先日オーバーホールをした、セイコーマーベルですが、なんとお風呂に一緒に入ってしまったとのことで戻って来ましたよ。すでに丸三日経過しているので、時は一刻を争います。とは言っても、画像を撮らなければならいという矛盾。あ~、やきもきします。風防の内側には水滴が溜まり、竜頭部分からは赤茶の錆が出ています。何とか生きていてくれよという心境。
あら~、内部には、まだ水が溜まっていました。錆も進んでいます。これは厳しいなぁ・・・オーナーさんからは断念のメールがありましたが、この時計には罪はないでしょ。何とかしてやらなくては・・・
とにかく、全ての部品を分離して、ベンジン浴に漬けます。この時点で、テンプのヒゲゼンマイや細かなバネは手遅れと判断できます。
組立はいつもと同じなので省略します。完全に洗浄をした地板に使用可能な部品は再使用とし、無理なものは別の部品に交換しています。ピンセット先のゼンマイの逆転防止のコハゼやコハゼバネは錆進行が早く、バネは折れていました。
テンプの天輪とヒゲゼンマイです。ヒゲゼンマイは交換になります。
文字盤下の日の裏機構。他の個体からの移植なので、問題が無いか、仮組みしています。
何とか息を吹き返しましたね。風防は、何故か外周部分にクラックがありますので交換します。文字盤は、錆や汚れが付着していたので、仕方なく洗浄しましたので、細かな印刷が消えた部分があります。
ベゼルに新しい風防を取り付けます。本当は、この工具は風防にキズを付ける危険性があるので、使用したくはないのですが、ドーム風防の場合は仕方ありません。この時点では、外径寸法と山形のデザインはバランスが取れていたのでした。
平行して、私所有のセイコー・チャンピオンカレンダーの風防も組立てて行きます。マーベルの文字盤は古典的な山形ですが、チャンピオンの時代になると、文字盤は大径でフラットになりますので、風防の山の高さは低いものを選択しています。
マーベルの文字盤はドーム型ですね。これがまた良い味になっています。ドームの形状に合わせて、針も下側に曲がっています。秒針を差して再び時を刻み始めました。
マーベルは完成と思いきや、風防をセットすると針と干渉して止まってしまいました。どうも、風防の内側の形状が元の風防と異なり、空間が少ないようです。そこで、不本意ですが、デザインのバランスに目をつむって、山が高い(外径は同じ)風防に交換して完成です。チャンピオンは、防水ケースになる直前くらいの非防水ケースですが、マーベルとの大きさの違いに注意。今度はお風呂に入れないようにご注意くださいね。チャンピオンはリュウズも交換してあります。欲しい方があればお譲りしても結構です。