明日に向けて

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明日に向けて(1264)オバマ大統領は原爆投下を謝罪すべきだ!(20日午後8時迄にアピールへの賛同を)

2016年05月20日 12時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160520 12:30)

すでにご存知のようにアメリカのオバマ大統領が、在任中の大統領としてはじめて広島を訪れることが決定しました。
ところが当初からアメリカ政府は広島にいっても謝罪しないことを強調しています。これは原爆投下の正義性をあらためて主張することと同義でありとても認められません。
何かアクションをと考えていたら、歴史学者で広島平和研究所教授の田中利幸さんが、オバマ大統領に原爆投下に対する謝罪を求めるアピールを5月10日付で発表し、賛同者を求めていることを知り、大変共感しました。
すぐに賛同を決め、みなさんにも呼びかけたいと思い、全文を掲載することにしました。ただキャッチが遅れたので、賛同期限は本日20日午後8時までです!この情報をつかんで共感して下さる方は直ちに賛同を行って下さい。

読んでいただければお分かりのように、このアピールではオバマ大統領だけでなく、安倍首相に対してもアジア侵略戦争への謝罪を求めています。
その理由は日本政府が、アジア侵略の罪を逃れるために原爆投下を利用し、「戦争だったから仕方がない」などと言うことで、自らをも免罪しようとしてきたからです。
僕もこの点がとても重要だと思います。日米政府はともに戦争犯罪を隠しあってきたのです。オバマ大統領の謝罪抜き=原爆投下の正当性を主張したままでの広島訪問はその象徴です。
しかも安倍政権はこれを参院選で与党が有利になるように利用しようともしています。そのための戦争犯罪隠しのセレモニーです。そんなこととても許すことはできません。

日本政府が原爆被害を自分たちの戦争犯罪の免罪のために利用しようとしてきたことの証拠は数多く上げられますが、僕自身、ショックを受けたのは原爆投下直後から陸軍部隊が極秘に行った被害調査報告書の存在でした。
これを伝えたのは2010年8月6日に放送されたNHKドキュメント「封印された原爆報告書」でした。この番組の中で、調査を行った陸軍が、すぐにそれを英訳し、日本政府降伏後にいち早く米軍に献上したことが描かれいています。
作品中に登場するその「作戦」に関わった元将校は「戦争犯罪の追求から逃れるためにも、戦後のアメリカとの関係を築くためにも、原爆報告書を渡すことは当時の国益に叶うものだった」と語り、次のように述べています。
「731(部隊)のこともあるでしょうね。」「新しい兵器を持てば、その威力が誰でも知りたいものですよ。カードで言えば有効なカードがあまりないので、原爆のことはかなり有力なカードだったでしょうね。」

この番組は2011年8月4日深夜に再放送されたのですが、僕はそれを観て衝撃を受けるとともに、なんとかそれを伝えたいと思って、知人から録画を借り受けて文字起こし、以下の記事にそれを載せました。

 明日に向けて(285)封印された原爆報告
 2011年10月07日
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/ddac9fad8987f13e69ab7562da0a07f2

今、調べたところ、この番組がネットに上がっていて観ることができることが分かりました。アドレスを紹介しておきます。

 封印された原爆報告書
 http://www.dailymotion.com/video/xkca1f_%E5%B0%81%E5%8D%B0%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%8E%9F%E7%88%86%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8_news

これらを踏まえるならば、今回のオバマ大統領の謝罪抜きでの広島への「招へい」が、安倍政権による戦争責任隠蔽、アジア侵略戦争の美化というこの間、延々と行われてきたことの一環としてもなされようとしていることは明白です。
その意味で再び三度、原爆を受けて即死した方、悶絶しながら死んでいった方、長い年月をかけて殺された方、そしてその周りにいたすべての人々の痛み、嘆き、苦しみを踏みにじり、戦争犯罪の隠蔽を行おうとするのがこのセレモニーです。
田中さんが打ち出されたアピールには、そうした観点がきちんと書かれているので、僕は深く共感しました。ぜひ賛同にご参加下さい。
以下にアピールの載せられたページのアドレスとアピール全文を掲載します。なお田中さんは明日21日に広島市で講演されるそうです。その情報も載っています。

*****

 吹禅 Yuki Tanaka 田中利幸
 「オバマ大統領への謝罪要求」に関する講演会とアピール文
 2016年5月10日火曜日
 http://yjtanaka.blogspot.jp/2016/05/blog-post.html?m=1

アピール文
私たちはオバマ大統領に米国政府の原爆無差別大量虐殺について謝罪を要求します
同時に日本政府のアジア太平洋侵略戦争について安倍首相の謝罪を要求します
日本国憲法第九条を擁護する立場から

1945年8月6日と9日の原爆による21万人(内4万人は韓国・朝鮮人)にのぼる広島・長崎市民の無差別大量殺戮、それに続く8月15日の日本の降伏を、日本軍国主義ファシズムに対する「自由と民主主義の勝利」と米国は誇り高く主張しました。実は、アメカ政府は、主として、ソ連に対して核兵器の破壊力を誇示するという政治的理由のために、戦略的には全く必要のない広島・長崎への原爆攻撃を決行しました。また、天皇裕仁と日本政府が「国体護持=天皇制の維持」に固執してポツダム宣言受諾を遅らせたことも、アメリカによる原爆攻撃を結果的には自ら招く要因となりました。

ところが、トルーマン大統領は、戦争終結を早め「多数の民間人の生命を救うため」に原爆を投下したと述べて、アメリカ政府が犯した重大な戦争犯罪の責任をごまかす神話を作り上げました。核兵器使用という残虐極まりない戦争犯罪に対する非難は、同年8月10日に日本政府がたった1回出した抗議声明以外、世界のどの国の政府からも出されませんでした(ちなみにこの抗議文には焼夷弾爆撃に対する批難も含まれていました)。かくして、「自由と民主主義の勝利」という名目上の「正義達成」目的のために使われた手段である核兵器もまた、正当化されてしまいました。そのため、核兵器そのものの犯罪性が、その後、厳しく追及されないままになってしまいました。         

それが追及されなかったため、「正義は力なり」という米国の本来の主張は、核兵器という大量破壊兵器を使ったことによって、実際には「力(=核兵器)は正義なり」とサカサマになっていたことを暴露する機会が失われてしまったのです。つまり、米国が主張する民主主義の本質「正義は力なり」という普遍原理は、核兵器使用という犯罪性を隠蔽するための口実として使われることで、すっかり空洞化されていたのです。その結果、核兵器使用は「人道に対する罪」であり、核抑止力は「人道に対する罪」を犯す準備・計画を行う犯罪行為=「平和に対する罪」であるという核兵器の本質が、いまだに明確に普遍的な認識となって世界の多くの人たちに共有されていないのです。

一方、日本は、1945年8月15日に発表した終戦の詔勅(天皇メッセージ)で、「非人道的な原爆のゆえに降伏せざるをえなかった」と述べ、「原爆投下」だけを降伏決定要因とし、15年という長期にわたってアジア太平洋各地で日本軍が犯した様々な戦争犯罪や、アジア各地で起きていた抗日闘争を徹底的に無視するどころか、戦争は「アジア解放」という「正義」のためであったとの自己正当化のために原爆被害を利用しました。こうして、アメリカ政府同様に、日本政府もまた原爆殺戮を政治的に利用して、自国の戦争責任を隠蔽しました。

しかも、連合国側に降伏するやいなや、日本政府首脳たちは「一億総懺悔」を国民に強要することで自分たちの戦争責任をうやむやにしてしまいました。同時に、天皇裕仁は本当は戦争に反対した「平和主義者」であったが、一部の軍指導者たちに政治的に利用された「戦争犠牲者」であるという神話を創り上げました。そのため、日本国民は天皇をまさに自分たちの戦争被害体験の象徴と見なすようになり、「一億総懺悔」は「一億総被害者意識」へと急速に転化していきました。日本人だけが被害者という「一億総被害者意識」からは、それゆえ他のアジア人=日本軍の残虐行為の被害者は完全に排除されてしまい、朝鮮人被爆者ですら長年の間「被爆者」とは見なされませんでした。その後、原爆無差別殺戮は日本の戦争被害のシンボルとしておおいに政治的に利用されるようになる一方で、日本人は、その加害の張本人であるアメリカ政府の責任を追及することもせず、日本人がアジア太平洋各地で繰り広げた残虐行為の加害責任を問うこともしないという、「加害者不在の被害者意識」にとらわれるようになりました。

つまり、これまで、私たち自身が被害者となった米国の原爆殺戮犯罪の加害責任を厳しく問うことをしてこなかったゆえに、私たち日本人がアジア太平洋各地の人たちに対して犯した様々な残虐な戦争犯罪の加害責任も厳しく追及しないという二重に無責任な姿勢を産み出し続けてきました。わたしたちの戦後「民主主義」には、厳明な「責任認識」の上に立った「正義履行」という点で、このような重大な欠陥があったのです。そのため、米国の軍事支配(日米安保体制)には奴隷的に従属する一方で、アジア諸国からは信頼されないため、いつまでたっても平和で友好的な国際関係を築けない国となっています。このように、日米両国が犯した由々しい戦争犯罪行為の責任のどちらもがこれまで真剣に問われなかった事実は、今わたしたちが暮らしている日本社会の閉塞した現状と実際には深く且つ密接に関連しているのです。特定秘密保護法導入、安全保障関連法=戦争法の導入、「河野談話」や「村山談話」の実質的否定、原発再稼働、辺野古米軍新基地建設など、安倍政権が矢継ぎ早に出している反民主主義的で人権無視の政策は、この70年にわたって蓄積されてきたこのような日米両国の戦争責任問題と密接に絡んだいろいろな矛盾が、今まざまざと露呈しているのだと言えます。

したがって、私たちには、もう一度「原爆・焼夷弾無差別大量殺戮」と「日本軍残虐行為」という二つの「人道に対する罪」の原点に立ち戻り、その視点からアメリカをはじめとする核保有国や核の傘に依存する日本などの核抑止力神話を打ち破るとともに、確固とした戦争反対の国際連帯を構築することが求められています。戦後間もなく、当時の首相・幣原喜重郎が発案し、占領軍最高司令官マッカーサーの支持をえて国会で十分議論が重ねられた上で作成された日本の憲法第九条は、そのような視点に立って市民運動を展開するための、私たちが拠って立つべき思想的基底であることを、再度ここで確認しておく必要があります。

日本の植民地主義、軍国主義、米国の核戦争を経て、憲法第九条は、国家の非武装、軍事力によらない平和という絶対平和主義の思想、すなわち「いかなる理由によっても人間には人間を殺す権利はないし、誰も殺されてはならない」という信念が具現化されたものです。「原爆・焼夷弾無差別大量殺戮」も「日本軍残虐行為」も、まさしくこの絶対平和主義という普遍原理にあからさまに乖背する非人道的で破壊的な暴力行為です。これらに対する「責任」も認めず「謝罪」もしないまま、核兵器を保有し続け軍事力を増大させながら、「核のない世界」や「安全平和なアジア」の構築だけを表面的、形式的にだけ唱えることは、単に欺瞞行為であるだけではなく、憲法第九条の精神=人類の普遍原理を空洞化する、「人道に対する反逆行為」です。

よって、私たちは、オバマ大統領が広島を訪問される際には、米国大統領として、原爆・焼夷弾無差別大量殺戮が人類に対する由々しい犯罪行為であったことをはっきりと認め、米国政府の責任の所在を明らかにした上で、原爆・焼夷弾被害者に謝罪し、残り少なくなった米国大統領の任期期間中、「核廃絶」に向けて全力で努力する覚悟を公にされることを要求します。と同時に、日本政府、安倍政権にも、中国・北朝鮮・韓国をはじめアジア太平洋諸国に対して自国の「戦争責任」を真摯に認め、謝罪し、「被害者」、「被害国」が受け入れられるような適切な戦後補償政策を実践していくことを強く求めます。

2016年5月10日

呼びかけ人:
久野成章 田中利幸 横原由紀夫

賛同者を募っています。このアピールの趣旨に賛同される方は、suizentanaka@gmail.com にお名前をお知らせください。来週末5月22日には、アピール文を安倍晋三首相に、その英語版をオバマ大統領宛(アメリカ大使館気付け)に郵送します。

賛同者名(順不同 敬称・肩書き省略)2016年5月20日6:30現在
現在までに北海道から沖縄まで全国各地と韓国、カナダ、ドイツ、フランスなどから合わせて285名の方々と6つの団体から賛同をいただきました。本当にありがとうございます。本当はお一人お一人にお礼のメールを差し上げなければならないところですが、なにとぞおゆるしください。本日5月20日(金曜)20時をもって賛同受付を終了させていただきます。いただいたコメントを考慮して、原爆だけではなく焼夷弾爆撃も「人道に対する罪」であることを明記するため、アピール文を少々修正加筆しました。この英語版を

このブログで紹介していますので拡散していただければ光栄です。
http://yjtanaka.blogspot.jp/2016/05/an-appeal-from-hiroshima-to-us.html
同時にこのアピール文をオバマ大統領と安倍首相宛に送ります。

注 「明日に向けて」では賛同者名は割愛させていただきます。

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守田敏也 MORITA Toshiya
[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

コメント (5)
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