守田です(20201020 22:00)
福島原発からの放射能汚染水の海洋放出が問題になっていますが、この問題をきちんと把握するためには、福島原発事故以降の流れをきちんとおさえておくことが大事です。
この点についての論稿を2回にわたって掲載します。なおこの原稿は英訳して昨年11月、アメリカのニューメキシコ州で行われた核廃棄物問題サミット会議で講演させていただきました・・・。
● 福島からの放射能汚染水の海洋放出に反対します!
日本政府が福島原発で生じた放射性物質に汚染された水(以降、放射能汚染水と書きます)を海洋放出しようとしています。
10月27日も正式決定し、その後に準備を進めんとしています。実際の放出がすぐに行われるわけではありませんが、ともあれ放出を既定のこととさせてはなりません。
政府による海洋放出方針の最終調整を報じる朝日新聞
多くの方が放出に反対の声をあげています。昨夜もFoE Japanが行っている緊急署名を「明日に向けて」に転載させていただきましたが、たくさんの方に協力していただけました。どうもありがとうございました。
署名の期限が26日朝7時まで伸びたので再度、ご紹介しておきます。まだの方はぜひ!
フォーム1)https://pro.form-mailer.jp/fms/62f8c997208969
フォーム2)https://forms.gle/iFzGMWutM76PptTGA
さて、海洋放出に反対の理由はいくつも並べられますが、僕が反対する理由の筆頭にあげたいのは、すでに東電が福島サイトからものすごい量の放射能汚染水を海に注いでしまっているからです。これからではないのです。すでに膨大に行ってきたのです。
いつからなのか?福島原発事故直後からです。いつまでなのか。少なくとも2015年10月に「海側遮水壁」と呼ばれる地下水の海への流出を止める壁ができる前までは確実に何百トンも流れ込んでいました。
しかもその後もこの壁でどれだけ防げているのか、かなり疑わしい。また激しく汚染されている福島サイトに雨が降った時も、汚染水はなすすべなく海へ流れ出ています。
ようするに東電はすでにこれまでものすごい量の放射能汚染水を海に流してしまっているのです。だからもうほんの少しでも汚染を増やすことは認められないのです。
汚染水の海への漏れ出しを説明する毎日新聞の図 20130809
● 汚染水を海に流れるにまかせていた東電に厳罰を与えるのが先!
そもそも汚染水発生の理由はメルトダウンした核燃料を冷やすために水を投入してきたことで高濃度汚染水が生じたことにあります。
格納容器は壊れているのですぐに漏れだしてしまう。ここに福島サイトに山側から海側へ1日推定800トンの地下水が流れてきていて炉内で発生する汚染水と一緒になり、海へ出てしまったのです。
最も大切なポイントは、東電がこのことを知っていながら2年間も黙っていたことです。膨大な経費がかかるからですが犯罪そのものです!しかし問題は次々発覚しました。2011年4月2日に初めて「高濃度汚染水の流出を確認」と報道されました。
同年5月11日には3号機地下の側溝からセシウム134が「一立法センチメートル」あたり37000ベクレルもある汚染水が漏れたと報道されました。国の基準の62万倍でしたが「濃度」しか発表されず、総量は伝えられませんでした。
さらに年末12月4日に汚染水処理施設から45~220トンの汚染水が海に流れてしまったと発表されました。この3回の汚染を朝日新聞が試算し「少なくとも462兆ベクレルのストロンチウムが海に流れ込んでしまった」と発表しました。
これに対し東電自体は「4、5月に放射性ヨウ素とセシウムが4720兆ベクレル海に流れ込んでしまった」との推計を出しました。しかしこれらの数値は「最低でもこれだけの放射能が海に流れ込んだ」というもの。ほんの一部の推計にすぎません。
汚染水漏れを報じる毎日新聞 20111204
にもかかわらず東電は対策をネグレクトしてきました。民主党政権のもとで事故対策にあたった議員二人が著書で怒りを込めてこの点を暴露しています。(馬淵澄夫著『原発と政治のリアリズム』、空本誠喜著『汚染水との闘い』)。
例えば事故対策の過程で、地下水問題に気が付いた官邸チームがすぐに山側に壁を作り、地下水流入を防ごうとしたものの東電が抵抗し計画が見送られてしまったのだそうです。
この東電の、故意とすら言える海洋汚染の2年間にわたる放置に、まずは厳罰を与えることが必要です。それでなくてなんでまともな対策が進むでしょうか。
東電が当時の政権与党だった民主党と国民・住民を騙していたことが告発されている
● 選挙における自民党の圧勝後に東電が汚染水漏れを「告白」
さらに東電が事態を明らかにした過程を見ると、よりひどい事実が見えてきます。というのは東電が告発を始めたのは2013年7月21日の参院選における政権与党自民党の圧勝、民主党の惨敗の直後からだった点です。
東電はなんと選挙翌日の7月22日に、初めて膨大な放射能汚染水が海に漏れ出していることを「告白」したのでした。
選挙翌日に汚染水漏れを発表した東電 日経新聞 20120722
この過程を見ると、選挙前に東電が政府や自民党と交渉し、自分たちを訴追しないことや、国が対策費を出すことと引き換えに選挙後に発表する取引を行ったことが強く推測されます。事前に情報が出たら自民党が大敗しただろうからです。
選挙は自民党が大勝 読売新聞 2013年7月22日
東電はこの後に、重大発表を連発しだしました。8月2日には「1日400トンの放射能汚染水が海に流れ込んでいる」事実を発表しました。
空本氏は自著の中で事故以来の汚染水を「約800日間でセシウム137で約1~20兆ベクレル、ストロンチウム90で約7000億~10兆ベクレル、トリチウムで約20~40兆ベクレル」と試算していますが、東電は量については語りませんでした。
これに対して政府=安倍政権は2013年8月7日に対策への国の乗りだしを発表しました。しかしもし8月2日の東電発表でこの事実を知ったのなら、わずか5日間で対策に乗り出すことを表明できるはずがありません。
ここからも東電と政府が放射能汚染水対策を打ち合わせていたことがうかがえます。東電は自社の防衛にまんまと選挙=有権者も利用したのです。とくに不安を利用した。あまりにも悪賢い。悪質な犯罪者たちです。原子力マフィアそのものです。
続く
#汚染水海洋放出反対 #海を汚すな #放射能を海に流すな #東京電力
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水素には普通の水素と重たい水素がある。
トリチウムは普通の水素に中性子が2つ多い。三重水素とも
呼ばれる。
トリチウム単独で存在するのではなく、トリチウム水として、水の中に存在する。
水(H2O)は2つの水素(H)と一つの酸素(O)である。
水素の一つがトリチウム(T)ニナッテイルノガ、トリチウム水(HTO).
トリチウム水は自然界に多く存在していて、海野中や雨水などに含まれている。
私たちの体の中にも存在する。性質は水とほとんど変わらない。
宇宙線という放射線が宇宙から地球に降り注いでいる。
宇宙線が酸素や窒素にぶつかると、一定確率でトリチウムが生成される。
人類が存在する前から地球の水には一定量のトリチウムが存在していた。
宇宙線がふりそそぎつづけるとトリチウムは際限なく増えてしまいそうだが
一方でトリチウムは一定の確率で余分な物を外に出して安定物質(3He)に
変化し、この時ベータ線を出す。
自然発生スルトリチウムとトリチウムから安定物質に変化する量が釣り合って
自然界のトリチウムの密度は一定水準に保たれる。
地球上には年間7京(京は兆の1万倍)ベクレルのトリチウムが生成されると考えられている。それによって自然界には約100-130京ベクレルのトリチウムが存在する。
原発の処理水に含まれるトロチウムは1000兆ベクレルであるから、天然に存在する
トリチウムの約0,1%に相当する。