明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(451)小水力の可能性は新たな町作り・国作りにある!(集会に参加して)

2012年04月16日 23時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120416 23:00)

4月14日に京都で小水力に関する集会があり、参加してきました。とても
盛り上がった集会で、とにかく面白かったので、少しく報告をしたためた
いと思います。

集会は前半で基調講演と最新情報報告、後半で各地の報告を伴うシンポジ
ウムという構成で行われました。前半の講演と報告も示唆に富んだもので
したが、僕としては何といっても後半のシンポジウムがとても面白かった。

聴き始めてすぐに心がザワザワしてきたので、その場でツイッターを使って
実況中継を始めてしまいました。まずはその内容をまとめたいと思います。
なおシンポジウムには富山県、岐阜県、岡山県、徳島県、高知県、熊本県、
鹿児島県の諸地域からの発言が続きました。以下、ツイートした内容です。

*******

20120414 小水力集会会場より

小水力集会に来ています。会場がかなり埋まっています。代替エネルギー、
小水力への感心の高さが現れています。今は各地域の実践の紹介。岐阜から
の発言がなされています。アルプスもあって、水の豊かなところで、さすが
の報告です。

岐阜の取り組みは、高専中心です。富山も参加してます。学校間で競いなが
ら、地域の電気を賄うことにチャレンジしています。学生の学びと発電、
コミュニティ形成が一つになっているのがなんとも面白いです。

続いて立命館大学の学生たちの岐阜での取り組みが紹介されています。幾つ
かの学部の混在チームです。小水力が、学際的な要素を持っていることが分
かります。彼らは歴史的取り組みの調査をしたようです。

岐阜に「ときの家」という拠点を作ったとのこと。メンバーの多くがもう卒業
なのだそうですが、ここにこれからも集うそうです。ちなみに岐阜での取り
組みは、規模の小さなもの。たがらこそ教育にも使える点が興味深いです。

続いて高知県です。「高知というとみなさん遠くてひるむと思いますが、高
知市から行くのにもひるむようなところで取り組みをしています」と高知県
の西での活動を紹介。高知県の発言はジョークだらけでとにかく面白いです。

高知の人、取り組みの写真を見せて、「細かく話すのは面倒なので、現場に
みに来て下さい!」と話して終わってしまいました。さすが高知!このアバ
ウトさがいい。よくは分からないけれど何かが進んでいることが伝わって
きました。

続いて富山からの報告です。やはりアルプスの麓ですね。毎年、県内に向け
て新エネルギーフォーラムを行い、小水力実現の気運づくりを目指している
とのこと。昨年は700名規模の催しを実現したそうです。すごいですね。

山間地で小水力実験システムを稼働していますが、山間の方は電力仕様が少
なくそれとセットで動いているとのこと。しかし冬は川が凍るのでそれをど
うするかが課題だそうです。

続いて岡山県、徳島県と続いています。ともにがれき受け入れ反対を表明し
ているところですね。徳島県では産官学での取り組みがなされているそうで
す。県土の80パーセントが森林。吉野川の豊富な水もあります。

徳島県は各地域での実証実験の報告を行っています。取り組みが厚いです。
環境省の依託事業としての地域主導型再生可能エネルギー事業化検討にも取
り組んでいます。かなり組織的ですが、市民的イニシアチブがどうなってい
るのか、もう少し聞きたい気がしました。吉野川可動堰反対の経験が生きて
いることでしょう・・・。

徳島県からは、課題として、電気を何に使うか、事業主体がどこになるのか、
資金をどうするのか、市民的熱意をどう作るのかが、他の地域にも共通する
だろうものとして提起されました。

次は九州熊本です。このままでは地域が枯渇する。地域の宝を掘り出すと力
強く宣言。発言者の町には48もの滝があるとか。素晴らしいところだそうで
すが、九州電力が狙っているとか。九電に取られるとエネルギーは地域にこ
ないそうです。会場から頑張れの意味で拍手が起きました。

熊本では砂防堰堤を使った発電に取り組んでいます。その場合、道路建設を
伴わない。これに建設業者が反発したそうですが、業者の力こそ、発電に必
要と説得したとか。それやこれやで10年で過疎化を打ち破ることが目指され
ています。

熊本は棚田を守ることも目指しています。そのために農業用水発電を目指し
ています。美しい棚田の写真を見せて、私たちはこれを守りたいと格調高く
語られました。

次は鹿児島県です。霧島山の麓でここも水が豊ですが、やはり過疎化が進ん
でいます。これを何とかしたいとのこと。性急に走っているそうです。「鹿児
島は何でもはじめたらいい加減にどんどん進むんです」とのこと。どこか高知
に似た伸びやかさがある。

次は京都のNPO法人美山里山舎からです。僕もよく通う原生相の芦生の森の麓、
かやぶきの里でも有名なところです。伏見工業高校と連携して、独自のら旋型
水車を使い、改良を重ねています。電気の利用は無線LAN活用に使い、観光に
貢献しているそうです。

地域からの発表は以上ですが、これまでのこの国の「経済成長」から取り残され、
過疎化に直面してきた地域、だから豊かな自然が残っているところが次々と手
を上げていることが見えてきました。この国の再生の可能性がここにありそう
です!ひとまずツイートを閉じます。

********

どれも発言のごく一部を切り取って発信するのが精一杯だったので、十分に
内容をお伝えできていないのですが、行間から当日の、あるいはそれぞれの
地域の方たちの行動の雰囲気を掴み取ってくださればと思います。いきいきと
した息吹が伝わると良いのですが。

ツイートの最後にも書きましたが、僕はこの次々と続く地域からの発言を聞い
ていて、小水力発電で作られつつあるのは、単なる電気なのではない。町の
復興、あるいは新たなるコミュニティの創出が、発電を通じて生まれつつある
のだということをひしひしと感じる思いがしました。

だからそこには「代替エネルギー」という言葉だけでは見えてこないもの、
もっと深い可能性がある。エネルギーの作り方が、町のあり方を変え、人々の
あり方、集い方を変えていくのです。まさにそこにこそ真の「代替エネルギー」
の可能性があると思います。

いや、そもそも、それはエネルギー全般にまつわる話なのです。これまでの明治
以来の工業化は、ひたすら大規模エネルギーに向かって邁進する流れだったとも
言えると思います。大規模なエネルギーを利用可能とすることによって、大規模
なプラントを建て、大規模な工業地帯を作り出していく。

そしてそこに人を呼び込み、移住させ、大規模工業圏、さらには大規模商業圏を
作り出していく。そのため第1次産業を切り捨て、地方の人々を都市部に移転さ
せ、農林漁業の上に乗っかる形で工業化を急ぎ、商業都市を拡大していく。

これが戦後の経済成長の流れでした。こうして日本は戦後10年で「もはや戦後で
はない」と宣言し、さらに60年代に高度経済成長を実現しました。新幹線が走り
出し、東名・名神高速ができて、物流規模がますます大きくなっていきました。

こうした中で電気の需要も増えてきました。これと相即的に、原子力発電も始め
られ、規模が拡大していった。都市圏から遠く離れ、過疎が始まった地域に、
次々と原発が建てられていきました。

日本の「経済発展」はますます拡大していきましたが、一方で第一次産業はどん
どん衰退していきました。何より後継者が育たない。人口が減り、街が維持でき
なくなり、限界集落が増えていった。それと引き換えに行われてきたのが、戦後
の「成長」だったわけです。

しかしそのもとで実は多くのものが失われてしまった。真っ先に挙げられるのは
日本の豊かな環境があちこちで破壊されてきたことですが、同時に、明治時代
までに営々と積み上げられてきた民衆的自治も壊されてしまった。

それはなぜか。水資源管理やエネルギー管理が、それまでの地域ごとの自治的な
あり方から、大規模河川整備や、大規模発電プラントの設営により、一極的・
官僚的管理に移行してしまったことが大きな要因としてあります。

こうして「地方」(これは中央という言葉の対概念です)のコミュニティの持つ
魅力はますます失われていった。いや地方だけでなく、実は旧来の多くのコミュ
ニティが疲弊しだした。そうして人々のつながりは薄れ、孤独な巨万の人々の
集合体としての現代都市が、ますます肥大していくことになったのです。


福島第一原発事故は、そうして走ってきたこの国の「経済成長路線」がもはや
大きな限界に突き当たっている中で、いわば象徴的に起きてしまった事故である
とも言えると僕には思えます。

世界の中でも抜きん出た都市化を進め、いびつな人口増加を続けている東京。
マネーゲームの中心地となり、市場経済の否定面が大きく露呈しだした東京。
その加熱したゲームの続行のために、福島で、新潟で電力が原子力によって作ら
れ、長い送電線を通して、メガポリスに送り込まれてきた。

その電気で、昼夜を分たず煌々たる光が東京を支配し、あたかも自ら火にいる
虫のように、マネーゲームへと人々が駆り立てられてきた。そうして駆りたれ
られればられるだけ、生き馬の目を抜くような競争の緊張感のストレスが増し、
澱んだ空気が町をおおってしまう。・・・もう長い間、私たちはそんな流れが
この国を覆い出していることに、うめき声を上げてきたのではないでしょうか。

ミヒャエル・エンデの作品、『モモ』に登場する「灰色の男たち」の支配する町、
それが、明治以来の工業化路線、戦後の高度経済成長の行く末に私たちがみた
町なのだと思います。その流れの頂点に、原発54基が稼働する私たちの「今」が
作られてしまった。


私たちが自覚すべきなのは、もうこの先に、どんな「約束」も残っていないこと
です。生産力をあげてもあげても、暮らしが豊かにならない。それどころが仕事
が減り、収入が減り、若者の希望が減っていく・・・それが今の経済路線の行き
着いた先です。この経済路線を維持してなんになるというのでしょう。今すぐ、
方向を転じなければならないし、転じてしまえばいいのだと僕は思います。

そしてその大きな可能性が、小水力の取り組みにあるのではないか。いやこの
取り組みの向こうにもっと大きな何かがあるのではないか。僕にはそう思えます。
なぜか。小水力の取り組みは、地域を歴史を遡って見直し、とくにそのいいとこ
ろを掘り出して、明日につなげる試みにつながっているからです。

同時に、それを小規模で行なっていく。つまり誰もが一定の決定権を持ちながら
関与できる。そのことでこそ、自分が地域とつながり、人とつながっていることを
生産活動の中で実感できる。そうすれば、ことさら「絆」「絆」と連呼しなければ
ならないほどに、人々の、当たり前の「絆」が切れてしまった現代社会の病的な
あり方を超えられるはずです。


以上、どうも感性的で、論証が十分にはなされていない文章になってしまいまし
たが、僕なりに小水力への取り組みに触れて得たインスピレーションをまとめて
みました。ラフスケッチであることをお許しください。後日、もっときちんと
論じ直したいと思いますが、ともあれ私たちの国の変革は、こうした「地方」か
らの無数の変革の積み重ねの中に夢見ることができるように思います。小水力
の取り組みの拡大は、人々の、そうした「覚醒」を促進するものとなるでしょう。

最後に、この集会をご準備くださったすべての方、とくに各地の奔放なエネルギー
のつなぎ役を担われている古谷桂信さんの取り組みに感謝を述べて、ひとまずの
感想のまとめとしたいと思います。







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明日に向けて(450)『関西でも小水力発電を!』 公開シンポジウムへ(京都、本日14日!)

2012年04月14日 10時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120414 10:00)

本日、14日に大飯原発再稼働に向けて枝野大臣が福井県庁にやってくると
いうことで、京都からも多く方が急きょ、福井県に向かっています。
現地での行動にエールを送りたいと思います!

僕自身は、午後から行われる「関西でも小水力発電を!」公開シンポジウ
ムに参加します。これもとても大切な取り組みです。直前のお知らせで
すみませんが、末尾に案内を貼り付けます。

僕は原発の稼働をとめることは本来、代替エネルギーの問題とは無関係だ
と思っています。原発はとにかく危険すぎるからとめなければならないし、
同時に、未来にわたる管理・処理費用は天文学的であり、百害あって一利
もないものだからとめるべきなのです。

しかし原発にかえて、火力発電をと考えるとそれがいいとも言えない。大気
汚染の問題があるからです。その点で、現在の火力発電や、大規模ダムによ
る水力発電を見直していくためにこそ、代替エネルギーが必要だと僕は思い
ます。そのためには現在の原発をのぞく発電システムの問題点に着目する
必要があります。

火力発電の問題は、大気汚染とともに、枯渇しつつある化石燃料に依拠して
いる点にありますが、大規模ダムはさまざまな環境破壊の元凶であるととも
に、数十年もたてば川が流してくる土砂で埋まってしまうため、「ムダ」な
代物でもあります。

ではそれに代わるものは何かと考えたときに、実は日本は自然エネルギーの
宝庫であることが目に見えてきます。太陽光、風力、地熱、波力などさま
ざまな自然の力の活用が可能です。

中でも有利なのは小水力の活用です。なぜなら日本は降水量が世界の中でも
抜きん出で多く、しかもたくさんの山地があることで、急峻な流れがあって
エネルギーに不可欠な落差が保証されているからです。さらに森林面積が広
く、山の保水力が高いため、年間を通して安定的に水が流れるという強みも
あります。

さらに重要なのは、小水力は、小規模コミュニティーでの取り組みにむいて
いることです。旧来の発電は、大規模なシステムに依存してきたがゆえに、
政治権力や経済界との癒着構造を生んできました。そこにさまざまな歪みが
生まれたのであり、そうした大権力を作ることのない、小規模な発電への
取り組みを増やすことが、民主主義を豊かに発展させるためにも不可欠です。

・・・それでは電力が賄えない?いやいや、代替エネルギーだけでなく、
私たちはエネルギーの使いすぎにこそ、目を向けなければなりません。とくに
煌々と灯りをともすことで、寝なくなってしまった町、夜のやすらぎを忘れて
しまった私たちの生活をこそ、捉え返す必要があります。何より心身の健康を
私たちは電気依存生活によって大きく損ねてしまっている現実がある。だから
僕のモットーは、「電気使用を少なくして、生活をよくしよう!」です。

その点でも、それぞれのコミュニティーの単位で、必要なだけの電気を発電し、
原発と揚水発電の関係のように、不必要に溜め込んで、無理やり何かに使うこ
とをしなければならないようなシステムとこそ決別していく必要がある。それ
やこれやの新たな可能性をたくさん秘めたものが小水力発電だと思います。

何より、水車の活用は、私たちのご先祖様たちが、つい「昨日」まで行なって
いたこと。だからこそ温故知新で、これに臨んでいくことができる。そんな
小水力の可能性をともにシェアするために、福井現地行動と固く連帯しながら
本日の小水力集会を成功させたいと思います。可能な方、ご参加ください!

***********

『関西でも小水力発電を!』 公開シンポジウム

再生可能エネルギーの中でも、身近な水の流
れを利用する小水力発電は安定性に優れ、まず
最初に利用すべき資源といえます。しかし、ま
だ、その利点や特徴はあまり知られてはいませ
ん。西日本の小水力利用推進協議会のメンバー
が一堂に会したこの機会に関西でも小水力利
用を広く正しくお伝えします。

2012年4月14日(土)午後2~5時
場所:キャンパスプラザ京都5階第一講義室
http://www.consortium.or.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=593

◇基調講演
『日本の小水力、歴史と現状―全国小水力利用推進協議会の活動を踏まえて―』
小林久氏(茨城大学 全国小水力利用推進協議会理事)
◇最新情報報告
『固定価格買い取り制度と規制緩和の現状について』
松尾寿裕氏(小水力開発支援協会理事)
~ 休憩 ~
◇西日本小水力シンポジウム
出席予定地域、富山県、岐阜県、岡山県、徳島県、高知県、熊本県、鹿児島県

いつ、どこで、だれが、何の目的で、どのような小水力発電を、いくらで、
取り組んでいるのか?やってみてどうだったのか?お伝えします!

※料金無料 お問い合わせ 古谷桂信katsunobu-furuya.1188@ezweb.ne.jp
(090-1899-8900)
※問い合わせはできるだけ携帯メールへの連絡をお願いいたします。
終了後、懇親会あります!
■主催 京都大学東南アジア研究所実践型地域研究室

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明日に向けて(449)岩波ブックレット『内部被曝』を紹介していただきました!

2012年04月12日 15時30分00秒 | 岩波ブックレット『内部被曝』発売中です!
守田です。(20120412 15:30)

「パレスチナに平和を京都の会」の諸留能興(モロトメヨシオキ)さんが、
ご自身のブログやMLで、私たちの著書のことをご紹介してくださいました。
非常に丁寧に読んでくださり、私たちの訴えたかったこと、伝えたかった
ことを端的にまとめてくださっています。またご希望の方に、送料無料で
販売していただけるとまでおっしゃってくださっています。

諸留さんに心から感謝しつつ、ここにご紹介したいと思います。

***********

矢ヶ崎克馬・守田敏也『内部被曝』是非購入、お読み下さ~い!
2012年 4月 4日
<諸留能興(モロトメヨシオキ):パレスチナに平和を京都の会>
http://chikyuza.net/n/archives/21687


矢ヶ崎克馬(やがさき・かつま)・守田敏也(もりた・としや)共著
『内部被曝』 [71頁]
岩波ブックレットNo.832
定価560円+税
2012[平成24]年3月6日 第一刷発行
ISBN 978-4-00-270832-4 C0336 \560E

 を紹介、お奨めします。
全71頁の、薄くて、小型のポータブルな好著です。
まだ読んでない方は是非、御購入、御一読下さい。

 原子炉や放射能に関する専門的知識の無い方のために、
矢ヶ崎・守田両氏の対話形式で、
大変解りやすい文章で書かれているのも有り難い。

 内容的にも、とても簡潔なだけでなく、
何が問題なのかを、全体を見渡す広い視野から、
的確に指摘しています。
一般市民待望の好著です。

 政府や自治体や専門家が盛んに宣伝している
「この放射能は○○値以下なので安全です」の説明が、
いかに、「国民市民を欺くもの」、
科学的根拠に基づかない「欺瞞的安全神話」でしかないかが、
手に取るように解ります。

 お値段も560円+税と手頃な価格です。
喫茶店のコーヒー2杯分を我慢するだけで、
これだけ豊かで正確な知識が得られま~す (*^o^*)

 福島第一原発事故以降、
放射能や原子力・原子力発電に関する多くの本が出版されています。
しかし、そのほとんどは、細かな専門分野に入り込んだものが多く、
一般市民が、気軽に読めるようなものは(チラシ類以外は)、
ほとんどありませんでした。

 私(諸留)も、こうした状況を嘆かわしいなぁ・・と思っていました。
一般市民向けの解りやすい解説書出版の必要性を、
痛感してましたので、とても嬉しく思ってます。

 「放射能や原子力など、難しいことは専門家に任せておけばいい」といった、
専門家任せの風潮が、今回の全日本列島放射能汚染の悲劇を招きました。
専門家丸投げの神話盲信の過ちを二度と犯さないためにも、
是非、皆様の御一読をお奨めします。

★★購入ご希望の方に★★
 お近くの書店でお買い求め頂けない方は、
私(諸留)まで御連絡下されば
送料無料でお手元まで郵送でお届け致します。


———-以下、簡単な内容紹介—————

○著者紹介氏:
 矢ヶ崎克馬
 1943年生まれ。沖縄県在住。
広島大学大学院理学研究科博士課程単位取得満期退学。
理学博士。専攻は物理。
琉球大学理学部教授。理学部長などを経て、2009年3月、定年退職。
琉球大学名誉教授。2003年より、原爆症認定集団訴訟で「内部被曝」について証言をする。
東日本大震災以後は、福島ほか、全国各地で講演をしている。
 著書に『隠された被曝』(新日本出版社)、『力学入門(6版)』(裳華房)などがある。


 守田敏也氏:
 1959年生まれ。京都市在住。
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、
現在フリーライターとして取材活動を続け、社会的共通資本に関する研究を進めている。
ナラ枯れ問題に深く関わり、京都の大文字などで害虫防除も実施。
東日本大震災以後は、広くネットで情報を発信し、関西をはじめ被災地でも講演を
続けている。
また、京都OHANAプロジェクトのメンバーとして、
被災地に中古の自転車を整備して届ける活動をおこなっている。


○目次:
第1章 被曝直後の福島を訪れて
第2章 内部被曝のメカニズムと恐ろしさ
第3章 誰が放射線のリスクを決めてきたのか
第4章 なぜ内部被曝は小さく見積もられてきたのか
第5章 放射線被曝に、どのように立ち向かうのか

○本書で一番大切な点:
 原発再稼働の是非、放射能汚染した震災地瓦礫焼却の全国自治体受け入れの是非、
食品安全基準値の是非‥‥など、
今、日本国内では、論争・混乱・対立が、渦巻いています。

 混乱とゴマカシ、欺瞞的な見せかけの安全神話の横行‥‥の、
その「根っこ」には、「内部被曝が過小評価されてきた」という歴史的事実の見逃し、
見落としがあったことを、この著書も明確に指摘し、再確認しています。

「放射線の問題をつきつめていくと、必ず突き当たるのが原爆の問題なのです」
「内部被曝を小さく見積もることも、アメリカ(とそれに従属してきた我が国)の核戦略の
なかでなされたきたということです」
「国際放射線防護委員会(ICRP)が内部被曝を、無視した体系を作り上げてきたのも、
核戦略の重要な一環です。それがいまの福島原発事故への政府(や自治体)の対応、すでに
飛び出してしまった膨大な放射性物質への対処をも大きく規定しています。」(同書43頁)

「国際放射線防護委員会(ICRP)の<1958年勧告>に、放射線のリスクは『原子力の実際上
の応用を拡大することから生じると思われる利益を考えると、容認され正当化されてよい』
という文言が盛り込まれ、これが<1990年勧告><経済的・社会的要因を考慮して合理的
に達成できる限り、放射能を防護する>とみとめられるにいたったのだと思います。」
(同書48頁)

 核兵器開発と経済発展という、
2本柱の目標が最優先される限りでの【放射能防護基準】‥‥(というよりも)【放射能
我慢強制値基準】‥‥これが、現在の我が国の政府、自治体の言う、
放射能安全値の実態なのです。

皆様、一人一人の、真の科学的思考が、いま、問われています。

「放射能に安全値はあるのか?」
「私たちの幸せとは何なのか?」
「高濃度放射能汚染の日本列島で今後長期間生活することになった、
私たち日本人一人一人が、今後、どうやって生きていべきか?」 ‥‥など、
 この好著によって、皆様お一人、お一人が、自分自身のアタマでしっかり考え、
目先だけの損得にとらわれない、数百年・数千年後の、子々孫々の幸せまで見通した、
確かな選択をして欲しいと、切に願ってます。


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明日に向けて(448)燃料プールの恐ろしさ(訂正。共用プールの燃料棒は、63745本ではなく6375本)

2012年04月11日 21時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120411 21:30)

明日に向けて(447)で、元スイス大使の村田光平さんの発言についてご紹介
しましたが、その中で大きなタイプミスをしてしまいました。福島第一原発
4号機の近くに共用プールがあり、そこに燃料棒が63745本あると誤記してし
まったのですが、正しくは6375本です。訂正してお詫びします。

読んでいただいた方からの指摘があり、ブログについてはすでに訂正しました
が、メールマガジンでお送りしている方には、ここで訂正をお伝えすることに
なります。どうも申し訳ありません。

さて訂正だけにとどまらず、全国の使用済み燃料の状態に関してのリサーチを
行なったところ、東京新聞が3月9日1面に「全国54基1万4000トン 核のごみ
増殖 保管余力3割」という記事を載せていたことを知りました。しかしなぜか
WEB上から消えてしまっている。それでこの内容を紹介すると共に、これを載せ
たブログのアドレスを記しておきます。
http://p.twipple.jp/iMrRX
http://plaza.rakuten.co.jp/hifumi369/diary/201203140001/

これによると、昨年9月段階で、使用済核燃料は計14000トンもあります。それ
ぞれの原発ごとに見ていくと、以下のごとしです。

北海道 泊原発  380t
青森  東通原発 100t
宮城  女川原発 420t
福島  第一原発 1960t
福島  第二原発 1120t
新潟  柏崎刈羽 2300t
茨城  東海第二 370t
石川  滋賀原発 150t
静岡  浜岡原発 1140t
福井  敦賀原発 580t
福井  美浜原発 390t
福井  大飯原発 1400t
福井  高浜原発 1180t
(福井原発銀座) 3550t
島根  島根原発 390t
愛媛  伊方原発 590t
佐賀  玄海原発 830t
鹿児島 川内原発 870t

表からもわかるように、福井県の原発銀座には3550トンと、原発立地県の中
では最高の量が集積されています。再稼働が狙われている大飯原発には、
柏崎刈羽、福島第一につぐ、3番目の1400トンが貯められており、すぐ近くの
高浜原発には、4番目の1180トンが貯められています。 

このほかに、青森県六ヶ所村の再処理施設に、施設単独では国内最大の2860
トンがある。合わせると、約17000トンの使用済核燃料が私たちの国にあります。
非常に恐ろしいのは、これらのほとんどが、密閉性のある原子炉ではなく、
災害に非常に脆弱であることが証明されたプールに沈められていることです。
そのどこにも、今、福島第一の4号機で具体化しているような危険性があります。

記事によると、全国の燃料プールの総容量は20630トン。すでに7割が埋まって
おり、残りは6400トンしかないとされていますが、実はこの数値も操作された
ものであることを、「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」が、昨年、
的確に指摘していました。

これは、昨年の事故直前の3月3日に発行された「美浜の会ニュース」に発表
されたものですが、まず六ケ所村は、プール容量が3000トンとされているも
のの、日本原燃が1996年に国に出した変更申請では、事実上のプールの保管
上限が2600トンとされていたのだそうです。これを上回り、プール容量の
ギリギリまでの保管が行われているのです。

さらに各サイトでは、号機間のプールの共有化が行われると共に、プールの
「リラッキング工事」が行われているそうです。これは燃料棒を、もともと
の設定とはちがって、ぎゅうぎゅう詰めにしてしまい、容量を増やすことで、
すが、この手で高浜3号機の場合、貯蔵容量が663体から1240体に増やされて
います。4号機にも同じ措置が取られている。さらに関電は、大飯原発でも
同じ工事を行うことをほのめかせていたそうです。

こうした操作をしなければ、すでに総容量は7割を大きく越えていたことが
明らかです。そしてこの操作自身が、燃料プールの危険性をさらに増大させ
ています。詳しくは以下をご覧ください。

美浜の会ニュース No.111 2011.3.3
http://www.jca.apc.org/mihama/News/news111/news111top.pdf


それでは福島第一自身はどうなのかと言えば、すでに1号機から6号機までが
このリラッキングが行われていました。しかもそうまでしても福島第一は
「管理容量」の93%が埋まっていた。国内最大の使用率ですが、そのことが
今回の事故、とくに4号機プールでの火災、あるいは爆発の要因の一つになっ
た可能性が濃厚です。同時に、今抱えている危機の根拠のひとつともなって
いるのです。放射能の量が多く、重量も多く、そのうえ、危険な核分裂性
物質がぎゅうぎゅうづめになっているからです。

なお、これらのデータは、以下から見れます。内閣府原子力政策担当室が
平成24年2月23日付で発表した資料です。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/hatukaku/siryo/siryo8/siryo3-2.pdf


これらから分かることは、燃料プールの危険性は、核燃料サイクルなど確立
できず、使用済み核燃料の処理の展望がまったく見えないままに、原発の運転
が強行されるなかで、非常に大きく膨らんでしまったということです。

原発はどのような形で運転しても危険であり、使用済み核燃料の処理もまた、
どのようにしても危険でやっかいですが、日本の原子力政策は、最悪の選択を
重ねてきてしまったのです。まさにそのことで日本壊滅、いや世界壊滅の可能性
を作り出してしまったのです。

私たちの国が、ただちに全力をあげて取り組まなければならないのは、こうして
蓄積してしまった使用済み核燃料の安全管理に向けた長い道のりをスタートさせ
ることです。そのための絶対条件は、これ以上、やっかいな使用済み燃料を
増やさないことです。その点からも、大飯原発の再稼働は言語道断です!

燃料プールの危険性を広く伝え、原発再稼働を許さない声を高めていきましょう!

******************

以下、上記のブログから拾った東京新聞3月9日付のの記事を貼り付けておきます。

全国54基1万4000トン 核のごみ増殖 保管余力3割

東京電力福島第一原発事故で米国がもっとも心配したのは、4号機の使用済み核
燃料プールが干上がり、大量の放射性物質が放出されることだった。電気事業
連合会によると、全国の商業用原発54基に保管されている使用済核燃料は計
1万4千トン(昨年9月末現在)。その多くがもって行き場のないまま稼働中の
原発の建屋内で保管されるリスクは、事故後も変わっていない。(細井卓也)

820トンの使用済核燃料を保管する玄海原発(佐賀県)。プールで保管できる
容量は1070トンで、240トンしか余裕がない。九州電力は「2014年度
には満杯になる」(広報担当者)として保管量を増やす増強工事を急ピッチで
進めている。

電事連によると、全原発の使用済核燃料プールの保管容量は2万630トン。
このうち7割近くが埋まり、残りは6千400トン分しかない。全原発が通常通り
運転した場合、発生する使用済み核燃料は年間千トン。6年ほどで満杯になる
計算だ。1999年から各原発の使用済核燃料を受け入れている青森県六ヶ所村
の再処理施設も2千860トンに達し、限界(3千トン)が迫る。中部電力は
静岡県御前崎市の浜岡原発敷地内に専用貯蔵施設を造る計画だが、国への申請は
これから。当面はプールでの保管に頼らざるをえない。

*********

福島第一原発の共用プールの問題に関しては、僕も事故当初より着目してきました。
まだ「明日に向けて」というタイトルを付ける前の「地震情報」と題していたころ
の記事を紹介しておきます。

地震続報( 18 )政府がアメリカの支援断る・燃料棒 6400 本が他にも
2011年3月18日 9時15分
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/44857763e488c869d7c067b04fa9b45b



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明日に向けて(447)村田光平氏が4号機の危険性と核廃絶を格調高くアピール(参院公聴会)

2012年04月10日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120410 23:30)

以下の記事は、気仙沼のアビスさんからの情報に基づいて書きました。

これまで僕はこの「明日に向けて」の紙面で、繰り返し4号機崩壊の危険性
を指摘し、それが日本の崩壊を招きかねないこと、それゆえ、強い危機意識
を持ち、これへの構えを作るべきことを主張してきましたが、3月22日に行
われた参議院予算員会の公聴会で、元スイス大使の村田光平氏が、4号機崩
壊は世界的危機をもたらすものであること。こうした中で脱原発に向かう
ことを躊躇することは「倫理の欠如というそしりを免れない」という指摘を
格調高く行われました。感動しました。

村田氏はこの中で、4号機のそばには、1号機から6号機までの共用プールが
あり、そこには6375本もの燃料棒が収められていることを指摘しています。
4号機が崩壊すれば、この管理も放棄しなければならなくなるため、放射能
の放出がさらに絶望的に拡大してしまうことになります。まさに世界的危機
の勃発です。私たちはそれを未然に防ぐために努力しなければなりません。

とくに日本政府は、いますぐにでもこのことを内外に明らかにし、日本の
すべての英知を福島事故の真の収束にむけて総動員するべきです。そのため
には、全くのウソでしかない冷温停止宣言をただちに取り下げ、危機の実相
を明らかにして、世界中に協力を仰ぐべきです。

同時に再び原発を大地震が襲い、4号機倒壊が現実的になった場合を世界的に
シミュレーションし、必要な限りの放射線防護を世界レベルで行うべきです。
そんなとんでもないことはできないという言い逃れは通用しません。できない
と言う論理は、そんなことは起こらないという希望的観測に結びつき、だから
対策をたてなくてよいという結論を生みます。とんでもないことです。

そもそもその発想で、原子炉の崩壊の可能性がありえないと退けられ、何らの
対策も立てないままに直面したのが今回の事故だったのです。そしてそれは、
本当に、とんでもない対処をしなければならない現実を作り出してしまった
のです。まさに世界が崩壊する危機が作り出されてしまった。核戦争をなん
とか回避してきた人類は今、最大の危機の前に立っています。

いやそもそもそれが、原子力政策の現実なのです。危機の前に立っているのは
福島原発だけではありません。世界中の原発が危険であり、再処理工場はそれ
を大きく上回る危険性を持っています。だからこそ、世界中でただちに、軍事、
民事を問わない核の廃絶に取り組み、核燃料の危険性をいかに減らしていくの
かの研究・実践に入り、何百年もかけて、核物質を大事にいたらないように管
理していかなくてはならないのです。

広島・長崎を経験し、今また原発大災害を経験した私たちの国は、その悲惨な
歴史と共に、今回の事故の加害責任にかけて、その先鞭をつけていかなければ
なりません。それを世界に向けて発信し、リードしていくべきです。
にもかかわらず、こんなときに、放射能の危険性を隠して、放射性がれきの
地方へのおしつけなど行なっている場合ではありません。

そうした行為の総体が、現実に目の前にある危機への対応を弱め、気の緩みや
隙を作り出し、そうして防げるべきものも防げない状態を作り出してしまうの
です。何度も言いますが、そうして福島原発事故は最悪のコースをたどったの
であり、まさにそれは「原発安全神話」の中で作られた破局への道だったの
です。しかも安全神話は今なおこの国を支配しています。私たちはこれをこそ、
ひっくり返していかなければなりません。

村田光平氏は、これらのことを実に格調高く、指摘してくださいました。後ろ
の方に出てくるアメリカへの評価等で、僕とは分析視角が違う面もありますが
それはともあれ、ぜひ多くの人にこの発言に触れて欲しいと思い、文字起こし
を始めましたが、途中で、これまでも有力な情報を発信してきた「カレイド
スコープさん」がすでに文字おこしした内容を、アップされていることを
知りました。

そこでアビスさんから提供を受けた動画とともに、カレイドスコープさんの文字
おこしした内容に若干の訂正を入れたものを、以下にご紹介しようと思います。
村田さんの訴えをぜひ多くの人で共有していきましょう!

***********************

参議院予算委員会公聴会での村田光平氏の発言(2012年3月22日)
(村田光平 地球システム・倫理学会常任理事 元駐スイス大使)

動画アドレス
http://www.youtube.com/watch?v=9bq81boQL_Y
文字おこし(カレイドスコープさん)アドレス
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1198.html

このような場で発言させていただくことは、大変光栄に存じます。
今日、ここに参りますに当たりまして、特に、みなさま方に伝えたいことが
ございます。それは、いかに現在、日本、そして世界が危機的状況に直面し
ているかということであります。人間社会が受容できない、この原発のもた
らしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならない、と私は福島事故
は全世界に想起させつつあると信じております。

そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは
倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております。
特に、この処理方法がいまだに発見されていない核廃棄物、これに象徴され
るのは、今の世代の倫理の欠如と言えると思います。
そして、これは人類が緊急に取り組まなければならない課題だと信じており
ます。そして、この放射能汚染と、これを許すあらゆる行為は、計り知れな
い害悪を永久に人類と地球に残すものです。

私が出席した2005年のOBサミットは最終文書で、「未来の世代を含む、すべ
ての人の認められる人権」ということで、未来の世代の人権を認めているわ
けですが、放射能汚染は、まさにそれを蹂躙するものであります。

原発の死角、使用済み燃料は過去に危機的な状況を何度も引き起こしてきた。
特に今日、みなさまにお伝えしたいのは、福島4号機の危険な状況でございます。
毎日、日本すべての国民は、余震が起きるたびに怯えております。
この燃料プールが、もし崩壊して、1535本の燃料棒が大気中で燃えだした場合
には、果てしない放射能が放出されると。もちろん、東京は住めなくなるわけ
です。

この1353本という数字は、実は控えめでございまして、つい数日前、私が発見
した数字がございます。それは、1号から6号、共有のプールがございまして、
それは4号機から50メートル離れたところでございますが、そこに、なんと
6375本の燃料棒が収められていると、いうことであります。まさに、この4号
機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言えるわけであります。

それにも関わらず、嘆かれるのは、危機感の欠如であります。

政治家にも危機感がない。こんなときにも笑っている議員がいる
この対策として考えられている燃料棒取り出し作業の開始が来年末以降という
のは断じて理解できませんし、放置してはならないと考えております。
国の責任が極めて重要だと信じます。

この点に関して、ついにアメリカが動き出したようであります。
数日前、入った情報によりますと、この著名な核科学者が中立の評価委員会の
設置の提唱を始めました。

これは、元国連職員で、世界中の著名な学者と連携を取っている松村昭雄さんが、
米政府の元・上級政策アドバイザーで、使用済み核燃料の第一人者であるボブ・
アルバレス氏、他の科学者たちに働きかけたものです。
この経緯については、2月に4号機プールにはチェルノブイリ原発の8倍のセシウム
があるで書いておきました。

太平洋を越えて、アメリカ西海岸へも放射性プルームが飛んでいき、事実、多く
のアメリカ人に重大な健康被害が出ています。
4号機プールが破損でもすれば、本当に北半球が終ってしまうので、米政府も、
いまだに危機感もなく世界に対しての責任感もない野田政権と日本政府に業を煮
やしたのです。そして上下両院の軍事委員会に、米軍の命の安全のための公聴会
を開くように働きかけ出した、ということでございます。

次に日本から世界の究極の破局をもたらしうるものとして指摘できるのは、六ヶ
所村の再処理工場であります。この六ヶ所村の再処理工場(が、いかに危険か)
につきましては、1977年の1月15日、毎日新聞が記事を書いております。

これによりますと、ケルンの原子炉安全研究所の発表では、極秘レポートであり
ますが、西ドイツの人口の半分、3050万人が死ぬであろうという報告であります。
そして、この再処理工場の恐ろしさは、実はヨーロッパでもシェルブールの停電
事件としてグーグルで、すぐ出てまいりますが、欧州全土を滅ぼしうるもの
だったと言われております。

この再処理工場の危険性を、私は内外に伝えておりましたところ、先週、欧州の
代表的な環境学者、エルンスト・フォン・ワイゼッカー教授から、その伝えを正
式に支持するという連絡が入っております。

日本は、福島事故を経験しまして、民事・軍事双方の核使用の犠牲国となったわ
けでありますが、悲しいかな、今や世界的規模の放射能汚染の加害国にもなって
しまっています。

毎日、いまだに毎時1億ベクレル近い放射能が出ているということも、さきほど
東電で確認いたしました。毎時0.7億ベクレルでございますが、おびただしい量の
放射能がでているわけでございます。

これを聞くにつけ、私はメキシコの原油流出事故が止まらないときに戦慄したの
を覚えております。まさに原油ならぬ放射能が同じような状況に置かれていると
いうことであります。

私は、福島を経験した日本は、民事・軍事を問わない真の核廃絶を世界に伝える
歴史的責務を担っていると信じております。
私が今まで、あちこちで講演する際、この主張に対して異論を唱える人は皆無で
ありました。

そして、私はこのような危機的状況、そして福島では、まさに、事故当初、作業
員の全面撤退が考えられていた。もし、その全面撤退が行われていれば、確実に
世界の究極の破局の第一歩が始まっていたわけであります。

このような認識が世界に正確に伝わるならば、脱原発というものが非常に早い時
期に世界的に実現しうるし、また、そうしなければ今の危機的状況を回避できな
いと、そのように私は信じております。

私は、そういう中で、ひとつの希望を与えてくれるものは、お配りした資料に書
いてあります「天地の摂理」であります。天地の摂理は人類と地球を守る、これ
が悠久の歴史から導き出される歴史の法則であると。しかし、そのためには惨い
警告を与えてきました。

私は、1年半前、バーゼルの核戦争防止会議で、「次の大惨事は核惨事である。も
し、これが起これば究極の破局につながりかねないので、人類の英知を導入して、
これを未然に防ごう」という呼びかけを行いました。残念ながら事故は起きてし
まいました。

そうした中で、この日本の事故の経験から、ほとばしり出る声は、ますます国際
社会の心ある人からの支援の対象になりつつあります。

具体的事例を申しますと、一月ほど前、マハティール元首相(マレーシア第4代
首相)から私に対しまして、いかに脱原発というものが正しいかと、マレーシア
は、核技術-人類がまだ把握していない技術-を、断固拒否したという主旨の手
紙を受け取っております。

それから福島の事故の教訓のひとつとして、これからは新しい文明作りを始めな
ければならないということでございますが、この新しい文明の突破口となるのが、
地球倫理の確立である、ということで、国連倫理サミットの開催と言うのを呼び
かけているのでございますが、これに対しまして、今月に入りまして、潘基文
(パン・ギムン)国連事務総長から、私に手紙がありました。

そして、加盟国が国連総会にこの議題を提出すれば、喜んで支持するという手紙を
くださいました。そして、アメリカのルース大使を通じまして、私たちがやってい
るこの国連倫理サミット、それから今の文明を、力の父性文明から和の母性文明に
変えると、こういう努力はオバマ大統領の提唱した「核兵器なきビジョン」が、
そのために力をあわせていくことがいかに大事であるかということを想起させる
ものであるとして、私に感謝の意を表明する手紙を下さっております。

そして、この核廃絶、真の核廃絶、民事・軍事を問わない核廃絶、これは福島事故
を契機に具体的な動機になってきましてた。それは、何と言えば、日本は、もし核
廃絶が実現せず、中国がおびただしい数の原発を造る場合には、黄砂だけでも被害
者は出てしまいます。これはなんとしてでも防がなければならないわけであります。

それから福島事故で、もうひとつ立証されたことは、いかに原発は核テロが容易で
あるかと、水と電気を止めればいいと。そして、防護されていない冷却燃料プール、
これさえ襲えばいいと。そういう事実を世界に知らせてしまったということで、
核保有国に取りましても、核廃絶は重要な、実質的な動機を与えられたということ
でございます。

そして、私は今までの経験から、核を進めようとしているフランス、インド、アメ
リカ等が、このような核廃絶を求める運動に対して、理解を示めしていると。中国
でさえ、天津科技大学が私に名誉教授の称号を与えました。

それからフランスは、昨年の国際会議に、私を招いてくれましたし、アメリカは、
先ほどのルース大使の書簡がありますし、インド前石油大臣は、私にエールを送っ
てきております。パチャウリIPCC議長も、しかりであります。

このように私は、核を推進する国に対する最大の貢献は、その国を核の恐ろしさに目
を向けさせること、これこそ、こういった国々に対する最大の貢献であると、その
ような信念のもとに活動を続けております。

そして、特にこの際、みなさま、福島4号機の危機的状況、再処理工場の恐ろしさ、
こういったものについて、ぜひ必要な危機意識を持って、これからその対処に、急い
で、緊急に、もっと国が責任を持って、対処、対応できるような体制づくりに、ぜひ
ご尽力いただきたいと思います。

以上であります。


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明日に向けて(446)膨大なストロンチウムが環境を汚染している!(焼却は極度に危険)

2012年04月09日 23時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120409 23:00)

ストロンチウム発見の報が再び流れました。福島県の浜通りと中通りで発見された
というもので、毎日新聞では「半径20キロの警戒区域を越えて広範囲に飛び散った
ことが分かった」とされています。最高値は、原発から3キロの大熊町で、1平方
メートルあたり、3070ベクレルだそうです。

しかしこのニュースを読んでいるとなんとも不可解なことに突き当たる。第一に発表
を行なったのは福島県ですが、調査が行われたのは、昨年7月13日から10月13日であり、
それから半年近く経っての発表であることです。ここから考えられるのは、この情報を
隠していたのではないかということです。

ストロンチウムの計測には時間がかかるとされていますが、それでも3週間ぐらいとさ
れており、12月ぐらいにはデータが揃っていたはずです。そう考えるとき浮かんでくる
のが12月16日の「冷温停止宣言」=事故収束宣言です。それを前に、浜通りや中通りが
ストロンチウムで汚染されている事実を隠したのではないでしょうか。

さらに毎日新聞の記事を見ると沈着量の「分析から大熊町ではプルトニウムも事故の
影響で増えたと結論づけた」と一行だけ書かれています。これもこれまで見つかった
プルトニウムをかつての核実験もものとしてきた見解を変えているわけですが、いか
にもこそっと行なっている。実際には、プルトニウムの汚染そのものも、冷温停止の
前につかんでいたはずです。

さらに記事を検索していて、昨年の12月18日に、朝日新聞が、ものすごい試算を出し
ていたことがわかりました。東電発表のデータを解析したところ、これまで海に流れ
出したストロンチウムはなんと462兆ベクレルになるというものです。ものすごい量
です。さらに重要なのは、これは東電が発表した4月から5月に海に流出した放射性
ヨウ素とセシウム、4720兆ベクレルの10分の1にもあたると見積もられていること
です。

同じ原子炉から出てきているのですから、海に、ヨウ素とセシウムの10分の1の
ストロンチウムが出たというのならば、土壌にも同じく、ヨウ素とセシウムの1割の
ストロンチウムが出たと考えるのが合理的ではないか。しかもストロンチウムが
ヨウ素やセシウムほどには飛ばないのだとすれば、それはより近隣を激しく汚染して
いるのでないか。こうした推論がただちに成り立ちます。

政府は今、がれきの広域処理による各地方への押し付けにやっきになっていますが、
そこにはストロンチウムも入っている可能性大です。焼却は極度に危険です。いや
そもそもがれきだけではないのでないでしょうか。一般ゴミにも大変な量の放射性
物質が入ってしまっていると思われます。つまり東北は関東では、そもそも焼却一般
がかなりの危険を作り出していると思われます。

ゴミ焼却の総体の見直しが必要です。「そんなことをしたらゴミ処理ができない」と
言われるかもしれません。そうです。そんなとんでもないことになっているのです。
それが今回の原発事故の実体なのです。社会がとても成り立たないようなことがしで
かされてしまったのです。そして、そんなとんでもないことになっている事実の隠蔽
も狙って、がれきの広域処理が強制されようとしているのではないか。調べている
うちにそんな疑念もよぎってきました。

ともあれストロンチムに最大の警戒を行い、情報解析を進める必要があります。また
各研究機関、研究者などに、各地でのストロンチウム計測を依頼する必要があります。
同時に、東北・関東の各焼却場の職員の、被曝対策の現状や健康被害についての調査
を行うことが必要です。ぜひとも各地で、焼却場の職員さんとの連携をとってくださ
い。今、行なっている焼却がどれほど危険なことであるかを知らせてください。

西日本など、汚染の低いところへのがれき押し付けに反対して行動しているみなさん
(僕もその一人です)は、自分たちのところで燃やしてはならないものは、当然にも
東北でも燃やしてはいけないことを一緒に主張し、政府による東北・関東の人々への
被曝の強制に対する抗議も同時に行なっていきましょう。

以上の点から、さらにストロンチウム、プルトニウム情報の収集、解析を進めます。

****************************

ストロンチウム、県内過去最大の3倍
2012年04月07日

●大熊の土壌で検出、県が発表
県は6日、大熊町夫沢の土壌から、県内での過去最大値の3倍にあたる1平方メートル
あたり3070ベクレルのストロンチウム90が検出されたと発表した。第一原発事故
で飛散したとみられる。

県と政府の原子力災害現地対策本部が昨年7月13日~10月13日、県内55地点
(原発周辺7地点、ほか48地点)でストロンチウム90の放射能を調べ、双葉町郡山
でも同502ベクレルと高い値が出た。県内の過去最大値は1973年に大熊町で検出
された同999ベクレル。

また、浜通りと中通りでも原発事故前の調査時(2005年度)の平均値を上回ってい
るとし、「今回の事故の影響と考えられる」とした。会津地方では大きな変化は見られ
なかった。
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000001204060008

***

福島原発事故:浜通りと中通りでストロンチウム沈着量増加
毎日新聞 2012年04月07日 11時15分

福島県が6日発表した土壌の放射線モニタリング調査(昨年7〜10月)結果で、
浜通りと中通りでストロンチウム90の沈着量の増加が確認され、福島第1原発事故
により、半径20キロの警戒区域を越えて広範囲に飛び散ったことが分かった。
最高値は、原発から約3キロの大熊町夫沢で検出した1平方メートル当たり3070
ベクレルだった。

発電所周辺と県内全域の計55地点を調べた。浜通りや中通りの36地点中34地点
は05年度の前回調査に比べ、減衰を考慮して計算すると平均約4割増えていた。
残り2地点は原発に最も近い大熊町と双葉町の2カ所で、過去15年間の最大値の
それぞれ18倍、4倍。

事故で放出量の多かったセシウムに比べ健康影響は小さいと県はみている。沈着量の
分析から大熊町ではプルトニウムも事故の影響で増えたと結論づけた。【乾達】
http://mainichi.jp/select/news/20120407k0000e040150000c.html

***

ストロンチウム、462兆ベクレルが海に流出
朝日新聞2011年12月18日3時2分

東京電力福島第一原発から事故後、海洋に放出された放射性ストロンチウムの総量は、
少なくとも約462兆ベクレルになることが朝日新聞の試算でわかった。水産庁は
魚介類への蓄積を調べるサンプリング調査の強化を検討している。

試算は東電などが発表した資料をもとに行った。4月に2号機、5月に3号機から流出
した放射能汚染水については、流出源である両号機の建屋内のたまり水に含まれる放射
性ストロンチウムの濃度を、流出した水の体積にかけて算出。これらに、今月4日に
流出が確認された処理水に含まれていたと見られるストロンチウムの量を足し合わせた。
大気から海への降下量は含まれていない。

東電は4~5月に海に流出した汚染水中の放射性ヨウ素とセシウムの総量を推定
約4720兆ベクレルと発表した。ストロンチウムの量はその約1割に相当する。
http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY201112170581.html
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明日に向けて(445)関東の各地でしいたけ、タケノコなどからセシウム検出

2012年04月07日 10時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120407 10:30)

NHKWEBニュースによると、食料品の放射性物質限度値が引下げられた
ことを背景に、各地で食材からのセシウム検出の報告が相次いでいます。
新たに汚染が広がったということではなく、限度値が500ベクレルから
100ベクレルに下がる中で、発見が相次いでいることが基本です。これ
まで500ベクレルという限度値にマスクされて見えていなかったものが
可視化されだしたとも言えます。

食材を選ぶときのポイントとして、ニュースの情報をまとめておきます
が、同時に大事なことは、これが示すのは、その食材が栽培された地域
の放射能汚染情報でもあるということです。そのため私たちには、当該
地域の食材を避けるためだけにこの情報を参照するのではなく、当該地
域の人々の健康を守るための措置を政府・行政に求めていく必要があり
ます。

以下、情報をまとめます。

まず、愛知県岡崎市の幼稚園で使われた乾燥シイタケから1キロあたり
1400ベクレルという高い値の放射能が検出されました。茨城県から出荷
され、岡崎市などで30キロが流通しているそうです。

千葉県木更津市で生産されたタケコノから120ベクレル、市原市のタケノ
コからも110ベクレル、我孫子市のタケノコから170ベクレル、栄町のタ
ケノコから130ベクレルが検出されています。また宮城県村田町の原木
から栽培されたシイタケからも350ベクレルが検出されています。

茨城県では、潮来市で生産されたタケノコから240ベクレル、小美玉市で
生産されたタケノコから168ベクレル、つくばみらい市で生産されたタケ
ノコから137ベクレル、またつくばみらい市と常陸大宮市、守谷市の3つ
の市で原木を使ったシイタケから、158ベクレルから960ベクレルが検出
されました。

神奈川県では、真鶴町で地元の原木を使ったシイタケから141ベクレルが
検出されました。

このように、シイタケとタケノコからのセシウム検出が相次いでいます。

この他、検査で採られた、福島県いわき市沖のコモンカスベなど10種類
の水産物から最高で640ベクレルが検出されています。

食材と地域の汚染に関する情報の収集を続けます。

********************

以下、NHKWEBニュースより

幼稚園給食から放射性セシウム
4月5日 20時34分

愛知県岡崎市の幼稚園で、先月、給食として出された乾燥しいたけから
厳しくなる前の暫定基準値の3倍近い1キロ当たり1400ベクレルの
放射性セシウムが愛知県などの検査で検出されました。

乾燥しいたけは茨城県から出荷され、およそ30キロが流通しています
が、愛知県は直ちに健康に影響するおそれはないとしています。

愛知県などによりますと、先月21日、岡崎市の幼稚園の園児と教職員
およそ530人分の給食で、うどんの具として出された乾燥しいたけを
保健所で検査したところ、暫定基準値の3倍近い1キロ当たり1400
ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。これは、今月
から食品に適用された新しい基準にすると14倍になります。

幼稚園では2キログラムが給食として出されましたが、愛知県は、1人
が摂取する放射性物質の量にすると少なく、直ちに健康に影響するおそ
れはないとしています。これまでの調査で、乾燥しいたけは茨城県から
出荷され、愛知県豊川市の加工業者が仕入れ業者を通じて仕入れて、
1袋500グラムに分けて販売し、合わせて30キロが岡崎市などで流
通しているとみられています。

愛知県などは乾燥しいたけを回収するよう販売業者に求めるとともに流
通のいきさつについて調べています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014248141000.html

***

3県食品で放射性セシウム新基準超
4月5日 0時10分

今月から基準が厳しくなった放射性セシウムの食品検査で、千葉県の一
部の地域で生産されたタケノコなど、3つの県の食品から基準を超える
放射性セシウムが検出されました。

新しい基準を超えたのは初めてですが、いずれも出荷が自粛されるなど、
市場に流通することはないということです。

厚生労働省によりますと、千葉県木更津市で生産されたタケノコからは、
新しい基準の1キログラム当たり100ベクレルを超える120ベクレル、
市原市のタケノコからは110ベクレルの放射性セシウムが検出されま
した。また、宮城県村田町の原木を使って育てた露地栽培のシイタケから
は350ベクレルの放射性セシウムが検出されました。

これらの食品は出荷が自粛されているため市場に流通することはないとい
うことです。

このほか、福島県では検査のためにいわき市沖で採ったコモンカスベなど
10種類の水産物からも最大で640ベクレルの放射性セシウムが検出さ
れましたが、福島県では現在、漁は行われていないということです。

新しい基準は、今月1日から適用され、野菜や米などの「一般食品」は、
これまでの暫定基準値の5分の1の1キログラム当たり100ベクレルな
どと大幅に厳しくなりました。

これを受けて各地の自治体で行われている検査で、新たな基準を超えたの
は初めてです。

政府は、地域的な広がりがあることから、千葉県の市原市と木更津市で生
産されたタケノコについては、出荷停止の指示を検討することにしてい
ます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014218401000.html

***

シイタケから新基準超える値
4月7日 4時33分

今月から基準が厳しくなった、放射性セシウムの食品検査
で、神奈川県真鶴町で、地元の原木を使って育てた露地栽培のシイタケか
ら、基準を超える放射性セシウムが検出されました。
神奈川県は、地元の生産者や農業団体に出荷を自粛するよう要請しました。

神奈川県によりますと、今月から厳しくなった基準を超える放射性セシウム
が検出されたのは、真鶴町の原木を使って育てた露地栽培のシイタケで、
地元のJAの要請を受けて、5日に収穫されたものを、県の衛生研究所で
調べたところ、新しい基準の1キログラム当たり100ベクレルを超える、
141ベクレルが検出されました。

このため神奈川県は、真鶴町の地元の生産者や農業団体に対して、5日、
収穫されたものやそれ以降について、シイタケの出荷を自粛するよう要請し
ました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120407/k10014280941000.html

***

茨城 タケノコなど新基準値超
4月5日 20時34分

茨城県内の5つの市で生産されたタケノコや原木シイタケから国の新しい
基準を超える放射性セシウムが検出され、県は、農家に出荷や販売の自粛
を要請しました。

今月、新しい基準が導入されたあとの検査で、茨城県内で基準を超える食
品が出たのは初めてです。

茨城県によりますと、4日に行った検査で、潮来市で生産されたタケノコ
から、新しい基準の1キログラム当たり100ベクレルを超える240
ベクレル、小美玉市で生産されたタケノコから168ベクレル、つくば
みらい市で生産されたタケノコから137ベクレルの放射性セシウムが
それぞれ検出されました。

また、つくばみらい市と常陸大宮市、守谷市の3つの市で原木を使って育て
た露地栽培のシイタケからは、1キログラム当たり158ベクレルから
960ベクレルの放射性セシウムが検出されました。茨城県は、これらの
タケノコと露地栽培の原木シイタケについて、5つの市を通じて出荷と販売
を自粛するよう農家に要請しました。国も6日、茨城県に出荷停止を指示
する方針です。

茨城県内では、すでに先月末、タケノコや原木シイタケで新しい基準を超え
る放射性セシウムが検出され、県が関係する市と町に出荷と販売の自粛を
要請していますが、今月、新しい基準が導入されたあとの検査で基準を超え
る食品が出たのは、茨城県内では初めてです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014245151000.html

***

千葉 またタケノコで基準超放射性物質
4月5日 16時19分

千葉県の我孫子市と栄町で収穫されたタケノコからも5日、新たに今月から
厳しくなった基準を超える放射性セシウムが検出されました。
これらの地域のタケノコは、今のところ市場に流通していないということです。

千葉県によりますと、5日行われた出荷前のタケノコの検査で、我孫子市で
3日に収穫されたタケノコから1キログラム当たり170ベクレル、栄町で
3日に収穫されたタケノコから130ベクレルの放射性セシウムが検出され
たということです。

いずれも、1日から厳しくなった野菜や米などの「一般食品」に適用される
基準の1キログラム当たり100ベクレルを上回っているため、千葉県は
我孫子市と栄町を通じて農家に出荷の自粛を求めました。
これらの地域のタケノコは、今のところ市場に流通していないということです。

千葉県内では、木更津市と市原市で収穫されたタケノコから、4日、新しい
基準を超える放射性セシウムが検出されています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014239471000.html
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明日に向けて(444)がれき焼却を止めよう!さまざまなアクションへ!

2012年04月04日 06時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120404 0630)

「明日に向けて」前号で、岩手県の被曝状況を示す一つの指標とも言える
岩手県焼却施設の焼却灰の汚染値について触れましたが、このこと一つと
ってみても、政府が市民に対して、被曝を強制し続けていること、その上
により多くの地域の市民・住民に被曝をもたらそうとしていることは明ら
かです。

背景にあるのは、内部被曝の危険性の軽視であり、隠蔽です。それは広島
長崎における原爆投下の非人道性を隠してきたことの延長にあるものです。
私たちが進めなければならないのは、何よりも内部被曝の危険性をしっか
りとつかみ、どの地域の市民・住民をも内部被曝から守っていくことです。

そのために、危険な焼却を進めようとしている行政に説得と抗議を行い、
現に進行しているものも含めて、危険な放射性物質の焼却をやめさせるこ
とを訴えていく必要があります。やることがあって大変ですが、ぜひ、自
分の住んでいる地域を越えて、積極的なアクションを続けましょう。

僕が住んでいる京都市もがれきを受け入れるかどうかの瀬戸際にあります。
京都市民発で、幾つかのアクションが提起されているのでご紹介します。
また同じく京都府の京丹波町などでもがれき受け入れが進もうとしており、
これに対して緊急の学習・講演会が組まれ、僕が講師として参加すること
になりました。近隣の方、ぜひご参加ください。

以下、案内を色々と貼り付けます。

****************

京都のロクローです。

重複御容赦下さい。拡散、転載、よろしくお願いします。

京都市瓦礫受入断固反対!

京都市へ電話アクションしましょう!
・担当課(施設整備課)075-212-8500
・市長公室 秘書担当 075-222-3066 FAX 075-222-3177

両方に電話入れましょう。
担当課は抗議のカウントをしていますが、決定するのは市長でしょ
うからどちらにも意見を伝えることが効果的だと思います。

4月6日の環境省への回答期限までもう少しです。週明けから
全力で電話・FAX・メール・手紙・・・できる限りのアクショ
ンしませんか!

土曜日の京都駅前に沢山の市民が集まりました。参加した方は止め
れる実感を持てたと思います。
後もう少しです。出来る限りのアクションが未来につながります。
是非是非、沢山の方に拡散下さい!

*****************

4月5日 門川京都市長を説得しよう!

京都市民のみなさんへ。4/6環境省への回答前の最後のアクションと
なるでしょう。ぜひ、拡散してください!
京都在住民も、新しく京都市民になった方、なる予定の方も!

門川市長に私達のガレキ阻止の願いを訴えましょう。
4月5日(木) 京都国際ホテル(二条城前)
集合時間:PM6:00  持ち物:横断幕、ポスター、プラカードなど
これが最後です。大勢の方が集結してほしいと思います。
京都が終わらないで欲しい人、意思表示をしましょう!!

*****************

みなさん、お疲れさまです。

私もこの報道には呆れ果てました。
本当に戦時中ですね。

札幌市長にはエールを送った方も多いと思います。私も送りました。
それと同時に、この長谷川岳という議員さんにも「がれき広域処理の問題点」を
勉強していただかないといけないと思います。
私たちは上田札幌市長を応援していますということ、その根拠、
貴方のなさっていることはいかがなものでしょうか、ということ。
長谷川岳参議院議員にもメッセージを送りませんか?

【長谷川岳氏 連絡先↓】
走っています。長谷川岳.jp
http://www.hasegawagaku.jp/

長谷川 岳 事務所
〒060-0004
札幌市中央区北4条西4丁目ニュー札幌ビル7階
TEL 011-223-7708
FAX 011-223-7709

ニシダ

>本当に、使えない議員どもです。役立たずどころか、居るだけで有害。
>ホンマに腹立たしい。以下から札幌市長に応援メッセージを届けましょう。
>札幌には、東北からの避難者の方も結構居ますし。
>
>市長宛のメール(入力フォーム)
>https://www.city.sapporo.jp/city/mayor/mail/koe.html
>
>
>がれき拒否の札幌市長に「アクションを」参院委
>http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20120403-OYT1T00108.htm
>
>東日本大震災で発生した震災がれきの処理を巡り、受け入れ拒否の意向を
>表明している札幌市の上田文雄市長の発言が、2日の参院予算委員会集中
>審議で取り上げられた。
>細野環境相は「しっかり説明し、理解をいただきたい」と述べ、札幌市に
>改めて受け入れを要請する考えを示した。
>道選挙区選出の長谷川岳参院議員(自民党)の質問に答えた。岩手、宮城県
>のがれきでも放射性物質の汚染を疑っている上田市長の発言について、長谷
>川議員は「非常に残念」と批判。細野環境相に対し「政令市の市長がどうい
>う発言をしているのか、もっと敏感に考えて、札幌市長に何らかのアクション
>を起こすべきだ」と迫った。
>政府は既に、被災3県などを除く35道府県と札幌市を含む10政令市に文
>書で受け入れを要請し、今月6日までの回答を求めている。細野環境相は
>「札幌市長がどういう発言をしたのか確認する」とした上で「私どもの考え
>と違うようであれば、しっかり説明し、理解をいただきたいと思う」と応じた。
>
>(2012年4月3日07時31分 読売新聞)
>

****************


守田さんと瓦礫を考える勉強会

4月5日(木)
午後7時半 菓歩菓歩 横クラフト館

参加費 カンパ 差し入れ歓迎。
簡単なおにぎりは用意しときます。

ゲスト 守田敏也さん 福島から避難された明美さん

平日の夜ですし 集まりにくい時間かとも思いますがどう​かお一人でも多く 
近隣住民の方をお誘いあわせの上ご参​加いただければなって思っています。

問合せ
Bio sweet's capo.capo
京都府船井郡京丹波町坂原シヨガキ16番地
tel 0771.84.0959 fax 0771.84.2025
http://www.capocapo.com/
JR和知駅近く

***************

内部被曝の驚異を一から知るアイテム
岩波ブックレット『内部被曝』矢ヶ克馬・守田敏也著発売中です!
お求めは以下から
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明日に向けて(443)岩手県における放射能汚染の実態(がれき問題によせて)

2012年04月03日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120403 23:30)

がれき問題に関する資料をたくさん集めて解析中ですが、調べれば調べるほど
なんとも胸が痛くなる情報ばかりがでてきます。その一つに、岩手県における
放射能汚染の実態があります。

これは環境省の「広域処理情報サイト」の中の、「岩手県と宮城県の災害廃棄
物の安全性について」というページを批判的に検討する中でいきついたもので
す。というのは環境省はこの中で、次のように述べています。

「広域処理のご協力をお願いする岩手県と宮城県の沿岸部の災害廃棄物は、処
理の過程で健康に影響を及ぼさないという安全性が確認されたものだけが対象
となっています。」

そしてその横に、東北沿岸部の諸都市と、関東・愛知・大阪の空間線量を表示
し、「岩手県及び宮城県沿岸部の空間放射線量は高くありません」と表示して
たったそれだけで、これらの地域の廃棄物が安全かのように粧っています。
これについては以下のページからみれます。
http://kouikishori.env.go.jp/howto/

しかし、実際に焼却灰の調査から見ていくと、岩手県にも非常に大量の放射能
が降ってしまった現実が浮かび上がってきます。焼却灰の調査は、各焼却場
毎に行われているだけで、必ずしもどこに沿岸部のものが持ち込まれて焼却さ
れているかは分かりにくいのですが、沿岸部がさまざまな被害を受けたことを
考えると、内陸部の焼却場でもこれらが燃やされたことも考えられます。
各焼却場のデータは以下の資料を見ると分かります。

一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性物質濃度の測定結果について
http://ftp.www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=4406&of=1&ik=1&pnp=50&pnp=2648&pnp=4406&cd=37948

特にこの中の9月14日発表の情報が重要なのですが、そこにあげられた各焼却
施設のうち、三陸海岸にあるものをみていくと、まずもっとも北部の青森県境
の近くにある「久慈地区ごみ焼却場」で、飛灰からセシウム134と137が合計で
604ベクレル計測されています。主灰からは31ベクレルです。それぞれの1キロ
グラムあたりの値で、以下も同じです。(6月30日)

ちなみに飛灰とは、飛び散り舞い上がった灰のことで、バクフィルターなどの
集塵機で集められたもののこと。これに対して炉の底部に残ったものが主灰で
す。温度の問題等から、セシウムはおもに飛灰に集まる傾向があります。

さて続いて岩手県沿岸部の中部にある「宮古清掃センター」をみると、飛灰に
同じく240ベクレル、主灰に31ベクレル計測されており、(7月21日)さらに
南に下がり、釜石市にある「岩手沿岸南部クリーンセンター」をみると、飛灰
で1128ベクレル、スラグで30ベクレルが出ています。(7月5日)

さらに南に下り、陸前高田市のすぐ北の大船渡市にある「太平洋セメント(株)
大船渡工場」を見ると、飛灰に905ベクレル、主灰に194ベクレルが出ています。
(7月5日)

三陸海岸の焼却場で、飛灰だけで240ベクレル(宮古)から、1128ベクレル
(釜石)と非常にたくさんのセシウムが「がれき」に含まれていることが分か
ります。このことをみただけでも、空間線量で「安全」を粧う、環境省HPの
発表の嘘が見えてきます。


ただよりショッキングなのは、内陸部の一関市周辺でとても高い値が出ている
ことです。一関市狐禅寺にある「一関清掃センター」では、7月22日に、飛灰
からなんと30000ベクレルが計測されています。主灰にも1550ベクレルです。
同じく7月5日には、飛灰で26000ベクレル、主灰で1640ベクレル。8月24日には
飛灰で14700ベクレル、主灰で1830ベクレルと、とんでもない数値の連続です。

また一関市の北方にある奥州市の「胆江地区衛生センター」でも、7月9日に
飛灰で10100ベクレル、7月13日に10500ベクレルが計測されています。この数値
は9月2日には5700ベクレルに下がっていますが、これらのことは、岩手県民に
広く伝えられないままに、行われてきたのではないでしょうか。

この一関や奥州ののデータから、すでにこの焼却場の職員の方たちに、甚大な
被曝が起こっていることが懸念されます。大変、深刻です。職員の方たちは、
十分な被曝対策をしてきたでしょうか。ガラスバッチなどはつけていたでしょ
うか。つけてないと思います。

また一関の7月22日と8月24日の数値が倍もちがっていること、奥州でも7月9日
と9月2日の数値がやはり倍もちがっていることをみるとき、焼却灰の放射能
汚染に関するデータは、1日とっただけではまったく不十分なことも同時に見え
てきます。ここに記載された以上のセシウムが出ていたことも十分考えられ
ます。

いやそれだけではない。このように焼却灰から大量のセシウムが出てくるのは
その地域が深刻に被曝していることの証左です。なのになんの目立った対策も
されていない。被曝の話は福島県に集中してしまっている感が否めません。
さらにその上に焼却場からの二次被曝が起こっている可能性が大です。

このように、岩手県の焼却場の灰に含まれる放射性物質のデータをみるならば、
がれきが安全などころか、岩手県が深刻な被曝を受けていながら、政府や環境
省がまったくそれらを放置してきていることこそが浮かび上がってきます。
人々を放射性物質の降下、食べものによる内部被曝、さらに焼却場からの被曝
と、二重三重の被曝の中に晒しながら、「岩手・宮城を救うために廃棄物の
広域処理を」と言い出しているのが政府なのです。

自分で人々を苦しめておきながら、その苦しみを軽減するのに協力せよと言っ
ているわけです。こんなことを許せるわけが到底ありません。私たちは、がれき
受け入れ拒否にとどまらず、岩手県・宮城県での放射線防護を徹底せよ、これ
以上、東北の人々を被曝させるなという声をこそ上げていく必要があります。
がれき問題で見抜いていかねばならない重要な点です。

人々に被曝をおしつける政府に、東北の人々と手を携えて、立ち向かっていき
ましょう!





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明日に向けて(442)京都・市民放射能測定所オープンに際してお話します。(4月8日)

2012年04月02日 22時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120402 22:30)

京都・伏見区で設立を目指していた京都市民放射能測定所に、いよいよ
測定器がやってくることになり、測定所が開設されることになりました。
正式には5月からとのことですが、これに先立つ4月8日に、開設記念の
講演会と、食品測定会が行われます。会場は測定所直近の京都市呉竹
文化会館。午後に測定所に移って、測定会を行います。

この測定所は、避難者支援活動から立ちげにいたってきたユニークな経
緯を持っています。測定所代表で避難者支援グループ「うつくしま☆ふく
しまin京都」事務局長の奥森祥陽さんに聞いたお話をまとめます。

京都府の職員でもある奥森さんは、大震災が起きたときに、府からの業務
応援募集に手を上げ、4月1日から一週間、会津若松市の避難所運営の支援
に赴きました。そこには原発直近の人々が着の身着のまま避難していてそ
のまま帰れなくなっていました。「原発事故とはこういうものなのだとい
うことがよく理解できた」と奥森さんは語ります。

奥森さんは、京都に戻るシャトルバスの中で、避難のために相乗りした郡
山市出身の若い男性と知り合いになりました。後日、彼を訪ねた奥森さん
は、京都府が受け入れるといいながら、住宅の提供とわずかな生活支援し
かないことを知りました。同じことがほかでも起こっているのではないか
と避難者を探し、京都での支援に乗り出し、やはり郡山から避難してきた
二〇代女性と知り合いました。奥森さんは交流しようと、五月に郡山から
移住した二人を招き、食事会を開いて京都の名物を一緒に食べました。

するともっと多くの人に呼びかけて交流会を開こうという話が持ち上がり
ました。そこで避難者の支援に乗り出し、交流会を企画。チラシを作り、
京都府や京都市が提供している住宅名を聞いて、チラシをまきにいき、
福島ナンバーの車のワイパーにチラシを挟み込みました。

こうして6月25日に「うつくしま☆ふくしまin京都」の第一回目の交流会が
開かれました。この名前は、もともと福島県が使ってきたキャッチフレーズ
ですが、避難者に親しみやすいだろということと、「福島を美しい町に戻し
たい」という意味を込めて使われました。このときに集まったのは避難世帯
の大人11人。

交流会の場で話題になったのは避難は正しかったのかどうかということでし
た。郡山の女性は父親の同意を得られませんでした。祖父や祖母も理解がな
い。唯一、母親だけが「あなたはこれから子どもを産むのだから」と理解を
示してくれたといいます。そんな思いが吐露されると、それぞれが後ろ指を
刺される辛い思いをしていることがわかりました。一時間ほど話し合い、自
分たちの避難は正しかったという結論に達しました。

7月23日に、2回目の交流会が行われました。子どもも楽しめるように関西名
物のたこ焼きパーティーが準備されました。17家族と多数の支援者が集まり
ました。このときは住民票を移すかどうかなど、具体的な心配が語られまし
た。避難の権利と賠償問題についても話合われ、ここから賠償を求める裁判
の準備が始められていくことになりました。

一方、放射能の問題も話されました。奥森さんたちは避難者から、京都の人
たちは放射能に対する認識が甘いと指摘されました。「私たちは放射能から
逃げてきました。でも放射能は食べ物に入って私たちを追いかけてきている
のです」と問われた。こうして活動の遡上に放射能対策があがりました。

9月25日には、避難の権利問題を中心とした3回目の交流会が持たれました。
22家族と支援者が参加。ここで福島の放射線汚染の実態を語ってもらおうと、
福島の「市民放射能測定所」理事の阿部宣幸さんを招いて講演してもらいまし
た。ところがそこで語られたのは福島のことだけではなく、汚染が広範囲に
広がって、京都にも迫ってきている実情でした。参加者の「西日本は大丈夫」
と思っていた意識が覚醒されました。

これを受けて11月23日に、まだ手探りの状態にありながらも、市民測定所
キックオフ集会が行われました。福島から簡易測定器を持ってきてもらって
測定会を行い、参加者が持参した安売りスーパーから買った鶏肉を計ったとこ
ろ、1キログラムあたり29ベクレルの放射線が検出されました。「これが決定
的でした。それまで目に見えなかった放射能が、測定することで可視化され、
分かってしまったという感じがして、みんな、これは測定所を本当に作るしか
ないとなりました」と奥村さん。こうして市民測定所準備会が設立され、奥森
さんが代表になりました。

メンバーは(1月時点で)20代から60代の約20人。うち避難者が4人。奈良や
大阪からも参加し、奈良にも測定所を作ろうという動きが生まれているといい
ます。京都府綾部市、大阪府千早赤阪村、兵庫県西宮市、大阪府北摂でも設立
の動きがあり、関西ネットワークも作られつつあります。

測定所はこのような道のりを歩んできましたが、測定器が注文から搬入まで
数ヶ月かかるため、まだまだ準備段階でした。ところが3月になって測定器搬入
が前倒しで早まりました。嬉しい反面、まだ時間があると思っていた資金集め
を急がねば成らず、踏ん張りが必要でしたが、それもなんとかクリアし、よう
やく開設一歩前に迫ることができ、4月8日の開設に向けた講演会と、食品測定
会を迎えることになりました。

こうした会でお話できることはとても光栄です。当日は、演題の「内部被曝か
ら身体を守るために」というタイトルでお話しますが、僕自身が仙台の二つの
測定所に関わってきた経験や、この間、各地で測定所を運営している方々と出
会い、見聞きし、僕なりにつかんできた、測定することの意義、課題、展望に
ついてもお話したいと思います。ぜひお近くの方はご参加ください。

市民の力で、放射線から身を守る力強い防護体制を築いていきましょう!

******

京都にAT1320A(放射能測定器)がやってくる
ホンマにつくるぞ!市民測定所
-守田敏也さん講演会と測定見学会-

●日時・場所:2012年4月8日(日)9時30分開場
1部守田さん講演会・京都市呉竹文化会館和室10時~12時
(京阪本線・近鉄丹波橋駅「西口」下車すぐ)
http://www.kyoto-ongeibun.jp/kuretake/map.php

2部食品測定会・京都市民放射能測定所12時15分~
(呉竹文化会館から徒歩1分)

●内容:1部測定所開設ジャンプ集会
-内部被曝と市民放射能測定所の役割
(1)報告「京都・市民放射能測定所の開設にむけて」
京都・市民測定所設立委員会から
(2)講演「内部被曝から身体を守るために」
守田敏也さん(フリーライター)
(3)質疑

2部AT1320A による測定見学会
*検体は設立委員会で準備します。

●参加費:500円

●呼びかけ
みなさん。待ちに待った放射能測定器(ATOMTEX 社・AT
1320A)が4月6日に京都にやってきます。
測定技術の取得や測定室の整備、スタッフ拡充を
進めながら、5月中にも京都・市民放射能測定所を
開設したいと考えています。

そこで、食品による内部被曝の危険性について改
めて学習するとともに、食品の放射能測定を実際に
体験してもらうためのイベントを計画しました。
あなたも、京都・市民放射能測定所をつくる一人
になってください。イベントに参加していただくと
ともに、開設資金カンパへのご協力、測定所会員に
なっていただきますよう、お願いします。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
京都・市民測定所設立委員会
〒612-8082 京都市伏見区両替町9丁目254 北川コンサイスビル203号
TEL 090-8232-1664・FAX 0774-21-1798
http://nukecheck.namaste.jp/
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
コメント
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