号機から6号機までが
このリラッキングが行われていました。しかもそうまでしても福島第一は
「管理容量」の93%が埋まっていた。国内最大の使用率ですが、そのことが
今回の事故、とくに4号機プールでの火災、あるいは爆発の要因の一つになっ
た可能性が濃厚です。同時に、今抱えている危機の根拠のひとつともなって
いるのです。放射能の量が多く、重量も多く、そのうえ、危険な核分裂性
物質がぎゅうぎゅうづめになっているからです。

なお、これらのデータは、以下から見れます。内閣府原子力政策担当室が
平成24年2月23日付で発表した資料です。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/hatukaku/siryo/siryo8/siryo3-2.pdf


これらから分かることは、燃料プールの危険性は、核燃料サイクルなど確立
できず、使用済み核燃料の処理の展望がまったく見えないままに、原発の運転
が強行されるなかで、非常に大きく膨らんでしまったということです。

原発はどのような形で運転しても危険であり、使用済み核燃料の処理もまた、
どのようにしても危険でやっかいですが、日本の原子力政策は、最悪の選択を
重ねてきてしまったのです。まさにそのことで日本壊滅、いや世界壊滅の可能性
を作り出してしまったのです。

私たちの国が、ただちに全力をあげて取り組まなければならないのは、こうして
蓄積してしまった使用済み核燃料の安全管理に向けた長い道のりをスタートさせ
ることです。そのための絶対条件は、これ以上、やっかいな使用済み燃料を
増やさないことです。その点からも、大飯原発の再稼働は言語道断です!

燃料プールの危険性を広く伝え、原発再稼働を許さない声を高めていきましょう!

******************

以下、上記のブログから拾った東京新聞3月9日付のの記事を貼り付けておきます。

全国54基1万4000トン 核のごみ増殖 保管余力3割

東京電力福島第一原発事故で米国がもっとも心配したのは、4号機の使用済み核
燃料プールが干上がり、大量の放射性物質が放出されることだった。電気事業
連合会によると、全国の商業用原発54基に保管されている使用済核燃料は計
1万4千トン(昨年9月末現在)。その多くがもって行き場のないまま稼働中の
原発の建屋内で保管されるリスクは、事故後も変わっていない。(細井卓也)

820トンの使用済核燃料を保管する玄海原発(佐賀県)。プールで保管できる
容量は1070トンで、240トンしか余裕がない。九州電力は「2014年度
には満杯になる」(広報担当者)として保管量を増やす増強工事を急ピッチで
進めている。

電事連によると、全原発の使用済核燃料プールの保管容量は2万630トン。
このうち7割近くが埋まり、残りは6千400トン分しかない。全原発が通常通り
運転した場合、発生する使用済み核燃料は年間千トン。6年ほどで満杯になる
計算だ。1999年から各原発の使用済核燃料を受け入れている青森県六ヶ所村
の再処理施設も2千860トンに達し、限界(3千トン)が迫る。中部電力は
静岡県御前崎市の浜岡原発敷地内に専用貯蔵施設を造る計画だが、国への申請は
これから。当面はプールでの保管に頼らざるをえない。

*********

福島第一原発の共用プールの問題に関しては、僕も事故当初より着目してきました。
まだ「明日に向けて」というタイトルを付ける前の「地震情報」と題していたころ
の記事を紹介しておきます。

地震続報( 18 )政府がアメリカの支援断る・燃料棒 6400 本が他にも
2011年3月18日 9時15分
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/44857763e488c869d7c067b04fa9b45b



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