明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(452)岩手一関から、汚染が少ない土地の友へ(土壌を測れ!)

2012年04月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120417 23:30)

震災当初、気仙沼に繰り返しボランティアに赴き、その後につながって
折々に一緒に行動してきたアビスさんが、「東北に住み、住んでいる
地域が汚染されてしまった俺たちから、国の愚策で、瓦礫の焼却処分で、
今後、放射能汚染が懸念される土地に住んでいるみなさんへのメッセージ」
を発信してくれました。彼が指摘するのは、「今のうちに土壌の放射能
測定をしておけ!」という鋭いアドバイスです。

もちろん、そんな必要がないように、がれきの持ち込みを食い止めること、
焼却をさせないことが第一です。しかしそれがされてしまう可能性も確か
にあるし、他の原発の大小の事故で、放射能が流れてくる可能性だってある。
その場合、実際に、その立場にたった東北の人々が直面したのは、もともと
の値が極めてわかりにくいという現実でした。

まったくわからないのではない。実は文科省の測定データなども残っていま
す。しかしなかなかそれを市民が自由に使うことができない。それを考える
ならば、確かに今のうちに、日本のあらゆるところで、土壌の調査を行なっ
ておくことは重要です。

ただしその場合、土壌調査にはまだフォーマットがないことも踏まえておく
必要があります。端的には地表の何センチまでをとって測るのかなどです。
またその場合、採取した土を十分に混ぜ合わせることなども必要です。
(そうでないと上の方と下のほうで、放射線値がかなり違ってしまう)

なので、どういう条件で、どのように採取し、測ったのかまできちんと記録
しておく必要があります。アビスさんが言うように、これは確かに貴重な
データになります。

ちなみに、すでに全国の土壌調査を積極的に行なってきた、木下黄太さんらの
放射能防御プロジェクトでは、採取方法として「表面から5㎝を採取。砂場は
表面から15㎝を採取」という基準を採っています。すでに一定のデータが
蓄積されているので、これに合わせるのも良いかと思います。


さらに言えば、がれき搬入と焼却を食い止めるためにも、こうした調査を
積極的に行い、マスコミに発表するなどして、「汚染前の状況を市民が測っ
たぞ」という態度を示すことには、大きな意義があるということです。
焼却場に関する現状のあらゆるデータも集めておくと良いですね。

それやこれやを通じて、市民の側が、科学的な知恵と手段とデータを持って
いること、だからおおいそれと騙されやしないことをあらかじめ明示し、
焼却処分に睨みをきかせていくとよい。これをもって、直接的な反対運動へ
の側面支援がきます。

そのためにぜひ、それぞれの地域で稼働しはじめた市民測定所を使いましょう。
ただし、土壌の測定はさまざまな困難を伴うことへの留意が必要です。一番
やっかいなのは、ひとつ間違うと、測定器を汚染してしまい、大変な労力を
かけて除染しなければならないこと。このため、測定所によっては、土壌の
測定を避けているところもあります。この辺のことを頭に入れ、各地の測定
所と連絡を取りましょう。

以下、アビスさんの言葉に耳を傾けてください!

************

放射性を帯びているかもしれない瓦礫の各地での焼却処分は、
国がいくら推し進めようとしても、断固阻止しなければならない。

その阻止行動と同時に、一つの最悪なシュミレーションを想定して、
燃やされてしまった時のことも考えておいても、いいのではないだろうか。
その観点から、焼却が予定されている地域の方に、
焼却以前の土壌の現状を、放射性物質を測定し、
記録しておくことを、おすすめしたい。

俺は、岩手県一関市室根町に住んでますが、
福一事故後、我が家も汚染されてしまいました。
東北に住んでいると、同じように自分の住んでいる地域が、
汚染されてしまった人と出会うことも、よくあります。
野外でのイベントなどに出かけると、そこに集まっている何人かが、
ガイガーカウンターを持っていて、5台や6台のガイガーカウンターが集まり、
そこで、みんなで同じ地点を測定し、
自分の持っているガイガーカウンターと、
人がもっている機種の示す数値を見比べ、
自分の機種の特性を把握するのに役立てたりしています。

そんな時に、よく出る話題ですが、
事故前の数値の記録がないということは、比較する対象がなく、
想像するしかない状況です。
この現状を踏まえて、海外の原発がある国の人に、
「事故が起きる前の記録は貴重だから、
事故を経験した日本人からの忠告として、
事故前の測定結果を記録しておくべきだと、
メッセージとして伝えたいね。」
という会話を、何度かしたことがありました。

そんな会話をしたのは、去年の夏ごろの話です。
当時、まさか政府が、放射能災害のセオリーに反して、
汚染された物質を国内に拡散するような、
愚かな行為をするとは、夢にも思いつきはしませんでした。

東北に住み、住んでいる地域が汚染されてしまった俺たちから、
国の愚策で、瓦礫の焼却処分で、
今後、放射能汚染が懸念される土地に住んでいる
みなさんへのメッセージです。

汚染される前の土壌などの現状を、ちゃんと測定し、
しっかり記録しておきましょう。

その記録は、今後、今の私たちにとっても、
次の世代にとっても、重大な意味を持つデーターになる、
可能性があると思われます。



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