明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(123) 内部被ばくの撮影に世界で初めて成功(2009年)

2011年05月22日 13時00分00秒 | 明日に向けて5月1日~31日
守田です。(20110522 13:00)

本日5月22日、京都ではさまざまな企画が行われています。
午後2時からは、三条河原に集まって、リレートークが行われ、
3時から河原町通りを往復する脱原発デモが行われます。
僕も参加してきます。お近くで参加できる方は、ぜひご一緒に!

また18時半より、social kitchen(京都市上京区相国寺北門前町699)で
「幸せの経済学」の上映会が行われます。僕も少し話をさせてもらいます。
こちらにもよければどうぞ。
地下鉄「鞍馬口」徒歩5分 http://hanareproject.net/

***

さて、デモに向かう前に内部被ばくに関する貴重な映像を見つけたので
ご紹介しておきたいと思います。
2009年6月26日に放映されたNHKニュースで、内部被ばくした放射性物質が、
いまも細胞を傷つける放射線を出していることの撮影に、世界で初めて成功
したことを報じるものです。

なにはともあれ、以下の映像をご覧ください。4分42秒の映像です。
http://www.youtube.com/watch?v=ACHWd1MD5EI


これは長崎大学の研究グループが行ったもので、細胞の中から黒い2本の線
(放射線)が出ていることが、はっきりと捉えられています。

研究を行った七條和子助教らは、内部被ばくについては、まだ病理学的な
意義が分かっていない段階であるため、それを解明するために、7人の亡くなった
被爆者の組織を撮影。ひばくから60年以上たってから、骨や腎臓の中で、
放射線が出ていることを確認しました。なお放射線を出しているのは
プルトニウムだとのことです。長崎原爆に使われたものです。

七條和子助教は次のように語っています。
「その時だけ被曝して障害を及ぼすのではなくずっと体の中に蓄えられたものが
少しずつ少しずつ、体をやっぱり傷つけている可能性があるという、何らかの
糸口になればと思っております」 。


またこのニュースには、同じく長崎大学の中島正洋准助教授の研究グループが、
皮膚ガンになった被ばく者を対象に、手術で切除されたガン周辺細胞について
研究を進めたことも報じています。

その結果、判明したのは、一見正常そうに見える細胞のDNAが傷ついている
ケースが多く見られることです。
DNAの異常は爆心地から3キロ以上離れて被爆した人では5人のうち1人だった
のに対し、 1.5キロ以内で被ばくした7人のうち5人に上っています。

原爆で被ばくした人は、今も高い割合でガンになっているわけですが、こうした
方々は、一見正常に見える細胞のDNAが傷ついていることも、この研究で判明
したそうです。

中島准教授は次のように述べています。
「60年以上前の一回の放射線の被曝によって遺伝子に傷が入りやすいといった
ことが誘発されているのではないか。 それは、ガンになりやすいということを
示唆するデータだと考えております」 。


報道内容は以上ですが、ここからおさえておくべきことは二つです。
一つは、この映像にあるように、体内に取り込まれた放射性物質は
何十年もの間、周辺細胞を放射線で傷つけ続けることが、映像的にも
確認できたということ、内部被ばくの恐ろしさが、また一つ確証された
ということです。

また放射線被ばくにより、DNAが傷つけられ、それがガンにつながっている
のではないかということも、あらためて確認されています。

しかし一方で重要なのは、ニュースの中でも触れられているように、まだまだ
内部被ばくや、放射線とガンの関係には未解明なことが多いということ。
つまり被ばくから60年以上も経っているのに、内部被ばくや放射線被ばくに
対する知見が、十分には蓄積されてきていないという事実です。

ここには国が行ってきた被ばく調査、とくにそれを主導してきた放射線影響
研究所の長年にわたる「研究」が、被ばくの恐ろしさの解明には向かわず、
とくに内部被ばくの実態が蓋をされ、隠されてきたことをも示唆するものです。


先にもお知らせしたように、すでに福島第一原発の近くに住んでいて、他の
原発で働いている人々から、約4700件もの内部被ばくがあったことが
明らかになってきています。周辺に住んでいた方々の内部被ばくも、強く
懸念されています。

にもかかわらず、政府は相変わらず「安全」「安全」を繰り返しています。
まさにそこに、私たちの危機が存在している。私たちは、政府を信用することなく、
市民自らの手で、「いまここ」にある危機と向き合っていかねばなりません。

・・・内部被ばく問題について、さらに調査と考察を続けます。

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