明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1621)東海第二原発が事故を起こした時、避難できるのか(NNNドキュメントより‐2)

2018年11月17日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181117 22:00)

NNNドキュメントの文字起こしの2回目です。

*****

NNNドキュメント首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか(11月12日1時~2時放送) その2
https://www.dailymotion.com/video/x6x1slt

なお同番組の再放送が18日午前11時から行われます。11時30分までです。
BS日テレ 141チャンネルにおいてです。

● 事故が起きたときの危険性2 複合災害の影響

事故が起きたときの危険性、二つ目は複合災害の影響。
東海村には核燃料工場や研究施設など12カ所の原子力関連施設があります。
その中でも心配されているのが原発から3キロ先にある核燃料の再処理工場です。

テロップ
「再処理工場前の海岸」

記者
「この再処理工場も昔からあるんですか?」
地元の男性
「そうですね生まれた時からずっとありましたね」
他の男性
「再処理工場というシステム自体がまだ自分はそこまでよく分かってないんで」

再処理工場とは原発の使用済み核燃料を再処理する場所。
その工程では「人が近づけば1分で死ぬ」といわれるほどの非常に高い濃度の放射性廃液が出ます
タンクに入れ冷却されていますが、津波や地震で万が一冷却機能が失われると沸騰し放射性物質が外部に放出される危険性があるのです。

東海第二と再処理工場。複合災害が起きれば、汚染はさらに拡大します。

事故が起きたときの危険性3 避難の問題

事故が起きた時の危険性、3つ目は避難の問題です。

原発から半径30㎞にある14の市町村は避難計画を作らなければなりません。
そこには全国で最も多いおよそ96万人が生活しています。

原発から6キロ。ひたちなか市に住む湯瀬さん一家です。
夫婦で電機メーカーに勤務。家族5人で暮らしています。
今回私たちの取材に協力していただきました。
(注 ここでは男性がフルネームで呼称され、女性は妻・名前だけとなっています。この呼称の仕方に僕は反対ですが、ここではNHKが行った通りに記述します)

記者
「避難指示が出された。「すぐ出ますよ」何持って行きます?」
妻 裕子さん
「通帳とか印鑑とか…」
湯瀬さん
「テントとかアウトドアの関係のやつ」
「もう避難所だって入れるか分かんないじゃないですか。優希何持って行く?勉強道具は?」
娘 優希さん
「いらない。」(一同笑い)

ひたちなか市から美浦まで避難してみる

ひたちなか市の避難先の1つである茨城県美浦村まで車で避難してもらいます。

一同
「いってきます」
記者
「東日本大震災の時はこの辺の道とかどうなってたんですか?」
湯瀬さん
「海沿いはもう津波かぶってたんで…」
裕子さん
「道路が割れちゃって…」
湯瀬さん
「この信号を渡ってからもうぜんぜん動かなかったですね」

この映像は震災翌日の同じひたちなか市の様子です。この時避難指示は出ていません。しかし道路は大渋滞。歩道には給水を待つ人の行列が1㎞も続いていました。

川を越えられるのか

湯瀬さん
「逃げる所へ川を越えなきゃ行けない」
記者
「地形的に橋に集中するわけですもんね」
湯瀬さん
「そうですね。橋が少ないんで」

東海第二は北は久慈川、南は那珂川という一級河川に囲まれた場所に立っています。橋の数は限られており地震で橋が崩落したら他の橋に車が殺到することになります。

実際に東日本大震災では同じ茨城県の霞ヶ浦北浦に架かる鹿行大橋が崩落しました。湯瀬さんのルートでも…

湯瀬さん
「ここが一番最初にぶつかる橋」
記者
「それでも(上下)1車線1車線ですね、道は」
湯瀬さん
「そうですね」
裕子さん
「いや心配ですよね。何かこの橋大丈夫かなって」

茨城県が避難についてシミュレーション

茨城県によると震災の時、この橋はひび割れや段差が生じ、二週間通行止めになったといいます。
取材した日は土曜日の午前中。渋滞もなく美浦村を目指します。

国の指針によると原発が冷却機能を失う全面緊急事態に陥った場合、5㎞圏の住民は避難し5㎞から30㎞圏の住民は屋内退避。
その後避難するかどうか判断されます。

5㎞圏に住む8万人が3万台の車で一斉に避難したらどうなるのか。茨城県がシミュレーションを行いました。

避難開始1時間。赤が渋滞です。
5㎞圏を南北に貫く幹線道路は10時間以上経っても渋滞のまま避難を完了するのに20時間以上かかるという試算が出たのです。

しかしこれは5㎞圏内の試算。実際は30㎞圏の住民も相当数が自主的に避難するとみられています。

避難先に行ってみたけれど

自宅を出て2時間。避難先である美浦村に到着しました。

中島美浦村長
「どうも遠いところをご苦労さまです」
裕子さん
「こんにちは」

村長が出迎えてくれました。
体育館や公民館が避難先となり3000人を受け入れる計算です。
しかしこの人数は収容できる面積と1人あたり2㎡のスペースから機械的に算出したもの

中にはこんな場所も(固定イスの設置された講堂)。

村長

「固定イスはだいたい300弱あるんですけれども」

湯瀬さん
「間がふさがっている(固定された肘置きのため)」
裕子さん
「イスで横になることはできないね」
村長
「まあ無理です」
裕子さん
「本当に座るだけ」
村長
「3000人の毛布は用意してないので。村だけでそれを全部用意するのは難しい」

十分な態勢は整っていません。

湯瀬さん
「距離は大した距離じゃないですよホント。渋滞のレベルが見えないところが連れて行く身としては心配で」
裕子さん
「そこまでかけてすぐに避難するかと言ったら、やはり考えてしまいますね」

湯瀬さん一家は避難の難しさを実感しました。

村長
「原発がなくても過ごせる社会ができれば、それが一番安心して、自分の今まで住んで来たとこに住み続けられる部分があると思うので、(事故が)起きないことが一番だろうと思いますね」

96万人の避難計画。果たして実現できるのか。

続く

#老朽原発再稼働反対 #東海第二原発 #原子力災害対策


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