明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1069)「高浜原発差止仮処分事件」の決定が14日に出ます!(下)

2015年04月10日 13時30分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150410 13:30 トルコ時間)

続けて弁護団からのプレスリリース、若狭の原発を考える会・高浜・大飯原発再稼動阻止ネットワークからの現地行動の提起、週刊朝日に掲載された解説をお届けします。

*****

報道機関各位

BCCで送信しております。
重複ご容赦ください。

さくら共同法律事務所の弁護士河合弘之の担当の松田と申します。
お世話になっております。

以下、河合が共同代表を務めます大飯・高浜原発差止仮処分弁護団より案内です。
急なご案内になり恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

2015年4月9日
報道関係者各位
高浜原発差止仮処分事件仮処分決定日と記者会見のご案内

昨年12月5日に福井県・関西地方に住む市民9名が福井地裁に申し立てた、大飯・高浜原発差止仮処分事件ですが、3月11日の審尋期日におい て、 高浜原発については審理を終了し、決定が出される旨みなさまにお知らせしてまいりました。
このたび決定の告知日時が決まりましたのでご案内申し上げます。

高浜原発3・4号機については2月12日に原子力規制委員会が合格証にあたる「審査書」を出しており、これらの原発が再稼働されるのは時間の 問題 という危険な状態にあります。
しかし、本件において仮処分決定が出た場合は、これらの原発を再稼働することはできなくなります。仮処分決定は、判決とは異なり、直ちに効力 を生 ずるからです。
この決定には日本中の国民・市民が期待を寄せており、当日は福井地裁に多くの市民が駆けつけます。
報道機関関係者の皆様におかれましては、司法が現実に原発を止めるというこの歴史的な裁判を多くの国民・市民に知っていただくために、取材・ 報道 いただきますよう、よろしくお願いいたします。

【本件仮処分申立ての経緯】
昨年5月21日に福井地裁が出した大飯原発差止判決は、福島第一原発事故の被害に正面から向き合い、全国の原発に当てはまる本質的な危険性を 認定 し、大飯原発3・4号機の運転差止めを命じたもので、多くの国民・市民に支持されています。現在、名古屋高裁金沢支部で控訴審が行われているとこ ろです。/しかし、関西電力は、この大飯原発差止判決を無視し、控訴審の結論を待つことなく大飯原発3・4号機と高浜原発3・4号機を再稼働 する ことを表明し、これらの原発の再稼働に向けての動きが着々と進められています。/このような世論と司法を無視する再稼働の動きを止めるべく、私た ちは、大飯原発差止判決を出した福井地裁に、通常の判決とは異なり、直ちに効力が生じる仮処分命令を求め、昨年12月5日に緊急に申立てを行 いま した。
(提出書面等詳細は仮処分の会サイトにも掲載 http://adieunpp.com /karisasitome.html)

2015年4月14日(火)
14:00過ぎ 福井地裁前で弁護団、申立団が旗だしを行います。
15:00(予定) 記者会見・報告集会 決まり次第、ご連絡いたします。

大飯・高浜原発差止仮処分弁護団 河合弘之、井戸謙一、内山成樹、海渡雄一、青木秀樹、
望月賢司、只野靖、笠原一浩、鹿島啓一、中野宏典、藤川誠二
申立人 今大地晴美、水戸喜世子、松田正、石森修一郎、
長谷川羽衣子、西村敦子、水戸晶子、松本なみほ、高橋秀典
※東京でも弁護団による会見予定

問合せ先:さくら共同法律事務所03-5511-4386(河合)/金沢税務法律事務所076-262-3628(鹿島)
 
*****
 
現地行動の呼びかけ
 

遅れていた仮処分判決告知が4月14日(火曜日)14時ということになりました。予定通り、裁判所前の集会が行われます。京都、滋賀、大阪、奈良からも自家用車の乗り合わせ、または、電車で参加したいと思います。京都からの車は10時スタートを予定しています。具体的配車(集合場所、時間)は参加者が決まった段階でお知らせします。とりあえず、参加を募ります。自家用車乗り合わせを希望される方は、木原―090-1965-7102、高瀬―090-3034-7391、新開―090-3267-4278のいずれかまで連絡ください。(3月に申し込まれた方も、改めて)

なお、この裁判の報告集会を、4月26日(日)午後1時半より予定しています(場所は現在探しています)。こちらへもお誘いあわせの上ご参加ください。
よろしくお願いします。

若狭の原発を考える会・高浜・大飯原発再稼動阻止ネットワーク 木原壯林

 
*****
 
初の運転禁止仮処分?高浜原発の今後
週刊朝日  2015年4月10日号
http://dot.asahi.com/wa/2015040100089.html

 原発再稼働1番手とされる関西電力高浜原発3、4号機。その雲行きが怪しくなってきた。昨年12月、地元住民らが関電を相手取り、大飯原発3、4号機と高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分を福井地裁に申請。このうち高浜原発については今春にも決定が出る見込みだが、仮処分が認められる可能性が濃厚だという。元判事で2006年に志賀原発の運転差し止め判決を出した井戸謙一弁護士が解説する。

「関電は高浜原発3、4号機を止めるべきだという申し立て側の主張にまともな反論ができていない。前回の審尋で関電が専門家の意見書を出すと言ったのに、裁判長がその機会を与えなかった。その流れからすると、申し立てが認められないとは考えにくい」

 担当裁判長は昨年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明判事(62)。

 このときは「人格権を侵害される具体的な危険がある」と踏み込んだ判決内容で再稼働を否定した。

 今回の仮処分申し立ては、3月11日に結審、まもなく決定を出す見通しだ。

 樋口判事は3月末に定期異動するとされるが、関係者によると、その場合でも裁判所法28条に従って高裁から特別な辞令を得て、異動後も決定を言い渡すことができるという。

 もし仮処分が認められれば、関電が取る方法は三つ。ひとつは保全異議や執行停止の申し立て。あるいは本訴への持ち込み。最終手段として決定を無視し、強引に再稼働させることもできるが、簡単ではない。

「保全異議の決定だけでもおそらく1年はかかる。無理やり原発を動かせば、裁判所は関電に億単位の間接強制金を課すでしょう。そんなことをしたら社長が株主から責任を追及されかねない」(申し立て弁護団の内山成樹弁護士)

 形勢不利と見た関電は「合理的な理由がないまま審理が終結したのは不当」(関電広報部)として裁判官忌避を申し立てた。だが、福井地裁はすぐさま却下。3月20日には名古屋高裁金沢支部へ即時抗告したが、申し立て弁護団によると、認められる可能性は低いという。原発の運転差し止めの仮処分が認められれば国内では初となる。元経産官僚の古賀茂明氏が言う。

「仮処分が出て高浜原発が止まったらそれが先例になり、全国の原発で同様の申し立てや訴訟が相次ぐ。再稼働に何の迷いもない政府や経産省にしてみれば、そうした先例を絶対に許したくない。時間をかけて最高裁まで争うでしょう」


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明日に向けて(1068)「高浜原発差止仮処分事件」の決定が14日に出ます!(上)

2015年04月10日 13時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)
守田です(20150410 13:00トルコ時間)
 
イスタンブールのホテルからです。
こちらは今正午すぎ、日本との時差は6時間です。
午後のミーティングの前のわずかな時間で書いています。
 
高浜原発差止仮処分事件の決定が14日に下されるそうです。
この審理は昨年5月に大飯原発の運転差止判決を出した樋口裁判長が担当してきました。
樋口裁判長は3月末で転任するためその前に運転禁止処分を下すと言われていました。
ところが多くの人々が待ちわびた期日決定の知らせがこないままに4月になってしまいました。
やきもきされた方が多いと思います。僕もその一人です。
 
どうなってしまうのかとドキドキしていたら、その後に週刊朝日に次のような解説が載っていることを舞鶴の知人が教えてくれました。
「樋口判事は3月末に定期異動するとされるが、関係者によると、その場合でも裁判所法28条に従って高裁から特別な辞令を得て、異動後も決定を言い渡すことができるという。」
 
まだ十分に望みはあると少しほっとしていたら、今日になってついに処分決定の期日が決まったという報が担当弁護士から飛び込んできました。これはすぐにお知らせせねばと記事を書いています。
とくに裁判長が変わった等の報がないことから、期待された運転禁止処分が出される可能性が高いのではないかと思います。ただしその点はあまり明示的に書かれていないので、関係者の方たちがみな、慎重になっているのかもしれません。
 
ともあれ注目すべき判断が14日に出されます。ご注目ください。
14日には福井裁判所を応援し、歴史的瞬間に立ち会おうということで、京都、滋賀、大阪、奈良から裁判所前に駆けつけて集会を行おうという呼びかけもなされているので、それもご紹介しておきます。
 
僕はトルコでこの報を受け取ることになりますが、この決定はトルコへの原発輸出の問題とも大きく絡んでいます。
 
安倍政権は、福島原発事故後、原発ゼロを訴える圧倒的な世論を前に、原発の延命をはかるためにいわば外堀を埋めるような形で原発輸出外交を繰り広げてきました。ただしこれは民主党政権のもとでもおこなわれてきたことで、安倍首相だけのパフォーマンスではありません。
 
もう少し大きな流れをみると、2000年代に入って以降、アメリカのブッシュ政権のもとで押し進められてきた原子力回帰政策と連動したものでした。
世界の原発は老朽化を深め、現在稼働年数が30年を超えたものがたくさん出てきており、2020年までに新たに200基は新設しなければ現状を保てず、原子力産業そのものが衰退に向かうと言われています。
この状況を打開すべき掲げられたのが新たな国々への原発輸出の流れであり、アメリカはそのイニシアチブをとることで原子力産業のリーディングカントリーの位置を再構築しようとしたのでした。
 
といってもスリーマイル島事故以降、まったく原発を新設できなかったアメリカはすでに製造ラインを失ってしまったので、日本等が下請けし世界各国に原発を売り回ることが模索されたのです。
かくして小泉政権のもとで原発の世界への売り込みが路線化されました。このとき自民党幹事長などをつとめて原発促進の旗を小泉元首相ともに振ったのが現在の安倍首相です。かくして2005年に「原始力政策大綱」が閣議決定され、2006年に原子力立国計画が出されました。

原子力政策大綱
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/taikou/kettei/siryo1.pdf

原子力立国計画
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/images/060901-keikaku.pdf

これは日本の中でも、高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ大事故や、JCO臨界事故等で、ひん死の状態にあった原子力産業を救い出す位置性をもったものでした。あのとき明らかにこの国には原子力政策から離脱できる可能性が生まれていたのに、それを握りつぶしてアメリカの原子力回帰政策に従ったのが元小泉首相であり、安倍自民党幹事長だったのです。

それはアメリカのイラク戦争への全面支持以来のアメリカへの全面追従の流れの中で強められたものでもありましたが、一方ではある種の独自性を持ったものでもありました。この流れの中で日本の原子力産業は長年被ってきたアメリカの規制からも自由になり、国産原発による世界展開を夢見だしたのです。

経産省が総合エネルギー調査会の原子力部会(2007年9月)で配布した資料にその本音が現れています。

「日米間の原子力関係の歴史は、カーター政権以来、ともすれば米国が非核兵器国である日本の核燃料サイクルを押さえ込もうとする中、日本は原子力の平和利用の模範生としてこれを死守する関係。この間米国のサイクル技術や高速炉技術は停滞」

「日本の原子力技術は元々米国から受け入れた歴史があるが、米国では過去30年に亘って新規建設が滞る中、日本は逆風に耐えて着実に新規建設を実施。この間、米国の原子力産業界の力が弱まる一方、日本の原子力産業会は力を蓄積」

(引用は『日本はなぜ原発を輸出するのか』p92より。元資料からでなくこの書からの孫引きです)

安倍政権が固執しているのは、小泉政権以来の日本がアメリカの規制を離れて独自に原子力産業のリーディングカントリーに躍り出ようとする路線です。

アメリカ自身はどうかというと、その後、期待していた中国との原発建設での共同化が難航したこと等もあって、原子力回帰政策はまったくうまくいかずに次第に後退。電力自由化もこれに拍車をかけ、オバマ政権になって完全に過去のものになりつつあります。しかし戦後レジュームを超えると主張した第一次安倍内閣はこの路線を押し進めることに固執してきました。

 

そして今、安倍政権は、福島原発事故という大変な事態を経たのに、その反省などまったくせずに、アメリカの後退をも尻目に、日本を世界中に原発を売り込む国家へと変えようとしています。いやそれどころか、福島原発事故の教訓から得た安全性を世界に売って国際貢献するのだとすら豪語しています。あの悲惨な事故を宣伝トークに使いだしてすらいるのです。

しかし福島原発事故はまだ収束しておらず、技術的な教訓をひきだすどころかまだ原発の中の様子すら分かっていない状態なのです。これほど平気に嘘を言い続けられる人物が首相であることに私たちの最大の危機があるといえますが、ともあれ岸信介氏を美化する安倍首相は、原子力政策でアメリカをも凌駕する夢をいだいて、原発輸出に邁進しているわけです。

 

しかしその安倍首相の前に厳然として立ちはだかっているのが日本民衆の原発をなくせという声です。選挙等では安倍政権はこの声と正面からぶつからないように慎重な歩みを続けてきました。それであれほどの議席をとっていながら、原発の再稼働をこれまで押し進められなかったのです。そのためにも安倍首相は先に海外で原発を売りまくり、いわば外堀を埋めようとしてきました。

ところが原発を売り込む国が、国内ではひとつも原発を動かしていないのではまったく面子が立ちません。輸出で外堀を埋めようにも再稼働がなされなければ輸出そのものも進めることができない。そのジレンマもあって安倍政権は、民衆の反対の声を恐れつつ、川内原発や高浜原発の再稼働を進める側に舵を切ってきたのでした。それも「安全性」は原子力規制庁に押しつけ、「避難計画」は地元自治体に押し付ける形においてです。この責任の押し付けに規制庁が反発し「新規制基準に合格したからといって安全だとは言わない」との明言を繰り返していることをすでに何度も指摘してきました。

これらの流れから言えば、高浜原発の運転が禁止されることは原発輸出政策にも計り知れない打撃になるのです。何より重要なのは、昨年5月の大飯原発運転差し止め判決に続き、世界に日本の原発の危険性が司法判断として伝えられることになるからです。特にトルコとの関係で大きいのは、高浜原発の製造者がトルコに原発を作ろうとしている三菱重工であることです。本当にこの点は大きい。

以上からみなさん。14日の決定にぜひご注目ください。

 

僕のこちらでの講演は12日シノップ、13日サムソン、14日イスタンブールと行うので、どれも直前になります。ぎりぎり最終日に「運転差止決定」の朗報を知らせられると良いと思っていますが、ともあれこうした裁判が日本で行われていること、日本の内側から原子力政策を止めるための努力が重ねられ、これまで動かなかった司法をを揺り動かしていることをしっかりと伝えるつもりです。

長くなってしまうので記事を二つにわけ、(下)で弁護団からのプレスリリース、若狭の原発を考える会・高浜・大飯原発再稼動阻止ネットワークからの現地行動の提起、週刊朝日に掲載された解説をお伝えします。

福井地裁前集会に参加可能な方はぜひよろしくお願いします。僕もイスタンブールからトルコの方々とともに熱き思いで福井に思いを馳せます。

 

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